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【専門家インタビュー】健康的な生活のための研究

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研究内容について

編集部:「アロマオイルが自律神経系に及ぼす影響」についての研究内容とその研究成果について教えてください。

戎先生:アロマテラピーには、ストレス解消効果が指摘されています。特に、ラベンダーは副交感神経を刺激し身体的なリラックス作用があるといわれています。ところが、アロマテラピーの効果については、科学的にはあまり明らかにされていません。そこで、アロマオイルが自律神経系に及ぼす影響を科学的に明らかにする為に、本研究に取り組みました。

具体的には、男子学生5人を被験者にして、4種類のアロマオイル(グレープフルーツ、ラベンダー、ローズマリー、混合)の吸入前後による自律神経系の変化を測定しました。その結果、すべてのアロマオイルが同じ変化を示した訳ではありませんが、グレープフルーツオイルの吸入後に副交感神経の緊張が認められ、一部のアロマオイルにはリラックス効果のあることが明らかになりました。

編集部:その研究を行った経緯を教えてください。

戎先生:「健康日本21」でも「ストレスを感じた人の割合の減少」を、その目標の一つに挙げています。また、平成11年度国民生活白書(経済企画庁[編],1999)には、労働省の労働者健康状況調査報告(1997年)が紹介されており、自分の仕事や職業生活で「強い不安、悩み、ストレスがある」人の割合は63%(男性64%・女性60%)で、1982年の51%に比べ大幅に上昇しているということです。ただ、ストレスに悩んでいるのは、勿論仕事をしている人のみではありません。

ストレスの原因は、家庭内のもめ事、経済的な悩み、離婚や別居の悩み、友人とのトラブル、病気、子どもの成績や進学などと、限りなく続きます。毎日の生活で、すべてが自分の思い通りになるわけではありませんので、何らかのストレスを感じている人がほとんどだと思います。

ストレスにはすべて悪影響がある訳ではなく、適度なストレスは、毎日の生活に張りをもたらし、やる気の源になり、また、ストレスを克服していけばストレスへの抵抗力(ストレス耐性)も強くなります。ただ、適応できないような大きなストレスが持続すれば、身体的にも精神的にもストレスの悪影響を受けてしまいます。過度のストレスは自律神経(自分の意志と関係なく、心臓、腸、胃などの内臓や、血管などの働きを調節する)のバランスを崩し、食欲不振、不眠、情緒不安定、頭痛などの症状だけでなく、高血圧や胃・十二指腸潰瘍、動脈硬化などの誘因にもなります。

戎は、ストレスが血液中のコレステロールを増加すること戎利光ほか:仕事における無理が血清コレステロールに及ぼす影響.保健の科学,39(4):279-282,1997.)温泉入浴により脳波のθ波の減少やα波が増加傾向にあること(Ebisu, T., et al., “Effects of taking a hot spring bath on relaxation”, Memoirs of the Faculty of Education and Regional Studies, University of Fukui, Series: Science of Education, 61,1-7,2005.)などを科学的に明らかにしました。それらの結果は「わかりやすい健康の生理学・衛生学」(戎利光[著],不昧堂出版,2002.)や「ライフスタイルと健康の科学」(戎利光・戎弘志[著],不昧堂出版2001.)などで紹介しています。

さらに戎は、ストレスによる心身の悪影響については、専門誌などでも(戎利光「ストレスの生理学」緩和ケア,15(6):605-608,2005)指摘しています。これらの研究結果やストレスに関する活動から、身近で比較的簡単に入手可能なアロマオイルに注目して行ったのが今回の研究です。ストレスを解消して少しでも日々を楽しく過ごしていただきたいと思っています。

