福祉用具は介護生活の大きな助けとなります。
福祉用具専門相談員は福祉用具に関する専門職です。
福祉用具専門相談員とはどのような役割を持つ仕事なのでしょうか?
また、福祉用具専門相談員の資格はどのように取得するのでしょうか?
本記事では福祉用具専門相談員について以下の点を中心にご紹介します。
- 福祉用具専門相談員の仕事内容
- 資格取得方法について
- 資格を取ると得られるメリット
福祉用具専門相談員について理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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福祉用具とは
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福祉用具は介護が必要な方や高齢者の方の日常生活の補助となる用具です。
また、福祉用具は法律では下記のように定められています。
「心身の機能が低下し日常生活を営むのに支障のある老人又は心身障害者の日常生活上の便宜を図るための用具及びこれらの者の機能訓練のための用具並びに補装具をいう。」
(福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律 第二条)
福祉用具のなかには、介護保険制度で利用可能な福祉用具もあります。
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出典:福祉用具|厚生労働省
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福祉用具専門相談員とは
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福祉用具専門相談員はどのような役割を果たすのでしょうか?
福祉用具専門相談員の役割について具体的にご紹介します。
福祉用具専門相談員の概要
福祉用具専門相談員とは、福祉用具の選び方や使用方法をアドバイスする専門職です。
全国福祉専門相談員協会での福祉用具専門相談員の定義は以下の通りです。
「福祉用具専門相談員は、利用者の心身の状況や生活環境に適した福祉用具について提案を行うことにより、利用者が適切な福祉用具を選定することを支援する役割を担っています」
また、介護保険制度では、事業所が福祉用具貸与サービスを行う場合、各事業所に2名の福祉用具専門相談員を配置することが定められています。
福祉用具専門相談員の仕事内容
福祉用具専門相談員には主に4つの仕事内容があります。
それぞれご紹介します。
選定相談
利用者の状態、周囲の環境などを考慮し、福祉用具を選ぶ手伝いをします。
ケアマネジャーとも相談しながら話し合いを進めます。
- その人に必要な福祉用具はどれか
- どう使うのか
- 費用はいくらかかるのか
専門職としての知識を活かし、福祉用具に関する様々なアドバイスを行います。
計画作成
選定相談の内容に基づき、福祉用具サービス計画を立てます。
福祉用具専門相談員とケアマネジャーによって行われます。
適合・取り扱い説明
福祉用具が利用者に適合するよう調整します。
また、安全に使ってもらえるよう使用方法の説明を行います。
特に車いすは利用する頻度も多く、歩行困難な人たちにとっては重要な移動手段です。
操作方法の説明、フットレストや座面・ブレーキの調整等を利用開始前に行います。
モニタリング
福祉用具を販売・貸与後も福祉用具専門相談員は関与します。
定期的に利用者の居宅を訪問し、福祉用具の利用状況を確認・点検します。
福祉用具も使い続けていると当然劣化してきます。
使っている福祉用具が身体機能と一致しなくなると、生活にも支障をきたします。
また、利用者のADL(日常生活動作)が変わってくることがあります。
ケアマネジャーと情報共有を行い、計画の修正を提案することも重要な役割です。
出典:厚生労働省 福祉用具専門相談員-職業詳細|職業情報提供サイト(日本版O-NET)
福祉用具専門相談員の資格取得方法
