少子高齢化の影響もあり、ケアマネージャーは激務なイメージがあると思います。
「介護報酬改定でケアマネージャーは、更に忙しくなったの?」と疑問を持つこともあると思いますが、実は介護者の持てる人数が増えたのは一部の業種のみです。
今回は「ケアマネージャーの持てる担当人数と働き方」について以下の点を中心に解説をしていきます。
- ケアマネージャーの役割、業務とは
- ケアマネージャーの要介護者を持てる人数
- 介護報酬改定で業界にどのような動きがあったのか
また介護報酬改定後のICT導入、介護ロボットの導入についても紹介しています。
ぜひ最後までお読みください。
介護とは人の命に係わる仕事です。いろいろな専門性が求められるため、国家資格から民間の資格までさまざまな資格があります。具体的にはどのような資格があるのでしょうか?本記事では、介護の資格について以下の点を中心にご紹介します[…]
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ケアマネージャーとは
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ケアマネージャーは「居宅介護支援事業所」に属しており、介護が必要な方に総合的な介護サービスを提供する役割があります。
なぜならケアマネージャーは、利用者へ提供する介護サービスの計画(ケアプラン)とマネジメントを行うからです。
下記のような、総合的な支援を行う役割を担っております。
- 利用者への介護サービスの提供
- 介護保険の申請代行
- 生活支援などの福祉サービス
- 介護に関わる各種手続き
特にケアプランが必要不可欠であり、プラン作成はケアマネージャーの主軸になる仕事とも言えます。
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ケアマネージャーの担当件数とは?
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ケアマネジメントに従事する、ケアマネージャーですが一人あたりの持てる人数が決められていることはご存じでしょうか?
ケアマネージャーの担当件数は、利用者35人に対し1人で請け負うことがスタンダードな基準で、40人以上を超えると、減算となる逓減制が導入されているのです。
また、担当件数については、施設形態に合わせて数字が変わることがありますので、その件についても詳しく解説していきます。
今後ケアマネージャーとして働きたいという方は参考にしてください。
担当件数とは
居宅ケアマネージャーと施設ケアマネージャーでは、規定の持てる人数があり数値も異なります。
持てる人数が決められている理由として、規定の担当件数を上回るとケアマネージャーのキャパシティーを超えて心の余裕がなくなってしまうからです。
労働過多に陥りパフォーマンスを下げないためにも、このような決まりを遵守する必要があります。
しかしこの持てる人数を超過すると、行政の指導が介入する可能性もあるので注意しましょう。
居宅ケアマネージャー
居宅ケアマネージャーは、利用者35人に対して1人が担当します。
基本的に介護施設で常に勤務できる体制はとれませんが、兼務は可能です。
ただし、以下のパターンのみと設定されています。
- 介護報酬で算出し、ケアマネージャーは40件未満
- 介護予防支援における件数は20件未満
介護の状況しだいでは件数を超過するケースがありますが、ケアマネージャーへの多大な負担がかかると行政の指導が入るため注意しましょう。
施設ケアマネージャー
施設ケアマネージャーは、利用者100人に対して1人配置する必要があります。
ここでいう施設は介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)のことをいい、要介護の高齢者が対象です。
定員数が29名以下の場合は、地域密着型介護老人福祉施設(地域密着型特別養護老人ホーム)という名称になります。
施設ケアマネージャーとしての役割は、以下のとおりです。
- 入浴、排泄、食事などの日常のサポート
- 機能訓練
- 健康管理
またケアマネージャーは、居宅と兼務していることもあり多忙になるケースも少なくないといわれています。
介護報酬改定による担当件数の変更点
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ケアマネージャーは、介護報酬の規定に基づき担当件数を決めていますが、介護補修改定による影響で持てる人数の変更がありました。
介護報酬改定時に着目するべき点は、介護支援事業においてICTを導入しているかどうかです。
ここからは、ICTによりどのように持てる人数が変化しているのか解説していきます。
ICTを導入している居宅施設の場合
当初は居宅介護支援事業所において、介護基本報酬の逓減制(ていげんせい)が決められていることから40件程度と規定されていました。
しかし2021年度の介護報酬の改定において、以下のような新しい区分が決まり、持てる人数が40件以上から45件以上へという変更がなされました。
- ICTの普及と活用
- 事務職員の配置
