要介護者とは、高齢者だけでなく難病を抱える方も含まれます。
介護資格の中には、難病患者のケアに特化した「難病患者等ホームヘルパー」という資格が存在します。
難病患者等ホームヘルパーとは具体的にどのような仕事なのでしょうか?
本記事では、難病患者等ホームヘルパーについて、以下の点をご紹介します。
- 難病患者等ホームヘルパーとは
- 難病患者等ホームヘルパーの資格取得方法
難病患者等ホームヘルパーについて理解するためにも、ご参考にしていただけますと幸いです。
ぜひ、最後までお読みください。
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難病患者等ホームヘルパーとは
難病患者等ホームヘルパーとは、特定疾患や難病を抱える方に訪問型の介護・生活援助を行う専門職員です。
利用対象者は、特定疾患または難病を患っており、かつ在宅での生活にサポート・見守りを必要とする方です。
難病患者等ホームヘルパーの仕事内容
難病患者等ホームヘルパーは、利用者の心身状態にあわせて、適切な介護・家事援助などを提供します。
難病患者等ホームヘルパーの仕事内容は、基本的に従来のホームヘルパーと同じです。
利用者の心のケアも難病患者等ホームヘルパーの重要な仕事の1つです。
難病が原因で、気分が落ち込んだり悲観的になったりする利用者は少なくありません。
難病患者等ホームヘルパーは、難病を抱える方の心情を理解したうえで、利用者の心情に寄り添うことが求められます。
ときには利用者だけでなく、利用者の家族の話し相手になることもあります。
ただし、難病患者等ホームヘルパーの目的は、利用者の自立した生活・社会参加の促進です。
ただ悲しみに寄り添うだけが役割ではありません。
難病を抱えていても、自立した生活・社会参加に前向きに取り組めるようなサポート方法を考えなければなりません。
サービスを提供する際は、各利用者の多様なニーズにあわせた適切なサポートを行なう必要があります。
そのため、難病患者等ホームヘルパーには、難病患者1人1人のニーズに応えるべく、さまざまな介護の知識・技術が求められます。
【難病患者等ホームヘルパーの仕事内容】
- 身体的介護(食事・排泄・入浴の介助など)
- 家事援助(食事づくり・清掃・洗濯など)
- 通院などの付き添い・介護
- 見守りサポート
- 利用者、家族の心のケア
- できるかぎり自立した日常生活の支援
- 社会参加の促進
ホームヘルパーとの違い
難病患者等ホームヘルパーは、難病・特定疾患患者のケアに関する知識・技術を有しています。
それぞれの難病の特性を理解したうえで、各利用者に適切な介護サービスを提供しなければなりません。
ホームヘルパーも、ある程度病気の知識を持ってはいます。
しかし、難病患者等ホームヘルパーには、一般にはあまり知られていない「難病」に関する専門的な知識が求められます。
その他には、難病患者等ホームヘルパーとホームヘルパーの違いはほとんどありません。
難病患者等ホームヘルパーはホームヘルパーと同じく、訪問介護事業所に所属し、利用者の居宅を訪問してサービスを行います。
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難病患者等ホームヘルパーはどんな資格?
難病患者等ホームヘルパーは、在宅医療を受けている難病患者が、できるかぎり自立した生活や社会参加ができるよう支援を行うための資格です。
難病患者等ホームヘルパーの資格は、難病患者の生活の質を向上させることを目的としています。
資格を取得するには、個々のニーズに合わせたサービスを提供するための専門的な知識・技術が必要です。
難病患者等ホームヘルパーの取得方法
難病患者等ホームヘルパー資格を取得するには、難病患者等ホームヘルパー養成講座を修了する必要があります。
難病患者等ホームヘルパー養成講座は、自治体の指定する教育機関で開催されます。
なお、修了試験や資格試験はありません。
難病患者等ホームヘルパーの受講資格
難病患者等ホームヘルパー養成講座には3つの課程があります。
どの課程を修了しても資格取得は可能です。
ただし、課程によって受講資格が異なります。
それぞれの過程の受講資格は以下の通りです。
課程 | 受講資格 |
入門講座 | ホームヘルパー3級 介護福祉士 |
基礎課程Ⅰ | ホームヘルパー2級 介護職員初任者研修の修了者または履修中 介護福祉士 |
基礎課程Ⅱ | ホームヘルパー1級 介護職員基礎研修修了者 実務者研修修了者または履修中 介護福祉士 |
難病患者等ホームヘルパーを受講するには?
