「立ちくらみがするけど、これって起立性低血圧?」
「私の年代で起立性低血圧になる原因は何?」
起立性低血圧かな?と思ったら、まずはご自身の状況を把握することが大切です。
本記事では、年代別に異なる起立性低血圧の症状や原因、そして起立性低血圧と持病の関係性について
以下の点を中心に詳しく解説します。
- 年代別の起立性低血圧の症状
- 起立性低血圧の原因
- 起立性低血圧と持病の関係性
起立性低血圧にご興味のある方はご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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起立性低血圧とは?
起立性低血圧とは、横になって寝ている状態や座った状態から立ち上がったときに、血圧が急激に低下する状態のことです。
脳への血流が一時的に不足するため、立ちくらみやふらつき、めまいといった症状が現れます。
また、重症の場合には、失神することもあるので注意が必要です。
ここでは、起立性低血圧について、以下の3つのテーマに分けてご紹介します。
- 起立性低血圧のメカニズム
- 血圧の正常値と低血圧の基準値
- 起立性低血圧の定義と診断基準
①起立性低血圧のメカニズム
通常、人は立ち上がると重力によって血液が下半身に移動します。
移動すると体内のセンサーが感知し、自律神経の働きで血管を収縮させ、心臓に戻される血液量が増加することで脳への血流を維持しています。
しかし、起立性低血圧の場合、この自律神経の働きが鈍くなり、血管が収縮しません。
そのため、立ち上がった際に血圧が十分に上昇しない、あるいは適切に維持されないため、脳への血流が不足してしまいます。
その結果、めまいやふらつきなどの症状が現れるのです。
②血圧の正常値と低血圧の基準値
血圧の正常値は、病院で測定した場合、収縮期血圧(以下、最高血圧)120mmHg未満、拡張期血圧(以下、最低血圧)80mmHg未満とされています。
家庭で測定する場合は、最高血圧135mmHg未満、最低血圧85mmHg未満が正常値です。
低血圧の明確な基準値は定められていませんが、一般的には、最高血圧が100mmHg未満の場合に低血圧と診断されています。
ただし、血圧が100mmHg未満であっても低血圧の症状がみられないケースもあるため、医師によって低血圧の基準が異なる場合があります。
③起立性低血圧の定義と診断基準
起立性低血圧は、起立性調節障害の一つとされています。
起立性調節障害とは、自律神経のバランスが崩れることで、立ちくらみのほか、朝起きられない、疲れやすい、食欲がないといった様々な症状が現れる病気です。
起立性低血圧は、横になって寝た状態や座った状態から立ち上がった後3分以内に、最高血圧が20mmHg以上、
あるいは最低血圧が10mmHg以上低下した場合、または最高血圧が90mmHg未満になった場合に診断されます。
診断には、血圧測定などが行われます。
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年代別で異なる起立性低血圧の症状
ここでは、年代別で異なる起立性低血圧の症状について、以下の4つをご紹介します。
- めまい・立ちくらみ
- 疲労感・倦怠感
- 頭痛
- 発汗
起立性低血圧の症状は、めまいや立ちくらみなど、年代を問わず共通するものも多いですが、
年齢層によって現れやすい症状や程度の違いがみられることもあります。
自分の年代に特徴的な症状を知ることは、早期発見や適切な対処に繋がり、健康的な日常生活を送る上で役立ちます。
①めまい・立ちくらみ
起立性低血圧の症状の1つ目は「めまい・立ちくらみ」です。
めまいと立ちくらみは、起立性低血圧の最も一般的な症状であり、10代から高齢者まで、どの年代でも起こりえます。
これは、起立時に脳への血流が一時的に不足することで起こります。
10代の若年層では、起立性調節障害に伴い、朝礼や長時間の立位でめまいや立ちくらみを起こしやすくなります。
高齢者は加齢による動脈硬化や、自律神経機能の低下により、症状が悪化しやすく、
転倒や骨折のリスクが高まるため注意が必要です。
②疲労感・倦怠感
2つ目は「疲労感・倦怠感」です。
疲労感や倦怠感は、起立性低血圧に伴い、全身の血流不足が続くことで起こります。
特に、10代の若年層では、起立性調節障害に伴い、午前中に強い疲労感や倦怠感を訴えることが多く、
学校生活や日常生活に支障をきたすこともあります。
高齢者でも疲労感や倦怠感はよく見られますが、加齢による体力低下や他の疾患との鑑別が重要となるでしょう。
③頭痛
3つ目は「頭痛」です。
頭痛は、起立性低血圧によって脳への血流が不安定になることで起こると考えられています。
しかし、頭痛の原因は多岐にわたり、起立性低血圧が原因で起こっているのか、他の要因によるものなのか、 判断が難しい場合があります。
