介護福祉士の実務経験証明書は、介護福祉士の国家試験を受験する際に必要な書類の一つです。
介護福祉士の受験資格である4つの資格取得ルートのうち、実務経験ルートで受験を希望する方が準備する書類となります。
そもそも、実務経験証明書とは、どのようなものなのでしょうか?
実務経験証明書は、どのように準備したらよいのでしょうか?
本記事では、介護福祉士の実務経験証明書について以下の点を中心にご紹介します。
- 介護福祉士の実務経験証明書とは
- 介護福祉士の実務経験証明書の依頼準備
- 介護福祉士の国家試験の受験に必要な準備
介護福祉士の国家試験で必要な実務経験証明書について理解するためにも参考にしていただければ幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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介護福祉士の実務経験証明書とは
実務経験証明書は、介護の実務経験が3年以上であることを証明する書類です。
介護福祉士の受験資格の一つである実務経験ルートで受験を希望する方が、介護の実務経験や基本的なスキルを持っていることを書面で証明するために必要となります。
介護福祉士の実務経験証明書は、介護業務に携わった事業所に必要事項の記入を依頼する必要があります。
介護福祉士の実務経験証明書を、期日までに作成・提出が出来なかった場合や書類が揃わなかった場合には、国家試験を受験できない恐れもありますので、期日を確認し余裕を持って準備してください。
実務経験証明書が必要な実務経験ルートとは
介護関係で働きながら介護福祉士を目指す方は、2つの実務経験ルートにわかれて受験することになります。
2つのルートは以下の通りです。
- 従事期間3年・従事日数540日+実務者研修
- 従事期間3年・従事日数540日+介護職員基礎研修・喀痰吸引等研修
それぞれのルートについてご紹介します。
従事期間3年・従事日数540日+実務者研修
介護福祉士の国家試験を実務経験ルートでの受験を希望される方の条件となっています。
さらにその条件に加え、「実務者研修修了証明書」か「実務者研修修了見込証明書」の提出が必要です。
従事期間3年・従事日数540日+介護職員基礎研修・喀痰吸引等研修
上記と従事期間と従事日数の条件は同じです。
それに加え「介護職員基礎研修」と「喀痰吸引等研修」の両方を修了する必要があります。
介護基礎研修は、2012年度末で廃止となっており、これから受講することは出来ません。
そのため、「喀痰吸引等研修」を修了した際に介護福祉士の国家試験を受験できる資格が得られることになります。
証明書を発行するには条件がある
介護福祉士の実務経験証明書を発行するために必要な条件は、「指定施設における業務の範囲等及び介護福祉士試験の受験資格の認定に係る介護等の業務の範囲等について(昭和63年2月12日社庶第29号)」厚生省社会局長、厚生省児童家庭局長通知等により定められています。
条件は、受験資格の対象となる職種での従事期間や日数を満たしていることが必要です。
もしくは、国家試験を受験する年の3月末までに3年の実務経験を満たす見込みがあることが条件となります。
出典:厚生労働省【「指定施設における業務の範囲等及び介護福祉士試験の受験資格の認定に係る介護等の業務の範囲等について」】
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介護福祉士の実務経験証明書をもらうには?
介護福祉士の国家試験を実務経験ルートで受験する際に必要な実務経験証明書は、どのように入手できるのでしょうか?