難病患者等ホームヘルパー養成講座を受講するには、自治体の指定教育機関に申し込みます。
開催場所・開催日時・開催している課程は自治体・教育機関によって異なります。
詳細は自治体に問い合わせるか、ホームページなどで確認してください。
あわせて、自分が受講できる課程はどれかも確認しましょう。
難病患者等ホームヘルパーの養成カリキュラム
難病患者等ホームヘルパー養成講座の内容は、課程によって異なります。
課程ごとのカリキュラムを紹介します。
実際の科目名などは自治体・教育機関によって異なります。
それぞれの課程でのカリキュラムは以下の通りです。
課程 | カリキュラム |
入門講座 | 難病の保健・医療・福祉制度 難病入門 患者の心理と家族の理解 |
基礎課程Ⅰ | 難病の保健・医療・福祉制度 基礎知識 患者の心理と家族の理解 |
基礎課程Ⅱ | 難病の保健・医療・福祉制度 基礎知識 難病患者の心理学的援助法 介護の実際カリキュラム |
難病患者等ホームヘルパーを取得するメリット
難病患者等ホームヘルパーの資格を取得する主なメリットは、専門性の高い知識・技術が身につくことです。
介護職としてスキルアップをはかるだけでなく、仕事の幅を大きく広げられます。
たとえば、難病患者等ホームヘルパーだけでなく、高齢者向けの介護施設やグループホームなどにも活躍の場はあります。
有資格者であることから、就職・転職・給与・福利厚生などで優遇されやすいのもメリットの1つです。
もう1つのメリットして、資格取得に試験がないことも挙げられます。
一定の受講条件はありますが、条件さえ満たしていれば、研修受講のみで難病患者等ホームヘルパーの資格を取得できます。
介護職としてキャリアアップやスキルアップを図るなら、取得を検討する価値のある資格です。
【メリット】
- 専門性の高い介護知識・技術を身につけられる
- 仕事の幅が広がる
- 就職・転職を有利に進めやすい
- 給与や福利厚生で優遇されやすい
- 資格試験なしで取得できる
難病患者等ホームヘルパーの給与相場
難病患者等ホームヘルパーの給与額に関する公的機関の発表はありません。
なお、厚生労働省によると、令和2年度の介護職員の平均月給額は以下の通りでした。
【介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅱ)を取得(届出)している事業所における介護 職員(月給・常勤の者)の平均給与額】
- 介護職員:32万5550円
出典:厚生労働省【令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要】
難病患者等ホームヘルパーなどの有資格者には、基本給に資格手当がつくことがあります。
したがって、難病患者等ホームヘルパーの給与相場は、一般的な介護職員と比較して高くなる場合があります。
資格手当の有無や具体的な給与額は、地域・施設・経歴・年数によって異なります。
給与に関しては、事前に確認しましょう。
いまの給与に満足できない場合、転職も方法の1つです。
難病患者等ホームヘルパーの有資格者であることを武器に、より好条件の職場を探してみましょう。
難病患者等ホームヘルパーのまとめ
ここまで、難病患者等ホームヘルパーについてお伝えしてきました。
難病患者等ホームヘルパーの要点を以下にまとめます。
- 難病患者等ホームヘルパー資格は、難病患者の自立・社会参加の促進を目的とする
- 難病患者等ホームヘルパーは多様化する難病患者のニーズにあわせたサービスを提供する介護スタッフ
- 難病患者等ホームヘルパーの資格取得方法は、自治体が指定する教育機関で所定の研修を受講すること
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。