高齢になり足腰が弱くなると、トイレの心配が増えてきます。
トイレに行く途中やトイレ内での転倒、排泄での粗相などの不安があります。
では利用者が安心してトイレを利用してもらえる環境はどのようなものでしょうか?
本記事では介護施設のトイレについて以下の点を中心にご紹介します。
- 介護施設のトイレ環境とポイント
- トイレ拒否のある認知症の方への対応
- トイレでの感染症対策と注意点
介護施設のトイレについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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介護施設で重要なトイレ環境とは?
介護施設を利用する方にとって最適なトイレ環境とはどのようなものでしょうか。
介護施設でのトイレの環境について以下の内容を中心にそれぞれ解説していきます。
- トイレの場所
- トイレの環境
- トイレの手入れ状況
介護施設トイレの場所
介護施設のトイレの場所は、入居する部屋によって変わってきます。
相部屋の場合、トイレの距離に違いがあります。
共同トイレの場合、部屋から遠くてわかりにくい場合があります。
他にも利用される方がいるため、待ち時間が発生して粗相してしまう恐れがあります。
個室には室内にトイレ付きの場合もあるので、待ち時間が無く安心して使用できます。
介護施設に個室が複数個あるか、共同トイレも複数個所あるか確認すると安心です。
介護施設トイレの環境
介護施設のトイレの環境が、利用者にとって使いやすいことは重要です。
トイレで排泄する時は以下の手順で行います。
- ズボンをおろす
- 便座に座り排泄する
- 拭いてから立ち上がる
- 水を流し衣類を整える
足腰が弱い人がこれらの手順をするのは、思ったよりも負担が大きいものです。
そのためトイレには、掴まって身体をささえる為の手すりが必要になります。
車椅子の方も、一人でトイレを使用する場合があります。
車いすでトイレに入る場合、通常よりも広いスペースが必要です。
介護施設のトイレは、車いすの利用者のために広く作られています。
他にもトイレを一人で使われる方は、トイレ内で介助が必要になることがあります。
もしもの事態に備える為、トイレにはナースコールが設置されています。
介護が必要な方にとっては、ナースコールや手すりが完備されていると安心できます。
介護施設トイレの手入れ状況
介護施設のトイレは、手入れができているかチェックしておく必要があるでしょう。
便器や床が汚れているトイレを使用するのは、気持ちのいいものではありません。
介護施設では、多くの方がトイレを使用しているため汚れやすいようです。
汚れたままですと、雑菌が繁殖しやすく衛生面でも良くありません。
他に、窓を開けたり、換気がしやすい環境になっているかも重要です。
換気は臭いを除去してくれる他、結露やカビを防いでくれる効果もあります。
トイレットペーパーや、除菌スプレーなどの物品が切れていないかも確認します。
除菌スプレーで、使用の度に除菌していることが理想です。
トイレットペーパーなどの物品を切らさず管理できていることは基本です。
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認知症の方のトイレ拒否の原因
認知症の方は時に、トイレに行くことを嫌がることがあります。
認知症の方のトイレ拒否の原因として、以下のようなことがあげられます。
- トイレの場所がわからない
- トイレに行く声掛けのタイミングが合っていない
- トイレが怖い・恥ずかしい
- 失敗するのが怖い
それぞれ解説します。
トイレの場所がわからない
認知症の方は、トイレの場所がわからないためトイレ拒否をすることがあります。
見当識障害でトイレの場所がわからなくなっている場合があるのです。
見当識障害とは、時間や物の場所が認識できなくなる症状です。
部屋や廊下が明るい時には場所がわかっても、暗くなるとわからなくなる場合もあります。
対策として、トイレの場所を分かりやすくする方法があります。
トイレの前に大きな文字で【トイレ】や【便所】などを表示します。
利用者にとってわかりやすい単語で書くと効果的です。
夜間であれば、廊下が暗くてわからなくなってしまう場合があります。
廊下やトイレ前は、照明をつけて明るくするとトイレの場所がわかりやすくなります。
トイレに行く声掛けのタイミングが合っていない
トイレに行く声かけのタイミングが合っていない場合があります。
