高齢化が進むにつれて、タクシーの需要が増えつつあります。
そのような中で介護タクシーは車一台で始められ、ビジネスとしても人気が高まっています。
しかし、介護タクシーを始めたいけれど必要な資格などがよく分からないという方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、以下の内容について解説していきます。
- 介護タクシーとは
- 介護タクシーの必須資格
- 介護タクシーを開業する方法
- 介護タクシーの利用料金
介護タクシーに興味がある方や、介護タクシーを始めようとしている方にとって少しでも参考になれば幸いです。
ぜひ最後までご覧ください。
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介護タクシーとは
介護タクシーは訪問介護サービスの一つです。
訪問介護サービスに含まれる、「通院等のための乗降車の介助」を行うタクシーが介護タクシーと呼ばれています。
一般のタクシーと違い、要介護者や体の不自由な方が車いすやストレッチャーで乗車できるようになっており、その介助を運転手が行います。
また介護タクシーの利用者は、要介護1〜5に認定された方で一人では電車などの公共交通機関を利用できない方が対象です。
移動ならばいつでも利用できるのではなく、通院や選挙など「日常生活上または社会生活上必要な行為に伴う外出」の場合に介護タクシーが利用できます。
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介護タクシーの必須の資格
介護タクシーを始めたいという方には、以下の資格が必須となります。
普通自動車二種免許
介護タクシーに限らず、一般のタクシーや運転代行のように乗客を目的地まで運び、運賃をいただくためには普通自動車二種免許が必要です。
二種免許を取得するには満21歳以上であり、一種免許を取得してから3年以上経過していなければなりません。
一種免許と同じように教習所に通う、または合宿に参加して二種免許取得を目指す方が多いです。
しかしなかには独自で練習し、いきなり試験を受けて取得を目指す方もいるようです。
教習所や合宿の場合は、場所によっても異なりますが20万円前後の料金がかかります。
介護職員初任者研修
介護タクシーの運転手は、利用者の方を介助するので介護職員初任者研修を履修することが必須です。
介護職員初任者研修は、講座を受けるスクールにもよりますが、最短約一ヶ月で取得できるとされています。
対面と自宅学習を合わせて実施しているスクールが多いようです。
費用はスクールによって大きく異なります。
キャンペーンなどで費用が安くなっていることもあるので、いくつかのスクールを比較して条件に合うところを選ぶことが大切です。
介護タクシーに必要な資格は上記の二種類ですが、どちらもすぐに取得できるものではないですし、取得のための費用もかかります。
介護タクシーを始めようと思っている方は、事前にきちんと計画を立て資格取得を目指すことが重要です。
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介護タクシーに役立つ資格・研修
介護タクシーを利用される方に質の高いサービスを提供するために役立つ資格を紹介します。
普通救命講習
普通救命講習は各地の消防局や消防本部が行う講習の一つで、一般の方を対象に救命措置や応急手当てなどの方法を指導します。
普通救命講習を受けることで、介護タクシーの利用中に利用者の方が体調を崩してしまったというような事態が起きても落ち着いた対応ができるようになります。
サービス介助士
サービス介助士はケアフィッターとも呼ばれます。
高齢の方や障害を持つ方など、さまざまな方が暮らす社会でどのような方でも安心して社会参加ができるように、おもてなしの心と介助技術を学びます。
介護タクシーを利用される方に利用してよかったと思ってもらえるような接客スキルや相手に寄り添った介助技術が習得でき、より高い満足度につながります。
ユニバーサルドライバー研修
ユニバーサルドライバー研修は、タクシードライバーを対象にタクシー事業者団体が研修を行っています。
一日で受講でき、さまざまなお客様とのコミュニケーション力の向上や介助技術の習得などを目指します。
円滑なコミュニケーションや、きめ細やかな介助ができることで利用者の方にも安心して介護タクシーを使っていただけます。
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介護タクシーを開業する
介護タクシーに必須の資格を習得したら、個人で介護タクシー事業を始めるという道もあります。
開業するにあたって必要な手続きを紹介します。
法人の設立
介護保険が適用される介護タクシー事業を始めるためには、介護事業所の指定を受けなくてはなりません。
そのためには、法人を設立する必要があります。
法人の設立は各地域の法務局で行い、一般に株式会社、合同会社、NPO法人で設立されることが多いようです。
法人の設立には、定款の作成など手間がかかることも多く司法書士に依頼される方も多いです。
その場合には費用がかかるのでどのくらいかかるのか比較、検討しておくことが大切です。
訪問介護事業所の指定を受ける
訪問介護事業所に指定されるための手続きは、各都道府県や市町村窓口で行います。
指定を受けるためには、規定の人員基準や設備基準があるので事前に確認し基準を満たしておく必要があります。
すぐに指定が降りるのではなく、指定を受けるまでには申請から2ヶ月ほどかかることが多いので注意が必要です。
介護タクシーの開業許可を取得する
管轄の運輸局に開業許可と運賃の認可申請を行います。
開業の許可には、車両や人員、車庫、資金面など許可要件が複数あるので各要件を満たせるように事前に準備しておくことが大切です。
また、運賃は営業する地域の運賃相場を調べ適切な価格に設定する必要があります。
開業許可と運賃の認可申請を行った翌月には、法令試験を受けます。
合格し、書類に不備などがなければ許可を取得できます。
開業許可が降りるまでに、書類の申請から2〜3ヶ月ほどかかるとされます。
書類を申請した翌月に試験があるので、日程などにも気を配る必要があります。
運輸開始届を提出する
運輸局に、実際に運輸を開始する日を申請します。
営業所や車庫の写真など必要なものがあるので確認しておきましょう。
運輸開始届は、開業の許可が降りた日から6ヶ月以内に提出しなければなりません。
介護タクシーの開業は、車一台からできるので比較的失敗も少なく始めやすいといわれますが、上記のように申請手続きに手間や資金がかかります。
開業を考えている方は、資金や準備期間などを考慮し計画を立てておくことが大切です。
介護タクシーに介護保険は適応される?
