家族が介護状態である場合、介護のために仕事を休まなければならないこともあります。
介護のために仕事を休むことを介護休業といいます。
介護休業時に安心して介護に専念できるようにする制度が介護休業給付金です。
介護休業給付金制度とはどのような制度なのでしょうか?
本記事では介護休業給付金について以下の点を中心にご紹介します。
- 介護休業給付金はどのような人がもらえるのか
- 介護休業給付金の手続きはどうしたらいいのか
- 介護休業給付金はいつもらえるのか
介護休業給付金について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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介護休業とは
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介護休業とは、家族の介護をするため一時的な休業を取得できる制度です。
2週間以上を目安に、仕事を休んで介護する場合に取得することができます。
また、介護休業が終わった段階で復職することが前提となっています。
介護休業が終わったあとに離職することが決まっている人は、取得することができません。
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介護休暇との違い
介護休業とよく似た制度として介護休暇があります。
2つの制度の大きな違いは、介護による休みの取得可能日数です。
介護休業は通算93日間に対し、介護休暇は年間最大5日間となっています。
また会社によって異なるものの、介護休暇は原則無給です。
対して介護休業は、条件によって介護休業給付金を受け取ることが可能です。
介護を理由に休む期間は、介護を必要とする方の状態や家族構成によって変わります。
期間や条件をトータルで考え、どちらを取得するか決定しましょう。
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介護休業給付金とは
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介護休業給付金とは介護休業中にもらえる給付金です。
具体的にどのような給付金制度なのでしょうか?
介護休業給付金についてご紹介します。
制度について
介護休業給付金制度は、介護休業中に給料の67%まで保証される制度です。
介護休業は、育児休業と同じように法律で認められた権利です。
介護休業は、条件が満たされた場合に最大で93日まで、分割で3回まで可能です。
支給対象者
介護休業給付金の支給対象者は、「働いている人」です。
そのため、正社員だけでなく、パート、アルバイト、契約社員、派遣社員など全ての働く人が対象になっています。
働き方にもいろいろな形がありますが、労働契約に期間があるかないかでも条件が異なります。
無期労働者の場合
無期労働者とは、正社員に代表されるように雇用期間が無期限である人のことです。
無期労働者の場合、介護休業を取得した日よりも前の2年間、雇用保険に加入している時期が12カ月以上であることが条件です。
有期労働者の場合
有期労働者とは、1年、あるいは6か月単位で雇用主と契約を締結、または更新している人です。
一般に契約社員、派遣社員、パート、アルバイトなどは有期労働者です。
有期労働者の場合、無期労働者の条件に加え、同じ会社で1年以上働いていることが条件となります。
介護休業取得開始予定日から「93日+6カ月」過ぎる日まで労働契約や更新後の契約が続くことも条件です。
給付内容
介護休業給付金の給付内容は、支給単位期間によって支払われます。
支給単位期間とは、介護休業が始まった日から1カ月です。
介護が終わった日が1カ月未満だった場合は、働いた日数が10日以下、全日休業している日が1日以上であることが条件となっています。
支給額
介護休業給付金の支給額はどのように決まるのでしょうか?
介護休業給付金の支給額についてご紹介します。
計算方法
介護休業給付金の支給額は以下のような計算式で計算することができます。
- 賃金(日割り)×支給日数×67%
月給が15万円の場合なら約10万円、30万円の場合なら約20万円の支給となります。
注意点
支給額で給料の67%をもらえるのは、会社から他の給付金を支給されていない場合のことです。
介護休業中に有給休暇、各種手当などの給与を受け取った場合、給付金が減額される可能性もあるので注意が必要です。
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介護休業給付金申請手続きの流れ
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介護休業給付金はどのように手続きするのでしょうか?
介護休業給付金の手続き方法などをご紹介します。
1.申請書を提出する
介護休業給付金を受給するためには、申請書を提出する必要があります。
雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書は「被保険者の休業開始時の賃金月額証明書」の記載が確認できる賃金台帳や出勤簿などの添付書類が必要です。
介護休業給付金支給申請書
介護休業給付金支給申請書の場合、
- 「事業主に提出した介護休業申出書」
- 「住民票記載事項証明書」
- 「介護休業の開始日と終了日、介護休業期間の休業日数が確認できる書類」
- 「介護休業期間に支払われた賃金が確認できる賃金台帳など」
などの書類を添付します。
提出者
申請するときの書類は、基本的に事業者がハローワークに提出します。
しかし、何らかの理由があれば介護休業する本人が提出することも可能です。
提出先
提出先は、事業所の所在地を管轄するハローワークに提出します。
提出期限
介護休業給付金の申請提出期限は、介護休業が終了した次の日から2カ月後の月末となっています。
たとえば8月20日に介護休業が終了したならば、介護休業給付金申請を提出できるのは、8月21日から10月31日までです。
2.支給決定通知
介護休業給付金の申請後、審議されます。
審議の結果、支給額などが記載された「支給決定通知書」あるいは「不支給決定通知書」が送られてきます。
3.振込支給
「支給決定通知書」を受け取って、約1週間前後で本人指定の金融機関の口座に振り込まれます。
介護休業給付金の注意点
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介護休業給付金には、いくつかの注意点があります。
介護休業給付金の注意点をご紹介します。
介護休業終了後に給付される
介護休業給付金は、休職中にもらえる給付金ではありません。
介護休業給付金は、介護休業が終了し、申請受理後に初めてもらえる給付金です。
介護休業中はもらえないので、経済的な計画はしっかり立てておくことが大切です。
介護休業中に就労した場合
介護休業期間中に働いた日が1カ月に10日以上あると、介護休業給付金の支給対象外となります。
また、介護休業中に働いて得た賃金が給付額の80%を超える金額である場合、支給額はありません。
同じ介護者に対して原則1回のみ
介護休業は、同じ介護者に対して最高で93日、原則1回のみ利用可能です。
ただし93日に満たなければ、3回までは分割することができます。
別の介護者に対しては、受給資格を満たしていれば給付を受けることができます。
受給中に離職した場合
介護休業給付金の目的は、介護で仕事を休業しても復職できる環境を整えることです。
そのため、介護休業の途中で離職、あるいは介護休業後に離職することがわかっている場合には受給資格を失うので注意しましょう。
他の給付と同時に受給できない
「もしも」のときに、国ではいろいろな給付金制度を用意しています。
しかし、介護休業給付金はほかの給付金と同時に受け取れないので注意しましょう。
たとえば、介護休業中に産前・産後休業や育児休業を取ることはできません。
介護は仕事と両立できる?
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最近では、仕事と介護を両立させるためのサポートやサービスが充実してきました。
たとえば、市区町村による地域包括支援センターやケアマネージャーなどに相談することができます。
働きながら、介護ができる環境を整えることが大切です。
介護休業中の93日間を、働きながら介護する環境を整えるために有効に使いましょう。
介護休業給付金のまとめ
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今回は介護休業給付金についてご紹介しました。
介護休業給付金についての要点を以下にまとめます。
- 介護休業は1年以上の雇用期間がある・2週間以上の常時介護が必要・職場復帰を前提としているなどの条件が必要
- 介護休業給付金の手続きは、基本的に事業所が書類を用意してハローワークに提出する
- 介護休業給付金は介護休業が終わってから申請し、給付される
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。