利用者がトイレに行きたいタイミングに声掛けできていないことが原因です。
対策として、トイレに行きたいタイミングを記録していく方法があります。
もしタイミングが掴めない場合は、数時間おきにトイレの確認をするとよいでしょう。
他にも普段座っている方が立ち上がり、そわそわしている時はトイレに行きたがっている場合があります。
利用者の動きからトイレのサインを察知し、誘導するといいでしょう。
トイレが怖い・恥ずかしい
トイレが怖かったり、恥ずかしいと思うため拒否する時があります。
介護者の前で排泄するのが恥ずかしく思う方もおられます。
失敗するのを見られるのが怖いという心理が働いてしまうのでしょう。
介護施設では他にも利用者がたくさんおられます。
他の方の前で、排泄について聞かれるとさらに恥ずかしく感じてしまいます。
ご本人にトイレを直接尋ねるのではなく、人のいない所で対処しましょう。
歯磨きや、部屋の掃除などの理由をつけて移動するのが良策です。
移動のついでにトイレに行き、排泄を済ませます。
別の用事を作る方法で、利用者の羞恥心に配慮できます。
トイレの中に、ご利用者が好きな写真や絵を飾るなどもおすすめです。
利用者の方が、リラックスできる雰囲気を作るのも良いでしょう。
トイレの照明を変えて明るくすることもいいでしょう。
トイレが怖い場所という印象を、少しでも減らすことが期待できます。
失敗するのが怖い
トイレで失敗するのが怖いため、拒否することがあります。
排泄の失敗で自尊心を傷つけ、トイレでの失敗だけが記憶に残るためです。
介護者もため息や焦り、叱責などで表情や反応に出してしまうのはよくありません。
利用者は、介護者の反応で傷ついてしまうこともあります。
対策として、介護者はトイレでの失敗があっても落ち着いて対応します。
言葉かけは少なめにして、𠮟責したり、暗い雰囲気にしないことが大切です。
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介護施設でトイレコールの多い利用者
介護施設にはトイレコールの多い利用者がいます。
呼び出しがあまりにも多いと、介助者も疲れてしまいます。
トイレコールが多い利用者は、ギリギリまで我慢すると失敗するのではと心配しています。
頻尿の原因は、膀胱炎や前立腺肥大症などの病気が原因の場合もあります。
トイレの訴えが多いとつい面倒に思ったり、反論してしまいがちです。
しかし介助者は利用者の訴えを認めて、理解する姿勢も重要です。
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介護施設のトイレでは感染症対策も徹底する!
介護施設のトイレでは感染症対策を徹底しないといけません。
トイレでの感染拡大が広がる感染症の代表として、ノロウイルスがあります。
ノロウイルスは排泄物や吐物などで、ウイルスが空気中に飛散します。
飛散したウイルスから感染してしまう、非常に感染力の強いウイルスです。
感染を疑われた方が使ったトイレや吐物で、感染が拡大してしまう恐れがあります。
介護施設では感染が疑われた場合、スタッフが協力し、施設内の感染拡大防止に努めます。
感染が疑われる場合、感染対策マニュアルに従い利用者を隔離します。
そして感染した方が使用したトイレを閉鎖します。
感染が疑われなくても、ウイルスを持っている場合もあります。
職員も利用者も、トイレを使った後は塩素系の消毒液で消毒する必要があります。
まずは、除菌スプレーを使用して便器や手すりの消毒をします。
さらに、石鹸を使用した手洗いなどを習慣にするとよいでしょう。
日頃から感染対策をして、いつ発生しても対応できるようにすることが重要なのです。
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介護施設のトイレについてまとめ
今回は介護施設のトイレについてお伝えしました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 部屋の場所によってはトイレが遠いこともある
- 清潔で換気ができており、物品に不足がないか確認が必要
- 認知症高齢者には、トイレをわかりやすくして、利用者の羞恥心に配慮した声掛けや介助をする
- 石鹸の手洗いや便座と手すりの消毒を習慣にしておくことで感染拡大を防止する
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。