パタカラ体操は介護や医療の現場でよく使われる体操です。
体操を行うことで、さまざまな効果が期待できます。
ただ、やり方を間違えてしまうと充分な効果が発揮されません。
皆さんはパタカラ体操の正しいやり方や得られる効果を理解していますか?
本記事ではパタカラ体操について以下の点を中心にご紹介します。
- パタカラ体操とは
- パタカラ体操のやり方
- パタカラ体操の効果
パタカラ体操について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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パタカラ体操とは
パタカラ体操とは、「パ」「タ」「カ」「ラ」と発音することで、口や舌を動かし食べたり飲んだりする機能の維持向上がはかれる体操です。
パタカラ体操を行うことで、唾液の分泌を良くしたり、誤えんを防ぐことができます。
口を大きく動かしてハッキリと発音することがポイントです。
実際の流れは以下の通りです。
- 「パ」を5回「パ、パ、パ…」
- 「タ」を5回「タ、タ、タ…」
- 「カ」を5回「カ、カ、カ…」
- 「ラ」を5回「ラ、ラ、ラ…」
- 1文字ずつ「パ・タ・カ・ラ」を5回
- 「パタカラ、パタカラ、パタカラ…(5回)」を3セットを行う
実際にやってみるとよく分かりますが、これだけで唾液がすごくでてきます。
食べものを飲み込むときは、筋肉の力が必要なのはもちろんですが、咀嚼し、唾液でからめて飲み込みやすくもしています。
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パタカラ体操のやり方
パタカラ体操には、正しいやり方があります。
順番に説明していきます。
「パ」の音は口を閉じる
パタカラ体操の「パ」は、口を閉じてから大きく口を開けて発声するようにしましょう。
ごはんを飲み込むときは、口をしっかり閉じなければ上手くいきません。
また、口を閉じなければ口に入れたものがでてきてしまいます。
「パ」の動きは、食べものを咀嚼するときに口からでてくるのを防ぐ効果もあります。
「タ」の音は舌を上あごにくっつける
パタカラ体操の「タ」は、舌を上あごにつけて発音します。
大げさに口を動かすことで、より口まわりの筋肉を使うことができます。
「タ」の動きは、食べものを押しつぶしたり、飲み込むときに必要な舌の筋肉を鍛えることができます。
「カ」の音は喉の奥を意識する
パタカラ体操の「カ」は、のどの奥を意識してしめるように発声しましょう。
食べものを飲み込むとき、食べものが入らないように気管の入り口が閉まります。
気管の機能が低下していると、誤えんしたり、むせこんだりする原因になります。
「カ」の動きは、のどの奥をしめる筋肉を鍛えるので、誤えんを防ぐ効果が期待できます。
「ラ」の音は舌を丸めるように
パタカラ体操の「ラ」は、舌を丸めるように発声しましょう。
舌を丸める動きは、食べものを飲み込むときに必要になります。
舌がうまく使えていないとなかなか食べものを飲み込むことができません。
「ラ」の動きは、舌を使って食べものを、のどの奥にまで移動させる筋肉を使っています。
「パタカラ」を含む文章
一文字ずつでも、もちろん効果はありますが、文章で意識することにより、さらに様々な筋肉を使えます。
パタカラを含む文章を紹介していくので、意識して読んでみてください。
- 「パンダのたからもの」
- 「タヌキがたのしく、タンバリンをたたいた」
- 「カラスがカアカア、かきくけこ、とないた」
- 「ラッコがらんらん、らっきょうをつけた」
上記文章を、パタカラを意識しつつ笑顔で読み上げれば効果もアップします。
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パタカラ体操の効果
パタカラ体操には、さまざまな効果があります。
効果をそれぞれ説明していきます。
噛む・飲み込む力の維持・改善
パタカラ体操を行うことで、噛むときや飲み込むときに使う筋肉を鍛えることができます。
体操を続けていると、食事中にむせることが少なくなったり、飲み込みやすくなったりします。
脳の活性化