実務経験3年が必要
下記の対象事業や分野において従事期間が3年(1095日)以上かつ従事日数540日以上が必要です。
従事期間とは、下記の対象事業や分野での在職期間のことをいいます。
また、従事日数は、実際に介助等の業務を行った日数のことです。
なお、1日の勤務時間については問われません。
対象の事業・分野
受験資格の対象となる事業や分野は以下の通りです。
- 児童分野
- 障がい者分野
- 高齢者分野
- その他の分野
- 介護等の便宣を供与する事業
上記の具体的な職種として、以下のようなものがあげられます。
- 介護職員
- 介護従事者
- 介護従業者
- 保育士
- 介助員
また、実務経験として認められない要件もありますので、受験資格の「実務経験の範囲」を確認してください。
出典:厚生労働省【「指定施設における業務の範囲等及び介護福祉士試験の受験資格の認定に係る介護等の業務の範囲等について」】
業務従事日数を確認する
従事した対象の事業や分野でのそれぞれの従事期間の合計が3年(1095日)以上になれば条件を満たしたことになります。
また、日数に関しても従事期間と同様で540日以上が必要となりますが、あくまでも日数であり1日の勤務時間は問われません。
なお、同じ日に複数の施設や事業所で勤務を行った場合は、1日と換算されます。
介護福祉士の実務経験証明書の依頼準備
次に、介護福祉士の実務経験証明書の入手方法について説明します。
用紙を自分で準備する
介護福祉士の実務経験証明書の入手方法は、以下の2つです。
- 様式を自分でダウンロードする
- 「受験の手引」を請求する
上記の方法をそれぞれご紹介します。
様式を自分でダウンロードする
介護福祉士の実務経験証明書は、社会福祉振興・試験センターのHPからダウンロードすることが可能です。
ダウンロードする様式には、記入例も記載されていますので、記入例に従って確認しながら記入します。
「受験の手引」を請求する
介護福祉士の実務経験証明書は、受験申し込み時に請求する「受験の手引」に同封されています。
郵送での手配になるため余裕をもって請求することがおすすめです。
なお、この「受験の手引」は1部しか請求することができないため、紛失などによる再請求はできません。
依頼文を作る
実務経験証明書の作成は、過去に勤務していた施設や事業所に作成を依頼することも考えられ時間や労力を要します。
そのため、スムーズに作成を依頼するために依頼文を添えることがおすすめです。
おすすめな依頼文の記載内容を下記にてご紹介します。
- 挨拶文
- 発行目的を伝える
- 発行してほしい期間(従事期間)
- 実務経験証明書の書類の送付方法
- 作成期日を伝える
依頼をする際には、事前に担当者や作成者の確認を取り、上記の内容を含めた依頼文を添えて作成依頼をすると良いでしょう。
提出期限を確認する
介護福祉士の国家試験を受験される方の書類提出には、申し込みの受付期間が定められています。
例えば、令和4年度の介護福祉士の筆記試験の日程は、令和5年1月29日(日曜日)で、実技試験は令和5年3月5日(日曜日)です。
それに伴う申し込み受付期間は、令和4年8月10日(水曜日)から9月9日(金曜日)までの消印有効となっています。
期間中の申し込み申請を行うためにも、作成に時間を要する実務経験証明書は、余裕をもったスケジュールで依頼するようにしてください。
介護福祉士の実務経験証明書の依頼の仕方
では実際に、介護福祉士の実務経験証明書の依頼の仕方について見ていきましょう。
自身の働いていた事業所へ依頼
同じ事業所で働いていた場合
従事した期間3年(1095日)以上、かつ従事日数540日以上の条件を満たしていることがわかる実務経験証明書の作成を依頼します。
作成担当者がスムーズに作成できるように、従事期間を指定するとよいでしょう。
期間内に前の職場も含める場合
同じ期間内に複数の事業所に所属していた場合には、各事業所の実務経験証明書と併せて「従事日数内訳証明書」の作成も必要になります。
実務経験証明書と併せて、従事日数内訳証明書の作成も依頼しましょう。
退職後に依頼する場合
上記でお伝えしている通り、実務経験証明書の作成には時間や労力を要します。
過去に勤務していた職場へ依頼する際には、忙しい時間帯や時期を避け無駄な手間をかけさせないように配慮し、作成の目的や従事期間・日数の提示を行いましょう。
また、返信封筒を同封し、余裕をもって速めに依頼することがおすすめです。
派遣会社を通して働いていた場合
派遣で勤務をしていた場合には、派遣元の会社に実務経験証明書の作成を依頼します。
なお、派遣の場合には、
- 業務委託契約書派遣元
- 派遣先
- 派遣の期間
- 申込者の氏名が確認できる書類の写し
も併せて提出する必要がありますので、注意が必要です。
介護福祉士の実務経験証明書依頼が困難な際
事業所を辞める際にトラブルがあった
トラブル等で連絡しづらい場合もあるでしょう。
