親の介護について高齢化がますます進み今では、70歳でも若く元気な方が多い社会となりました。
自分の親もまだまだ元気で暮らしていると思っていたのに、
突然、介護が必要になり、どうしたらいいのか迷っていませんか。
今回、親の介護についてどんな選択肢があるのか説明していきながら、
介護への心構えを中心に紹介します。
- 介護をする上で覚えておきたいこと
- 介護によくあるトラブル
- 仕事への影響と対策
ぜひ、最後までご覧いただき、親の介護の参考にしてください。
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親の介護は義務か?放置するとどうなるのか?
親が高齢になると、介護が必要になり周囲の支えが必要になる可能性があります。
親の介護は義務なのでしょうか?
また、介護を放置するとどうなるのでしょうか?
以下でそれぞれみていきましょう。
介護義務の対象
民法877条第1項によると、直系血族および兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務があると定められています。
直径血族とは、祖父母、父母、子ども、孫などを指します。
また、特別な事情があるときは、三親等以内の親族が扶養義務を負う可能性があります。
子どもの配偶者である嫁・姑の関係の場合は扶養義務はありません。
親の介護義務は、親の兄弟姉妹、子ども、孫ということになります。
また、民法第752条では、夫婦間にも扶養義務があります。
親の介護では、親の配偶者や兄弟も他界していたり高齢だったりします。
そのため、子どもが介護するケースが多くなり、子どもに介護義務があるのが実情です。
介護義務の内容
介護義務の内容は以下の2種類があります。
- 身上の面倒をみる扶養
- 経済的な支援をする扶養
身上の面倒をみる扶養では、同居して介護したり入居する介護施設を選んだりすることをいいます。
経済的な支援をする扶養では、介護でかかる費用を援助することをいいます。
扶養義務は、原則、経済的な支援をする扶養を行えばよいことになっています。
また、同居しながら扶養する場合は、身上の面倒をみる扶養をすればよいことになります。
さらに、扶養義務の程度は、扶養義務を負っている方が、収入に応じて生活できる範囲で親族を支援するとされています。
しかし、介護する側にもそれぞれの生活があります。
経済的に余裕がないにもかかわらず、親の介護のためにお金を援助する必要はありません。
また、介護義務が強制となるかは、自己申告ではなく家庭裁判所が判断することになります。
家庭裁判所は、家庭の収支を基準に、生活水準と照らし合わせて判断をしています。
介護義務を判断する基準とは、生活保護の受給の有無を判断するときの生活水準を目安としています。
親の介護を放置するとどうなる?
扶養義務があると定められていても、経済的に支援をするのが難しい方もいるのではないでしょうか。
前述のとおり、扶養義務は自分の生活ができる範囲で支援をするため、自分の生活を脅かしてまで支援をする必要はないとされています。
そのため、扶養のために支援をすると自分の生活が困窮するときは、扶養義務は負いません。
特別養護老人ホームなどの施設への入居を検討したり、生活保護を利用したりしましょう。
また、社会福祉士やケアワーカーなどと相談し、要扶養者の状況にあわせて対応を考えましょう。
そのほか、経済的には余裕があるが、親の不仲のため関わりたくない場合には、法律上扶養義務を放棄できません。
親族である以上、親子関係が不仲であっても扶養義務を負う必要があります。
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兄弟間や夫婦間でどのように分担すべきか?
兄弟間や夫婦間での分担について
- 兄弟間の分担
- 夫婦間の分担
- 一人っ子の場合、誰に頼ればいいのか?
などの問題があります。
以下でそれぞれ具体的にご紹介いたします。
兄弟間の分担
兄弟姉妹がいる場合、親を介護する義務は平等になります。
たとえば、
- 曜日を分けて親の家に行き、生活面での面倒をみる
- 介護などにかかる1か月の費用を、兄弟姉妹で分割して負担する
など分担することを検討しましょう。
しかし、生活に余裕がなくお金がないなどの場合は、親の家に行く頻度を増やし生活の世話をしてもらうといいでしょう。
また、身体的な介護は行わずに費用を多めに援助する方法もあります。
遠方に住んでいるなどの理由で親の家に行くのが難しいときは、費用を多めに援助するといいでしょう。
介護はせずに費用を払う場合などは、兄弟間でしっかり話し合いましょう。
親が亡くなったときの遺産相続は、介護しなかった分、相続を放棄してもらうという話し合いをするのもいいでしょう。
介護は長期間になる可能性があります。
そのため、長男だから介護の負担が多くなるようなことは避けて、総合的に均等にして兄弟間で納得するようにしましょう。
夫婦間の分担
結婚している方は、配偶者に手伝ってもらえるか確認しましょう。
1番の介護者は、配偶者が最も望ましいかたちといえます。
夫婦の場合、
- 生活スタイルが同じ
- お互いの性格や趣向が分かっている
- 下の世話などを比較的気兼ねなく任せられる
などのメリットがあります。
とくに入浴やトイレなどの身体にかかわる介護は、親子でも娘が父親を、また息子が母親の下の世話をするのは気兼ねしてしまいます。
そのため、配偶者が介護するのが最もよいでしょう。
しかし、親に対する介護義務は配偶者にはありません。
また、配偶者には遺産相続権もありません。
そのため、配偶者が親の介護をしてくれる場合は、あらかじめメリットを伝えるなど配偶者へ配慮する必要があります。
特別寄与料という親の遺産から配偶者へ、介護に協力してくれた分として費用を分ける法律もあるので検討してみましょう。
一人っ子の場合、誰に頼ればいいのか?
