「高齢出産は何歳になってから?」
「高齢出産で気を付けることを知りたい」
現在妊娠している方の中には、このように考えている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、高齢出産は何歳からなのかについて以下の点を中心に詳しく解説します。
- 高齢出産と呼ばれる年齢について
- 高齢出産はやめたほうがいいといわれる理由
- 高齢出産で気を付けること
高齢出産に関する情報にご興味のある方はご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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高齢出産とは何歳から?
まずは、高齢出産とは何歳からなのかについてご紹介します。
日本産婦人科学会によると、高齢出産は35歳以上で出産を迎える人のことです。
35歳前後で流産率が上がることから、35歳以上が高齢出産の目安とされています。
また、2人目以降の場合は40歳以上が高齢出産とされています。
体力や生殖機能には個人差がありますが、一般的には30歳を超えると妊娠や出産時のリスクが上昇していく傾向です。
30歳を過ぎると卵子の質や量が低下傾向にあるため、自然妊娠が難しくなる可能性が高まります。
高齢出産の割合
次に、高齢出産の割合について解説します。
1950年から2016年にかけての、年齢別出生数の割合は以下の通りです。
1950年 | 1980年 | 2000年 | 2016年 | |
45歳 | 0.2 | 0 | 0 | 0.1 |
40〜44歳 | 3.5 | 0.4 | 1.2 | 5.5 |
35〜39歳 | 11.9 | 3.7 | 10.6 | 22.9 |
30〜34歳 | 21.2 | 24.7 | 33.3 | 36.3 |
25〜29歳 | 34 | 51.4 | 39.5 | 25.7 |
20〜24歳 | 26.7 | 18.8 | 13.6 | 8.4 |
〜19歳 | 2.4 | 0.9 | 1.7 | 1.1 |
参照:厚生労働省「妊産婦の診療の現状と課題」
2000年代に入ってからは、30代以上での出産が増えてきていることがわかります。
また、母親の出産時の平均年齢が、時代によってどの程度変化しているかを確認しましょう。
年 | 出産時平均年齢 |
1980年 | 26.4歳 |
1994年 | 27.4歳 |
2001年 | 28.2歳 |
2006年 | 29.2歳 |
2012年 | 30.3歳 |
2019年 | 30.7歳 |
参照:厚生労働省「令和3年度「出生に関する統計」の概況」
2019年には、平均年齢の30歳の時に子どもを産んでいる人の割合は43.4%となっており、半数近い人は出産を経験していません。
なぜ高齢出産が増加しているのか
ここでは、高齢出産が増加しているのか、その理由についてご紹介します。
高齢出産が増加した理由は、主に女性の社会進出が進んだことと、晩婚化が進んだことです。
実際に女性の初婚年齢は1980年では25.2歳だったのが、2019年では29.6歳にまで上昇しています。
また、2019年時点で44歳の人が30歳の時の未婚率について調べた内容では、全体の40.4%の人が未婚でした。
2019年時点で64歳の人が30歳の時の未婚率を見ると、14.0%である点を考えると、晩婚化がかなり進んでいるとわかります。
参考:厚生労働省「令和3年度「出生に関する統計」の概況」
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高齢出産はやめたほうがいいといわれる理由
次に、高齢出産はやめたほうがいいといわれる理由について、以下の3つをご紹介します。
- 母子ともに健康リスクが高まる
- 子どもに対して体力が追いつかない
- 親に子どもの世話を頼めなくなる
①母子ともに健康リスクが高まる
高齢出産はやめたほうがいいといわれる理由の1つ目は「母子ともに健康リスクが高まること」です。
まず、高齢出産を行う母体には、以下のようなリスクが伴います。
- 妊娠高血圧症候群
- 妊娠糖尿病
- 流産や難産
年齢の上昇に伴って病気の発生リスクが高くなるほか、産道や子宮口が固くなるために、難産や流産が起こりやすくなります。
また、母親の体内環境は胎児にも影響するため、低体重児となる場合があるでしょう。
さらに、高齢出産の場合は胎児の染色体異常が起こりやすくなり、出生後にダウン症などになる確率も高まります。
出産前後の健康リスクが高まる点が、高齢出産はやめたほうがいいとされる理由の1つです。
