「家族や身内のために、介護食宅配サービスを利用してみたい」
「介護食宅配サービスを利用したいけど、料金や特徴がイマイチよく分からない」
介護食宅配サービスの利用を検討している方の中には、このように考えている方も多いのではないでしょうか。
介護食宅配サービスは、高齢者が増加傾向にある現代の日本において非常に人気かつ流行している宅配サービスの一種であり、既に多くの方が利用しています。
本記事では、介護食宅配サービスについて以下の点を中心に解説していきます。
- 介護食宅配サービスの概要
- 介護食宅配サービスの特徴
- 介護食の種類
介護食宅配サービスについて知りたいという方は、ご参考いただけますと幸いです。
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介護食宅配サービスとは
まずはじめに、介護食宅配サービスについてご紹介します。
介護食宅配サービスとは、高齢者や嚥下障害(物を食べるときに、のどや胸につかえ感や不快感などがあって飲み込みにくいという症状を感じる方)のある方が、安全に美味しく食事を楽しめるよう開発された食事の配達サービスです。
サービスの形態としては一般的な宅食サービスと似ていますが、介護食宅配サービスの場合は、特に栄養バランスや食事の食べやすさが考慮されています。
管理栄養士が栄養バランスを考慮しながら、食材の硬さや大きさを調整し、各利用者の咀嚼・嚥下能力に合わせた食事を提供しているのです。
一般的なメニューは、主菜、副菜、汁物などがセットになっており、真空パックや冷凍状態で届けられるため、長期保存が可能です。
また、多くの介護食宅配サービスでは、普通食から始まりペースト食まで、利用者の特徴や希望に合わせて複数の食事形態から選択できるという特徴もあります。
介護食宅配サービスの特徴については、後ほど改めてご紹介します。
介護食について詳しく解説していますので、こちらの記事も合わせてお読みください。
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介護食宅配サービスの料金はどれくらい?
次に、介護食宅配サービスの料金についてご紹介します。
結論から述べると、介護食宅配サービスの料金は約600円〜700円程度が相場といれています。
とはいえ、具体的な金額についてはメニューや提供する会社によって異なり、送料も地域によって異なります。
アクセスが悪いような地域から注文する場合は、送料だけで1,000円を超えてしまうというケースも稀にあるようです。
また、前述したように、介護食宅配サービスは利用者の特徴や好みによって食事タイプを選べるため、その内容によっても料金が異なります。
具体的な金額が知りたいという場合は、ぜひ利用を検討している介護食宅配サービスに問い合わせてみると良いでしょう。
介護食宅配サービスを使用している人は多い?
そんな介護食宅配サービスですが、実際に利用している方は多いのでしょうか。
結論から述べると、宅配サービスの明確な利用者するは不明ではあるものの、すでに多くの方(特に高齢者)が利用していることが予想できます。
こう判断できる要因としては、
- 高齢者の増加
- 介護職の宅配サービスの市場規模が拡大していること
が挙げられるでしょう。
市場調査を専門に行う矢野経済研究所が2023年度に発表した調査によると、メディカル給食・在宅配食サービスの市場は2018年以降右肩上がりに伸びており、2027年には2兆4,793億円にまで達するとされています。
また、メディカル給食・在宅配食サービスの市場拡大の裏では、病院の統廃合や閉鎖、診療所の無床化が進むことから、病院給食市場には縮小傾向が見られる状態となっています。
このような背景には様々な要因が考えられますが、病院で過ごすよりも自宅の安心した環境で生活を送りたいと考える高齢者の感覚や、病気や身体的な不自由を感じるよりも前に、普段の食事や生活習慣から健康に気を遣うという世の中の動向が大きく影響しているのかもしれません。
出典:株式会社矢野経済研究所「メディカル給食・在宅配食サービス市場に関する調査を実施(2023年)」
介護食と通常食の違いや特徴
ここでは、介護食と通常食の違いや特徴について、以下の5つに分けてご紹介します。