一人っ子で兄弟姉妹がいない場合、また離婚で独り身の場合は、介護義務がある親族に助けを求めましょう。
たとえば、親の孫にあたる自分の子供、おじやおばといった親の兄弟姉妹に相談します。
しかし、孫は介護者との関係性が薄い可能性があるため、介護の負担を少なくするなどの配慮をしましょう。
また、親の兄弟姉妹も高齢で介護が必要になっていたり、遠方に住んでいたりします。
そのため、生活の世話などの身体的な介護負担は難しくなる恐れがあります。
そのほか、親族が他界している場合やほかに介護を頼める人がいない場合は、自分で介護をする必要があります。
介護は長期になることがあり、また身体的負担や金銭的な負担があるため、1人で行うのは大変です。
介護は1人で抱え込まずに公的機関に相談しましょう。
主な相談先は、
- 介護が必要な親が住んでいる市区町村の窓口
- 介護が必要な親が住んでいるエリアの地域包括支援センター
があります。
地域包括支援センターとは、市区町村が設置している福祉専門の相談窓口になります。
福祉の資格を取得した職員が相談にのってくれます。
地域包括支援センターの連絡先は、市区町村のホームページで調べるか役所の窓口へ確認しましょう。
介護保険サービスの利用や、市区町村が独自で行っている福祉サービスが利用できる可能性があります。
サービスを利用することで、身体的負担や金銭的な負担が軽くなることがあります。
親と自分のためにも公的機関のサービスは、積極的に利用しましょう。
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親の介護は何を選ぶ?
介護には様々な種類があります。
ご自身やご家族の生活にあった介護を選択することが重要です。
こちらでは、在宅介護、施設介護、遠距離介護の3種類について解説します。
在宅介護
在宅介護とは、自宅で介護をすることです。
日中は家族だけでなく、訪問介護士や訪問看護師といった専門職の方に
自宅まで来ていただき、親の介護を手伝ってもらうことも可能です。
また必要に応じてデイサービスや通所リハビリなどを利用し、日中の活動を促したりします。
このような施設は、送迎してくれることがほとんどです。
在宅で親の介護をすると、いつでも親の顔を見てコミュニケーションをとることができます。
何より親自身が、自宅で過ごすことを望んでいる場合が多いです。
親が在宅介護を望んでいるのであれば、親孝行としては一番の方法ではないでしょうか。
しかし、在宅介護をしていくために必要なことは多々あります。
まず親の身体的自立度が重要になってきます。
場合によっては、住宅改修や介護用のベッドが必要になります。
排泄の介助や食事の準備も必要です。
日中、家族が仕事に出て、家で1人になることも考えられます。
また夜間は、基本的に家族のみで介護をおこなうことになるので、急な状態悪化に対応できないこともあります。
介護サービスをうまく使いながら、介護者自身が介護に追い込まれないように、工夫していくことが重要です。
各種介護サービスの調整や介護用品のレンタルについては、
ケアマネージャーが相談にのっていろいろな手続きをおこなってくれるので、悩んだときは相談しましょう。
施設介護
施設には様々な種類があります。
要介護認定の区分や身体の状態によって入所できる施設は異なってきます。
施設では常に介護職員がいますので、一人になることはありません。
日常生活の援助もしてくれます。
ただし施設に入るためには費用がかかります。
年金受給額が少ない利用者の家族にとっては、かなりの負担になることも考えられます。
夜間は面会できないので
仕事をされている方にとっては、なかなか親と会えないということも考えられます。
遠距離介護
遠方に住みながら親の介護をします。
遠方なので介護といっても今の日常生活をサポートしていく形である程度、
自分自身で身の回りのことができるのが前提です。
遠距離介護では親が住みなれた環境で暮らせることや
介護する側のストレスが少なくて済むことなどのメリットがあります。
しかし、緊急時にすぐに対応できないことや、日常的に通うのであれば、交通費がかかることになります。
親の介護で大切なこと
一人で抱え込まない
親の介護をしていく上で重要なことは
介護する側が身体的・精神的に倒れてしまわないようにすることです。
介護が何年必要になるかは誰にもわかりません。
介護する側が倒れてしまうと、そのあと誰が親の介護をしてくれるのでしょう。
介護は体力を使います。
特に在宅で介護をしていくには、排泄の介助をしたり、車椅子への移乗をしたりと体を使うことが多いです。