②子どもに対して体力が追いつかない
2つ目は「子どもに対して体力が追いつかないこと」です。
出産後は年齢に関係なく、慣れない育児で寝不足となり、体力が追いつかないと感じることがあるでしょう。
高齢出産となると、さらに体力が落ちているため、子どものお世話をするのに肩や腰の痛みなどの不調が出る可能性があります。
子どもが成長すると、さらに親の体力も必要となり、活発な子であればかなりの体力が必要です。
さらに、40代に入るとプレ更年期が始まる方もいるでしょう。
のぼせやほてり、イライラのほかにめまいを感じるなど、不調によって体力が追いつかなくなる場面が増えます。
出産の年齢が高くなるほど、子どもの成長に対して体力が追いつかなくなるために、やめたほうがいいといわれています。
③親に子どもの世話を頼めなくなる
3つ目は「親に子どもの世話を頼めなくなること」です。
出産後に、子どもの世話を自身の親(子どもの祖父母)に頼もうと検討している方もいるでしょう。
しかし、高齢出産になると親も高齢となっている場合が多く、体力が必要な子どもの世話を頼めない可能性があります。
また、場合によっては子どもの世話と並行して、親の介護が必要となる場合もあるでしょう。
介護施設を利用できる場合は負担を軽減できる可能性がありますが、在宅介護となった場合は、周囲の協力が必須です。
高齢出産になると、親や周囲に育児の協力を求めにくくなるほか、親の介護と重なりやすいため、高齢出産をやめたほうがいいといわれています。
高齢出産のメリット
続いて、高齢出産のメリットについてご紹介します。
- 経済的な余裕がある
- 精神的な余裕を持てる
- キャリアを築いてから出産できる
①経済的な余裕がある
高齢出産のメリットの1つ目は「経済的な余裕があること」です。
会社員として働いている場合、年齢が上がるにつれて給与が上がっている方がほとんどです。
そのため、20代の若い夫婦よりも30代以降の夫婦の方が、経済的な余裕を持っているといえます。
実際の20代と30代、40代の平均年収は、以下の通りです。
年代 | 全体 | 男性 | 女性 |
20代 | 352万円 | 377万円 | 329万円 |
30代 | 447万円 | 494万円 | 383万円 |
40代 | 511万円 | 585万円 | 410万円 |
出典:doda「平均年収ランキング(年代別・年齢別の年収情報)【最新版】」
また高齢出産の方が、子育てに必要な身の回りのものを揃えるのはもちろん、
自身や子どものケア、将来の学習費用などに対しても余裕を持つことができます。
②精神的な余裕を持てる
2つ目は「精神的な余裕が持てること」です。
高齢出産となる人は、若い人よりも仕事の経験や人脈が豊富となるため、多様な価値観を受け入れられるようになります。
年齢を重ねると、性格が丸くなり、周囲からの言葉を素直に受け止められるだけの余裕が持てるようになるからです。
思い通りにいかない妊娠や出産、育児についても経験を活かして、自分で打開できる可能性を持っています。
また、周囲にすでに出産や育児を経験している友人が多くなるため、育児に関する不安や悩みを相談できる環境もあるでしょう。
自身の経験や人脈を活かして精神的な余裕を持ちながら育児ができるのは、高齢出産のメリットとなります。
③キャリアを築いてから出産できる
3つ目は「キャリアを築いてから出産ができること」です。
高齢出産をする人の中には仕事を長く続けており、自身の学びたい分野や挑戦したい仕事を経験できた人も多くいます。
仕事のキャリアを築いてから出産となるため、妊娠や育児に対して満足度が高くなる傾向があります。
キャリアを形成していれば、産休や育休を取得した後の職場復帰や、万が一退職した後の再就職もしやすくなります。
少しでも出産後のキャリアに対する不安を減らすなら、効率的な仕事の方法を身につけたり、周囲を巻き込んだ仕事の進め方を学んだりしておきましょう。
また、出産や育児によって得た経験を活かして、人間的な成長を武器にして活躍もできます。
しっかりと仕事の経験を積んだ後に、出産や育児に向き合える、
さらに出産によって得た経験も活かしてその後のキャリアを築けるのが、高齢出産のメリットです。
高齢出産で気を付けることや準備
最後に、高齢出産で気を付けることや準備について解説します。
- ストレスを抱え込まないようにする
- 栄養バランスの取れた食事を意識する
- 各種検査や検診を受ける
- 規則正しい生活習慣を取り入れる
- 適正体重を意識する
①ストレスを抱え込まないようにする
高齢出産で気を付けることや準備の1つ目は「ストレスを抱え込まないようにすること」です。