- 形状や食べやすさ
- 食事に含まれる栄養素
- 食事に含まれる水分量
- 見た目や味付けの工夫
- 使用する食器
介護食宅配サービスを選ぶ際には、これらの要素がしっかりと考えられているか、関連するサービスが充実しているのかという点を注意して見てみると良いでしょう。
形状や食べやすさ
介護食と通常食の違いや特徴の1つ目は「形状や食べやすさ」です。
前述したように、介護食は、咀嚼や嚥下機能に配慮して、通常食とは異なる特別な形状を意識して調理されています。
例えば、噛みごたえが悪い肉類の繊維は断ち切られ、野菜は細かく刻んで柔らかく煮込むなど、誤嚥(飲み込んだ食べ物や唾液などが、食道ではなく気道に入ること)を防ぐための工夫が施されています。
また、食事の温度も適温に保つよう配慮され、冷たすぎず熱すぎないような状態で提供されることで、より安全に高齢者が食べられるように配慮されているのです。
食事に含まれる栄養素
2つ目は「食事に含まれる栄養素」です。
これは、全ての宅食サービスに共通していえることですが、介護食の場合は特に栄養素が考慮されてメニューが組まれています。
特に高齢者にとっては、筋力や身体の健康状態により意識を向ける必要があるため、通常食と比べてタンパク質の含有量が多く設定されています。
また、カルシウムやビタミンD、ビタミンB群なども、高齢者の必要量に応じて適切に含まれています。
一方で、高齢者の消化器系への負担を考慮して、脂質の量が適度に抑えられている点も特徴です。
食事に含まれる水分量
3つ目は「食事に含まれる水分量」です。
一般的な食事にも水分は含まれていますが、高齢者が口にする介護食の場合は、咀嚼のしやすさや飲み込みやすさという点を考慮してより多くの水分量が含まれている傾向にあります。
これには、食事に合わせて十分な水分が摂取できるように配慮されているという背景もあります。
また、スープやみそ汁などの液体類は、適度なとろみを付けることで、安全に摂取できるよう調整されています。
見た目や味付けの工夫
4つ目は「見た目や味付けの工夫」です。
高齢者の中には、栄養が十分に摂取できていない状態であるのにも関わらず、食欲を感じづらいが故に本来必要な食事量を摂取できていない方も多くいます。
そのため、介護食は見た目や味付けにも工夫が施されており、食べる人の食欲を刺激するように配慮されています。
色彩豊かな食材を使用し、視覚的な魅力を高めることで、食欲増進を図っているのです。
味付けは、高齢者の味覚機能の変化を考慮し、若干濃い目の味付けが基本となっていますが、過度な塩分の使用は避けられています。
また、季節を考慮したメニューなどを取り入れることで、食事自体の楽しみを与えられるような工夫も盛り込まれています。
使用する食器
5つ目は「使用する食器」です。
介護食で使用される食器は、安全性と使いやすさを重視して特別に設計されており、一般的な食器よりも深さのある器が用いられ、すくいやすさなどが配慮されています。
また、食器の縁には滑り止めが施すことで安定性が確保されていることに加え、色彩についても、食材との色の区別がつきやすい配色が選択され、視認性を高める工夫がなされています。
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介護食の種類
次に、介護食の種類について、以下の5つをご紹介します。
- 軟菜食
- きざみ食
- ミキサー食
- ソフト食
- 流動食
これらの種類は、実際に介護食を口にする人の体調や好みに応じて選べ、それぞれが異なる特徴を持っているため、介護食の種類について理解しておきたいという方は、ぜひ各介護食の内容を参考にしてみてください。
軟菜食
介護食の種類の1つ目は「軟菜食」です。
軟菜食とは、通常の食事に最も近い形態の介護食といえますが、歯茎でつぶせる程度の柔らかさに調理されている点が特徴です。
野菜などは十分に煮込まれており、肉類は繊維を断ち切って柔らかく調理されます。
また、魚の骨などは完全に除去されており、煮魚や蒸し魚として提供されることが多い傾向にあります。
通常であれば気にならないご飯なども通常よりも少し柔らかめに炊かれており、必要に応じてお粥として提供されることもあるため、噛むことが困難であると感じている方も難なく食べられます。
きざみ食
