高齢者や障がいを持つ方にとって、訪問介護は大切なサービスです。
しかし、訪問介護の料金に関して、さまざまな疑問や問題があるのではないでしょうか。
訪問介護の料金はどの程度かかるのでしょうか。
本記事では、訪問介護について以下の点を中心にご紹介します。
- 訪問介護料金の構造とは
- 訪問介護料金の一覧について
- 訪問介護の料金等の細かいサービスとは
訪問介護の料金について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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訪問介護とは
そもそも訪問介護とはどのような方が利用できるサービスなのでしょうか。
以下でそれぞれ具体的にご紹介します。
利用できる方
要介護1〜5で65歳以上の方、または特定疾病による介護が必要な40歳以上の方が訪問介護サービスを利用できます。
要支援1〜2の方は要支援者向けの介護予防サービスを利用できます。
要支援1〜2に認定された方は、日常生活の一部に介助が必要であり、週の利用回数に制限があるため注意しましょう。
介護予防訪問介護は、要介護状態を予防することを主な目的としています。
最終的な目的は自立を支援することであり、身体介護よりも生活援助を重視したサービス内容となっています。
サービス内容
訪問介護のサービス内容には
- 身体介護
- 生活援助
があります。
身体介護
身体介護の具体例は以下のようなものがあります。
- 食事介助:食事を摂取する際の調理や摂食、口腔ケアなどの支援
- 入浴介助:入浴の準備や全身又は部分浴などの支援
- 身体整容:衣服の着脱や清拭などの着替えの支援
- 更衣介助:衣服の着脱の支援
- 外出介助:通院などの必要な外出に対する支援
- 体位変換:寝返り介助など血行障害や床ずれを予防するための支援
- 排泄介助:トイレの介助やおむつの交換・着脱・始末などの排泄の支援
- 歩行介助:歩行や車いすでの移動介助など一人での移動が難しい場合の支援
- 清拭:入浴ができない場合に体を清潔に保つ支援
また、訪問介護員が一定の研修課程を修了することで、
- たんの吸引(口腔内・鼻腔内・気管カニューレ)
- 経管栄養(胃ろう、腸ろう、経鼻経管栄養)
を行うことが可能になります。
生活援助
生活援助とは、日常生活の調理や洗濯などの援助を行うサービスのことです。
具体的な生活援助の例を挙げてみましょう。
- 掃除:家の掃除
- ゴミ出し:収集日に合わせてゴミ出し
- アイロンがけ:必要に応じてアイロンがけを行う
- 洗濯:洗濯から収納までをサポート
- 料理:献立の立案や買い出しから片付けなど
- 買い物:生活用品の買い出しを代行
- ベッドメイク:シーツの交換や布団の上げ下げなど
ライフスタイルは人それぞれ異なります。
そのため、利用者に合わせた援助を行い、日常生活がスムーズに送られるようサポートします。
そのほか、爪切りや血圧測定、耳垢の除去などの医療行為ではない支援もあります。
受けられないサービス
訪問介護は、利用者本人を対象としたサービスであり、日常生活に必要でない行為や医療行為は提供されません。
たとえば
- 家具の移動や電気器具の修理
- 床のワックスかけ
- 窓のガラス拭き
- 家具の修理
- 庭の草むしり
- ペットの散歩
などが含まれます。
また、医療行為にあたるインスリンの注射や点滴、経管栄養、たんの吸引などの処置も訪問介護で提供されることはありません。
ただし、一定の研修を受けた介護職員等が一定の条件の下で実施可能な場合もあります。
さらに、利用者本人以外の家族に対する行為も訪問介護では提供されません。
たとえば、家族の分の食事を作る、家族の部屋の掃除や家族の子供の面倒をみるなどは含まれないため、注意しましょう。
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訪問介護の料金の構造
訪問介護の料金の構造は、利用者本人を対象としたサービスに基づいて設定されています。
以下でそれぞれみていきましょう。
基本料金の単位
訪問介護の料金構造は時間の単位によって異なります。
理由として、訪問介護は利用者のケアニーズに合わせて、必要な時間に応じてサービスを提供するためです。
具体例として、基本料金は通常、30分や60分の単位などで設定されています。
利用者が必要とするケアの時間に応じて料金が計算されます。
介護度
「要介護」と「要支援」という介護度の区分があり、それぞれに応じた料金体系が存在します。
