介護業界は常に人手を欲しています。
つまり売り手市場といえますが、働くうえで専門的な知識・技術は必要ないのでしょうか。
本記事では無資格で介護職として働くことについて、以下の点を中心にご紹介します。
- 無資格でもできる介護業務とは
- 無資格ではできない介護業務とは
- 無資格で介護職として働くメリット・デメリット
無資格で介護職として働く事柄について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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無資格の人でも介護の職場で働ける?
無資格でも介護関連の仕事に就くのは可能です。
ただし、できる業務とできない業務があります。
まずは無資格でもできる介護業務をみていきましょう。
介護の補助的な業務
介護業務は大きく分けて「生活援助」と「身体介護」があります。
生活援助は食事づくり・掃除・洗濯などの家事が中心です。
一方、身体介護とは、利用者の身体に直接触れる介護を指します。
代表的なのは食事・入浴・排泄などの介助です。
介護施設・有料老人ホームにおいては、無資格の方は身体介護と生活援助のどちらにでも関われます。
ただし、身体介護に関しては、有資格者などのサポートに回ることがほとんどです。
利用者の身体に触れるには、介護の基礎知識が必要であるためです。
無資格者は多くの場合、「介護助手」という立場で介護業務の補助をします。
たとえば有資格者の指示にしたがって、清掃や食事運び、備品の管理などをすることが多いです。
対象者の送迎
通所介護の事業所などでは、利用者の送迎が任されることもあります。
もちろん普通自動車免許を取得していることが前提の業務です。
具体的な業務内容は、利用者を自宅まで迎えに行ったり、施設から自宅まで送り届けたりすることです。
自動車免許は必要ですが、無資格でも担当できる仕事の1つです。
ただし、利用者の乗降の介助に関しては、無資格ではできません。
事務作業
無資格の方は事務作業を任されることが多いです。
たとえば利用者の受付や電話・来客応対、備品の発注・管理などがあります。
介護報酬の請求業務を任されることもあります。
ただし介護報酬請求業務は複雑なため、介護事務職員が担当する事業所もあります。
そのほか、利用者の方向けのレクリエーションの企画なども仕事の1つです。
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無資格の人ができない介護業務
無資格ではできない介護業務は、訪問介護サービスです。
訪問介護サービスでの介護業務は、無資格の方は担当できません。
訪問介護業務とは、利用者宅を訪問して、食事・入浴・排泄などの介助をすることです。
身体介護は、介護職員初任者研修以上の有資格者しか行えないためです。
ちなみに施設内の身体介護業務であれば、無資格でも担当できる場合もあります。
理由は、施設内であれば無資格の方は有資格者の指導のもとで働けるためです。
一方、訪問介護業務では、利用者宅を訪問するのは基本的に1人です。
すなわち有資格者の監督がないため、無資格の方は身体介護業務を担当できないのです。
なお、訪問介護サービスには、身体介護以外の業務も含まれます。
たとえば食事づくりや、掃除・洗濯などの生活援助が代表的です。
生活援助に関しても、無資格では担当は難しいです。
一般的には、「生活援助従事者研修」を修了した方しか生活援助サービスは提供できません。
無資格のメリットとデメリット
無資格で介護職として働くには、メリットとデメリットの両方が存在します。
メリット
無資格で介護職として働くメリットは以下の通りです。
- 資格取得の時間が必要ないため、すぐに働ける
- 資格取得のための経済的負担がない
- 働きながら、実践的に介護に関する知識・技術を学べる
- 介護業務に興味はあるが、いきなり身体介護をするのは抵抗がある方でも働きやすい
無資格で働くと、身体介護など負担の大きい介護業務をすぐに任されることはありません。
そのため介護業界に興味はあるものの、すぐに実務に携わるのは不安という方でも、比較的安心して働けます。
デメリット
無資格で介護職として働くデメリットは以下の通りです。
- 有資格者に比べると給料が安い
- 有資格者に比べると就職・転職で採用されにくい
- 介護の現場に出ても、できることが少ない
もっとも大きなデメリットは、有資格者に比べると採用・給与・福利厚生が充実していない点です。
また、身体介護などの責任の大きい仕事は担当できません。
そのため介護の現場に出ても、思うようなスキルアップができないこともあります。
無資格の人におすすめの働き方
無資格で介護職として働く場合は、以下の2つに取り組むのもおすすめです。
働きながら介護系の資格を取る
働きながら、介護関連の資格取得を目指しましょう。
介護資格を取得すると給与などの待遇面がよくなります。
さらに、担当できる業務の幅もグンと広がります。
スキルアップ・キャリアアップを狙う方は、介護資格の取得がおすすめです。
介護職員初任者研修を受ける
介護職員初任者研修は、介護資格の入門編ともいえる資格です。
取得者は、身体介護をできるようになります。
取得するには、所定のカリキュラム受講と資格試験の合格が必要です。
介護に関する基礎知識を学ぶため、介護に関する知識が全くない方でも理解は難しくありません。
また、習得までの期間も比較的短めです。
最短なら1カ月ほどで取得できます。
介護職員初任者研修を取得していると、業務の幅が広がるほか、好待遇を期待できます。
もし介護関連の資格取得を目指すなら、まずは介護職員初任者研修がおすすめです。
介護に関連する資格
介護関連の資格は多種多様です。
代表的な資格を紹介します。
介護福祉士
介護関連資格の中で、唯一の国家資格です。
介護職のキャリアアップの最上位資格でもあります。
介護福祉士は介護業務のスペシャリスト的存在です。
実際の介護業務だけでなく、介護スタッフの指導・育成も任されます。