また親の介護について一人で考え込んでしまうと、ストレスが溜まり介護者自身が精神的な病にかかることも考えられます。
兄弟や子供がいる場合は介護の協力を依頼し
身体的・精神的に追い込まないようにすることが、疲れずに長く介護をしていくためのコツになります。
介護に傾倒しすぎないこと
介護をし始めの頃はどうしても親の介護のことばかりを考えてしまい、介護だけの生活になりがちです。
しかし介護ばかりの生活では、身体的・精神的にしんどくなり、長くは続きません。
外食をしたり、友人と会って話をするなどリフレッシュすることが大事です。
リフレッシュすることで、
その後も気持ちよく親の介護ができ双方にとっても良い結果となるでしょう。
また介護をする時は全て介助するのではなく、親自身ができることは何かを見つけ自立を促しましょう。
それがリハビリになり、自分自身で行動することで自尊心の向上につながります。
介護サービス・施設を利用する
介護をしていて疲れた時は無理をせず
日中は訪問介護や訪問看護を利用したり、デイサービスに通って入浴をしてもらったり介護サービスをうまく使いましょう。
ショートステイなどの短期宿泊のサービスも利用して、介護者の負担を軽減していくことはとても大事です。
施設に入所することは悪いことではありません。
親の状況によっては施設の方が安心して暮らせる場合もあります。
話し合いや見学をしながら、介護サービスや施設の利用を検討してみてください。
どのようなサービスや施設があるのかわからない場合は
ケアマネージャーや地域包括支援センターに相談すると教えてくれます。
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親の介護における問題点
介護の押し付け合い
兄弟がいる場合、誰が親の介護をするのかと問題になることがあります。
介護をするには体力的にも精神的にも大変であり、親の介護をしたくないと思う方もいます。
自分が介護をせずに済むように
「近くに住んでいるから」「一番年上だから」「長男だから」と介護を他の兄弟に任せる方もいます。
その一方で自分が親の介護をしていこうと考える方もいます。
兄弟がいる場合は親の介護について、しっかりと話し合いをして役割を決めておくことが大切です。
できれば親の介護が必要になってから話し合いをするのではなく
常日頃からコミュニケーションをとって、話をしておけば急に親の介護が必要になっても、ある程度の対応はできるでしょう。
兄弟で役割を決める時には、介護をおこなう中心的な存在が必要になります。
その方を軸に周りからどんなサポートができるのかを話し合ってみてください。
全て押し付けて、何かあった時に口だけ出す、というのが一番のトラブルの原因です。
平日に介護ができない場合、週末なら時間を作れるので担当する、など自分に何ができるのかを考えてみましょう。
また一度決めたことでも介護する方の状態によって、介護の内容は変わっていきます。
年に1度は親族で話合う時間を作り、親の介護のことについて考え直してみてください。
介護費用の問題
介護には費用がかかります。
在宅で介護する場合でも住宅改修や介護ベッドが必要になったり、医療費や通院費も必要になってきます。
介護保険制度によって費用は1割の負担となりますが、
介護度によっては1割の負担でも月に10万円以上かかる場合もあります。
また施設に入所する場合でも、施設費用は思っている以上に高額な場合が多いです。
比較的安いといわれている特別養護老人ホームなどでも、親の年金以上に費用がかかる場合もあります。
また特別養護老人ホームは入所できる介護度も決まっており、待機者も多いため入所するまでに時間がかかります。
親の年金や貯預金以上に費用が必要になれば、家族が不足分を補う必要があります。
親自身が金銭管理をできない状況になれば
誰が金銭管理をしていくのか、また親の年金などだけでは費用が不足する場合誰が費用を補っていくのか、
などを兄弟や家族で話し合っておく必要があります。
痴呆による問題
親も歳を重ねるごとに認知機能が低下していき、痴呆=認知症になる可能性も高くなります。
親の介護では身体的な介護だけでなく、認知症のサポートという介護も必要になる場合があります。
特に金銭面のトラブルには気をつけていく必要があります。
金銭管理ができず、詐欺にあって多額の金銭を盗まれたり、必要以上に多くの物を購入してしまうことがあります。
親自身はきちんと金銭管理をしているつもりなので、なかなか管理ができていないことを認めない方もいるでしょう。
親の認知症になる前に事前に金銭について、親だけでなく兄弟や他の家族を含めて話し合いましょう。