編集部:「糖尿病リスクの高い業種と低い業種における健康状態および生活習慣の比較」についての研究内容とその研究成果について教えてください。

戎先生:この研究は私が中心になって行ったものではありませんので、説明を遠慮させていただきます。
ただ、先ほどのご質問の中で紹介しました研究(戎ら,1997)は、主に20歳代から40歳代の被験者81人を対象にして行い、(1) 仕事の無理に関する調査で3群のプレテスト(ストレスに関する実験期間前の結果)とポストテスト(実験を始めて1年後の結果)間(1年間)の変化量が、血中コレステロールでは、それ以外の項目(血中クレアチニン・血中尿素窒素・血圧[収縮期血圧と拡張期血圧])の変化量に比べて多かったこと、(2) 仕事でいつも無理をしていると答えた群は、仕事で時々無理をしていると答えた群よりコレステロール値が多く増えたこと、(3) 仕事でいつも無理をしていると答えた群は、仕事で無理をしていないと答えた群よりもコレステロール値が多かったこと、などが明らかになりました
やはり、仕事の無理と血中コレステロール値との間には関連のあることがわかりました。このことから、ストレスが生活習慣病の誘因の一つであることがわかります。

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今後の目標について

編集部:戎先生の研究における最終的な目標を教えてください。

戎先生:過去に発表した2つの博士論文(教育学博士,医学博士)や、これまで執筆した16冊の著書や訳本、約250編の学術論文(依頼原稿による啓蒙的論文を含む)、150編近くの新聞連載(「子供の健康・黄信号」、「『肥満』を知る」、「Dr.戎の肥満の科学」、「戎教授の中高年健康新書」等、福井新聞など)、300回ほど出演した福井放送のラジオ番組(「健康にいいのか、わるいのか講座」、「健康科学講座」、「健康のススメ」など)、さらには、フジテレビ・関西テレビの「発掘あるある大辞典」、福井放送の「プラス1(ワン)・健康チェック」、福井テレビの「福井スーパーニュースワイド」)などで解説してきた内容を、今後はわかりやすく伝える啓蒙活動を最終的な目標として実践していきたいと思っています。

編集部:今後はどういった研究を進めていく方針なのでしょうか?

戎先生:著書『子どものからだの健康科学』(戎利光[著],不昧堂出版,2000.)では「肥満」「骨折」「貧血」「子どもの生活習慣病(成人病)」「ストレス」「食物アレルギー」「朝食抜き」「無理なダイエット」「偏食」「生活習慣の乱れ」「柔軟性低下」「筋力低下」「体力低下」「スポーツ障害・外傷」「交通事故・水難事故」「不器用」「テレビゲーム」「喫煙」「虫歯」という全19章を網羅し、その後の著書『ライフスタイルと健康の科学(戎利光・戎弘志[著],不昧堂出版,2001.)では、「飲酒」「喫煙」「ストレス」「運動不足」「栄養のアンバランス」「無理なダイエット」「食べ過ぎ」「朝食抜き」「夜更かし」の9章について論述し、子どもから中高年までの幅広い年齢層の健康づくりを執筆しています。

今後は、子どもから中高年まで多くの人々が健康生活を意識していただくよう、これら2冊の内容をわかりやすく伝える啓蒙活動活動に関する研究を積極的に進めていきたいと思っています。

健達ねっとのユーザー様へ一言

みなさまご自身は、健康を害する誘因となる「飲酒」「喫煙」「ストレス」「運動不足」「栄養のアンバランス」「無理なダイエット」「食べ過ぎ」「朝食抜き」「夜更かし」などに関心を持っていただき、そして子育て最中のみなさまには、将来無限の可能性秘めた子どもたちの「肥満」「骨折」「貧血」「子どもの生活習慣病(成人病)」「ストレス」「食物アレルギー」「朝食抜き」「無理なダイエット」「偏食」「生活習慣の乱れ」「柔軟性低下」「筋力低下」「体力低下」「スポーツ障害・外傷」「交通事故・水難事故」「不器用」「テレビゲーム」「喫煙」「虫歯」にご注意いただきたいと思います。

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薬の使い方

福井工業大学 スポーツ健康科学部 スポーツ健康科学科 教授

戎 利光えびす としみつ

教育学博士
医学博士
福井大学名誉教授

  • 教育学博士
  • 医学博士
  • 福井大学名誉教授

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