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【専門家インタビュー】介護に関する研究

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研究内容について

編集部:”認知症高齢者グループホームでの生活が認知症に与える効果に関する考察”についての研究内容とその研究成果について教えてください。

土永様:筆者はグループホームでのケア実践を通して、認知症高齢者グループホーム(以下、グループホームと記す)での共同生活が、認知症の進行を遅らせたり、日常生活動作を改善したりすることを学んだ。利用者はグループホームを利用すると、家にいるときに比べ確実に落ち着いてくる。その原因は、グループホームの、生命に関わりのない限り何をしても許される受容的な環境にある。ここでの利用者はストレスをかかえることが少ない。他の利用者やスタッフと共同生活をすることにより、脳への刺激が常にあるためだと思われる。グループホームで暮らす利用者は、食事を一緒に作ったり、買い物に行ったり等の簡単な軽作業を行う。ここでは、利用者の生活への制限を可能な限り少なくし、利用者に合わせることで、そこで暮らす利用者の不穏になることが少ない。また、グループホームでは、回想法を実践することで、利用者のケアの個別化をグループホームを通して行ない、利用者一人ひとりの生活の質を高めることができた。

編集部:前述の研究を行った経緯を教えてください。

土永様:私が特別養護老人ホームで相談員として勤務していた頃に、重度の認知症高齢者の意思の確認が困難なことが多く見られた。例えば、認知症高齢者のターミナルケアで関係者が最も迷うことの一つは、嚥下不能時の対応である。アルツハイマー型認知症の終末期は神経症状として摂食障害が顕著となり、何時間たっても食べずに吐き出したり飲み込まなくなる。介護者が口の中にまで食べ物を移しても、全く嚥下しなくなる。そのままにしておくとその利用者は脱水、衰弱、死に至ることになる。このような状態の場合病院では、胃チューブによる経管栄養か、中心静脈栄養法といった処置をとることがある。経口摂取できる工夫が必要で、摂取する時のリズムやタイミング、喉元を通りやすいものなどを考えていかなければならない。
このような場合、医療的な対応は必要最低限のものとし、残り少ない生命の質を尊重することが最上の選択であると筆者は考える。福祉施設で働き、教員になってからもフィールドワークとしてグループホームで活動を続けている。

編集部:特別養護老人ホームとグループホームのケアの違いにはどのようなものがあるのでしょうか。またどのようなケアが望ましいと思われますか?

土永様:4人部屋が中心の従来型特別養護老人ホームとの大きな違いとして、ユニット型特別養護老人ホームは全室個室で、各居室の真ん中に共用リビングがあるのが特色である。この作りは、自宅にいるような気持ちでくつろいで利用者に過ごしてもらえる。特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)は、介護保険の介護認定審査会で要介護3以上と判定された中重度の利用者が多いため、身体介護に関するケアが多くなっており、看取りまで行う施設も多い。

いっぽうグループホームでは、認知症の診断を受けた要支援2または要介護1~要介護5の高齢者が利用し、そこでは、複数の利用者が共同生活を行う。特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)に比べると平均介護度が比較的低く、認知症ケアの取り組みが多くなってくる。

 

編集部:土永様は介護福祉士に必要な素質とはなんだと思いますか?

 

土永様:①明確な目的意識、使命感をもっている
常識を疑い現状を観察し、あらゆることに疑問の目をもつことができる。できない理由探しから物事を考えない。

②強いプロ意識がある
自らを高めるための情報収集・専門知識の習得に余念がない。自分の職務にプロとしての誇りを持ち、それを行動で示せる。

③ストレスとうまくつきあえる(ストレス・マネジメント)
気分の切り替えがうまく、失敗に対していつまでもくよくよしない。仕事以外に打ち込める趣味や楽しみがある。

➃科学的な目を持つ「経験至上主義」に陥るのではなく、理論や検証された経験に基づくサービス実践を遂行できる。

 

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今後の目標について

編集部:土永様の研究における最終的な目標を教えてください。

土永様:『介護者の気持ちと家庭介護』を最終的な目標にしたい。

介護の受け手はその多くが、疾病や障がいあるいは老いによって自立した生活が阻害されている。基本的生活に係る衣食住環境、経済状況、福祉機器や介護用品の必要度、介護保険サービスをはじめとする関連サービスの必要度など、生活の安寧とともに自立を促し拡大する環境を整える介護援助が求められている。

高齢者が本当に家庭で生活することを望んでいるのか、そして家庭で生活することが、その高齢者にとって本当に幸せになっているかということについても、冷静に判断することが求められる。

編集部:今後はどういった研究を進めていく方針なのでしょうか?

土永様:『地域に暮らす高齢者の「食」の実態と伝統食の再開発について』をテーマにしたい。

「自分自身の手で毎日の食事を調達し、安い食材で栄養のあるおいしい料理を食べたい」。それは、好きな食べ物を好きなときに、好む量を食べることができるという唯一の自由をもつことである。このような自由が最後まで許されるためには、「希望する食糧を買い整え、それを調理するだけの体力」、そして「高齢者でも安全で使いやすいキッチンも一応整えられている」ことが最低の条件というべきである。その上、料理作りに欠かせないあらゆる感性(味覚、嗅覚、聴覚など)を高いレベルに保てるかどうかなどである。

このような中で、それぞれの食の価値観やライフスタイルに対応した、より豊かで選択可能ないくつかのタイプをもった食のシステム作りは、これからの社会の課題である。さらに、自立高齢者が要介護状態に移行する期間において、介護予防につながる情報を研修会や福祉関係者を通して提供していく必要がある。

健達ねっとのユーザー様へ一言

介護が長期化すると、家族の先行きが見えないために不安が高まってくる。やがて疲労の蓄積が介護者自身の意欲の低下につながっていく。昼夜を問わず、しかも長期にわたる対応に介護者は心身ともに疲労してくる。しかし、辛いという思いの中に入り込まない努力が必要である。ショートステイやデイサービスの利用で介護が無理なく長続きするよう、また、訪問看護や訪問介護の指導で排泄介助の工夫をしたりして、介護者が十分に睡眠がとれるように、疲れ予防対策も必要なことである。

ケアマネジャー(介護支援専門員)やソーシャルワーカーが、家族や介護者の主訴をより正しく捉えていくという姿勢が大切である。常日頃より介護者のニーズを汲み上げ、介護の限界になるのを予防する対応の視点に即したものでなければならない。

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薬の使い方

新潟青陵大学短期大学部 人間総合学科教授

土永 典明つちなが のりあき

社会福祉士資格取得
介護福祉士資格取得
介護支援専門員資格取得

  • 社会福祉士資格取得
  • 介護福祉士資格取得
  • 介護支援専門員資格取得

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