「動脈硬化の原因や症状などの諸情報を知りたい」
「動脈硬化について正しく理解して、改善や予防策を講じていきたい」
動脈硬化が進んでいると診断された方や、親族で動脈硬化が原因で心臓病や脳梗塞になった人がいる方などは、このように考えている方も多いのではないでしょうか。
動脈硬化は、進行するとさまざまな合併症を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。
本記事では、動脈硬化について以下の点を中心に詳しく解説していきます。
- 動脈硬化の概要
- 動脈硬化の原因・初期症状・検査方法
- 動脈硬化の改善・予防策
動脈硬化について、知識を高めていきたい方はご参考にしていただけますと幸いです。
ぜひ、最後までお読みください。
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動脈硬化とは
はじめに、動脈硬化の概要についてご紹介します。
動脈硬化は、心臓から全身に対して血液を運ぶための動脈が柔らかさを失い、固くもろくなってしまうことです。
動脈硬化が進むにつれ、血管内の壁に脂質の塊であるプラークが発生し、塊が大きくなると血管内の血液の通り道を狭めてしまいます。
その結果、各臓器などに十分な血液が供給できなくなり、さまざまな症状があらわれ、最悪の場合、臓器が壊死してしまうケースもあります。
特に、脳の血管や心臓に栄養分を送っている冠動脈に動脈硬化が起こってしまった場合、脳梗塞や狭心症などの重篤な症状になってしまうことがあるため、動脈硬化にならないための対策を講じるのは非常に重要です。
アメリカでは、動脈硬化をarteriosclerosisと表現し、血管の柔軟性が失われた状態を意味します。
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動脈硬化の直接的原因「プラーク」について
次に、動脈硬化の直接的原因の「プラーク」についてご紹介します。
プラークとは、血管内の壁に作られる脂肪性の沈着物です。
先述したように、動脈の弾力性が失われていき、少しずつ血管内に負担がかかってくると、血管内の壁に脂質性のプラークが付着していきます。
プラークの塊が大きくなることで、血管内が狭くなったり、血栓ができやすくなってしまったりしてしまい、
各臓器や細胞などに十分な血液を送れない状態になり、さまざまな合併症を引き起こしてしまいます。
よって、動脈硬化の直接的要因は、血管の内壁に発生するプラークであり、プラークを発生させないように対策をしていくことが重要となります。
動脈硬化の原因
次に、動脈硬化の原因として考えられるものとして、以下の4つをご紹介します。
- 高血圧による血管の損傷
- コレステロール値の異常
- 偏りのある食事などの生活習慣
- 代謝の異常
動脈硬化の原因を知っておくことは、日頃の生活を見直すきっかけにもなるため、しっかりと確認しておきましょう。
①高血圧による血管の損傷
動脈硬化の原因の1つ目は「高血圧による血管の損傷」です。
血圧が高いと、血管内の壁に必要以上の圧力がかかり続けてしまい、その結果内壁に少しずつ傷がついてしまいます。
そして、内壁にできてしまった傷に悪玉コレステロールが入り込み続けることで、
脂質性のプラークが発生し、血管内部が徐々に狭くなってしまいます。
その結果流れる血液の量が少なくなり、細胞や各臓器に十分な栄養や酸素が供給できず、
さまざまな合併症を引き起こしてしまいます。
血圧正常値について詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてお読みください。
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②コレステロール値の異常
2つ目は「コレステロール値の異常」です。
コレステロール値について、ここでは以下の2点を中心にご紹介します。
- 悪玉コレステロール
- 善玉コレステロール
まず、悪玉コレステロールの値が140mg/dl以上の場合、血管内の壁に悪玉コレステロールが付着しやすくなり、プラークが形成されやすい環境になってしまいます。
また、血管内の余分なコレステロールを肝臓に戻す働きがある善玉コレステロールは、40mg/dL未満と少なくなってしまうと、動脈硬化のリスクが上昇してしまいます。
このように、血中の悪玉コレステロールと善玉コレステロールのバランスを保つことが、動脈硬化を防ぐ対策の1つです。
両者のバランスを保つためには、生活習慣の見直しや適度な運動を取り入れ、
必要であれば病院で検査をしてもらうようにしましょう。
コレステロールについて詳しく解説していますので、こちらの記事も合わせてお読みください。
