「大人が手足口病にかかったときの症状は?」
「大人が発症した手足口病の対策方法を知りたい」
子どもが手足口病にかかった場合、上記のように不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
手足口病は大人でも感染する可能性があり、子どもよりも重症化しやすいリスクがあります。
感染拡大の防止には、基本的な感染症対策が有効とされ、手洗い/うがいの徹底や、こまめな消毒などが大切です。
本記事では、大人の手足口病について以下の点を中心に詳しく解説します。
- 大人が発症する手足口病について
- 手足口病における大人と子どもの違い
- 手足口病の対策6選
大人の手足口病の症状にご興味のある方はご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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手足口病とは?
手足口病とは、口の中や手足などに、発疹が出る感染症です。
ヘルパンギーナ、咽頭結膜熱(プール熱)に並ぶ乳幼児の三大夏風邪のひとつで、子どもを中心に流行し、7月下旬にピークを迎えます。
インフルエンザや水ぼうそうなどと同じ5類感染症のひとつで、週単位で医療機関から感染状況が報告されます。
報告数は年々増えており、2009年から2019年まででもっとも多かったのは、2019年(402,529件)です。
2024年は4月頃から報告数が増加しており、過去5年間よりも多い水準で推移しています。
出典:厚生労働省「手足口病」
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大人が発症する手足口病について
大人が発症する手足口病について、以下の4つの項目に分けてご紹介します。
- 症状
- 感染経路
- 治療法
- 危険な合併症
1.症状
1つ目に解説するのは「症状」です。
感染してから3〜5日後に、口の中、手のひら、足底などに2〜3mm程度の発疹が出ます。
口の中にできた水ぶくれが潰れると口内炎ができ、食べ物や飲み物が摂取しづらくなるため、脱水症状を引き起こすリスクもあります。
大人の場合は発熱が1〜3日間続いたり、下痢や嘔吐の症状が出たりする恐れがあるため、注意が必要です。
また、インフルエンザのように全身倦怠感や筋肉痛などの症状が出ることもあります。
手足口病は、子どもよりも大人の症状の方が重いのが特徴で、歩けないほど発疹の痛みが強く出ることもあります。
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2.感染経路
2つ目は「感染経路」です。
手足口病の感染経路は、主に3つが知られています。
- 飛沫感染
- 接触感染
- 糞口感染(便と同時に排泄されたウイルスが口に入って感染すること)
とくに手足口病にかかりやすい乳幼児が集団生活をしている保育園や幼稚園などは、感染拡大に注意が必要です。
大人の場合、感染した子どもの飛沫を吸い込んだり、子どもが使ったタオルや食器などに触れたりして感染するリスクがあります。
ウイルスは便からも排泄されるため、子どものおむつ交換時に感染することも考えられます。
感染した子どもの親が会社に出勤しウイルスが持ち込まれると、職場内で感染が広がることもあるでしょう。
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3.治療法
3つ目は「治療法」です。
手足口病には特効薬がなく、対症療法(症状を和らげたり消したりする治療)で対応します。
口内炎がひどい場合は、鎮痛薬や粘膜保護剤の軟膏などが処方されたり、発熱の場合は、解熱剤を使ったりすることもあります。
水ぶくれにかゆみがある場合は、アレルギー反応をおさえるための薬を処方してもらえるかもしれません。
手足口病の多くは、栄養と水分をしっかりと摂取していれば、軽症で済み自然に治ります。
ただし、まれに重症化するケースがあるため、感染後の体調に注意が必要です。
異変を感じた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
4.危険な合併症
4つ目は「危険な合併症」です。
基本的には軽症で自然に治る手足口病ですが、まれに髄膜炎や脳炎などの合併症や、心筋炎などを起こすリスクがあります。
以下の項目に該当するような症状がある場合は、医療機関への受診を検討しましょう。
- 高熱が続く
- 呼びかけに答えない
- 呼吸が速くて息苦しそう
- ぐったりとしている
- 嘔吐や頭痛がある
合併症が重症化すると、最悪の場合、死に至ります。
とくに重症化しやすい大人は、経過観察をしっかりと行い、手遅れになる前に対処することが大切です。
「このくらいなら大丈夫だろう」と、自己判断で考えないようにしましょう。