妊娠中は体調や金銭面のほか、胎児の健康などについて考えてしまい、ストレスを抱えてしまう方も多くいます。
ストレスを抱え込んでしまうと、自律神経のバランスを崩してしまい、心はもちろん体にも影響を与えてしまいます。
また、女性ホルモンの分泌低下のほか、交感神経の優位によって血圧上昇やイライラなどにつながります。
母体のストレスが胎児に与える影響として、血管収縮による酸欠や栄養不足、障がいを持つ可能性の上昇などが挙げられます。
特に、産前や産後はうつになりやすい時期でもあるため、ストレスを抱え込まないような工夫が必要となります。
少しでもストレスを解消させるためには、軽い運動やアロマオイルを楽しむことなどがおすすめです。
ストレス解消に役立つおすすめグッズに興味のある方は、こちらの記事も合わせてお読みください。
②栄養バランスの取れた食事を意識する
2つ目は「栄養バランスの取れた食事を意識すること」です。
つわりによって、食べられるものが限られている場合を除いて、極力栄養バランスを意識しましょう。
高齢出産でリスクの高まる妊娠高血圧症候群を予防するには、塩分を控えた食事が有効とされています。
また、妊娠を考えた時から、葉酸を意識的に摂りましょう。
葉酸はビタミンの一種で、胎児の体を形作るための細胞分裂やDNAの合成に欠かせません。
もし、葉酸が不足すると胎児の脳や脊髄が発育せず、神経管閉鎖障害の起こる可能性が高まります。
特に、神経管が形成される妊娠3〜10週目頃は、葉酸をしっかりと摂りましょう。
栄養バランスの取れた食事について詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてお読みください。
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③各種検査や検診を受ける
3つ目は「各種検査や検診を受けること」です。
妊娠がわかった時はもちろん、妊娠を考えた時から検査や検診をしておくと、安心して出産できます。
妊娠前の検査では、妊娠中や産後のトラブルになるような病気がないか、子宮や卵巣、乳房の超音波検査を受けましょう。
妊婦健診では、血糖値や血圧の変化や子宮に異常がないかを確認してもらい、
もらったアドバイスに従って自己管理をすることが重要です。
また、胎児の病気や障がいについて不安がある場合は、新型出生前診断(NIPT診断)なども受けましょう。
流産のリスクを抑えつつ、胎児の健康状態を確認したい場合は、診断の利用も検討してみてください。
④規則正しい生活習慣を取り入れる
4つ目は「規則正しい生活習慣を取り入れること」です。
妊娠や出産、年齢に関係なく、規則正しい生活習慣は重要です。
しかし、健康リスクの高まる高齢出産の場合は、今まで以上に生活習慣の見直しに力を入れましょう。
栄養バランスの偏りや肥満、飲酒、受動喫煙を含む喫煙は母体や胎児の健康リスクを高めてしまいます。
少しでも健康に過ごすには、毎日の就寝や起床の時間を決める、バランスのいい食事を3食摂る、適度な運動を 取り入れるなどが必要です。
その日の体調に合わせて、無理のない範囲でできることから取り組んでいきましょう。
⑤適正体重を意識する
5つ目は「適正体重を意識すること」です。
妊娠中は体重が増加しやすい傾向にあるため、適正体重をオーバーしがちです。
過度な体重の増加は、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの病気になるリスクが高まります。
また、痩せすぎも健康な出産、胎児の育成には悪影響が出ます。
例えば、BMI別の推奨体重増加量の目安と、1週間あたりの推奨体重増加量は以下の通りです。
BMI区分 | 推奨体重増加量 | 1週間あたりの推奨体重増加量 |
BMI18.5未満 | 9〜12kg | 0.3〜0.5kg/週 |
BMI18.5〜25.0未満 | 7〜12kg | 0.3〜0.5kg/週 |
BMI25.0以上 | 個別対応 | 個別対応 |
出典:厚生労働省「妊娠期の至適体重増加チャート」について」
病院での検診はもちろん、日々の生活で体重を確認し、問題ないかを確認しましょう。
高齢出産は何歳からなのかまとめ
ここまで高齢出産は何歳からなのかについてご紹介してきました。
要点を以下にまとめます。
- 高齢出産の定義は、35歳以上で初めて出産する人
- 高齢出産はやめたほうがいいといわれる理由は、母子の健康へのリスクが高いため
- 高齢出産は経済的・精神的なゆとりを持てる点がメリット
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。