40~50代前後の女性には、心身にさまざまな不調があらわれやすくなります。
不調の原因は、自律神経やホルモンバランス、あるいは甲状腺にあるかもしれません。
自律神経が何と関係しているのか、気になっている方も多いのではないでしょうか?
本記事では更年期と甲状腺と自律神経について、以下の点を中心にご紹介します。
- 自律神経と更年期障害の関係
- 自律神経と甲状腺疾患の関係
- それぞれの治療法
更年期と甲状腺と自律神経を知るためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
自律神経について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。
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自律神経とは
自律神経は、全身の器官をコントロールする神経系です。
内臓機能の働きやホルモンの分泌を調整する働きがあります。
自律神経は、交感神経と副交感神経から成り立ちます。
交感神経は体にアクセルをかける神経系です。
血管を収縮させて血圧を上昇させ、全身を興奮状態にすることで活動性を生み出します。
一方、副交感神経にはブレーキの役割があります。
全身の活動性を穏やかにすることで、心身を休息させるのが主な働きです。
心身の健康は、交感神経と副交感神経がリズムよく交代することで保たれます。
交感神経と副交感神経のバランスが崩れた状態は「自律神経失調症」と呼ばれます。
とくに交感神経が優位になりやすいため、心身がつねに緊張した状態に陥ります。
結果として身体面と精神面の両方に、さまざまな不調があらわれやすくなります。
副交感神経について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。
副交感神経について心身のリラックスに欠かせないのが副交感神経です。交感神経とのバランスが重要とされる副交感神経ですが、どのような役割や関係があるのでしょうか?本記事では、副交感神経について以下の点を中心にご紹介します。[…]
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更年期と甲状腺は自律神経とどう関係する?
自律神経はさまざまな要因から影響を受けます。
とくに多いのが、更年期や甲状腺の障害による自律神経失調症です。
更年期と甲状腺がそれぞれ自律神経にどのような影響を及ぼすのか解説していきます。
更年期と自律神経
更年期とは、45~55歳ごろの期間を指します。
具体的には、女性が閉経を迎えるタイミングを中間地点とし、前後10年間を更年期と呼びます。
更年期には、女性ホルモンのバランスが大きく変化します。
バランスが崩れることも多く、伴って心身にさまざまな不調があらわれます。
更年期のホルモンバランスにより、心身に悪影響が出ている状態が「更年期障害」と呼ばれます。
女性の疾患として有名ですが、男性にあらわれることもあります。
更年期障害の症状は自律神経失調症の症状とよく似ています。
なぜなら自律神経系と女性ホルモンの司令塔は、脳の同じ分野に存在するためです。
そのため、自律神経と女性ホルモンは、互いに影響を受けやすい関係にあります。
具体的には、更年期によって女性ホルモンのバランスが崩れると、自律神経もバランスを崩しやすくなるのです。
自律神経失調症の状態に陥るため、心身に支障をきたすことがあります。
甲状腺と自律神経
甲状腺は、喉仏の真下くらいにある器官です。
主な働きは、甲状腺ホルモンの生成・分泌です。
甲状腺ホルモンとは、体の代謝を調節するホルモンです。
たとえば脳の活性化・体温調節・消化器官の制御などを担っており、交感神経を活性化させるのも甲状腺ホルモンの大切な役割の一つです。
つまり甲状腺と交感神経は、密接な関係にあります。
甲状腺の病気によって甲状腺ホルモンのバランスが崩れると、交感神経も影響を受けます。
甲状腺ホルモンの分泌量が多すぎる場合は交感神経も活性化しやすくなり、自律神経失調症とよく似た症状があらわれます。
反対に甲状腺ホルモンの血中濃度が低くなりすぎると、今度は交感神経がうまく働かなくなります。
「甲状腺機能低下症」という症状で、同じく心身にさまざまな不調があらわれます。
以上のように、甲状腺と自律神経は互いに連動しています。
よって甲状腺に異常が起こると、自律神経もバランスを崩し、自律神経失調症に陥りやすくなります。
ちなみに甲状腺の疾患は、男性より女性に多い傾向があります。
中でも、40~50代の更年期の女性の発症率が高いです。