この記事の監修・取材協力さわだクリニック 院長澤田 樹佳 先生2002年に金沢大学医学部を卒業後、様々な病院への勤務を経て2018年にさわだクリニックを開院。内科疾患治療、泌尿器科疾患治療、AGA治療まで幅広い診療を[…]
③偏りのある食事などの生活習慣
3つ目は「偏りのある食事などの生活習慣」です。
先述したように、栄養に偏りのある食事や不規則な睡眠、運動不足など生活習慣に乱れがあると、
体内のコレステロール値のバランス等が崩れ、動脈硬化のリスクを高めてしまいます。
食生活の改善においては、脂質の多い食べ物や甘いもの、アルコール飲料を摂りすぎない、味付けを濃くしすぎない、など普段の食生活の内容を見直すことが重要です。
そして適度な運動、特にウォーキングなどの有酸素運動を取り入れることで、動脈硬化のみならず、糖尿病や高血圧防止にも繋がります。
また、タバコは血管内部にダメージを与えてしまい、傷ついた血管内壁に悪玉コレステロールが付くことで、プラーク発生の要因につながってしまうため、禁煙をするのがおすすめです。
加えて、普段の食事から血液をサラサラにする効果が期待できる栄養素を取り入れていくのも重要になります。
代表的な栄養素としては、青魚に含まれるDHAやEPA、ぶどうや緑茶などに含まれるポリフェノール、
梅干しなどに含まれるクエン酸があります。
健康的な生活を送るきっかけとして、
毎日少しずつでも良いので、動脈硬化予防につながる食品を意識的に取り入れていきましょう。
④代謝の異常
4つ目は「代謝の異常」です。
代謝の異常について、ここでは以下の2点を中心にご紹介します。
- 脂質代謝異常
- 糖代謝異常
まず、脂質代謝異常が起こった際は、先述したように悪玉コレステロールと善玉コレステロールのバランスが崩れることで、血管内にプラークが発生してしまいやすくなります。
加えて中性脂肪の数値が高くなると、小型の悪玉コレステロールが作られやすい環境になるため、
動脈硬化の進行がさらに進んでしまいます。
そして、血中の糖が多くなる糖代謝異常になると、血管内の壁が傷つきやすくなり、
同時に脂質異常症を引き起こす可能性が高くなるため、注意が必要です。
動脈硬化の初期症状
次に、動脈硬化の初期症状についてご紹介します。
動脈硬化は、初期段階ではほとんど症状が出ないことが多く、気づかないうちに症状が進行するケースが多いのが特徴です。
血管の弾力性が失われていくにつれて、血液の流れが悪くなり、以下のような症状が出てくる場合があります。
- めまい
- 頭痛
- 耳鳴り
- 疲労感
- 動悸
- 足の冷えや痛み
動脈硬化が原因で合併症が生じてしまうと、これらの症状が大きく出てきてしまうため、健康診断などで定期的に身体に異常がないかチェックするようにしましょう。
動脈硬化と脈拍の関係性に興味のある方は、こちらの記事も合わせてお読みください。
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動脈硬化の検査方法
次に、動脈硬化が進行しているかをチェックする検査方法として、以下の3つをご紹介します。
- 血圧脈波検査(ABI/CAVI検査)
- PWV検査(脈波伝播速度検査)
- ABI測定(上腕と足首の血圧比検査)
①血圧脈波検査(ABI/CAVI検査)
動脈硬化の検査方法の1つ目は「血圧脈波検査(ABI/CAVI検査)」です。
この検査方法は、両手と両足にカフを付け、血圧を脈波を測ることで動脈硬化が進行しているかを調べる検査方法です。
検査時間も約5分から20分で、検査のために注射針などを指すこともないため、受診者の負担が少なく、
気軽に受けられます。
そのため、現在多くの医療機関にて導入されており、動脈硬化のみならず高血圧や糖尿病など、
生活習慣病の早期発見などにもつながっています。
②PWV検査(脈波伝播速度検査)
2つ目は「PWV検査(脈波伝播速度検査)」です。
この検査方法は、上腕と足首で脈波を計測し、脈の速度を求めて動脈硬化の判定をおこなうものになります。
血圧脈波検査と同様に、受診者の負担が少ないのが特徴ですが、受診者の年齢や検査時の血圧状態によって
測定時の脈波の速度が異なる場合があります。
そのため、測定結果を解釈する際には、受診者の年齢や検査時の血圧など、さまざまな情報を加味したうえで、
診断結果が伝えられます。
③ABI測定(上腕と足首の血圧比検査)
3つ目は「ABI測定(上腕と足首の血圧比検査)」です。
この検査方法は、両手両足首に血圧計を付けて、4か所の血圧の比を確認して動脈硬化の判定をおこなうものになります。
4か所の血圧を同時に測定することで、下半身部分の動脈硬化における血管の狭まり具合などを調べることが可能です。
ABI測定も、受診者への負担が少なく、比較的簡単な検査方法なため多くの医療機関で取り入れられている検査方法になります。
動脈硬化は治る病気か?