介護タクシーの以下の2つについてご紹介します。
- 保険適用で介護タクシーを利用できる人
- 介護タクシーの利用条件
保険適応で介護タクシーを利用できる人
保険適用で介護タクシーを利用できる人は条件に合致する必要があります。
以下のすべてに合致する人が介護タクシーを利用できます。
- 要介護1以上の方
- 1人で公共交通機関を利用できない方
- 家族など付き添う人がいない方
介護タクシーは介助が必要な方のためのサービスです。
上記条件がすべてそろわない方は介護保険の適用になりません。
介護タクシーの利用条件
介護タクシーは訪問介護の「通院等乗降介助」サービスに該当します。
したがって利用は「通院時などの移動」と介護がセットになっている必要があります。
また、通院時以外で「日常生活上または社会生活上で必要な行為に伴う外出」は利用が可能です。
具体的な利用条件を以下の表にまとめます。
【介護タクシーの利用の可不可の例】
利用が可能 | 利用不可 |
通院(受診、リハビリ、検診など) | 食料品の買い物 |
銀行(預貯金の引き出し・振込など) | 友人との食事 |
本人が行く必要のある買い物(メガネ・補聴器など) | 映画鑑賞 |
介護タクシーと福祉タクシー
介護タクシーとよく似ているものに福祉タクシーがあります。
どちらも同じと捉えている方もいらっしゃるかもしれませんが、以下のような違いがあります。
福祉タクシーとは
福祉タクシーは高齢の方や障害がある方が、買い物や観光など幅広い目的で利用できるタクシーです。
要介護に認定されていない方でも利用でき料金の一部を各自治体が負担してくれることが多いです。
介護タクシーと福祉タクシーの違い
介護タクシーとは違い福祉タクシーの運転手は介助を伴わないので、介護職員初任者研修の修了資格が不要です。
また、福祉タクシーは介護保険の利用対象ではないので、利用の目的に決まりがなく利用者の方が自由な目的で使用でき家族や友人の乗車も可能です。
介護タクシーは利用の目的が制限され、介護が必要な方に特化していますが福祉タクシーは自由に利用できるため幅広い方々が利用できるという違いがあります。
介護タクシーの利用料金
介護タクシーの利用料金は、以下の3つの合計金額です。
- 運賃
- 乗車介助などを受けることで発生する介護サービス料金
- 車椅子などの介護機器のレンタル料金
3つの中で、乗車介助などを受けることで発生する介護サービス料金は介護保険の適応対象です。
事業者によって金額に差があるので確認は必要ですが、料金形態は以下のようになっています。
運賃
時間制運賃または、距離制運賃のどちらかで決まります。
時間制運賃の場合は、30分ごとに1000円というように利用時間で決まります。
距離制運賃の場合は、初めの2㎞で800円、以降1㎞ごとに400円と距離で料金が変わります。
乗車介助などを受けることで発生する介護サービス料金
介護保険が適応されるので、自己負担は乗車介助では1回100円〜300円程度です。
身体介護は200円〜2000円程度と、介護の種類によって幅があります。
注意したいことが、一回の介助ごとに料金が発生するということです。
乗車介助を行きと帰りに受ければ、2回分の料金が発生します。
介護機器のレンタル料金
機器により決められており、車椅子は500円程度、ストレッチャーは2000円程度であることが多いです。
介護タクシーの利用は移動距離や、利用時間が長くなると料金も高額になるのでケアマネジャーなどと相談し、無理のない範囲で利用することが大切です。
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まとめ:介護タクシーに必要な資格
ここまで、介護タクシーを始めるために必須である資格のことなどを中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると、以下の通りです。
- 介護タクシーは訪問介護サービスの一つで介護保険が適応される
- 介護タクシーの必須資格は普通自動車二種免許と介護職員初任者研修である
- 福祉タクシーは介護保険の適応外で、利用者や目的が幅広い
- 介護タクシーの利用料金は運賃、乗車介助などを受けることで発生する介護サービス料金、車椅子などの介護機器のレンタル料金の合計である
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。