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高齢者の脈拍正常値について
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高齢者の健康状態を把握する上で、バイタルチェックはとても重要になります。
バイタルチェックを実施することで、異常の早期発見や病気の予防につながります。
この記事では、高齢者の脈拍に焦点を置き、以下の内容についてご紹介していきます。
- 高齢者の脈拍正常値
- 高齢者のバイタルチェックの重要性
- 目視できるバイタルチェック
- バイタルチェックと医療行為
ぜひ、最後までご覧いただき、高齢者の脈拍測定やバイタルチェックの参考にしてください。
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高齢者の脈拍正常値とは?
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高齢者の脈拍の正常値は、50~70回/分となっています。
成人の脈拍の正常値は60~90回/分であり、成人と比べると高齢者の脈拍は少なくなっています。
その理由として、高齢者は成人に比べて活動量や代謝が少ないことがあげられます。
高齢者は、体内の酸素消費量が低下しているため、心臓がそれほど頑張らなくても十分な役割を果たせます。
そのため、脈拍数が少なくなるということです。
また、脈拍は日常生活や病気によっても変化しやすい数値の1つです。
そのため、生理現象としての脈拍の変化と病気によっての脈拍の変化を見極めることが重要となってきます。
脈拍は食事・運動・入浴などによって変化します。
脈拍の測定はできるだけ安静時の測定を心がけましょう。
脈拍は心臓の拍動によって生み出されるため、心拍数と脈拍数が一致するのが一般的です。
しかし、高血圧や動脈硬化、糖尿病、心臓病などの持病を抱えている高齢者では心拍数と脈拍数が一致しない場合もあります。
上記のような、さまざまな原因で橈骨動脈での脈拍測定が難しい場合もあります。
脈拍の異常を感じたときは、慌てずに反対側の腕で再度測定してみましょう。
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高齢者のバイタルチェックの重要性
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高齢者の健康状態を把握する上で、最低1日1回のバイタルチェックはとても重要です。
定期的なバイタルチェックは、異常の早期発見や病気の予防につながります。
バイタルチェックは主に、
- 体温
- 脈拍
- 血圧
- 呼吸
の4つの項目があります。
それぞれの項目での留意点などについて詳しく見てみましょう。
体温の測定
高齢者と成人では、平均体温にも多少の違いがあります。
高齢者 | 成人 | |
平均体温 | 36.66℃ | 36.89℃ |
成人よりも高齢者の体温は少し低くなっています。
また、体温は1日の中でも変化があります。
日中は夜間に比べるとやや高く、夜間は日中に比べるとやや低くなる傾向があります。
そのため、体温の測定は毎日できるだけ同じ時間にすることが望ましいでしょう。
また、体温は食事・運動・入浴などによって変化します。
できれば起床直後の測定が理想的となります。
脈拍の測定
高齢者の脈拍の正常値は、50〜70回/分といわれています。
高齢者は心臓に持病を持っている方も多いです。
そのため、脈拍の測定は自動血圧計などではなく、橈骨動脈で1分間測定しましょう。
脈拍の測定は回数のみでなく、脈拍のリズムにも注意します。
- 脈拍が一時的に早くなっていないか
- 遅くなったりしていないか
- 1拍飛んだりしていないか
などの不整脈にも注意して測定しましょう。
脈拍も食事・運動・入浴・排泄・緊張などによって変化します。
できるだけ安静時のリラックスしている状態で測定するようにしましょう。
血圧の測定
高齢者 | 成人 | |
血圧(正常値) | 140/90mmHg未満 | 120/80mmHg未満 |
高齢者の血圧は、成人よりもやや高い正常値となっています。
高齢者が特に気をつけなければならない疾患の1つに高血圧があります。
血圧は年齢とともに上昇する傾向にあります。
高血圧は初期の段階では自覚症状がほとんどありません。
しかし、高血圧が持続し、動脈硬化が進むとさまざまな合併症がみられることがあります。
高血圧の合併症として、
- 脳梗塞
- 脳出血
- 狭心症
- 心筋梗塞
- 慢性腎臓病
などの重大な病気につながることもあります。
血圧も食事・運動・入浴・排泄・緊張などによって変化します。
できるだけ安静時のリラックスしている状態で測定するようにしましょう。
呼吸状態の測定
高齢者 | 成人 | |
呼吸数(正常値) | 10~30回/分 | 12~18回/分 |
高齢者の呼吸回数は成人の正常値と比較すると正常値の幅が広くなっています。
