半月板の損傷は、スポーツをしている方をはじめ、日常の動きが原因で発生する可能性がある身近な怪我です。
膝関節を安定させる半月板を損傷すると、激しい運動ができないのはもちろん、日常生活に支障が出ることもあります。
なかには、「半月板を損傷するとどんな症状が出る?」「半月板損傷の治療方法を知りたい」と
感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、半月板損傷について以下の点を中心に詳しく解説します。
- 半月板損傷の原因と症状
- 半月板損傷の治療方法
- 半月板損傷の予防方法
半月板損傷にご興味のある方はご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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半月板損傷とは
はじめに、半月板損傷について解説します。
半月板損傷とは、膝関節を支える半月板がなんらかの要因で損傷し、さまざまな障害を引き起こすことを指します。
半月板は膝の曲げ伸ばしやねじりの運動だけでなく、関節の滑りをなめらかにする働きを持つため、
半月板を損傷すると日常生活が不自由になる可能性もあります。
損傷の度合いは人によって異なりますが、重症化した場合は歩行すら困難になるケースも珍しくありません。
また、一度半月板を損傷すると治癒に時間がかかるだけでなく、治癒後に膝関節の異常が見られることもあります。
そのため、普段から膝関節のケアを行い、半月板損傷のリスクを減らすことが大切です。
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半月板損傷の主な原因
次に、半月板損傷の主な原因である以下2つについて解説します。
- スポーツによる損傷
- 加齢による半月板の劣化
半月板損傷の主な原因は、スポーツや交通事故による外傷性の損傷と、加齢などによって半月板が劣化する
非外傷性の損傷です。
どちらも膝に大きな負荷がかかることで発生するため、日頃から膝を労わる生活を心がけましょう。
①スポーツによる損傷
半月板損傷の主な原因の1つ目は「スポーツによる損傷」です。
スポーツ中に膝をひねる、ジャンプや着地、急なストップなどの負荷が蓄積することで半月板の損傷が発生します。
とくに、以下のスポーツで発生頻度が高いといわれています。
- サッカー
- バスケットボール
- バレーボール
- テニス
- 野球
- スキー
- 体操
- ラグビー
スポーツをする際には、入念なストレッチとウォーミングアップで膝関節をほぐし、半月板損傷のリスクを減らしましょう。
②加齢による半月板の劣化
2つ目は「加齢による半月板の劣化」です。
半月板は、周囲を水分で囲まれており、加齢にともなって体内の水分量が減少するのと同時に、
半月板周辺の水分も減少します。
水分が減少することで半月板を守るクッションがなくなり、日常のささいな動きでも半月板が大きな負荷を受けやすくなってしまいます。
また、スポーツの経験や階段の上り下りなど、蓄積された長年の負荷の影響も受けやすくなるため、
とくに40代以降は注意が必要です。
その他の膝の違和感についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてお読みください。
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半月板損傷の症状
ここでは、半月板損傷の症状について、以下3つをご紹介します。
- 膝が痛む
- 膝が腫れる
- 膝の関節が完全に伸びない
半月板を損傷すると、膝の痛みや膝が動かしにくいなどの症状が表れます。
半月板の損傷には長期的な治療が必要なため、少しでも膝に違和感がある場合は医療機関の受診を検討しましょう。
①膝が痛む
半月板損傷の症状の1つ目は「膝の痛み」です。
半月板を損傷すると関節の動きが不安定になり、関節を支えるために周辺の筋肉が収縮することで強い痛みが生じます。
外傷性、非外傷性を問わず、突然膝に痛みが表れるのが特徴です。
とくに、膝関節を動かした際や膝に体重をかけた際に痛みが強くなる場合は、半月板を損傷している可能性が高いといえます。
日常的にスポーツをしている方や加齢にともなって膝の痛みを感じている方は、一度医療機関を受診してみてください。