そうした場合には、要点をまとめて忙しくない時間帯に連絡してみてはいかがでしょうか。
伝える要点として、目的、従事期間、日数、返信場所などを整理しましょう。
もしくは、別途費用がかかりますが、行政書士に作成依頼をすることも可能です。
しかしながら、成功する保証は出来かねますので注意が必要です。
過去にいた事業所が倒産してまった
実務経験の確認ができる書類の用意や手配を、受験者本人が行う必要があります。
受験の申し込みには、「受験の手引」の請求が必要です。
また、受験に必要な実務経験として以下の4つの要件が確認できる書類の用意が必要です。
- 施設・事業種類
- 職種
- 従事期間
- 業務従事日数
上記の書類と併せて、「受験の手引」にある様式「廃業した施設・事業所等の実務経験について(自己申告)」を受験申し込み時に提出します。
事業所に依頼しても発行が遅い場合
依頼した事業所に再度、問い合わせを行いましょう。
一定以上の規模の事業所や、社名が変更になっている場合など作成に時間を要する場合が考えられます。
忙しい時期や時間帯などの依頼も、作成者側にとっては負担に感じてしまう場合も考えられますので、配慮する気持ちをもって依頼するようにしましょう。
介護福祉士の実務経験見込みとは
受験申し込み時に実務経験3年に満たない場合でも、試験を行う年の3月末までに実務経験3年を満たす見込みがあれば、実務経験見込みとして、受験資格が認められています。
ただし、実務経験見込みで申し込みを行った場合は、その要件を満たした際に、実務経験証明書を作成し再度提出する必要があります。
介護福祉士の国家試験の受験に必要な準備
介護福祉士の国家試験を実務経験ルートで受験する方の、受験申し込みに必要な実務経験証明書以外の書類について見ていきましょう。
必要なその他の書類
以下にあげる書類は、「受験の手引」を請求すると入手できます。
- 受験申込書
- 受験手数料振替払込受付証明書貼付用紙
- 受験用写真等確認票
- 実務経験(見込み)証明書
- 従事日数内訳証明書
- 実務者研修修了(見込み)証明書
上記の書類は、「受験の手引」に同封されていますが、紛失などによる再請求はできませんので取扱いには注意が必要です。
いつまでに提出が必要か確認
試験申し込みには、期限が定められています。
期限を過ぎてしまった場合は受験資格を失ってしまいますので、「受験の手引」の記載内容をしっかりと確認し、必要書類の作成は余裕をもったスケジュールで取り組むように注意してください。
送り先を確認
受験申し込みを郵送で提出する場合は、「受験の手引」に同封されている送付用封筒を使用して必要書類を提出します。
提出する際には、トラブルを防ぐためにも「簡易書留」で送付するとよいでしょう。
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介護福祉士の実務経験証明書はいつまで使える?
実務経験証明書には、有効期限は設けられていません。
そのため、一度試験を受験した経験のある方が、再度、試験を申し込む場合には実務経験証明書を提出する必要はありません。
再度、試験を受験する場合には、インターネットによる受験申し込みが可能ですので、詳しくは、社会福祉振興・試験センターの「受験申し込み手続き」を確認してください。
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介護福祉士の受験に必要な実務経験外の研修
介護福祉士の国家試験を実務経験ルートで受験する方は、実務経験証明書と実務者研修修了証明書が必要です。
実務者研修は、「介護過程の展開」「医療的ケア」など、より実践に役立つ専門知識や技術の向上を目指した研修を学ぶ内容になっています。
また、実務者研修は、ホームヘルパー1級・介護職員基礎研修が2013年4月より廃止され一本化された研修です。
実務者研修を修了した方は、介護の現場リーダー的役割を果たす存在となり、質の高い介護サービスの提供を行うための知識やスキルアップが可能になります。
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介護福祉士の実務経験証明書のまとめ
ここまで、介護福祉士の実務経験証明書についてお伝えしてきました。
介護福祉士の実務経験証明書の要点をまとめると以下の通りです。
- 介護福祉士の受験申し込みに必要な書類の一つで、実務経験が3年以上であることを証明する書類であること
- 実務経験証明書は、郵送かダウンロードにて入手し、作成にあたり要件を整理した依頼文を作成し依頼を行うとよいこと
- 介護福祉士の国家試験には、「受験の手引」に同封された書類の提出が必要で、1人に1部しか請求ができないため、取扱いに注意が必要であること
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。