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更年期障害
更年期障害の原因や症状を紹介します。
原因
更年期障害の主な原因は、女性ホルモンのバランスが崩れることです。
女性は閉経を迎え、女性ホルモンの分泌量が急激に減少すると、脳にある女性ホルモンの司令塔が女性ホルモンの量を増やそうとして暴走を始めます。
結果、自律神経系も脳の暴走に巻き込まれて、バランスを崩してしまうのです。
ただし、更年期障害は、さまざまな要因が絡み合って起こることがほとんどです。
代表的な要因としては、心理的ストレスや身体的な疲労が挙げられます。
更年期の女性は、環境が大きく変化しやすい段階にいます。
たとえば子供の進学・就職・結婚や、職場・友人間の人間関係の変化、夫の退職、親の介護などが重なることが多いのです。
つまり女性の更年期は、「体内の変化」と「環境の変化」が重なりやすい時期なのです。
色々な出来事が重なれば、それだけ心身への負担も大きくなります。
症状
更年期障害の代表的な症状は以下の通りです。
- ほてり・のぼせ
- ホットフラッシュ(突然大量の汗が出る)
- 頭痛・めまい
- 肩こり・腰痛
- 動悸・息切れ
- イライラ
- 不眠
- 憂鬱・気分が落ち込む
- 集中力・意欲の低下など
- 不眠
- 冷え
- しびれ
更年期障害の症状のあらわれ方は個人差があります。
複数の症状に同時に苦しむこともあれば、まったく症状が出ない方もおられます。
甲状腺疾患
甲状腺の疾患の原因と症状について、「甲状腺機能亢進症」と「甲状腺低下症」に分けて解説します。
甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症は、甲状腺の働きが活発化しすぎる状態です。
交感神経を刺激しやすくなるため、自律神経失調症のリスクも高まります。
原因
甲状腺機能亢進症の原因は、甲状腺ホルモンの量が多くなりすぎることです。
なぜ甲状腺ホルモンの量が増えるのかについては、解明されていません。
一説には、ストレスや遺伝が指摘されています。
あるいは、甲状腺の別の疾患がホルモン分泌に悪影響を及ぼすこともあります。
症状
甲状腺機能亢進症の代表的な症状は以下の通りです。
- 脈が速い・動悸・息切れ
- のぼせ・微熱
- 異常な発汗
- 手足の震え
- 疲れやすい
- イライラ
- 気分が落ち込む・憂鬱
- 不眠
- 排便の回数が増える
- かゆみ
- 眼球が飛び出す
甲状腺機能低下症
甲状腺の働きが低下する症状です。
甲状腺機能亢進症と同じく、自律神経に悪影響を与えることが多いです。
原因
甲状腺機能低下症の原因は、甲状腺ホルモンの量が減少することです。
ホルモンが減少する原因としては、甲状腺そのものの不活性化が代表的です。
「原発性甲状腺機能低下症」という状態で、たとえば甲状腺の腫れなどにより、ホルモン分泌量が減少します。
あるいは、甲状腺をコントロールする脳器官に異常がある場合もあります。
「中枢性甲状腺機能低下症」という症状で、先天異常のほか、脳卒中や脳手術によって起こることもあります。
症状
甲状腺機能低下症の代表的な症状は以下の通りです。
- 脈拍が少ない
- 元気が出ない・疲れやすい
- 体重が増える
- 顔や全身がむくむ
- 皮膚が乾燥する
- 声がかれる
- 動作が鈍い
- しっかり寝ても眠気がある
- 便秘
- 冷え・寒がり
- 物忘れ・記憶力の低下 など
なお、甲状腺機能低下症と甲状腺機能亢進症には共通する症状もあります。
【甲状腺機能低下症と甲状腺機能亢進症の共通症状】
- のど(甲状腺)が腫れる
- だるい
- 疲れやすい
- 髪の毛が抜ける
自律神経失調症
自律神経失調症の原因と症状を解説します。
原因
自律神経失調症の原因はさまざまです。
代表的な原因は以下の通りです。
- ストレス(仕事の疲れ・人間関係の悩み など)
- 不規則な生活(偏った食事・寝不足・運動不足・飲酒・喫煙 など)
- ホルモンバランスの変化(月経・閉経・妊娠・出産 など)
いくつかの要因が重なって起きることも多いです。
症状
自律神経失調症の代表的な症状は以下の通りです。
- 動悸・息切れ
- 頭痛・めまい・耳鳴り
- 便秘・下痢
- 頻尿
- 月経不順・PMS(月経前症候群)
- のぼせ・発汗
- 冷え
- 食欲不振
- 倦怠感・疲れやすい
- 不眠
- イライラ・不安・焦燥
- 意欲の低下・やる気がでない
- 集中力・記憶力の低下
- 憂鬱・落ち込みやすい
- 情緒不安定 など
自律神経失調症の症状は、個人差が大きいのが特徴です。
自律神経失調症ついて詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。