一見すると持てる人数が増えて負担が大きいように見えますが、上記の業務効率化を適用している事業が対象のため負担が極端になる恐れも低いでしょう。
参照:厚生労働省「令和3年度介護報酬改定について」(2021年07月30日)
ICTを導入していない居宅施設の場合
ICTを導入していない居宅施設は改定前と基準が同じため、前述したとおり居宅介護支援事業所においては持てる人数が40件程度と変わりありません。
あくまで、2021年度の介護報酬の改定においての
- ICTの普及と活用
- 事務職員の配置
などの新しい区分が該当する場合のみ、持てる人数に違いがあるのです。
参照文献:厚生労働省「令和3年度介護報酬改定について」(2021年07月30日)
施設の場合
ICTを導入した施設の場合も、利用者を持てる人数は改定前と同じです。
利用者100人に対して1人のケアマネージャーが対応する基準に変わりはありません。
まとめると現時点では、ICT導入の居宅ケアマネージャーが改定の対象になると覚えておきましょう。
居宅と施設のケアマネージャーの仕事内容
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前述したとおり、ケアマネージャーも居宅での介護と介護施設での勤務に分かれています。
取得する資格は同じなのですが、業務内容に違いがあります。
ここからは仕事内容について解説していきます。
居宅ケアマネージャー
居宅ケアマネージャーは、利用者宅へ訪問し家族に寄り添ったケアプランを作成する能力が求められます。
まずは利用者本人、ご家族との面談から始まりサービス内容、介護保険制度の説明から入り面談の情報を整理しケアプランを提案します。
ケアプランは、介護保険サービスの利用規約について以下の5枚の書類で構成されている報告書にまとめられます。
- 利用者と家族の意向と方針について
- 課題と目標、サービス内容
- 1週間のタイムスケジュール
- 事業者の実施計画表
- 1カ月の介護サービスの利用単位と費用
サービスを開始したあとは、環境作りと利用者さんの状態を考えてケアするため内容が個々で異なることも施設担当との違いです。
施設ケアマネージャー
施設ケアマネージャーは、基本的なスケジュールに沿い施設訪問した利用者にサービスを実施していきます。
居宅では自宅での自立した生活をサポートしますが、施設では施設内で快適に過ごせるかどうかが目標です。
担当者は利用者の様子を観察しケアプランの見積もりを行います。
大型の施設では利用者を持てる人数が、100名を超えるためケアプランも多様化していくのでメンバーとの連携も求められるでしょう。
居宅と施設のケアマネージャーの働き方の違い
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居宅ケアマネージャーと施設ケアマネージャーでは、働き方の性質が異なります。
ケアプランの作成内容にも違いがありますが、別の要素について解説していきます。
居宅ケアマネージャー
居宅ケアマネージャーの場合は施設に常駐するわけではなく、スケジュールを決めて利用者宅に訪問する必要があります。
ケアプランも家族や利用者の意見を反映し、それぞれ作成する必要があることも特徴です。
また、業務面で居宅は個人の裁量で判断をするシーンが多い傾向にあります。
施設ケアマネージャー
居宅ケアマネージャーとの働き方の違いは、選ぶ施設で働き方が違うことです。
特別養護老人ホーム・介護老人保健施設
これらの施設では、ケアマネージャー業務以外にも生活相談員、介護職員を任されることもあります。
生活相談員とは、家族と利用者からの要望を聞き、介護職員が食事、入浴などの補助をしていく仕事です。
グループホーム
グループホームでは、介護職員、役職を兼務してマネジメントすることがあります。
介護付き有料老人ホーム
民間企業が運営しているため、独自のサービスが多いことも特徴です。
そのため、業務内容がさまざまなもので柔軟性が求められます。
介護ロボットとは?
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介護ロボットとは、厚生労働省で「ロボットの定義」の条件を満たしており、要介護者の世話や生活の負担を減らす介護機器を導入している介護ロボットのことです。
厚生労働省が定義しているロボットの条件は下記のとおりです。
- 情報の感知(センサー系)
- 判断力(知能、制御系)
- 動作(駆動系)
上記の3つの技術的要素を持った機械は、ロボットと定義されています。
映画や漫画に登場する2足歩行型が一般的なイメージですが、現在の介護ロボットは、見守りのセンサーや歩行サポートをするロボットが普及されています。
まとめ:ケアマネージャーの持てる人数
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- ケアマネージャーは、ケアプランの作成、手続き、介護の提供などをマネジメントする
- 厚生労働省が定めた内容を基準に居宅、施設、ICT導入などで異なる
- ICT導入事業のみ、居宅ケアマネージャーの利用者を持てる人数が増大した
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。