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健達ねっと>専門家から学ぶ>達人インタビュー>【専門家インタビュー】高齢者の歩行動作・歩行能力に関する研究

【専門家インタビュー】高齢者の歩行動作・歩行能力に関する研究

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研究内容について

編集部:「高齢者の歩行動作、歩行能力に関する研究」についての研究内容とその研究成果について教えてください。

柳川様:Ferrandez et al.(1990)は,ストライド長(歩幅)が短く両脚支持時間(両足が同時に地面についている時間)が長いという高齢者の歩行特性は若年者における遅歩行においても観察されるので,歩行速度を考慮に入れるならば若年者と同じであると報告しました。このことは,若年者と高齢者の歩行動作の差異は,歩行速度の違いのみに起因する可能性があることを示しています。本研究では,速度依存の要因を排除(若年者と高齢者の動作を同じ歩行速度で比較)した上で,高齢者における真の歩行動作の特徴を明らかにすることを試みました。その結果,加齢に伴う歩行動作の変化のうち歩行速度に因らない年齢依存の変数を抽出することができました。その主な事柄は、高齢者は若年者に比較して,歩幅が小さい,踵着地時に爪先が挙がらない,膝関節の動作域が小さい,体幹をあまり動かさずに歩いている、などでした。

編集部:その研究を行った経緯を教えてください。

柳川様:著者は、高齢者の歩行動作に関する研究(画像解析、床反力、筋電図などを使用)を継続して行ってきましたが、健常な高齢者と若年者の歩行動作は一見ほとんど変わりが認められませんでした。そこで、まずどの変数に若年者との差があるのかを実験により明らかにすることを試みました。一般に、若年者に比較して高齢者の自由歩行速度(速くも遅くもない普通の速度)は遅い傾向にありました。さらには、若年者の遅歩行(やや遅く)と高齢者の自由歩行速度はほぼ同程度であり、その時の両者の歩行動作の違いはさらに見分けがつきにくいものでした。そこで、若年者と高齢者における範囲を区切った同一速度歩行での比較を行うことにしました。

編集部:柳川様が著されている書籍において、肥満と運動について書かれているものがあると思うのですが、そちらについて教えてください。

柳川様:一般的に,摂取カロリーを制限(腹八分目)し,適度な運動を定期的に行うことが肥満解消につながると言われています。適度な運動としては,1回の運動時間が8~10分以上であり、1日に合計30分以上の有酸素運動を行うと良いと言われています。すなわち,こま切れでも良いから,こまめに身体を動かすことが重要なのです。さらには、適度な筋力トレーニング(筋トレ)も基礎代謝(生命を維持するために必要な最小エネルギー)が高まり,太りにくい体質につながります。

栄養学に関しては、次のようなことが明らかとなってきています。食事の順番として、まず野菜を5分かけて食べ、その後、ご飯を食べると食物繊維が血糖値の上昇を緩やかにし、その結果として脂質の吸収が抑えられる、また、ご飯より先にたんぱく質を5分かけて食べると腸からやせホルモン(GLP-1)が出て、血糖値の上昇が抑えられる。すなわち、まず野菜とたんぱく質を5分かけて先に食べ、その後、ご飯を食べると痩せやすいということです。さらには、起床のタイミングですぐに食事(炭水化物とたんぱく質)を摂り日光をあびると体内時計がリセットされ、肥満解消につながります。

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今後の目標について

編集部:柳川 和優様の研究における最終的な目標を教えてください。

柳川様:高齢者の身体的特徴として、①すり足、O脚、②筋量・筋力の低下、③速筋線維の選択的萎縮などが知られています。さらには、多病、低栄養なども考慮に入れておかなければならない重要な事柄です。今後は、これらを考慮に入れた上での、性別、年齢、体力、疾病の有無に応じた運動、栄養プログラムを開発していきたいと考えています。

健達ねっとのユーザー様へ一言

まず強調しておきたいことは、「病は気から」ということです。何歳になっても、気持ちを積極的、意欲的に維持し、進化と向上を目指していただきたいと思います(自分に言い聞かせていることです)。身体のケアとしては、エアロビクス(有酸素運動)、筋力トレーニング(筋トレ)、ストレッチングを定期的に継続することを切にお勧めいたします。

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薬の使い方

広島経済大学 経営学部 スポーツ経営学科 教授

柳川 和優やながわ かずまさ

博士(教育学)
日本体力医学会会員
日本体育学会会員

  • 博士(教育学)
  • 日本体力医学会会員
  • 日本体育学会会員

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