ホスピスに入って人生の最期を穏やかに過ごしたいと考える方は増えています。
しかし、ホスピスに入るためには一定の費用が必要となります。
ホスピスの種類によって費用やサービスにどのような違いがあるか気になります。
本記事ではホスピスの費用について、以下の点を中心にご紹介します。
- ホスピスの概要
- ホスピスの対象者、治療やケアの内容
- 施設別によるホスピスの費用の違い
- ホスピス費用における限度額
ホスピスの費用について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ、最後までお読みください。
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ホスピスとは
ホスピスとは、元々ラテン語のHospitiumu(暖かいおもてなし)から発生した言葉です。
元々施設を指し示す言葉ではなく、巡礼者や兵士たちに行ったケアの行為を指しました。
近代ホスピスのルーツはイギリスのシシリーソンダースが創設した施設といわれています。
現在、ホスピスとは特定の場所を指し、ホスピスで受ける支援をホスピスケアといいます。
具体的には以下の通りです。
どのような場所か
ホスピスとは、治療が困難で終末期を迎える方に対し、
- できる限り人間らしく
- 安楽で快適な生活
を送れるように支援する施設を指します。
ホスピスケアを受ける場所には、
- 病院
- 在宅
- 施設
など、様々な選択肢があります。
ホスピスの対象者とは
ホスピスの対象者は、年齢や疾患を問わず終末期を迎える全ての方が対象です。
治療が困難な方で、苦痛を和らげ余生を穏やかに過ごしたい目的があれば対象になります。
しかし、ホスピスは過ごす場所によって異なります。
ホスピス緩和ケア病棟では保険診療上、
- 悪性腫瘍の患者
- 後天性免疫不全症候群(エイズ)の患者
と記載されていますので注意が必要です。
ホスピスでの治療やケアの内容
ホスピスケアは原則積極的な検査や延命治療は行いません。
病気の症状である苦痛の軽減を優先して行います。
また身体的な苦痛だけでなく、精神的な苦痛や経済的な問題にも対応する必要があります。
ホスピスケアを受ける方に対し多くのスタッフが関与します。
身体的苦痛に対して、医師や看護師、リハビリスタッフなど医療従事者が対応します。
鎮痛剤や麻薬の投与、マッサージなど行い、少しでも苦痛を取り除くよう努めます。
精神的な苦痛に対して、カウンセラーや、聖職者、ボランティアの方などが対応します。
できるだけ普段と変わらない生活環境に配慮し、落ち着いて過ごせるよう支援します。
また、悲観的な感情や死へ向き合うためのサポートなども行います。
経済的な問題に対して、主にソーシャルワーカーが対応します。
本人や家族の意思決定に基づいた公的支援の情報提供や連携などを行います。
どんな方にも人生には必ず「終わり」が訪れます。自分らしい最期を迎えるための一つの方法として、ホスピスケアがあります。本記事ではホスピスについて、以下の点を中心にご紹介します。 ホスピスとは ホスピスの内容 […]
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ホスピスと病院や介護施設との費用の違い
ホスピスの費用は主に3つのサービス環境によって違いがあります。
- 緩和ケア病棟
- 有料老人ホーム
- 在宅ホスピス
具体的な費用は以下の通りです。
緩和ケア病棟の費用
緩和ケア病棟を利用すると以下の費用がかかります。
- 【入院料】
治療内容を問わず定額制ですが、施設基準や入院日数により異なります。
1日当たり約3万円〜5万円程度です。 - 【食事代】
1日3食分 - 【差額ベッド代】
個室などに入ると差額ベッド代が高額になることがあります。 - 【自費】
おむつ代、寝具リース料など
入院料と食事代は健康保険が適応となり、所得により費用負担の範囲は異なります。
また、入院料は高額医療費制度の対象になるため、一定額に抑えることができます。
有料老人ホームのホスピスプラン
有料老人ホームのホスピスプランを利用すると以下の費用がかかります。
- 【居住費(家賃)】
施設によって居住費はばらつきがあります。 - 【管理費】
施設メンテナンス費用など - 【食費】
1食単位、または1日3食分単位 - 【保健サービス自己負担分】
介護保険や医療保険の利用料 - 【その他】
おむつやパッドなど介護用品、光熱費、通信費など
施設の場所や規模にもよりますが、居住費等は月に15万円以上必要になります。
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在宅ホスピスの費用とは
住み慣れた家で最期を迎えたい方に対し、在宅ホスピスの選択肢があります。
在宅ホスピスの場合、以下の費用がかかります。
- 在宅医の往診費
- 訪問看護費
- 訪問介護費
- 薬剤にかかる費用
- 福祉機器レンタル(ベッド、車いす、ポータブルトイレなど)
訪問往診費や訪問看護費は医療保険が適応され、自己負担は1〜3割です。
また、高額医療費制度の対象になるため、一定額に抑えることができます。
訪問介護費や福祉機器レンタルは介護保険が適応され、自己負担は1〜3割です。
サービス時間が限られている反面、入院や施設入所と比較し費用を抑えることができます。
しかし、サービス時間以外は家族によるケアがほとんどです。
そのため、家族の心身ストレスは大きくなります。
ホスピスの費用が日本の財政を圧迫する?
医療費全体に対し、ホスピスを含む終末期医療費はどれくらいかかるのでしょうか?
厚生労働省は2005年、1年間の終末期医療費(死亡前1か月)は9000億円と報告しました。
一見高額に見えますが、これは医療費全体に対し、約3.3%にすぎません。
しかし、終末期医療は1か月以上、中には半年間必要な場合も多く見られます。
また、若年者の終末期医療費は積極的医療が必要になる場合も多くあります。
そのため、終末期医療費は数字以上に膨らむ可能性があり、少なからず財政を圧迫します。
こうした問題から、厚生労働省は2018年、終末期医療ガイドラインを改定しました。
全国の市区町村自治体で「地域包括ケアシステム」の構築を進める内容が記載されました。
また、病院だけでなく在宅や介護施設での介護ガイドラインに記載されました。
以上より、今後は終末期医療費の財政圧迫を改善する必要があります。
そのため、終末期医療は病院や施設から在宅へ進むことが想定されます。
出典:厚生労働省【終末期医療のあり方に関する検討会の設置について】
ホスピスの費用に限度額適用認定証
既述の通りホスピス病棟などで終末期を迎える場合、高額医療費制度の対象になります。
制度を利用する場合、入院前に「限度額適用認定証」を提示する必要があります。
限度額適用認定証を取得するために、まず加入している保険者に申請手続きを行います。
保険者は、
- 国民健康保険は市町村役場
- 社会保険は全国健康保険協会、共済組合健保、組合健保
となります。
申請後、保険者から限度額適用認定証が交付されます。
交付された限度額適用認定証と保険証を合わせて窓口に提示します。
すると、高額医療費を一時的に立て替える必要がなく、窓口負担が軽減されます。
出典:厚生労働省【高額療養費制度を利用される皆さまへ】
ホスピス費用まとめ
今回はホスピス費用についてご紹介しました。
ホスピス費用について、要点を以下にまとめます。
- ホスピスは終末期に苦痛なく人間らしく過ごすことができる場所
- ホスピスの対象者は終末期を迎えるすべての方
- 治療やケアの内容はチームとなって身体的・精神的苦痛の除去や経済的問題の解決
- ホスピスの費用は介護施設が高く、在宅は比較的安いが家族負担が大きい
- ホスピス病棟などでは限度額適応認定証を提示すると費用負担軽減につながる
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。