10代は起立性調節障害に伴う頭痛が見られることもありますが、緊張型頭痛や偏頭痛との鑑別が必要です。
高齢者は、脳血管疾患や高血圧など、他の疾患との関連も考慮する必要があります。
④発汗
4つ目は「発汗」です。
発汗は、自律神経の乱れによって体温調節が上手くいかなくなることで起こります。
起立性低血圧の場合、発汗は他の症状と関連して現れることが多く、めまいや立ちくらみ、疲労感などが同時に怒る場合があります。
発汗の程度や頻度は個人差が大きく、年代による明確な違いは明らかになっていません。
起立性低血圧の原因
ここでは、起立性低血圧の原因について、以下の4つをご紹介します。
- 自律神経の乱れ
- 糖尿病などの疾患
- 貧血
- 脱水症
起立性低血圧は、年齢や持病の有無、生活習慣など、様々な要因が複雑に絡み合って起こります。
これらの要因を理解することは、自分に合った予防策や改善策を見つけるために役立ちます。
①自律神経の乱れ
起立性低血圧の原因の1つ目は「自律神経の乱れ」です。
自律神経は、血液循環や呼吸、消化など、生命維持に必要な機能を無意識に調節しています。
この自律神経のバランスが乱れると、血管の収縮機能が低下し、起立時に血圧が適切に上昇しなくなります。
10代は、身体の成長に伴い自律神経の調節機能が未発達なため、起立性調節障害と呼ばれる起立性低血圧になりやすい傾向があります。
また、20代以降でも、ストレスや不規則な生活、睡眠不足、過度なダイエットなどが原因で自律神経が乱れ、
起立性低血圧の症状が現れることがあるのです。
②糖尿病などの疾患
2つ目は「糖尿病などの疾患」です。
糖尿病は、慢性的に高血糖状態が続く病気です。
高血糖は血管を傷つけ、動脈硬化を引き起こしやすくなるため、糖尿病の人は、そうでない人に比べて、
動脈硬化が原因で起こる心筋梗塞や脳卒中のリスクが高くなります。
また、糖尿病は自律神経にも影響を与え、血管の収集機能を低下させるため、
起立性低血圧のリスクを高める可能性も出てきます。
③貧血
3つ目は「貧血」です。
貧血は、血液中の赤血球やヘモグロビンが不足した状態です。
ヘモグロビンは、全身に酸素を運ぶ役割を担っているため、貧血になると酸素不足により、
めまいや立ちくらみ、疲労感などが現れます。
これらの症状は、起立性低血圧の症状と似ているため、貧血によって起立性低血圧のような症状が現れる場合があります。
貧血が疑われる場合は、医療機関を受診し、血液検査を受けて診断してもらいましょう。
④脱水症
4つ目は「脱水症」です。
脱水症は、体内の水分量が不足した状態です。
体内の水分量が減ると、血液量が減少し、血圧が低下しやすくなるため、脱水症になると起立性低血圧の症状が出やすくなります。
激しい運動や発汗、下痢、嘔吐などで脱水症状になるリスクが高まりますが、
特に高齢者は、体内の水分量が少なくなりがちなので注意が必要です。
また、利尿薬などの薬の副作用で脱水症状になる場合もあるため、
服用している薬がある場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。
血圧が低いとどうなるのかについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてお読みください。
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起立性低血圧と持病の関係性
ここでは、起立性低血圧と持病の関係性について以下の4つをご紹介します。
- 起立性低血圧と高血圧との関係性
- 起立性低血圧と糖尿病との関係性
- 起立性低血圧と心臓病との関係性
- 起立性低血圧と自律神経失調症の関係性
起立性低血圧は、高血圧や糖尿病などの持病とも密接な関わりがあります。
持病によって自律神経が影響を受けたり、治療薬の副作用で起立性低血圧が引き起こされるケースもあります。
①起立性低血圧と高血圧との関係性
起立性低血圧と持病の関係性の1つ目は「起立性低血圧と高血圧との関係性」です。
高血圧の人は、降圧剤の服用によって血圧が下がりすぎることで、起立性低血圧の症状が現れることがあります。
特に高齢者は、加齢に伴い血管の弾力性が低下するため、降圧剤の影響を受けやすくなります。
また、食後、消化のために胃腸に血液が集中することで、血圧が低下しやすくなる食後低血圧は、高齢者によく見られる症状です。
高血圧の人は、食後低血圧のリスクも高いため注意が必要です。
食後低血圧は高齢者の3分の1弱に見られます。
高血圧について、以下の記事で詳しく解説しています。
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②起立性低血圧と糖尿病との関係性
2つ目は「起立性低血圧と糖尿病との関係性」です。
糖尿病は、高血糖によって血管や神経に障害を引き起こす病気です。
