「介護保険による福祉用具のレンタルは複雑で分かりにくい」、「レンタル方法が分からない」といった悩みをお持ちの方は多いと思います。
在宅介護の負担を解消するためにも、福祉用具のレンタルは非常に大切です。
本記事では、介護保険サービスによる福祉用具のレンタルについて以下の点を中心にご紹介します。
- レンタルできる福祉用具の種類
- 福祉用具をレンタルするときの流れ
- 介護度が低い方による福祉用具のレンタル
疑問を解消するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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介護保険でレンタルできる福祉用具とは?
福祉用具とは、要支援や要介護の方々が自宅で安全に暮らすための用具であり、生活におけるさまざまな負担を軽減してくれる役割があります。
例えば、脚や体幹に障害がある方には車いすを提供することで、家の中でも外でも安全に移動ができます。
介護保険を使用して福祉用具をレンタルすると、レンタル料の一割を自己負担することで福祉用具をレンタルできます。
しかし、要介護や要支援の区分によってはレンタルできない福祉用具もあります。
「要介護2~5の区分に当たる方」「要支援、要介護の全ての方」に分けて、レンタルできる福祉用具をご紹介します。
要介護2~5の方がレンタルできる福祉用具
要介護2~5の方がレンタルできる福祉用具について解説していきます。
車いす
車いすの中でも以下の3つがレンタル可能です。
- 自走用
- 介護用車いす
- 電動車いす
用途としては、足腰や体幹に障害を持たれている方などに利用されます。
車いすの付属品
車いすをレンタルする場合、必要であれば付属品もレンタルできます。
以下の3つがレンタル可能です。
- 車いすのクッション
- 姿勢保持用品
- 電動補助装置
特殊寝台
以下の2つがレンタル可能です。
- サイドレール付きまたは取り外し可能なベッド
- 床の高さや脚の高さなどの調整が可能なベッド
特殊寝台の付属品
以下の3つがレンタル可能です。
特殊寝台と一緒に使用するものが該当します。
- マットレス
- サイドレール
- ベッド柵
床ずれ防止用具
以下の3つがレンタル可能です。
体圧分散効果を目的にしたマットレスが床ずれ防止用具に該当します。
- エアーマットレス
- ウォーターマットレス
- 静止型マットレス
体位変換器
以下の2つがレンタル可能です。
起き上がりや体位変換をする際に要介護者の方の体位を容易に変換してくれる機能がついているものになります。
- 起き上がり補助装置
- 体位変換補助パッド
認知症老人徘徊感知機器
以下の2つがレンタル可能です。
要介護者の方が屋外へ出ようとしたときに、センサーによる感知で親族の方々に通報する福祉用具になっています。
- 認知症外出通報システム
- 離床センサー
移動用リフト
レンタル可能な移動用リフトは主に以下の3つです。
自力で移動が困難な要介護者の方々の移動を補助する福祉用具になります。
- 床走行式
- 固定式
- 据置式
要支援と要介護の方がレンタルできる福祉用具
次に要支援と要介護の区分に当たる方々でも介護保険を使い、レンタルできる福祉用具について解説していきます。
要支援は1~2の区分に当たる方、要介護は1~5の区分に当たる方どちらにも共通してレンタルできる福祉用具は下記の通りです。
手すり
取り付け工事などが不要の手すりになります。
使用したい場所に置いて使用する手すりがレンタル可能です。
スロープ
取り付け工事などが不要のスロープになります。
段差解消のため撤去できるスロープがレンタル可能です。
歩行器
以下の2つがレンタル可能です。
- 固定型歩行器
- 四輪歩行車
歩行補助つえ
レンタル可能な歩行補助つえは以下の通りです。
- サイドウォーカー
- カナディアンクラッチ
- ロフストランドクラッチ
- プラットホームクラッチ
- 松葉杖
- 多脚杖
自動排泄処理装置
自動排泄処理装置は便または尿が自動で吸引され、洗浄、乾燥などを自動的に行う装置になります。
自動排泄処理装置は自宅などでレンタルすることが可能です。
便と尿の吸引のものは要介護4・5の方がレンタル可能です。
要支援1・2、要介護1〜3の方は原則的に、尿の吸引のみのレンタルが可能です。
しかし、後に解説する例外給付によって、尿と便の吸引ができる装置のレンタルが可能になる場合もあります。
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福祉用具をレンタルするときの流れ
レンタルの手順を踏みながら解説していきます
①ケアプランを立てる
介護保険を使い福祉用具をレンタルする際は、最初にケアプランを立てましょう。
ケアプランはケアマネジャーと共に立てていきます。
ケアマネジャーから提案されたケアプランに問題がなければ手順1はクリアです。
②申し込み・契約
ケアプランを基にレンタルしたい福祉用具を決めます。
福祉用具が決まったらケアマネジャーに内容を連絡します。
ケアマネジャーから契約内容やレンタル料について説明を受けたうえで契約書を作成し、お届け場所や日時を決定します。
③受け取り・レンタル開始
手順2で指定したお届け場所や日時を基に福祉用具の設置、または組み立てなどを行います。
受け取りの際に注意事項や使用方法について説明を受け、内容を確認できたらレンタル開始になります。
高齢化が進み、要介護者の増加や介護期間の長期化などがみられるようになりました。また、老老介護という言葉もあるように介護する家族も高齢化しています。そういった現状を踏まえ、介護の負担を減らすために作られた制度が介護保険です。[…]
福祉用具のレンタルはいくらかかる?