③膝が腫れる
2つ目は「膝の腫れ」です。
膝の痛みと同時、または少しあとに膝の腫れが表れるケースが多く、膝周辺に熱っぽさが生じることも。
また、膝に水が溜まって可動域が狭くなったり重たさを感じたりすることから、膝の動かしにくさが目立つようになります。
膝の痛みや腫れが治まっても、膝の引っかかり感や「コキッ」と膝が鳴るなどの症状が残る場合がほとんどです。
痛みや腫れが引いても半月板損傷の治療は必要なため、当てはまる症状がある場合はすぐに検査を行いましょう。
③膝の関節が完全に伸びない
3つ目は「膝の関節が完全に伸びないこと」です。
半月板を損傷すると、膝が完全に伸びない、曲がらないなど、自由に膝を動かせない機会が多くなります。
「階段を上ろうとすると膝から異常音がする」「歩いていると膝がガクンと落ちる」など、日常生活にも支障が表れます。
また、半月板が関節にはさまることで膝がまったく動かなくなってしまう「ロッキング」が発生することも。
これらは半月板損傷の典型的な症状であるため、医療機関で適切な治療を受けましょう。
半月板損傷の治療方法
次に、半月板損傷の治療方法について、以下4つをご紹介します。
- 手術
- 注射
- 装具治療
- リハビリ
半月板損傷の治療方法には、手術療法と、手術をせずに回復を目指す保存療法があります。
損傷した部位や程度などによって治療方法は異なるため、半月板損傷の治療には専門機関での精密検査や
医師との相談が必要不可欠です。
①手術
半月板損傷の治療法の1つ目は「手術」です。
半月板損傷の手術では、損傷部分を縫いあわせる縫合術と、損傷部分を切り取る切除術に分けられます。
縫合術は、裂けてしまった半月板を縫い合わせて癒着させることを目的としているため、
元の半月板の大部分を保つことが可能です。
一方、切除術では術後の回復は早いものの、損傷した半月板を部分的に切除するため、
術後の関節変形などの障害が生じやすいといわれています。
損傷の程度や術後の生活スタイルなどを総合的に判断したうえで手術が施されるため、しっかりと相談を重ねましょう。
②注射
2つ目は「注射」です。
注射を用いた治療では、膝の痛みや炎症を抑えるステロイドや、膝の滑りをなめらかにするヒアルロン酸が投与されます。
注射治療では、一時的に痛みや炎症を抑えることが目的とされており、
ヒアルロン酸の効果は1~2週間程度で切れるといわれています。
そのため、リハビリなどの保存療法と同時に行われることがほとんどです。
注射治療は、根本的に半月板の損傷を治すものではないため、治療の際は注射の効果について
しっかり確認しましょう。
③装具治療
3つ目は「装具治療」です。
膝に直接サポーターを装着することで膝関節を安定させ、膝への負担を軽減させます。
また、足や靴にサポーターやインソールなどの装具を装着することで、体重のかかる部分を調整する方法も効果的とされています。
しかし、長時間サポーターに頼りすぎると、膝まわりの筋肉が衰退し回復の妨げとなる可能性もあるため、
使用する際は注意しましょう。
装具治療も半月板損傷を根本的に治すものではないため、医師の指示に従って適切に装具を使用することが大切です。
④リハビリ
4つ目は「リハビリ」です。
リハビリは、膝の痛みや腫れがある初期段階から少しずつ行われます。
炎症を悪化させない程度に負荷を調整しながら、関節が固まってしまうのを防ぐためです。
その後、関節の可動域を広げるマッサージやストレッチ、膝まわりの筋力トレーニングで膝関節の回復を図ります。
また、バランストレーニングや動作の練習によって、膝をかばわなくてもよい動きを習得することも重要です。
半月板損傷の治療期間は?
ここでは、半月板損傷の治療期間について解説します。
半月板損傷の治療にかかる時間は、損傷部分や程度によって大きく異なります。
軽度の損傷や断裂の場合には、3週間ほどの保存療法で症状は落ち着くといわれています。
しかし、3週間以上経っても症状が改善しない場合には、手術療法が検討されるでしょう。
損傷部分を縫いあわせる縫合術の場合は、術後1週間ほどで歩行が可能になりますが、4~6ヶ月のリハビリが必要です。
一方、損傷部分を切り取る切除術では回復の見込みが早いため、術後2~3ヶ月ほどのリハビリで通常の生活が送れるようになります。
半月板損傷を早く治す方法は?