2つ目は「きざみ食」です。
きざみ食は、食材を細かく刻んで調理されている介護食です。
噛みやすさや飲み込みやすさが考慮されているという点においては軟菜食などと同じですが、単純に柔らかさが追求されたものよりも食べる際の量が調整しやすいように工夫が施されています。
また、刻んだ後もばらばらにならないよう、適度な水分やとろみ剤を加えて、まとまりのある状態に調整されている点も特徴です。
ミキサー食
3つ目は「ミキサー食」です。
ミキサー食は、食材をなめらかなペースト状に調理したような介護食を指します。
食材を加熱調理した後、ミキサーで均一に粉砕し、とろみ剤を加えて適度な粘度に調整されます。
栄養の面では、水分での希釈により栄養価が低下しないよう、調理段階で栄養強化が行われています。
ソフト食
4つ目は「ソフト食」です。
ソフト食は、見た目は通常の食事に近い形状を保ちながら、極めて柔らかく仕上げられた介護食です。
軟菜食が調理によって柔らかさを生み出しているのに対して、ソフト色の場合はゲル化剤などの食品添加物を使用して食材を再形成している点が特徴です。
また、ソフト食の方が軟菜食よりも柔らかい傾向にあり、舌でつぶせる程度の柔らかさが基準となっています。
流動食
5つ目は「流動食」です。
流動食は、その名の通りそのまま飲み込むことを目的として調理された介護食です。
完全に液状化された食事で、経口摂取が困難な方や、手術後の方などに適しています。
栄養補助食品や、食材を完全に液状化して作られ、必要な栄養素が全て含まれるよう調整されています。
介護食には液体状のものが多いため、食事中の汚れ防止が重要です。
そこで便利なのが介護用食事エプロンです。
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介護食宅配サービスを利用するメリット
最後に、介護食宅配サービスを利用するメリットについて、以下の3つをご紹介します。
- 時間と手間が削減される
- 正しい栄養管理が可能
- 安全性や食べやすさが保証されている
時間と手間が削減される
介護食宅配サービスを利用するメリットの1つ目は「時間と手間が削減されること」です。
既に介護のご経験がある方や、食事への工夫が必要である方などは分かるかもしれませんが、介護食を作るとなると、通常の料理よりも手間や時間がかかることが一般的です。
食材の選定から下処理、適切な硬さや形状への調整など、通常の調理以上の手間と専門的な技術が必要であり、介護食を実際に口にする方の好みもあります。
その点介護食宅配サービスを利用すれば、毎食の調理にかかる負担が軽減され、その時間を他の介護活動や休息に充てることもできます。
正しい栄養管理が可能
2つ目は「正しい栄養管理が可能であること」です。
前述した通り、介護食は単に食べやすさだけが考慮されているだけでなく、高齢者が摂取すべき栄養素が豊富に含まれています。
特に高齢者の場合は、加齢とともに様々な栄養素が不足しがちですが、栄養士などの専門家による栄養設計により、タンパク質やビタミン、ミネラルなどをバランスよく摂取することが可能です。
安全性や食べやすさが保証されている
3つ目は「安全性や食べやすさが保証されていること」です。
何といっても、介護食を利用する最大のメリットは、食べやすさや安全性が保証されている点にあります。
食材の硬さや大きさは、各利用者の咀嚼や嚥下機能に合わせて適切に調整され、誤嚥のリスクを最小限に抑えられています。
また、衛生管理された専用の施設で調理が行われ、品質管理基準も厳格であるため、食中毒などの心配も軽減されている点も大きなポイントです。
介護食の宅配サービスまとめ
ここまで介護食宅配サービスについてご紹介しました。
要点を以下にまとめます。
- 介護食宅配サービスとは、通常の宅食サービスのように、高齢者向けの介護食が定期的に送られてくるサービス
- 介護食宅配サービスの特徴は、形状や食べやすさや食事に含まれる栄養素が考えられていること、そして食事内に適切な水分量が含まれていること
- 介護食には、軟菜食やきざみ食、ミキサー食など、高齢者の状態や好みに応じた5つの種類が存在する
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。