例えば、レンタル料金が2万円だとします。
その際に利用者の方が支払う料金は、介護保険を適用したレンタル料の一割負担になるので2千円になります。
福祉用具をレンタルする際は、介護保険を適用したレンタル料の一割を利用者の方が負担する仕組みになっていますので、それぞれのレンタル料には差が出てきます。
また、収入によってレンタル料の負担割合が変わってくるケースもあります。
簡単にまとめると福祉用具の在庫や処分費用によって各福祉用具の収入が変わってくるため、収入が低い福祉用具はレンタル料が2割~3割になるケースがあるということです。
つまり、各福祉用具によってレンタル料が変動するため事前に確認をしておきましょう。
軽度者にも救済措置が?
上記では、要介護・要支援の区分ごとにレンタルできる福祉用具について解説してきました。
上記の区分に該当しない軽度者の方に対して、福祉用具のレンタルが例外的に認められる例外給付という制度が存在します。
例外給付を利用できる軽度者は要介護・要支援の区分に該当しないものの、生活上福祉用具の貸与が必要と判断された場合にのみ福祉用具のレンタルが可能になります。
例えば、要介護・要支援の区分に該当しないものの、日常生活範囲における移動の支援が必要とされる方に関しては車いすなどの移動を補助してくれる福祉用具のレンタルが認められます。
例外給付を利用するには、ケアマネジャー・市区町村からの同意、または確認が必要になります。
ケアマネジャーの同意が得られれば内容を基にケアプランを作成し、市区町村から確認依頼書を受け取ります。
確認依頼書に必要事項を記入したら区役所高齢支援課・地区健康福祉ステーション介護給付担当による確認を行い、適正と判断された場合に福祉用具のレンタルが可能になります。
参考:草加市ホームページ
レンタルだけでなく販売もある?
福祉用具には、レンタル以外に購入ができる福祉用具も存在します。
福祉用具販売とは、利用者が可能な限り自宅で日常生活を送るために指定事業者が入浴や排泄に関する福祉用具を販売することです。
また、福祉用具販売で購入できる福祉用具と金額の目安を以下にまとめます。
福祉用具 | 金額の相場 |
腰掛便座 | 約3万円~5万円 |
入浴補助用具 | 約3万円 |
簡易浴槽 | 約7万円 |
リフトの吊り具 | 約4万円~5万円 |
※福祉用具を購入する際は、介護保険の対象となる限度額は10万円になります
福祉用具を効果的に利用したいと感じたら
福祉用具を効果的に利用したいと感じたら、福祉用具専門相談員に相談することをおすすめします。
福祉用具専門相談員とは、福祉用具について利用者の方に最適な福祉用具についてアドバイスしてくれる方々のことです。
また、利用者だけでなくケアマネジャーにも福祉用具に関するアドバイスを行っています。
福祉用具専門相談員になりたい方は、資格取得が必要です。
福祉用具専門相談員講習を受講し、修了試験に合格することで資格を取得できます。
内容も他の介護関連の資格(介護職員初任者研修や介護福祉士)の中でも分かりやすく、短期間での資格取得が狙えます。
福祉用具専門相談員講習は50時間で構成されており、約一週間ほど講習を受けます。
費用は4万円~6万円となっており比較的安く資格取得できます。
福祉用具専門相談員の資格があると、要介護者の方やケアマネジャーの方などに適切な福祉用具についてアドバイス・相談ができるようになります。
親族に要介護者や要支援者の方がいる場合は、円滑に福祉用具を選定し、最適な福祉用具で快適な日常生活をサポートできます。
在宅介護がしんどいと感じたら
在宅での介護がしんどいと感じたら、福祉用具以外のサービスでも解決できることを知っておきましょう。
また、1人で抱え込まないように相談できる人や機関も以下で紹介します。
他に利用できる介護保険サービスとは?
福祉用具を導入すると、被介護者が動きやすかったり、介護者が介護しやすい環境を作ることが可能です。
しかし、福祉用具だけで解決できない問題もあります。
以下のような介護保険サービスも利用しながら負担を減らしましょう。
- 負担なくお風呂に入ってほしい:通所系サービス(デイサービス・デイケア)の利用
- 介護者の休む時間がほしい:ショートステイの利用
- オムツ交換や食事介助が大変:訪問介護の利用
- 施設である程度長い期間お世話になりたい:介護保険施設への入所
福祉用具レンタル以外にも利用できるサービスはたくさんあります。
ぜひ利用を検討してみてください。
在宅介護がしんどいと感じたら相談を
介護に関する悩みはおひとりで抱えこまないように気を付けましょう。
ささいなことでも困ったらいつでも相談できる機関や人がいます。
在宅介護に関する相談は、以下のような窓口があります。
- 地域包括支援センターや居宅介護支援事業所:担当のケアマネジャー・計画作成担当者
- 市町村の役場:高齢者介護の担当窓口(高齢者福祉課、高齢介護課など名称はさまざま)
- 医療機関:医療ソーシャルワーカーやかかりつけ医
- 介護保険サービスの事業者:福祉用具をはじめ訪問介護などの職員
それぞれが介護や制度におけるプロです。
遠慮なく相談してみましょう。
無理をすると介護うつになってしまう?
在宅介護のストレスが限界を迎えてしまうと、被介護者への虐待やご自身の介護うつの原因にもなってしまいます。
責任感が強く完璧主義の人ほど、理想と現実のギャップにストレスを感じ介護うつを発症してしまいます。
サービスをうまく利用する、誰かに相談するなど対策をとり、思いつめないようにしましょう。
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まとめ:介護保険による福祉用具のレンタル
ここまで介護保険による福祉用具のレンタルについてお伝えしました。
要点は以下の通りです。
- レンタルできる福祉用具の種類は13種類
- 福祉用具のレンタルの流れは、「ケアプラン作成」「申し込み」「受け取り」
- 要支援・要介護に該当しない方でも、例外給付によって福祉用具をレンタルできる場合がある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。