パタカラ体操は、主に口まわりの筋肉を刺激して口腔機能を高めるために行われますが、口まわりの筋肉を鍛えることが表情筋を鍛えることにもつながります。
それにより、表情筋に付ずいする筋肉も鍛えられ、顔全体の血流が良くなったりします。
さらに、頭の血流まで良くなることから、脳の活性化につながるといわれています。
いびきの改善
いびきの原因として多いのが舌が奥に入ってしまう、舌根沈下(ぜっこんちんか)という現象です。
舌根沈下は、舌の筋力が落ちることで舌を口の中に留めておくことができずに、のどへと垂れ下がってしまう状態のことをいいます。
パタカラ体操は、舌も動かすことで筋肉も付くため、舌根沈下を防ぐ効果が期待でき、いびきの改善にもなります。
入れ歯が安定する
パタカラ体操で顔の筋肉を鍛えられると、今までやせていた筋肉にハリがでるため、入れ歯を付けたときも安定します。
入れ歯が安定すれば、ごはんをおいしく食べられます。
発音がはっきりする
パタカラ体操をすることで、口も舌もしっかりと動くようになり、発声が良くなります。
コミュニケーションをスムーズに行えるようになるため、余計なストレスを軽減することができます。
口の乾燥を防ぐ
パタカラ体操には、口の乾燥を防ぐ効果もあります。
口まわりに筋肉が落ちてしまうと、自然と口が開いてしまいます。
パタカラ体操で口まわりを鍛えることで、口を閉じるのがラクになり、口の中の乾燥を防ぐことができます。
また、口を閉じることで見た目も良くなります。
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パタカラ体操は食前に
パタカラ体操は、食事前に行いましょう。
理由は、食事に使う筋肉をほとんど使うからです。
食事前に体操を行うことで、唾液が分泌し、ごはんをしっかり食べられるようになります。
健康な人にはあまり分からないかもしれませんが、口腔機能が落ちた人はごはんを食べるのにも苦労するのです。
パタカラ体操を続けることで、徐々に効果が現れるので諦めずに続けてみましょう。
早口言葉で口腔機能は高まる?
口腔機能を高めるためには、パタカラ体操だけでなく、早口言葉もおすすめです。
早口言葉には、口まわりの筋肉を鍛える効果があります。
パタカラ体操と同じように口腔機能の低下を予防したり、向上させたりすることができます。
代表的な早口言葉には以下のようなものがあります。
- 新春シャンソンショー
- 庭には二羽ニワトリがいる
- 蛙ぴょこぴょこ3ぴょこぴょこ、合わせてぴょこぴょこ、6ぴょこぴょこ
口腔機能が低下している人にはかなり難しいですが、できなくてもいいので口を動かしてみましょう。
遊び感覚で楽しめますので、ぜひチャレンジしてみてください。
パタカラ体操は構音障害のリハビリにも有効?
パタカラ体操は、発音をよくする効果があると紹介しました。
そのため、高齢者の方以外のリハビリにも用いられることがあります。
構音障害とは
構音障害とは、言葉を正常にはっきり発音する能力が失われる障害です。
具体的には、
- 話し方がぎこちなくなる、ブツブツ途切れる
- 息の音が混じる
- 不規則になる
- 不明瞭になる
- 単調になる
といった症状です。
ただし、患者は言語を正しく理解し、正しく使用できます。
パタカラ体操の構音障害への効果
構音障害には、呂律が回りにくく言葉を聞きとってもらいにくい特徴があります。
パタカラ体操をすることにより、口周りの筋肉強化、口腔機能や舌の使い方を改善出来ます。
結果、構音障害の改善を目指していくことが可能になります。
パタカラ体操まとめ
今回は、パタカラ体操のやり方から効果まで紹介してきました。
パタカラ体操についての要点を以下にまとめます。
- パタカラ体操は、「パ・タ・カ・ラ」とそれぞれ発音する口の動きで、口腔機能の維持・向上が期待できる
- パタカラ体操は、「パ」「タ」「カ」「ラ」をそれぞれ1つずつ、5回3セットを行ったのちに「パタカラ」とつなげて、5回3セットを行い、口を大きく開けることが大切
- パタカラ体操の効果は、噛んだり飲み込んだりする力を維持・向上させること以外にも、脳の活性化やいびきの改善、入れ歯が安定するなどさまざまある
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。