もし万が一認知症になった時の対応策を一緒に考えておきましょう。
介護をしている方なら誰にでもなり得る介護うつ。日々続く介護による心身の疲労や負担は大きく、介護うつを発症するとダメージはさらに大きくなります。介護うつは、本人や周囲が気づきにくく、発症すると完治するまでに時間を必要とする非常に深刻な病[…]
親の介護へ向けた事前準備
親の介護は突然必要になることもあります。
介護が必要になったときに慌てず、わからないまま闇雲に介護をしないですむように事前に準備ができることは準備しておきましょう。
まずは親や兄弟と介護について話合うことです。
親自身は介護が必要になったときにどうしてほしいと思っているのか、在宅介護がいいのか、施設介護がいいのかなど、親の気持ちを確認しておくことが必要です。
また金銭的にはどのくらいあるのか、兄弟がいる場合は兄弟の役割なども話し合っておきましょう。
他にも介護保険制度や施設について少しずつでもよいので下調べをしておきましょう。
街の保健室やケアマネージャーなどの情報も入手しておくといざ介護が必要になったときに戸惑うことなく相談できます。
介護には費用もかかってくるので介護のための貯蓄についても考えておくとよいと思います。
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仕事と両立することへの悩み
就業者が感じる悩み
親の介護が必要になったとき、自分が就業している可能性もあります。
介護をする上で就業している人の悩みとして「自分の仕事を代わってくれる人がいないこと」が最も多いです。
介護には時間も必要になってきます。
今までと同じように仕事に没頭できないことが多いです。
介護が急に必要になったとしても仕事も急に休めるとは限りません。
何か責任あるポストについているときは休むこと自体が、介護者の精神的な負担になってくる可能性もあります。
仕事と介護を両立させていくために介護休業制度などの両立支援制度がありますが、
その制度についての悩みも多いです。
例えば
「両立支援制度を利用すると収入が減ること」
「そもそも両立支援制度がないこと」
「両立支援制度を利用しにくい雰囲気があること」
「両立支援制度と介護サービスをどのように組み合わせればよいかわからない」
などがあげられます。
介護休業制度について
「どこに相談すればよいのかわからない」
「相談する部署がない」
といったことも悩みとしてあるようです。
仕事と介護を支援する介護休業制度とは
親の介護が必要になったときに活用できる制度として
介護休業制度があります。
介護休業とは
負傷や疾病、身体もしくは精神の障害などの理由から
2週間以上「常時介護」が必要な家族を介護する場合に取得できる休暇です。
「常時介護」とは介護保険の要介護区分において
要介護2以上であることなどの条件があります。
取得できる日数は家族1人につき3回まで、通算93日まで取得可能です。
介護休業は法律で守られた制度のため、企業側は申請があれば拒否できません。
介護休業を申請すると介護休業とは別に次のような措置も一部受けることができます。
- 労働時間の短縮
- フレックスタイム制度
- 始業・終業時間の繰り上げ・繰り下げ
- 介護サービス費用の助成
介護休業制度も利用して無理せず介護をしていきましょう。
在宅介護では、介護者が仕事を辞めざるを得ないケースも多いです。経済的に苦しくなったと感じている方も多いのではないでしょうか?実は、在宅介護をしている家族には、自治体から手当金が出る場合があります。本記事では、在宅介護の家[…]
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親の介護まとめ
ここまで親の介護をするときに考えておくべきことを中心にお伝えしてきました。
- 親の介護をする場所は在宅以外にも施設・遠距離介護があるがそれぞれメリット・デメリットがある
- 親の介護で大切なことは一人で抱え込まず、周りの人に相談し、ときには自分のリラックスできる時間も確保する
- 親の介護へ向けた事前準備として、トラブルが起きないように兄弟・家族、または親自身とよく話し合っておく
- 介護についての情報を少しずつ集めておく
- 介護には費用がかかるため親の資産状況を確認しながら介護費用を貯蓄しておく
- 介護が必要になったときは介護休業制度が使えることを覚えておく
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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