介護保険サービスを利用するには要介護認定を受け、要介護度を判定してもらう必要があります。
要介護度には1から5までの段階があり、状態の重さによって受けられる介護サービスは異なります。
要介護度が1から5まであることは知っていても、要介護1と2の違いのように1段階ごとの差を答えられる方は少ないのではないでしょうか?
今回は、要介護度の初めの基準となる要介護1と2の違いについて解説します。
- 要介護度とは
- 要介護認定とは
- 要介護1と2の違いは
- 他の要介護度との違いは
最後までご覧いただき、要介護1と2の違いについて理解していただければ幸いです。
介護保険サービスを利用している方、またはこれから利用しようと思っている方々は、「日常生活自立度」という言葉を聞いたことがありますか?日常生活自立度は要介護認定を受ける際、参考にされる評価尺度であり、関係する書類でよく記載されています。[…]
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要介護度って何?介護認定との関連!
要介護度とは、介護の必要性を段階でわけ表したものです。
要介護度は大きく分けると下記の3つの分類に分かれます。
- 非該当
- 要支援
- 要介護
それぞれ詳しく解説します。
非該当
非該当とは、介護の必要性がないと判断された方のことを指します。
ただし、非該当であっても市区町村で行われている「生活機能維持を目的としたサービス」や「生活支援のサービス」を利用できる場合があります。
お住まいの市区町村や地域包括支援センターにて確認ができます。
要支援
要支援とは、生活に大きな支障はないものの一部に支援を必要とする状態のことを指します。
また、介護予防サービス等の利用で改善が見込める状態であることも要支援の特徴です。
要支援は2段階に分かれており、要支援1の方が状態が軽く、要支援2の方が重いことを指しています。
要介護
日常生活に困難な部分があり、支援を必要とする状態のことを指します。
要介護は、1から5の5段階に分かれています。
要介護も要支援同様、数字が大きくなるごとに状態が重いことを表しています。
要介護認定との関連
要介護度を判定するには要介護認定を受ける必要があります。
要介護度の目安になる情報はたくさんありますが、自身で実際の要介護度を判定することはできません。
専門家による見解や、医師の意見書などを組み合わせて判定を行います。
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要介護認定とは?
要介護認定を以下の順に解説します。
- 要介護認定の流れ
- 要介護度を段階で分ける意味
要介護認定の流れ
要介護認定を受けたい方は、お住まいの市区町村の窓口への申請が必要です。
申請が済むと認定調査員が訪問し、聞き取り調査を行います。
認定調査員による聞き取り調査や、主治医の意見書などをもとに、コンピュータがデータと照らし合わせ1次判定をします。
その後、保健・医療・福祉の専門家により構成された介護認定審査会にその結果がかけられ、2次判定が行われるといった仕組みです。
2次判定が済むと「要介護度」が決定されます。
要介護度を段階で分ける意味
要介護度はその区分によって、使える介護保険サービスが変わってきます。
それは要介護度の区分によって介護保険サービスの利用限度額が変わってくるからです。
下記の表は1か月あたりの利用限度額を、要介護度別に表したものです。
区分 | 利用限度額 |
要支援1 | 5万30円 |
要支援2 | 10万4730円 |
要介護1 | 16万6920円 |
要介護2 | 19万6160円 |
要介護3 | 26万9310円 |
要介護4 | 30万8060円 |
要介護5 | 36万650円 |
出典:厚生労働省『サービスにかかる利用料』
要介護度が判定されている方で介護保険サービスを利用したい場合、介護保険サービスにかかる費用の1割を負担することになります。
(一定の所得を超えている場合は2割または3割です)
介護サービスを全額自己負担で利用しようとすると、介護にかかる費用は要介護度が高いほど高額になります。
そのような家計の負担を防ぐために、要介護度を5区分に分けているのです。
区分に合わせた金銭的支援を行うことで、必要な方に必要な介護支援が届く仕組みとなっています。
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要介護1と2の違いは?
要介護1と2の違いは「1日の中で介護にかかる時間(要介護認定等基準時間)」の違いです。
要介護認定等基準時間とは、要介護認定の際に行う「聞き取り調査」を元に算出される時間です。
要介護認定等基準時間は統計によって出された時間であり、実際に介護を行う時間とは異なります。
下記の表は、要介護度を判定する際に目安となる要介護認定等基準時間です。
区分 | 要介護認定等基準時間 |
要支援1 | 25分以上32分未満 |
要支援2・要介護1 | 32分以上50分未満 |
要介護2 | 50分以上70分未満 |
要介護3 | 70分以上90分未満 |
要介護4 | 90分以上110分未満 |
要介護5 | 110分以上 |
出典:厚生労働省『要介護認定はどのように行われるか』
要介護1と要介護2の特徴とは??