また、介護福祉士について詳しく知りたい方は下記の記事も参考にしてみてください。
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介護福祉士実務者研修
介護職員初任者研修の上位資格です。
実務者研修を修了すると介護福祉士の取得がスムーズになります。
実務者研修では、初任者研修よりも専門的な知識を学びます。
経管栄養や痰吸引など、医療ケアをできる点が大きな特徴です。
単体のみの取得も可能です。
しかし、先に介護職員初任者研修を取得しておくと、資格要件の一部が免除になります。
社会福祉士
国家資格の1つで、いわゆる「ソーシャルワーカー」と呼ばれる専門職です。
社会福祉全般の知識を習得します。
社会福祉士の役割は社会的に立場が弱い方へのサポートです。
たとえば高齢者のほか、児童・妊婦・障がい者などの全般的な支援を行います。
介護施設においては「生活相談員」として活躍するケースも多いです。
また、社会福祉士について詳しく知りたい方は下記の記事も参考にしてみてください。
「介護福祉士と社会福祉士はどちらの資格が取りやすい?」「資格を取るのにはどうしたらいい?」と悩んでいる方も多いと思います。どちらも介護に関する資格ではありますが、どのような違いがあるのでしょうか?それぞれの特徴を把握し、自分の希[…]
介護支援専門員
いわゆる「ケアマネージャー」です。
介護保険のスペシャリスト的存在です。
主な仕事は、ケアプランの作成です。
そのほか、要介護者が適切な介護サービスを利用できるよう、さまざまな面からサポートを行います。
レクリエーション介護士
高齢者の方向けのレクリエーションの企画・実施するための資格です。
1級と2級があります。
主な役割は、身体機能や目的にあわせて、高齢者に的確なレクリエーション内容を企画・実施することです。
高齢者とのコミュニケーションスキルなども磨けます。
介護事務
主に介護報酬請求業務に関する知識・実務能力を習得します。
介護事務にはたくさんの種類があります。
それぞれ取得要件などが異なるため、自分のニーズにあわせて選択しましょう。
【介護事務の主な種類】
- 介護事務管理士
- 介護事務実務士
- ケアクラーク
- 介護報酬請求事務技能検定試験
- 介護保険事務士
- 介護保険事務管理士
介護とは人の命に係わる仕事です。いろいろな専門性が求められるため、国家資格から民間の資格までさまざまな資格があります。具体的にはどのような資格があるのでしょうか?本記事では、介護の資格について以下の点を中心にご紹介します[…]
無資格で転職・就職するときのポイント
有資格・無資格にかかわらず、なるべく条件の良い職場で働きたいものです。
しかし、無資格の方は有資格者に比べると、就職・転職はやや不利な傾向があります。
そのため、職場探しは丹念に行いましょう。
求人を探す際に注目したいのは、給与・福利厚生・仕事内容・夜勤の有無などです。
ただし、給与が高くても無資格の方には荷が重い職場もあります。
給与が高い分、求められる介護知識・技術も高くなるためです。
なお、介護施設によって、特徴や仕事内容は異なります。
主な施設の特徴を以下にまとめました。
就職・転職の際は、求人の給与・待遇と以下のポイントを比較しながら、職場を探してください。
【特別養護老人ホーム】
- 給与や夜勤手当が高い傾向がある
- 多忙な傾向がある
- 重度の要介護者も多いため介護負担は大きい
【介護老人保健施設】
- 夜勤はあるが仮眠時間が確保されている施設が多い
- ナースがいるため、緊急時対応の負担は少ない
- リハビリや機能訓練に関する業務割合が大きい
【デイサービス】
- 利用者数が比較的少ない
- 基本的にオンコール対応がない
- 給与が比較的安い
【有料老人ホーム】
- 給与が比較的高い
- 利用者・家族への接遇マナーが重視される
無資格で介護職として働くときの給料
令和2年の無資格の介護職員の平均給与額は 27万5,920円でした。
有資格者を含めた介護職員全体の中では、もっとも低い金額です。
なお、介護職員の中でもっとも給与が高額なのは介護支援専門員です。
具体的には 36万8,030円でした。
介護施設の種別に無資格者の平均給与額を比較してみましょう。
【介護職員の平均給与額等(月給・常勤の者),サービス種類別,保有資格別(処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅴ)を取得している事業所)】
全体 | 27万5,920円 |
介護老人福祉施設 | 30万1,760円 |
介護療養型医療施設 | 25万5,410円 |
通所介護事業所 | 24万9,830円 |
通所リハビリテーション事業所 | 26万6,450円 |
特定施設入居者生活介護事業所 | 27万7,710円 |
小規模多機能型居宅介護事業所 | 24万1,490円 |
認知症対応型共同生活介護事業所 | 25万6,420円 |
上記の中では介護老人福祉施設の給与がもっとも高額になりました。
なお、いずれの施設であっても、無資格職員は有資格職員よりも給与が低いです。
収入アップを望むなら、介護資格の取得がおすすめです。
介護支援専門員や介護福祉士は取得までにやや期間がかかりますが、その分だけ好待遇を期待できます。
介護資格の中には働きながら取得できるものも少なくありません。
自分のニーズに合った資格を探してみましょう。
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介護は無資格でも働ける?まとめ
ここまで、無資格で介護職として働く事柄についてお伝えしてきました。
無資格で介護職として働く事柄の要点を以下にまとめます。
- 無資格でもできる介護業務とは、介護業務のサポートや事務作業、利用者の送迎など
- 無資格で訪問介護業務はできない
- 無資格で介護職として働くメリットは、資格取得の期間・費用無しですぐに働ける点だが、給与・待遇面などにデメリットがある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。