高度な介護が必要なほど、料金が高くなる傾向があります。
一方、要支援の場合は軽度な介護が必要なため、料金が比較的低い傾向があるとされています。
また、訪問介護の料金は、要介護度に関係なく同じです。
要介護1の方でも、要介護5の方でも同じ料金が適用されます。
サービス内容
サービス内容は
- 身体介助
- 生活援助
- 通院時の乗車・降車等の介助
があります。
身体介助
身体介助とは、利用者の身体的な支援をする介護サービスです。
主に入浴介助、排泄介助、食事介助などです。
たとえば、入浴介助の場合は、利用者の入浴をサポートするために介護職員が洗体や移乗の支援を行います。
また、排泄介助の場合は、利用者の排泄を支援するために介護職員がトイレやおむつ交換の手伝いをします。
生活援助
生活援助とは、利用者の日常生活を支援する介護サービスであり、食事の準備や掃除、買い物などです。
食事の準備は、利用者の食事を作るために介護職員が調理や食材の用意を行います。
掃除は、利用者の居住空間を清潔に保つために介護職員が掃除や洗濯などを行います。
通院時の乗車・降車等の介助
介護職員が車いすや介助具を用いて、乗車や降車の支援を行います。
利用者が自力での乗車・降車が難しい場合は、介護職員が車いすを使用しての乗車や降車をサポートします。
また、介護職員が同乗しての送迎サービスを提供することもあります。
加算・減算
加算・減算には
- 初回加算
- 緊急時訪問介護加算
があります。
初回加算
初回加算とは、訪問介護サービスを受ける方が初めてサービスを受ける際に加算されます。
訪問介護計画を作成した日から30日以内に行われた訪問介護に対して、所定単位数が加算される制度です。
初回加算の算定要件は
- 新規に訪問介護計画を作成した人であること
- 初回または初回が属する月に「サービス提供責任者が自らサービス提供」
- 初回または初回が属する月に「サービス提供責任者が他のスタッフのサービス提供に同行すること」
が要件となります。
緊急時訪問介護加算
緊急時訪問介護加算とは、利用者又はその家族の方からの要請に基づき加算されます。
居宅サービス計画において、計画的に訪問することとなっていないサービスを緊急に行った場合は加算されます。
具体的な算定要件は以下の通りです。
- 居宅サービス計画に位置付けられていないこと
- 身体介護中心型であること(「生活援助」のみは対象外)
- 利用者又はその家族等から要請を受けて24時間以内にサービス提供を行ったこと
- ケアマネジャーが当該サービス提供を「緊急」に必要なものと判断していること
また、1回の要請につき1回を限度として算定可能です。
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訪問介護の料金一覧
訪問介護の料金は、利用者の状況や必要なサービス内容に応じて異なります。
以下で、詳しく解説します。
要支援者が利用する場合
要支援者が利用する場合の料金について、以下の表にあらわしています。
週1回の利用 | 1,172円(月) |
週2回の利用 | 2,342円(月) |
週2回以上の利用 | 3,715円(月) |
訪問介護の料金は、介護保険制度によって定められています。
要支援者が訪問介護を利用する場合、身体介護や生活援助などのサービスによって、それぞれ異なる単位数と単価が設定されます。
身体介護(要介護1~5:自己負担額1割)
身体介護を利用する際の料金について以下の表にあらわしています。
20分未満 | 167円(回) |
20分以上30分未満 | 250円(回) |
30分以上1時間未満 | 396円(回) |
1時間以上1時間半以上 | 579円(回) |
身体介護には、入浴や排泄の介助、移動の支援、食事のサポートなどが含まれることがあります。
また、利用時間や利用頻度に応じて、時間単位や回数に基づいた料金が設定されています。
生活援助(要介護1~5:自己負担額1割)
生活援助を利用する際の料金について、以下の表にあらわしています。
20分以上45分未満 | 183円(回) |
45分以上 | 225円(回) |
生活援助には、食事の調理や食事のサポート、掃除や洗濯の支援、買い物のサポートなどが含まれることがあります。
通院時の乗車・降車等の介助(要介護1~5:自己負担額1割)
要介護1〜5、自己負担額は1割の場合、1回99円が適用されます。
また、自己負担額が1割となっているのは、利用者の経済的負担を軽減するために設定されています。
加算