ここからは、要介護1と要介護2のそれぞれの特徴を解説していきます。
そして要介護1と要介護2の特徴がそれぞれわかったところで、要介護1と2の違いをお伝えします。
ただし、できることやできないことには個人差があります。
下記の状態はあくまで目安です。
1つの参考としてご覧ください。
要介護1
多くのことは自身で行えますが、一部の動作に介助が必要となります。
具体的には
- 一人での買い物が難しくなる
- 入浴やトイレなどで一部介助が必要になる
といった状態のことです。
1日の介護にかかる時間は32分以上50分未満とされています。
また要介護1の1か月あたりの介護サービス支給限度額は16万6920円です。
要介護2
要介護1の状態に加えて、食事や歩行の際にも一部介助が必要になります。
特に起こりやすい状態の変化は
- お金の管理が難しくなる
- 薬の管理が難しくなる
- 料理の手順がわからない
- 自身での爪切りが困難
などです。
1日の介護にかかる時間は50分以上70分未満とされています。
また、要介護2の1か月あたりの介護サービス支給限度額は19万6160円です。
要介護1と2の違い
要介護1と2の違いは、1日の介護にかかる時間が「32分以上50分未満」であるか「50分以上70分未満」であるかの違いです。
また要介護2は要介護1に比べ、日常生活機能が更に低下した状態のことを指します。
要介護1と2の違いの具体例としては、要介護1の時までは自身で行えていたお金の管理などが、要介護2以降になると困難になるという状態変化があらわれることです。
困難となる動作が増えていくことで介護にかかる時間も多くなっていきます。
介護認定の際、要介護1と2の違いは?
ここでは下記の2点について解説します。
- 要介護認定のシステム
- 要介護認定の際の要介護1と2の違い
要介護認定のシステム
前述した通り市区町村の窓口に要介護認定を申請すると、認定調査員が訪問してきます。
そこで身体的・精神的なことについて74項目ある基本調査を行います。
その後コンピュータによる1次判定が行われます。
1次判定を行う際、74項目の聞き取り調査の結果に加え、主治医の意見書が必要となります。
コンピュータによる1次判定とは、コンピュータに入っている1次判定ソフトにより「1日の介護にかかる時間(要介護等基準時間)」が算出されます。
この1次判定ソフトは、介護老人福祉施設や介護療養型医療施設などに入所・入院している3,500人の高齢者を対象に調査し作り上げた「介護にかかる基準時間」を算出できるソフトです。
74項目の調査により算出された「要介護認定等基準時間」をもとに介護認定審査会が開かれ、介護度が決定するという仕組みになっています。
74項目の調査というのは難しいものではなく、
- 麻痺があるかないか
- 歩行ができるかできないか
- 爪切りが自力でできるかできないか
などのシンプルな調査です。
また、この要介護認定をよりスムーズに受けたい場合は先に主治医を決めておくことをおすすめします。
なぜ主治医を決めておくと良いかというと、要介護認定には主治医の意見書が必要になるからです。
かかりつけの病院がある場合は担当医師に相談をして意見書を書いてもらいましょう。
かかりつけの病院がない場合は、お住まいの市区町村の地域包括支援センターへ相談をし、介護保険の手続きに慣れた医師を紹介してもらうと良いです。
スムーズに手続きが済み負担が軽くなります。
要介護認定の際の要介護1と2の違いの基準
要介護認定の際の要介護1と2の違いは下記の通りです。
これらの基準は目安であり、必ず同じ状態が現れるわけではありません。
区分 | 低下している日常生活機能 |
要介護1 | 起き上がり・立ち上がり・片足での立位不安定・日常の意思決定・買い物 |
要介護2 | 起き上がり・立ち上がり・片足での立位不安定・日常の意思決定・買い物・歩行・洗身・爪切り・薬の内服・金銭の管理・簡単な調理 |
出典:厚生労働省『要介護認定の仕組みと手順』
このように要介護度が上がるほど「低下している日常生活機能」は増えていきます。
要介護1の認定を受けると、介護保険サービスの利用が可能となります。それでは、要介護1と認定される要因や基準はどのようなものでしょうか。本記事では、要介護1と認知症について以下の点を中心に解説します。要介護1の状態や認定基準[…]
他の要介護度はどのように異なるの?
ここからは要介護3以降の違いについてご紹介します。
要介護3以降も「要介護1と2の違い」と同様、低下している日常生活機能が増えていきます。
下記の表は、要介護3以上の「低下している日常生活機能」を表したものです。
区分 | 低下している日常生活機能 |
要介護3 | 起き上がり・立ち上がり・片足での立位不安定・日常の意思決定・買い物・歩行・洗身・爪切り・薬の内服・金銭の管理・簡単な調理・寝返り・排尿・排便・口腔清潔・上衣の着脱・ズボン等の着脱 |
要介護4 | 起き上がり・立ち上がり・片足での立位不安定・日常の意思決定・買い物・歩行・洗身・爪切り・薬の内服・金銭の管理・簡単な調理・寝返り・排尿・排便・口腔清潔・上衣の着脱・ズボン等の着脱・座位保持・両足での立位・移乗・移動・洗顔・洗髪 |
要介護5 | 起き上がり・立ち上がり・片足での立位不安定・日常の意思決定・買い物・歩行・洗身・爪切り・薬の内服・金銭の管理・簡単な調理・寝返り・排尿・排便・口腔清潔・上衣の着脱・ズボン等の着脱・座位保持・両足での立位・移乗・移動・洗顔・洗髪・麻痺(左下肢)・食事摂取・外出頻度・短期記憶 |
出典:厚生労働省『要介護認定の仕組みと手順』
「低下している日常生活機能」を介護度別に分けてご紹介しました。
しかし、要介護度を判定する際に最も重視するのは「介護にかかる時間(要介護認定等基準時間)」です。
上記の表はあくまで目安としてご覧ください。
要介護1と2の違いのまとめ
今回は、要介護1と2の違いについて解説してきました。
- 要介護度とは、介護の必要性をあらわした度合い
- 要介護認定とは、要介護度を判定するための制度
- 要介護1と2の違いは、要介護認定等基準時間や低下している日常生活機能の違い
- 他の要介護度との違いは、要介護1と2の違いと同様、要介護認定等基準時間や低下している日常生活機能の違い
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。