手足口病における大人と子どもの違い
手足口病は、大人でも子どもでも、口の中や手足などに発疹ができる感染症です。
しかし、大人は子どもよりも重症化するリスクが高いのが特徴です。
大人の場合、インフルエンザのような倦怠感や筋肉痛などの症状があり、子どもとは異なる発症の仕方をする可能性もあります。
発疹が出るまで手足口病にかかっていると気づかず、風邪と勘違いしているケースも見られます。
感染した子どもが身近にいなくても、風邪の症状や発疹などがある場合は、手足口病にかかっている可能性を疑いましょう。
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手足口病の対策6選
次に、手足口病の対策方法について6つ解説します。
- 手洗い・うがいをする
- こまめに消毒をする
- タオルや食器を共有しない
- 排泄物を適切に処理する
- 病気の人との接触を避ける
- 規則正しい生活を送る
対策方法①|手洗い・うがいをする
手足口病の対策方法の1つ目は「手洗い・うがいをすること」です。
手足口病には有効とされるワクチンや予防薬などがないため、一般的な感染症対策の手洗い・うがいの徹底が重要です。
前述した通り、接触感染のリスクがあるため、帰宅後や食事前などに、石鹸でしっかりと手洗い・うがいをしましょう。
手のひらだけでなく、指先や指の間なども意識して洗うことが大切です。
保育園や幼稚園でウイルスをもらうリスクがあるため、自分だけでなく、子どもも一緒に手洗い・うがいをする習慣をつけましょう。
対策方法②|こまめに消毒をする
2つ目は「こまめに消毒をすること」です。
手足口病の原因のウイルスである「エンテロウイルス」は、アルコール消毒が効きづらいとされています。
そのため、次亜塩素酸ナトリウムを使うと良いでしょう。
次亜塩素酸ナトリウムは、市販のハイターや漂白剤を薄めるだけで作れます。
消毒液を作る際は、ほかの薬品と混ぜないように気をつけたり、子どもが触れたりしないように、配慮する必要があります。
ドアノブや電気のスイッチ、おもちゃなど、触れる機会の多いものは、こまめに消毒をしましょう。
とくに、先生や友達との接触が多い子どものアイテムには注意が必要です。
対策方法③|タオルや食器を共有しない
3つ目は「タオルや食器を共有しないこと」です。
手足口病は、感染者の飛沫がついているものを介して感染するため、タオルや食器などの共有は避けましょう。
タオルや食器にはウイルスが付着しやすく、家庭内感染の恐れがあります。
日頃から別々のタオルや食器を使っていれば、万が一、家庭内で感染者が出ても安心です。
別々のものを使うのが難しい場合は、使い捨ての食器やウエットティッシュなどを活用しても良いでしょう。
使用後はウイルスに触れないように、すぐに洗ったり、処分したりすることが重要です。
子どもを意識するあまり、大人の対策が疎かになるかもしれませんが、感染拡大の防止には、家族全員の心がけが欠かせません。
対策方法④|排泄物を適切に処理する
4つ目は「排泄物を適切に処理すること」です。
手足口病は、便の中にウイルスが排泄される可能性があるため、とくにおむつを使う子どもがいる家庭では注意が必要です。
おむつ交換をする際は、排泄物を適切に処理したり、交換後に石鹸で手を洗ったりしましょう。
また、手足口病が治った後でも便の中にウイルスが排泄されることもあるため、治ったからと油断しないことが大切です。
感染者が大人の場合は、トイレを分けて使うのが理想ですが、難しければ、利用後の掃除や消毒を忘れないようにしましょう。
対策方法⑤|病気の人との接触を避ける
5つ目は「病気の人との接触を避けること」です。
前述した通り、手足口病は飛沫や接触で感染が拡大するため、感染者と物理的に距離を置くことが理想です。
例えば、戸建てであれば感染者は2階で過ごしたり、マンションであれば1室に隔離したりするのが良いでしょう。
トイレやお風呂の共有を避けることは難しいため、感染者が最後に利用し、利用後の掃除や消毒を徹底することが大切です。
感染者と同じタオルや食器を使わないことはもちろん、会話する際はマスクを着用すると良いでしょう。
対策方法⑥|規則正しい生活を送る
6つ目は「規則正しい生活を送ること」です。
規則正しい生活で免疫力が高められると、感染を予防できます。
具体的な行動がわからない人は、以下を心がけてみてください。
- バランスの良い食事をとる
- 睡眠の質を高める
- 適度な運動をする
- ストレスを溜めない
仕事のプレッシャーが強かったり、残業が続いていたりすると、免疫力が落ちる恐れがあります。
手足口病だけでなく、新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染症を防ぐためにも、健康的な生活を送ることが大切です。
手足口病にかかった場合の対処法4選