高血糖は、動脈硬化を促進させるため、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めるだけでなく、
自律神経にも影響を与え、血管の収縮機能を低下させることで、起立性低血圧のリスクを高める可能性があります。
特に、糖尿病神経障害は、足や手のしびれや痛みなどの症状を引き起こし、
進行すると自律神経にも影響を及ぼし、起立性低血圧を合併することがあります。
③起立性低血圧と心臓病との関係性
3つ目は「起立性低血圧と心臓病との関係性」です。
心臓弁膜症や心筋症などの心臓病は、心臓のポンプ機能を低下させ、全身への血液循環が悪くなることで
起立性低血圧を引き起こす可能性があります。
心臓病が原因で起立性低血圧が起こると、動悸や息切れ、疲労感などの症状が現れやすくなります。
また、重症化すると、意識消失やショック状態に陥ることもあります。
④起立性低血圧と自律神経失調症の関係性
4つ目は「起立性低血圧と自律神経失調症の関係性」です。
自律神経失調症は、ストレスや生活習慣の乱れなどによって自律神経のバランスが崩れ、
様々な身体的・精神的症状が現れる病気です。
自律神経は、血圧や心拍数、体温などを調整する重要な役割を担っており、
このバランスが崩れると起立性低血圧が起こりやすくなります。
また、起立性低血圧は、自律神経失調症の症状の一つとして現れることも少なくありません。
起立性低血圧を予防する方法
ここでは、起立性低血圧を予防する方法について、以下の4つをご紹介します。
- 生活リズムを整える
- 生活習慣病などの予防
- 更年期障害の症状を和らげる
- 食事と水分補給で食後低血圧を防ぐ
起立性低血圧は、立ち上がった際に血圧が急激に低下する現象で、めまいやふらつき、
時には失神などを引き起こす可能性があります。
様々な年代で起こりうるこの状態は、自律神経の調節機能の乱れや、血管の硬化、
ホルモンバランスの変化、食後の血圧変動などが原因として考えられます。
年代別に気をつけるべきポイントを押さえ、適切な予防策を講じることで、症状を軽減しましょう。
①生活リズムを整える
起立性低血圧を予防する方法の1つ目は「生活リズムを整える」です。
起立性低血圧の予防には、まず規則正しい生活リズムを送ることが重要です。
睡眠不足や不規則な生活は、自律神経のバランスを崩し、血圧調整機能を低下させる可能性があります。
特に10代は、学業や部活動による疲労やストレスが自律神経に影響しやすく、起立性調節障害を引き起こすリスクが高まります。
早寝早起きを心がけ、十分な睡眠時間を確保することで、自律神経の安定化を目指しましょう。
②生活習慣病などの予防
2つ目は「生活習慣病などの予防」です。
高血圧や糖尿病などの生活習慣病は、血管の老化を促進し、動脈硬化のリスクを高めます。
動脈硬化は血管の弾力性を低下させ、血圧の調整を困難にするため、起立性低血圧のリスク要因となります。
バランスの取れた食事、適度な運動、禁煙などを心がけ、生活習慣病を予防することで、血管の健康を維持し、起立性低血圧のリスクを軽減しましょう。
③更年期障害の症状を和らげる
3つ目は「更年期障害の症状を和らげる」です。
更年期を迎える女性は、ホルモンバランスの乱れによって自律神経が不安定になりやすく、起立性低血圧の症状が出やすくなることがあります。
更年期障害の症状には、
- ほてりやのぼせ
- 発汗
- 動悸
- イライラ感
など、自律神経の乱れと関連する症状も多くみられます。
ホルモン補充療法や漢方薬など、更年期障害の症状を和らげる治療を受けることで、
自律神経のバランスを整え、起立性低血圧の予防に繋げることが期待できます。
④食事と水分補給で食後低血圧を防ぐ
4つ目は「食事と水分補給で食後低血圧を防ぐ」です。
食後、消化のために胃腸に血液が集中することで、一時的に血圧が低下する食後低血圧は、高齢者によく見られる症状です。
食後低血圧を予防するためには、食事の量や食べ方、水分補給を工夫することが大切です。
一度にたくさんの量を食べずに、少量を複数回に分けて食べ、よく噛んでゆっくり食べましょう。
また、食後に軽い運動をすることや、水分をこまめに摂取することも効果的とされています。
低血圧と食事の関係性について、詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
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起立性低血圧まとめ
ここまで年代別に異なる起立性低血圧の症状や原因、起立性低血圧と持病の関係性についてご紹介してきました。
要点を以下にまとめます。
- 起立性低血圧は年代によって原因が異なり、症状も様々である
- 高血圧や糖尿病などの持病があると、起立性低血圧のリスクが高まる
- 更年期障害の症状として、起立性低血圧が起こる場合もある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。