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それぞれの症状の治療法
更年期障害・甲状腺疾患・自律神経失調症の主な治療法を紹介します。
更年期障害
ストレスなどが原因である場合、まずはストレスの原因解消が優先されます。
たとえばカウンセラーによるカウンセリングなどが代表的です。
症状が改善されない場合は、薬物療法が選択されることもあります。
【薬物療法の種類】
- ホルモン補充療法(減少した女性ホルモンの量を補う)
- 漢方(不快な症状の軽減を目指す)
- 向精神薬(精神の安定を図ることで、自律神経を整えやすくする)
甲状腺疾患
初期段階や症状が軽微な場合は、なにもせずに経過を観察することも多いです。
症状の改善がみられない場合は、薬物療法が選択されます。
- 抗甲状腺薬(甲状腺ホルモンの分泌を抑制する)
- 甲状腺ホルモン薬(甲状腺ホルモンを補充する)
心理的・身体的ストレスを解消するのも、有効な治療法です。
とくに甲状腺機能亢進症は、心身が興奮しやすくなっています。
過度な運動やストレスを避け、心身の安静状態を保つことで、症状の改善が期待できます。
自律神経失調症
自律神経失調症の原因はストレスである場合が多いです。
ストレスを解消するのが一番の治療法です。
生活習慣の改善によって、自律神経のリズムを整えることも大切です。
- ストレスの解消
- カウンセラーによるカウンセリング
- 規則正しい生活
- 栄養バランスのよい食事
- 適度な運動
- 質の良い睡眠をとる
症状がつらい場合は、薬物によって緩和させることもあります。
自律神経失調症の主な治療薬は以下の通りです。
- 向精神薬(精神の安定を図ることで、自律神経を整えやすくする)
- 漢方(不快な症状の軽減を目指す)
- 睡眠薬
自律神経失調症の薬について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。
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ストレスを抑える方法
更年期・甲状腺・自律神経は密接に関係しています。
どれか1つでもバランスを崩すと、他の2つにも悪影響が出ることが多いです。
バランスを崩す原因として代表的なのがストレスです。
心身を健やかに保つためにも、なるべくストレスをためない工夫をしましょう。
睡眠をよくとる
睡眠は、自律神経やホルモンバランスに大きな影響を及ぼします。
とくに寝不足・睡眠リズムの乱れ・質の悪い睡眠は、心身の不調と密接にかかわります。
自律神経やホルモンバランスを整えるには、質の良い眠りを適度にとるようにしましょう。
具体的なポイントは以下の通りです。
【睡眠の質を上げる方法】
- 起床・就寝時間を毎日一定にする
- 起床後は朝陽を浴びる
- 朝食をしっかり食べる
- 昼夜逆転にならないようにする
- 就寝直前の激しい運動・入浴・食事は控える
運動をする
適度な運動は全身の緊張をゆるめるため、ストレス解消になります。
血流がよくなる点もメリットです。
代表的なのは、ウォーキングやストレッチなどの有酸素運動です。
激しい運動はかえって体に負担をかけるため、心身に不調がある場合は控えましょう。
【有酸素運動の例】
- ストレッチ
- ウォーキング
- 軽いジョギング
- 水泳
- ヨガ
生活環境を整える
年齢を重ねるにつれ、今までの生活環境が身体に合わなくなることもあります。
もし心身の不調が改善されない場合は、生活そのものを見直してみましょう。
【生活環境を整えるポイント】
- 規則正しい生活
- 睡眠時間の確保
- 栄養バランスのよい食事
- 禁酒・喫煙
- 体力的に仕事・家事がつらい場合は、周囲にサポートを頼む
- 趣味を楽しむ
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更年期と甲状腺と自律神経のまとめ
ここまで、更年期と甲状腺と自律神経についてお伝えしてきました。
記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 女性ホルモンのバランスか崩れると自律神経にも異常が出るため、更年期障害が起こりやすくなる
- 甲状腺に障害が起こると自律神経のバランスが崩れるため、さまざまな不調があらわれる
- それぞれの治療法は、ストレス解消や薬物療法など
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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