動脈硬化は、現在の医療では完全に治す治療法が確立されていない病気です。
一度発症すると、血管の内壁に蓄積した脂質やコレステロールを取り除くことは難しく、
進行を抑える治療が中心となります。
特に、動脈硬化が原因で重篤な症状や合併症が起きた場合、冠動脈バイパス手術や血管内ステント留置術など、血流を改善するための処置が必要になることがあります。
さらに深刻な場合には、動脈を人工血管に置き換える手術が行われることもありますが、これらは身体への負担が大きい治療法です。
そのため、動脈硬化に対しては「治す」ことよりも「進行を予防する」ことが重要とされています。
普段の生活習慣を見直し、高血圧や高脂血症、糖尿病などのリスク要因をコントロールすることが
動脈硬化の予防につながります。
また定期的な健康診断を受けることで、早期に動脈硬化の兆候を把握し、適切な対応が取れます。
動脈硬化の改善・予防策
最後に、動脈硬化の改善・予防策について、以下の4つをご紹介します。
- バランスの良い食事
- 適度な運動
- 禁煙や過度な飲酒を控える
- 定期的な健康チェックをおこなう
①バランスの良い食事
動脈硬化の改善・予防策の1つ目は「バランスの良い食事」です。
特に、動物性脂肪やインスタント食品、揚げ物などは血中コレステロール値が高まり、
動脈硬化の促進に繋がることから、摂取するのを極力控える必要があります。
また食事の際は、野菜の摂取量を多くし、ポリフェノールやDHA/EPAなど
血液をサラサラにする成分を多く含む、緑茶やブドウ、青魚類を積極的に取り入れるようにしましょう。
②適度な運動
2つ目は「適度な運動」です。
ウォーキングや水中運動などの有酸素運動は、動脈硬化の予防のみならず糖尿病などの生活習慣病予防にも繋がります。
ただし、急激に激しい運動をすると身体に負担がかかってしまうため、まずは自分の無理のない範囲から始め、徐々に運動量を増やすようにしましょう。
ただし、動脈硬化が進行している方が急な運動をすると危険なため、
事前に医師に相談をしてから運動を取り入れていくのが理想です。
③禁煙や過度な飲酒を控える
3つ目は「禁煙や過度な飲酒を控えること」です。
喫煙をすると、交感神経の働きが活発になり、血管が収縮し血圧が高くなります。
また、善玉コレステロールの量が減少する要因にもなり、動脈硬化の進行に繋がるため、
現在タバコを吸っている方は、健康面を踏まえて禁煙をすることをおすすめします。
そして過度な飲酒も、血圧の上昇を招いたり、中性脂肪の増加に繋がり、心筋梗塞のリスクを高めるため、
アルコール飲料は飲みすぎないように注意しましょう。
④定期的な健康チェックをおこなう
4つ目は「定期的な健康チェックをおこなうこと」です。
先述した通り、動脈硬化は初期症状が現われづらく、知らない間に進行して合併症を引き起こしていることも少なくありません。
そのため、定期的な健康診断をしっかり受診し、動脈硬化のリスクが高まっていないか調べることが重要です。
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動脈硬化まとめ
ここまで動脈硬化についてご紹介してきました。
要点を以下にまとめます。
- 動脈硬化は、血管内の壁が傷つき、そこに悪玉コレステロールが付着し、プラークが形成され血管が固くなる病気である
- 動脈硬化は、現状完全に直すことは難しく、初期症状も現われにくいため、知らない間に病状が進行していることがある
- 動脈硬化は、普段の生活を改めることで予防をすることが可能であり、定期的な健康診断で状況を把握していくことがおすすめである
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。