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研究内容について
編集部:「ICTを活用した介護予防教室プログラムの開発」の研究結果について教えてください。
外村様:コロナ禍により開催が難しくなった介護予防教室をタブレットを使用しzoomを活用した遠隔教室を実施しています。
大学周辺地域に在住の高齢者の方でこれまで大学主催の介護予防教室に参加頂いた方のうち、希望された20名を対象としています。高齢者の方にはスマートフォンをお持ちの方が多いですが、zoomやLineは活用できないことが多いです。説明会を実施することなどでサポートしています。実施内容は認知症予防体操3A体操や本学が作成した「もりもり元気体操」、百歳体操、脳トレ、椅子ヨガ、各学科の介護予防に向けた講話等です。タブレットには数種類の体操動画を格納し、自宅でも自由に実施してもらえるようにしています。調査は1年間の 予定で、開始・終了時にフレイルテストや認知機能テスト等で評価をします。現在6か月を過ぎ、遠隔教室にも慣れて来られました。「楽しい」「生活にリズムが出来た」「外出しなくてもお話ができて嬉しい」等の感想を頂いています。
編集部:その研究を行った経緯を教えてください。
外村様:大学周辺地域は高齢化率が大阪市内の中でも高い状況です。
2014年より看護学科の教員を中心に、地域貢献を目的に介護予防教室を始めました。教室を継続することで参加者さん同士がお友達になり、新たなコミュニティを形成する効果がみられました。また、本学の学生がボランティアで参加し、高齢者の理解を深めることも出来ました。
しかし、コロナ禍により教室は1年余り中止を余儀なくされました。その間のアンケート調査では、運動機能、認知機能の低下を自覚されているという結果が出ました。
これにより、何とか教室を再開する必要があると考え、タブレット端末を使用した遠隔教室プログラムの開発に至りました。プログラム内容は7つの医療系学科を持つ本学の特徴を活かしました。これらの計画が認められ、科研費を獲得することが出来、研究を進めることとなりました。
編集部:「高齢者の転倒予防について」についての研究内容とその研究成果について教えてください。
外村様:介護予防教室では運動機能を維持するために理学療法学科や作業療法学科の先生方に講義や体操を紹介頂いています。また、毎回の教室では下肢筋力アップの体操を実施しています。タブレット端末にも動画を格納して、自宅で実施して頂いています。本学が開発したもりもり元気体操や百歳体操、ストレッチなどの動画です。体操を続けて体調が良い、楽しいなどの感想を頂いています。
研究終了時の運動機能テストなどでその効果を検証する予定です。
編集部:外村様が考える本研究の意義を教えてください。
外村様:介護予防は継続することが非常に重要です。運動など身体的機能の維持はとても大切です。それ以上に認知機能の維持および向上も重要だと思います。今回、タブレット端末を使用するために何度も説明会を行いました。zoomの扱いは難しいですが、諦めずに取り組んで下さる姿に、高齢者の方々の可能性を感じます。
新しい技術を取り込みながら、介護予防を図り、健康寿命の延伸に貢献したいと考えます。
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今後の目標について
編集部:外村様の研究における最終的な目標を教えてください。
外村様:今回はタブレットを使用することで、高齢者の方にICT使用も身近に感じて頂けました。難しいことはたくさんありますが、粘り強く関わることで可能性は広がります。
ICTをさらに活用することで認知機能の維持や運動機能の維持向上が図れることを定量的に示すことができることを目標としています。
編集部:今後はどういった研究を進めていく方針なのでしょうか?
外村様:ICTを活用した遠隔教室を定着させることです。調査が終了しても、「何とか続けて欲しい」という意見が多数あります。一人暮らしの方や様々な教室に少し通いにくいと感じている男性の方でも、簡単に参加できる環境を整えることが出来れば良いと考えています。
そして、この教室を他大学や府内・府外の地域と結び、つながりを広げ、交流が深まることを期待しています。
健達ねっとのユーザー様へ一言
認知症を予防するために、高齢者の皆さまが真剣に取り組まれる姿に、いつも感銘を受けます。その意思を汲み取り、様々な方法を活用して頂けるよう、発信していきたいと思います。色々なコンテンツを介護スタッフやご家族の皆さまと一緒に楽しめると素晴らしいと思います。