高齢者の呼吸回数も食事・運動・入浴・排泄・緊張などによって変化します。
できるだけ安静時のリラックスしている状態で測定するようにしましょう。
また、高齢者は肺の機能が低下する傾向にあります。
呼吸回数とともに呼吸の深さ、リズムについてもしっかり観察することが大切です。
目視でできるバイタルチェック
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バイタルチェックには、体温・脈拍・血圧・呼吸の4項目の測定以外に目で見て判断できる方法があります。
体温計や血圧計がなくても目視でチェックできるバイタルチェックについて詳しく見てみましょう。
歩行状態のチェック
高齢者の身体機能を確認する上で、最も指標となるのが歩行状態になります。
- 歩行速度
- 歩幅の大きさ
- 足のあがる高さ
- 立っている時間の長さ
などを観察することで
- 筋力
- 立位のバランス感覚
- 柔軟性
- 全身協調性
などを総合的に観察することができます。
また、歩行速度は65歳以上でゆっくりと低下しはじめるといわれています。
女性では75歳、男性では80歳以上で日常生活に不自由を感じはじめるともいわれています。
歩行状態を観察することで早期に変化に気づくことができ、要介護度の再認定などにもつながります。
重点的に観察するようにしましょう。
皮膚状態のチェック
高齢者の多くは、失禁という恐れや夜間の排泄回数が増えることを防ぐのため、夜間に水分を摂らないようになります。
また、高齢者はのどの渇きに気づきにくくなり、1日の水分摂取量が低下します。
そのため、脱水症状になってしまうことが多々あります。
脱水症状の観察項目には
- 皮膚や唇のかさつき
- 口腔内の乾燥
- 肌の弾力性
などがあります。
上記の症状を観察して、脱水症状の早期発見に努めましょう。
バイタルチェックと医療行為
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近年の医学・医療機器の進歩、医療・介護サービスの提供には変化が起きています。
その1つに、「医療行為」の範囲の拡大があります。
「医療行為」とは、介護や医療の現場において医療免許資格を有している人のみが行える行為のことです。
医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈では、高齢者のバイタルチェックにおいても「医療行為」とみなされる行為があります。
「医療行為」にならないものとして
- 水銀体温計・電子体温計・耳式電子体温計を用いた体温測定
- 自動血圧計による血圧測定
- 動脈血酸素飽和度を測定するためのパルスオキシメーターの装着
などは「医療行為」としてみなされません。
しかし、バイタルチェックをもとに、投薬の要否など医学的な判断をおこなうことは「医療行為」とみなされます。
バイタルチェックの数値がいつもと異なる場合もあると思います。
その場合は、落ち着いて、かかりつけの医師や看護師などに連絡するようにしましょう。
脈拍と心拍は違う?
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心臓の拍動によって生み出される脈波は通常、心拍数と一致します。
しかし、時には血管や心臓の問題により、心拍数と脈拍数が一致しないことがあります。
このような場合、血管の一部が狭くなったり閉塞したりしている可能性が考えられます。
血液は心臓の拍動によって全身に送られるはずですが、血管の問題によって末梢部まで脈波が届かなくなるため、心拍数が正常でも脈拍数は測定できなくなります。
このような現象は、動脈硬化や高血圧、糖尿病などの持病を抱える高齢者によく見られます。脈拍が異常に少ないと感じた場合は、焦らずに反対側の腕で再度測定し、脈拍数を確認することがおすすめです。
一方、血管ではなく心臓自体が原因で心拍数と脈拍数が一致しないこともあります。
心臓の拍動が弱くなると、血液を運ぶポンプ機能も低下し、脈波も弱くなります。
その結果、心拍数は実際よりも速い状態であっても、末梢部の動脈などでは脈拍が少なく感じられることがあります。
以上のように、脈拍は必ずしも心拍数と一致しないことを覚えておくと良いでしょう。
ただし、具体的な症状や懸念がある場合は、医療専門家に相談することをお勧めします。
高齢者の脈拍正常値のまとめ
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ここまで高齢者のバイタルチェックについてお伝えしてきました。
高齢者の脈拍数、バイタルチェックをまとめると以下の通りです。
- 高齢者の脈拍正常値は50~70回/分である
- バイタルチェックは高齢者の健康状態の把握、異常の早期発見や病気の予防に重要である
- 目視できるバイタルチェックには歩行状態、皮膚の状態がある
- 投薬の要否など医学的な判断をおこなうことは「医療行為」とみなされる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。