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資格取得は、福祉用具専門相談員指定講習を受講し、修了する必要があります。
しかし、以下の資格を持つ人は、講習を修了せずに福祉用具専門相談員として働けます。
看護師 | 准看護師 | 保健師 | 理学療法士 |
作業療法士 | 社会福祉士 | 介護福祉士 | 義肢装具士 |
福祉用具専門相談員の受講資格
福祉用具専門相談員指定講習に受講資格の制限はありません。
講習は各都道府県の研修機関で、どなたでも受けることができます。
カリキュラム
講習は講義形式・演習形式のもの、全50時間で構成されています。
カリキュラム内容は以下の通りです。
講義 | 時間 |
福祉用具と福祉用具専門相談員の役割 | 2時間 |
介護保険制度等に関する基礎知識 | 4時間 |
高齢者と介護・医療に関する基礎知識 | 16時間 |
個別の福祉用具に関する知識・技術 | 16時間 |
福祉用具に係るサービスの仕組みと利用の支援に関する知識 | 7時間 |
福祉用具の利用の支援に関する総合演習 | 5時間 |
福祉用具専門相談員の資格取得の費用
福祉用具専門相談員の資格を取得するための講座は、さまざまなスクールで受けられます。
地域や受講形式等によって費用が異なりますが、およそ4~6万円が相場といわれています。
カリキュラムに違いはありませんので、お住まいの地域や職場近くで負担なく通えるスクールを選べばよいでしょう。
日程や人数の関係で受けられる講座がない場合は、オンラインで受けることも可能です。
福祉用具専門相談員の資格取得の難易度
福祉用具専門相談員の資格を取得するためには、「修了評価試験」という試験の合格が必須です。
合格率は公表されていないため、試験を受ける方は不安でしょう。
しかし、試験は50時間のカリキュラムで学んだ内容から出題されます。
講座の内容を理解して試験に臨めば決して合格は難しくないといえます。
過度に緊張せず、学んだことの復習と思いながら受けるとよいでしょう。
福祉用具専門相談員が不合格だった場合
修了評価試験に不合格になってしまっても心配することはありません。
なぜなら、不合格でも補講を受けレポートを提出することで、資格が取得できるスクールもあるからです。
また、再試験を課すスクールもあるようです。
講座を受ける前に各スクールの特徴を調べ、不合格時の救済制度を確認しておくとよいでしょう。
福祉用具専門相談員の職場
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主な職場として福祉用具を扱う事業所・販売店が挙げられます。
その他、福祉用具メーカーで製造や営業に携わっている人たちもいます。
他の医療・介護資格を有している人も多いです。
そのため、病院や施設などで福祉用具の知識を活かして働いているケースもあります。
福祉用具専門相談員の資格取得のメリット
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福祉用具専門相談員の資格取得のメリットはどのようなものなのでしょうか?
福祉用具専門相談員の資格取得のメリットを具体的にご紹介します。
仕事の幅が広がる
すでに他の資格を持っている人でも、できる仕事の幅が大きく広がるのがメリットです。
例えば、理学療法士が福祉用具専門相談員の資格を得ると、リハビリを指導しながら、よりその人にあった福祉用具の選定ができるようになります。
介護施設で働いている介護福祉士であれば、日常生活で困っている利用者に対し、福祉用具の使用を提案することで、問題が解決することもあるでしょう。
就職でのアピールポイント
福祉用具の販売・貸与を行う事業所は、福祉用具専門相談員を2名配置する必要があります。
事業所や、福祉用具を利用する介護施設などへの就職時に有利となります。
知識を深めることができる
自宅で家族の介護を行う方たちは、介護生活に役立てることができるでしょう。
福祉用具を上手く利用し、介助量を減らすことができます。
また、介助者の負担軽減だけでなく、利用者本人のQOL向上にも繋がっていきます。
福祉用具専門相談員はきつい?