加算の料金については、施設ごとに異なることが多いです。
施設ごとに運営形態や提供するサービス内容が異なるため、加算の料金にも差異が生じます。
施設によっては、専門的な医療スタッフの配置など、サービスを提供するために追加の費用が発生する場合があります。
訪問介護の料金の計算方法
訪問介護の料金は、利用者のニーズやサービスの内容に応じて料金が設定されます。
ここでは、訪問介護の料金の計算方法についてみていきましょう。
サービス内容と時間
サービス内容と時間の例は、以下の通りです。
【条件】
- 身体介護30分を週3回、生活援助30分を週2回利用
- 1単位当たり10円で計算
【計算式】
- 身体介護30分あたり394単位で、週3回利用で1か月では12回
- 394単位×12回=4,728単位
- 生活援助30分あたり181単位で、週2回利用の場合で1か月では8回
- 181単位×8回=1,448単位
それぞれを合算すると、(4,728単位+1,448単位)×10円=61,760円となります。
訪問介護の料金は、利用者の状況に合わせて計算されます。
介護の時間や内容が多い場合には、料金が高くなるでしょう。
また、利用者の自己負担額の割合によっても料金が異なります。
合計単位と1単位ごとの値段を計算する
介護保険では、すべてのサービス料金を単位数で計算します。
1単位あたりの料金は基本的に10円になります。
ただし、地域ごとの賃金などの差を考慮して、1単位あたりの金額が地域によって変わります。
訪問介護サービス利用料金表によると、1ヶ月のサービス合計単位数×10円=◯◯円となります。
自己負担額の割合から算出する
介護保険の自己負担割合は、本人の合計所得金額と年金収入・その他の所得金額によって異なります。
自己負担額の割合は以下の要件で決まります。
【3割負担】
- ご本人の合計所得の金額が220万円以上で、年金収入とそのほかの合計所得の金額が340万円以上ある単身者は、介護保険の自己負担額が3割
- 2人以上の世帯では、ご本人の合計所得金額が220万円以上で、年金収入とそのほかの合計所得の金額が463万円以上になると自己負担額が3割
【2割負担】
- ご本人の合計所得の金額が220万円以上で、年金収入とそのほかの合計所得金額が240万円以上340万円未満の単身者は、自己負担額が2割
- 同様に2人以上の世帯では、ご本人の合計所得の金額が220万円以上で、年金収入とそのほかの所得の金額が346万円以上463万円未満の場合は自己負担額が2割
【1割負担】
- ご本人の合計所得の金額が160万円以上220万円未満で、年金収入とそのほかの合計所得の金額が280万円未満であれば1割
- 2人以上の世帯では、ご本人の合計所得の金額が160万円以上220万円未満で、年金収入とそのほかの合計所得の金額が346万円未満の場合は1割
- 本人の合計所得の金額が160万円未満の場合にも、介護サービス利用料が1割
自己負担割合は、ご本人の合計所得の金額や年金収入・そのほかの所得の金額、世帯の人数によって変動します。
そのため、事前に確認しておくと安心です。
訪問介護の料金等の細かいサービス
訪問介護の料金等の細かいサービスには、どのようなものがあるのでしょうか。
以下でそれぞれ具体的にご紹介します。
高額介護サービス費について
高額介護サービス費とは、1ヶ月間の自己負担額の合計が上限額を超えた場合に、超過額について払い戻しを受けられる制度です。
公的介護保険によって自己負担額は1割(所得によっては2割または3割)となります。
しかし、高額介護サービス費制度を利用することで、自己負担額の上限を超えた分の支払いを受け取れます。
利用者負担軽減制度
利用者負担軽減制度は、低所得で生計が困難な方や生活保護受給者に対して、利用者負担を軽減する制度です。
介護保険サービスの提供を行う社会福祉法人などが利用者負担を軽減することで、介護サービスの利用促進を図ることが目的です。
利用者負担の割合は、原則として利用者負担額の4分の1(生活保護受給者は全額)です。
利用者負担額には
- 介護サービス利用料の1割負担額
- 食費
- 居住費(滞在費、宿泊費)
- 生活保護受給者については個室の居住費に係る利用者負担
があります。
自費サービス
訪問介護は、介護保険適用では提供できないサービスを自費サービスとして利用できます。
たとえば、保険適用のサービス利用前後などに、ペットの世話や庭の草むしりなどの保険適用外サービスが利用できます。
自費サービスには、主に身体介護や家事援助などが含まれます。
医療費控除は適応できる?