次に、手足口病にかかった場合の対処法を4つ解説します。
- 病院に行く
- 出勤は控える
- 水分補給をする
- 栄養を摂る
1.病院に行く
手足口病にかかった場合の対処法の1つ目は「病院に行くこと」です。
4歳程度の子どもは小児科ですが、大人は、内科か皮膚科のいずれかを受診しましょう。
前述した通り、大人の場合は、発疹が出る前に倦怠感や筋肉痛などの症状が現れることがあります。
手足口病ではない別の病気に感染している可能性も考えられるため、体調に違和感がある場合は、医療機関を受診しましょう。
特効薬はないため、必ず効く薬をもらえるわけではありませんが、鎮痛剤や軟膏を処方してもらえれば、症状が落ち着く可能性があります。
2.出勤は控える
2つ目は「出勤は控えること」です。
手足口病に感染しても、出勤停止になることはなく「◯日休む必要がある」という決まりはありません。
とはいえ、発熱や痛みを我慢するのは現実的ではなく、職場での感染拡大のリスクを考えても、出勤を控えるのがおすすめです。
発疹が出ているだけで元気な場合でも、職場に相談し、出社を避けてリモートワークで勤務するのが良いでしょう。
また、保育士や幼稚園教諭などの場合は、各職場でルールが設けられている可能性があります。
子どもや同僚への感染を防ぐためにも、職場のルールに従って行動しましょう。
3.水分補給をする
3つ目は「水分補給をすること」です。
手足口病で口の中に発疹ができた場合、痛みで食べ物や飲み物の摂取が難しくなり、脱水症状を引き起こす恐れがあります。
少なくとも水分補給は意識して、脱水症状を防ぐことが大切です。
オレンジジュースのような刺激の強い飲み物は避け、麦茶や牛乳などを飲むと良いでしょう。
コップから直接飲むのが難しい場合は、ストローを使うと楽です。
水分とあわせて栄養も摂取できるため、冷やしたスムージーやスープなどもおすすめです。
4.栄養を摂る
4つ目は「栄養を摂ること」です。
口の中が痛み、通常の食事が難しい場合は、以下のようなのど越しの良いものを食べると良いでしょう。
- ゼリー
- ヨーグルト
- アイスクリーム
- バナナ
- うどん
あまり噛まずに飲み込めるものを選び、熱いものやすっぱいものなどの刺激物は避けたほうが良いです。
無理をして食べる必要はありませんが、栄養を摂るためには、少量でも食べ物を口にすることが大切です。
夏風邪の治し方について詳しく解説していますので、こちらの記事も合わせてお読みください。
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手足口病にかかりやすい人の3つの特徴
最後に、手足口病にかかりやすい人の3つの特徴を解説します。
- 子育て中の人
- 子どもと接する機会の多い人
- 免疫力が落ちている人
1.子育て中の人
手足口病にかかりやすい人の特徴の1つ目は「子育て中の人」です。
国立感染症研究所の発表では、2024年第27週の手足口病の報告数は35,960例でした。
年齢別でみると1歳が33.1%(11,887例)ともっとも多く、2歳が19.8%(7,116例)です。
そのため、とくに2歳以下の子どもを育てている人は、家庭内での感染拡大に注意しましょう。
出典:国立感染症研究所「手足口病」
2.子どもと接する機会の多い人
2つ目は「子どもと接する機会の多い人」です。
代表的には、保育士や幼稚園教諭が挙げられるほか、音楽教室や学童で働く人も、子どもと接する機会が多いといえるでしょう。
すでに免疫のある大人でも、何度もかかったり、ほかのウイルスへの感染から発症したりすることがあるため「一度かかったから大丈夫」と油断しないことが大切です。
子どもから感染しないように、石鹸での手洗い/うがいや消毒などを意識しましょう。
3.免疫力が落ちている人
3つ目は「免疫力が落ちている人」です。
免疫力が落ちていると、手足口病だけでなく、インフルエンザや新型コロナウイルスなどにも感染しやすくなる恐れがあります。
仕事やプライベートで忙しかったり、睡眠不足が続いていたりする人は、とくに注意しましょう。
適度な運動や栄養バランスを意識した食事などを心がけ、免疫力を高めることが大切です。
大人の手足口病まとめ
ここまで大人の手足口病についてご紹介しました。
要点を以下にまとめます。
- 大人が発症する手足口病は、発疹や全身倦怠感、筋肉痛など重い症状が現れることが多く、特に合併症には注意が必要
- 手足口病は、大人は子どもより重症化しやすく、倦怠感や筋肉痛などインフルエンザに似た症状が出ることが特徴
- 手足口病の対策として、手洗い・うがい、こまめな消毒、タオルや食器の共有を避ける、排泄物の適切な処理、病気の人との接触を避ける、そして規則正しい生活を送ることが重要
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。