次に、半月板損傷を早く治す方法について解説します。
半月板損傷を早く治すために有効とされているのは、適切なリハビリです。
手術の有無にかかわらず、半月板損傷の治療にリハビリは欠かせません。
半月板損傷の治癒には時間がかかりますが、定められたリハビリをすることが治癒への近道になります。
通院でのリハビリや自宅でできるリハビリには、以下のものがあります。
- ストレッチ
- 筋力トレーニング
- バランストレーニング
- ウォーキング
損傷の程度や治療段階にあわせてスケジュールが組まれるため、地道にできる動作を増やしていくことが重要です。
医師や理学療法士の指示に従って正しいリハビリを行い、早期回復を目指しましょう。
下記では、目的に応じたウォーキングについても解説していますので、こちらの記事も合わせてお読みください。
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半月板損傷中にやってはいけないこと
ここでは、半月板を損傷した際にやってはいけない3つのことについて解説します。
- 階段の上り下り
- 長時間の歩行/正座
- 急な方向転換
半月板損傷中は、膝に負担のかかる動作は避ける必要があります。
日常的に膝のケアをして、半月板損傷の悪化や再発を防ぎましょう。
①階段の上り下り
半月板損傷中にやってはいけないことの1つ目は「階段の上り下り」です。
階段の上り下りでは膝が支点となるため、膝にかかる負荷が大きくなります。
とくに、痛みや腫れがある場合や手術後は、可能なかぎりエレベーターやエスカレーターを利用しましょう。
やむを得ず階段を上り下りする際は、手すりや杖を利用して膝への負担を軽減させる必要があります。
なお、膝の痛みが強い場合には無理な運動や動作を控え、安静にすることも大切です。
②長時間の歩行/正座
2つ目は「長時間の歩行や正座」です。
短い距離、短時間のウォーキングはリハビリとして有効とされていますが、必要以上の歩行は膝への負担を増幅させてしまいます。
長距離歩行の必要がある場合は、途中で休憩を挟んだりサポーターを装着するなどして、
可能なかぎり膝への負担を軽減しましょう。
また、正座やあぐらなど膝を深く曲げる姿勢も、半月板損傷を悪化させる原因となり得ます。
椅子やクッションを使用する、定期的に姿勢を変えるなど、膝に負荷をかけない工夫が必要です。
③急な方向転換
3つ目は「急な方向転換」です。
半月板を損傷した際は、スポーツはもちろん、日常生活での膝を使った急な方向転換も避ける必要があります。
膝にさらなる負荷をかけるだけでなく、痛みや腫れなどの症状を悪化させる可能性があるからです。
具体的に、重い荷物を持ち上げて運ぶ、子どもを抱き上げるなどの動作は膝に大きな負担となります。
また、急に体を動かした拍子に膝に負担をかけてしまうケースもあるため、
治療中はゆっくりとした動作を心がけましょう。
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半月板損傷の予防方法
最後に、半月板損傷の予防方法について、以下3つをご紹介します。
- 体重管理を行う
- 膝まわりの筋肉を鍛える
- ストレッチを行う
半月板損傷は、スポーツや日常生活など膝への負担がかかる場面で発生するため、日頃から膝をケアすることが大切です。
膝に負担をかけない生活を意識し、半月板損傷のリスクを減らしましょう。
①体重管理を行う
半月板損傷の予防方法の1つ目は「体重管理を行うこと」です。
適正体重を維持することで、肥満が原因の半月板損傷を予防できます。
一般的に、体重が1㎏増えるごとに膝への負担は2㎏増えるといわれています。
体重が増えるほど半月板が損傷する可能性は高まるため、生活習慣や食生活の見直しなどで適正体重を維持することが大切です。
また、膝への負担をかけずにエネルギーを消費できる、プール内歩行などのエクササイズも取り入れてみましょう。
②膝まわりの筋肉を鍛える
2つ目は「膝まわりの筋肉を鍛えること」です。
日頃から膝まわりの筋肉を鍛えたり、膝関節のストレッチを行ったりすることで
膝周辺の筋肉や靱帯を柔軟に保つことが出来ます。
膝まわりを柔らかくすることで全身のバランスがとりやすくなり、半月板への負担や怪我のリスクも軽減できます。
また、太ももやお尻などの筋肉を鍛えることで膝関節の安定性が高まるため、下半身のトレーニングも効果的といえるでしょう。
③ストレッチを行う
3つ目は「ストレッチを行うこと」です。
膝まわりを中心に、日頃から無理のない程度にストレッチを行うことで膝の柔軟性が高まります。
とくに、運動やお風呂のあとなど体が温まった状態でストレッチを行うと、膝への負担が少なくなるため
半月板損傷の予防に効果的といわれています。
ストレッチは、血流を促進して膝の動きをなめらかにするだけでなく筋力増強も促すため、
筋力トレーニングと合わせて取り入れましょう。
ストレッチについてより詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてお読みください。
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半月板損傷のまとめ
ここまで半月板損傷についてご紹介しました。
要点を以下にまとめます。
- 半月板損傷は、スポーツや事故などの外的要因や加齢による半月板の劣化によって発生し、
膝の痛みや腫れ、膝の動かしにくさなどの症状が現れる - 半月板損傷の治療方法には、手術療法と手術をしない保存療法があり、
どちらの場合も2ヶ月以上のリハビリが必要 - 半月板損傷の予防には、筋力トレーニングやストレッチ、体重管理が効果的
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。