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福祉用具専門相談員は、さまざまな福祉用具の特徴や扱い方を熟知する必要があります。
また、電動ベッドや移動用リフトなど高価で重量のある用具を扱うことが多い仕事です。
そのため、用具の搬入・組み立てにおいて重労働と感じる方もいます。
また、福祉用具は生活を便利にする一方で、使い方を誤ると事故につながるケースも少なくありません。
- 電動ベッドに挟まる事故
- 在宅酸素機器の動作不良
などにより、利用者の生命に関わることもあるでしょう。
そのため、用具に不具合があればすぐにメンテナンスに駆け付け、対応するフットワークの軽さが求められます。
急な連絡に対応することがきついと感じることもあるでしょう。
その他、契約件数のノルマや必要書類の作成などもあり、思ったよりも仕事の幅が広いと思う方もいるようです。
福祉用具専門相談員に向いてる人
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福祉用具専門相談員は、利用者・家族・関係職種など、さまざまな人と関わる仕事です。
また、さまざまな用具の特徴を熟知し、かつ制度の変化に柔軟に対応できる必要があります。
そのため、
- 人と関わることが好きな人
- 物の特徴や仕組みを知ることが好きな人
- 用具の扱い方をわかりやすく説明できる人
- 用具をニーズに合わせて提案できる人
- 利用者のニーズの変化に気づける人
- 関係者との人間関係構築が得意な人
- 日々変化する用具の情報を早くキャッチできる人
などが向いているといえるでしょう。
福祉用具専門相談員について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読みください。
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福祉用具専門相談員の年収や給料
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福祉用具専門相談員の年収や給料についてご紹介します。
給料の平均相場は、約21〜27万円です。
年収ではおよそ324万円です。
勤務する会社によっては、営業成績・ノルマの達成状況によりインセンティブが発生することもあります。
国税庁の「令和3年9月民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の1人当たりの平均給与は433万円です。
平均と比較すると低いことがわかります。
もし給与を上げていきたいのであれば、
- 待遇の良い会社へ転職する
- 関連する資格を取得しキャリアアップする
など検討してもよいでしょう。
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福祉用具専門相談員と類似する他の資格
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気になる資格がありましたら、以下のリンクからご確認ください。 介護とは人の命に係わる仕事です。いろいろな専門性が求められるため、国家資格から民間の資格までさまざまな資格があります。具体的にはどのような資格があるのでしょうか?本記事では、介護の資格について以下の点を中心にご紹介します[…]
資格名 | 資格概要 | 受験資格 | 資格試験実施機関 |
ガイドヘルパー | 一人で外出するのが困難な視覚障がいを持つ方、全身性障がいを持つ方、知的・精神障がいを持つ方などの外出同行や移動を支援する職業のことです。 | 特になし | 平均して2〜5日です。 受講料などは自治体や事業所によって異なります。 |
レクリエーション介護士 | 介護の基礎知識をもとに、利用者さまが喜ぶレクリエーションを企画・実施できる人材を育成するための資格です。 | 特になし | 日本アクティブコミュニティ協会が認定する機関で講座を受講する必要があります。 |
福祉住環境コーディネーター | 高齢者や障がい者に対して住みやすい住環境を提案するアドバイザーです。 | 特になし | 7月~12月にかけて級ごとに実施 |
精神保健福祉士 | 主に精神保健福祉分野で活動する専門職の国家資格です。 | 養成施設や専門学校等で専門的なカリキュラムを履修する必要があります。 | 年1回2月初旬に行われます。 |
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福祉用具専門相談員の将来性とは?
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日本の総人口(統計局2021年9月15日推計)は、前年に比べ約51万人減少していますが、一方で65歳以上の高齢者は、前年に比べ約22万人増加し過去最多となっています。
今後さらに高齢化が進み、福祉用具サービスを利用する人たちが増加すると考えられます。
福祉用具専門相談員が必要とされる場面は、ますます増えていくことでしょう。
出典:総務省統計局
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福祉用具専門相談員のまとめ
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今回は福祉用具専門相談員についてご紹介しました。
福祉用具専門相談員についての要点を以下にまとめます。
- 福祉用具専門相談員は、福祉用具の選定、計画、適合、モニタリングが主な仕事
- 「福祉用具専門相談員指定講習」を修了することで資格を取得できる
- 資格を取得すると仕事の幅が広がり、介護施設・事業所への就職でも有利に働く
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。