視覚障がい者の方の生活をフォローする資格の1つに、同行援護従業者があります。
同行援護従業者は文字通り、同行して援護する役割を担います。
同行援護従業者とは具体的にどのような仕事をするのでしょうか?
また、どのように資格取得するのでしょうか?
本記事では、同行援護従業者について以下の内容を中心に解説していきます。
- 同行援護従業者の役割
- 同行援護従業者の取得方法やメリット
同行援護従業者について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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同行援護従業者とは
2011年に厚生労働省が「同行援護」を施行しました。
同行援護従業者とは、視覚障がい者の外出を手助けするための資格です。
主に以下のような仕事内容となっています。
- 外出時に同行し、移動に必要な情報を教える
- 移動時に必要なフォローや、排せつ・食事等身の回りのことを手伝う
日常生活を送る上で、視覚からの情報が8割を占めると言われています。
視覚障がい者の方にとって1人での外出はハードルが高く、なかなか実行に移せません。
外出に必要な代筆や代読も含め、ドアの開け閉めや屋外での階段の昇り降りに対してのサポートを行います。
視覚障がい者の方1人1人に合った方法で「外出を楽しむ」ためのサポートをするのが同行援護従業者です。
どんなスキルが身に付く?
視覚障がい者の方の「目」となってサポートする仕事です。
色々な場面で、視覚障がい者の方へ最善のサポートをするので、様々な分野のスキルが身に付きます。
移動時のサポートや排せつ・食事の介助、代筆や代読にいたるまで様々なスキルが必要となります。
また、家の中にいる時と違い、周りの状況を見ながら介助の方法も変えていく必要があります。
どこで役に立つ?
同行援護従業者の資格を取ることで以下のような場面で役に立ちます。
- 障がい者(児)ホームヘルパーステーション
- 身体障がい者施設
- 在宅介護サービスを行う民間事業者
- ガイドヘルパー事業所
- グループホーム
様々な場所で、視覚障がい者の方のサポートが可能となります。
視覚障がい者の方やその家族が、「外出することの楽しさを味わい、生きがいを感じる」ために役立つ資格です。
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同行援護従業者を取得するメリット
同行援護従業者を取得するとどのようなメリットがあるのでしょうか?
同行援護従業者の資格取得のメリットをご紹介します。
スキルがアップする
外出先で起こる全ての出来事をフォローする必要があります。
介助のための知識や臨機応変な対応が必要になり、自分自身のスキルアップが期待できます。
介護の実践ですぐに使える
資格取得の際、実際に電車に乗って介助の練習をすることもあります。
そのため、身につけた技術を即実践で使うことができます。
資格取得者を必要とする事業所や視覚障がい者の方が多くいるため、即戦力として活躍できます。
キャリアアップにつながる
障がい者施設や介護施設等で働く人にとっては、仕事の幅が広がる資格となります。
事業者は同行援護従業者を雇うことで報酬の加算を受けられます。
したがって、有資格者は事業所にメリットがあるので、転職に有利になる可能性があります。
同行援護従業者とガイドヘルパーの違い
同行援護従業者とガイドヘルパーの特徴は以下の通りです。
- 同行援護従業者…視覚障がい者の方の外出時におけるサポートをする人
- ガイドヘルパー(移動支援従業者)…身体的・知的・視覚・聴覚障がい等の様々な障がいを持つ方の移動をサポートする人の総称
よって、ガイドヘルパー(移動支援従業者)のなかの1つに同行援護従業者があるという認識になります。
ガイドヘルパーには同行援護従業者の他に、行動援護従業者(知的・精神障がい者を対象)と、全身性障害者移動介護従業者(全身性障がい者を対象)という2つの資格があります。
同行援護従業者の取得方法
同行援護従業者の資格は、都道府県・市町村が指定した機関での研修を受講し、修了することです。
また、試験はありません。
都道府県が実施する研修の他に、いくつかの外部団体でも受講が可能となっています。
同行援護従業者の研修が受けられる外部団体
- 未来ケアカレッジ(同行援護従業者養成研修)
- 三幸福祉カレッジ(視覚障がい者同行援護従業者養成研修)
同行援護従業者の受験資格
同行援護従業者資格には以下の2段階があります。
- 一般課程
- 応用課程
それぞれ受験資格には違いがあります。
一般課程
受験資格はないため、誰でも受験可能です。
一般課程においては、受験資格は特になく「介護職員初任者研修」「介護福祉士」等の資格も必要ありません。
応用課程
同行援護従業者一般課程養成研修の修了者が対象となります。
また、移動支援従業者養成研修(視覚障害課程)の資格取得者も対象となります。
移動支援従業者とは、ガイドヘルパーのことです。
また、応用課程を修了すると、同行援護の介護事務所でサービス提供責任者となることが可能です。
サービス提供責任者とは、ケアマネージャーとヘルパーとの連絡・調整をする役割の人のことをいいます。
同行援護従業者の学習カリキュラム
続いて各課程の学習カリキュラムです。
【一般課程・講義項目】
講義項目 | 必要時間数 |
視覚障がい者(児)福祉サービス | 1時間 |
同行援護の制度・従業者の業務 | 2時間 |
障がい・疾病の理解① | 2時間 |
障がい者(児)の心理① | 1時間 |
情報支援と情報提供 | 2時間 |
代筆・代読の基礎知識 | 2時間 |
同行援護の基礎知識 | 2時間 |
計 | 12時間 |
【一般課程・演習項目】
講義項目 | 必要時間数 |
基本技能 | 4時間 |
応用技能 | 4時間 |
計 | 8時間 |
【応用課程・講義項目】
講義項目 | 必要時間数 |
障がい・疾病の理解① | 1時間 |
障がい者(児)の心理① | 1時間 |
計 | 2時間 |
【応用課程・演習項目】
講義項目 | 必要時間数 |
場面別基本技能 | 3時間 |
場面別応用技能 | 3時間 |
交通機関の利用 | 4時間 |
計 | 10時間 |
受講料は養成機関や取得資格によって異なる場合がありますので、事前の確認が必要です。
同行援護従業者のまとめ
今回は、同行援護従業者についてご紹介しました。
同行援護従業者についての要点を以下にまとめます。
- 同行援護従業者とは、視覚障がい者の「目」となり様々な支援を行う人
- 同行援護従業者を取得するメリットは、スキルアップ可能・すぐに実践できる・キャリアアップにつながること
- 同行援護従業者の取得方法は、養成研修の受講のみのため、短期間で取得可能
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。