訪問介護は、単独では医療費控除の対象にはなりません。
しかし、医療系サービスと併せて利用する場合は、利用者負担額についても、医療費控除の対象となる取扱いになっています。
また、福祉系サービスについては、単独では医療費控除の対象にはなりません。
訪問介護の料金とデイサービスとの比較
訪問介護とデイサービスのそれぞれの特徴などについてみていきましょう。
自分や家族のニーズに合った選択肢をみつけるために参考にしてください。
利用料が訪問介護と同じく介護保険の適用がされる
デイサービスの利用料は、訪問介護と同じく介護保険の適用がされます。
介護保険が適用される利用料に関しては、あらかじめ設定された単位によって金額が決まります。
1割の自己負担で利用する場合、要介護1の方で最大9時間滞在しても、666単位の700円程度の自己負担額です。
デイサービスにはサービス加算がある
デイサービスの利用料金は、利用時間や要介護度によって異なります。
また、基本料金に加え、利用者の状態に応じた加算があります。
デイサービスは利用者の状態に合わせたサービスを提供します。
そのため、利用時間や要介護度によって料金が設定されています。
加算は、入浴や機能訓練などの特定のサービスを受けた場合などに設定され、料金が追加される仕組みです。
介護保険の適応外にかかる料金がある
介護保険は高齢者の生活支援を目的としています。
しかし、食費やデイサービスの日用品は一部、介護保険の対象外となっています。
そのため、デイサービスで提供される昼食とおやつには、全額を利用者が支払います。
一般的に500〜1000円ですが、食費は事業者が自由に設定できます。
そのため、施設ごとに料金が異なります。
訪問介護の料金で後悔しないために
訪問介護の料金で後悔しないためには、十分な情報収集と比較が重要です。
具体的に以下でそれぞれみていきましょう。
介護度の認定を受ける必要がある
要介護認定は、介護保険制度において高齢者や障がい者などの方が、どの程度の介護が必要かを判断するための制度です。
この認定を受けることで、介護保険制度によるサービスを利用できます。
訪問介護は、身体介護や生活援助などのサービスです。
利用者負担は1割〜3割程度であり、時間帯や曜日によって料金が異なることもあります。
事業所の契約時に確認すること
事業所の契約時に確認することについてご紹介します。
ぜひ参考にしてください。
サービス時に家で利用する物を確認
事業所の契約時には、当事者双方が契約内容について熟知している必要があります。
サービス時に家で利用する物を確認することが大切です。
たとえば、以下のようなものが挙げられます。
- ベッド
- 車いす
- ウォーターサーバー
- エアコン
- テレビ
上記の物は、基本的に利用者自身が用意する必要があります。
ただし、事業所によっては一部貸し出しや購入代行などのサービスを行っている場合もあります。
費用や条件などを事前に確認しておきましょう。
キャンセル料や交通費はどの程度かかるか
訪問介護の事業所と契約する際に確認するべきこととして、キャンセル料や交通費があります。
キャンセル料については、各事業者によって異なりますが、事業所の運営規程に定められています。
また、訪問介護員などの公共交通機関等の交通費についても、事業所により決められているのです。
そのため、契約時には、これらの費用について詳しく確認しましょう。
訪問介護以外のサービスの方が適切か考える
訪問介護以外のサービスには、たとえば、家事代行や生活支援サービスなどがあります。
ただし、訪問介護以外のサービスを利用する場合は、自己負担が発生することがあります。
また、介護保険制度の対象外となるため、費用が高額になることもあるでしょう。
そのため、利用者の状況に合わせて、適切なサービスを選択することが大切です。
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訪問介護の料金は介護報酬の改定で変わる
訪問介護の料金は、介護保険内の介護報酬に基づいて決められています。
しかし、介護報酬の改定により、加算などの追加される可能性があります。
介護報酬という基本料金が設定されており、これに加えて加算などの追加料金が設定されることがあります。
介護報酬の改定があると、訪問介護の料金にも変更が生じる場合があるでしょう。
介護報酬の改定により、料金に変更が生じる可能性があるため、定期的に最新の情報を確認しましょう。
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訪問介護の料金のまとめ
ここまで、訪問介護の料金の情報を中心にお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- 訪問介護料金の構造は、基本料金の単位は時間の単位によって異なる
- 訪問介護の料金は、要支援者の利用で週1回、1,172円(月)
- 訪問介護の料金等の細かいサービスは、高額介護サービス費、利用者負担軽減制度など
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。