有料老人ホームでは高齢者の方に向けてさまざまなサービスを提供しています。
そのため、入居後に支払わなければいけない費用項目も多いです。
有料老人ホームではどのような費用が発生するのでしょうか?
また費用はどのくらいかかるのでしょうか?
本記事では、有料老人ホームの費用について以下の点を中心に紹介します。
- 有料老人ホームの概要や費用目安・内訳
- 利用料金の支払い方法
- 有料老人ホーム費用が払えなくなったときの対処法
有料老人ホームの費用を把握しておくためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
その他の介護施設にも興味がある方は以下の記事をご参考にしてください。
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有料老人ホームとは
有料老人ホームとは、高齢者の食事、介護、洗濯・掃除などの家事の供与、健康管理などのサービスを提供している民間の施設です。
有料老人ホームは、大きく3種類に分けることができます。
有料老人ホームの種類については下記の通りです。
施設の種類 | 対象者 | 主なサービス |
介護付き有料老人ホーム | 主に要介護状態の高齢者 | ・食事、清掃、洗濯などの生活支援サービス ・入浴・排泄介助などの介護サービス ・リハビリ、機能訓練、レクリエーションなどのアクティビティ |
住宅型有料老人ホーム | 自立した高齢者、軽度の要介護者 | ・生活支援、食事サービス、清掃・洗濯などの生活支援サービス ・健康管理サービス、レクリエーションなどのアクティビティ |
健康型有料老人ホーム | 健康で自立している高齢者 | ・自立状態の高齢者の家事、食事サポート ・介護が必要になると退去する必要がある |
有料老人ホームについて知りたい方は以下の記事も併せてご覧ください。
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有料老人ホームの初期費用と月額費用の相場
有料老人ホームでかかる費用として主なものに、初期費用と月額費用があります。
また日常生活費など、自分の趣味や日用品に使うお金も費用の一つです。
有料老人ホームの初期費用については施設によってさまざまです。
それぞれの施設をよく調べましょう。
有料老人ホームの月額費用の目安は下記の通りになっています。
【各施設の月額費用目安】
介護付き有料老人ホーム | 25万円程度 |
住宅型有料老人ホーム | 20万円程度 |
健康型有料老人ホーム | 10万円~40万円程度 |
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有料老人ホームの費用内訳
有料老人ホームの具体的な内訳としては初期費用、月額費用、日常生活費などがあります。
それぞれ具体的に紹介します。
初期費用
初期費用とは施設に入居する際にかかる費用です。
初期費用がかからないところから数百万円かかるところもあります。
それぞれの施設のサイトをよく調べましょう。
月額費用
月額費用には食費や居住費、管理費が含まれます。
以下の表は介護型有料老人ホームの「ファミニュー石神井」の月額費用です。
【月額費用目安(30日あたり)】
家賃相当額 | 115,000円 |
食費 | 64,800円 |
水道光熱費 | 17,486円 |
管理費 | 56,831円 |
合計 | 254,117円 |
参照:「ファミニュー石神井」
食費
一日3回のご飯とおやつがでるところもあります。
食費には、食材費用、維持管理費などが含まれています。
居住費
一般的に家賃といわれているものです。
立地や広さ、設備されているもので異なります。
管理費
光熱費、水道代、設備費、メンテナンス費用、事務費用、人件費などが含まれます。
日常生活費
消耗品なども日常生活費に加算されます。
個人が使う歯ブラシ、歯磨き粉、石鹸、ティッシュペーパーやお菓子、本などの嗜好品も含まれます。
介護サービス費
介護保険の自己負担額は介護度が変更しなければ、月々の費用は一定額となります。
所得が高い方は自己負担額が2割、または3割となり、その他の方は1割負担になります。
毎月の金額が決まっているので、入居者や家族にとって把握しやすく安心です。
介護度別の自己負担額は以下の表です。
要介護度区分 | 介護保険報酬(円) | 自己負担額(円) |
要支援1 | 5万4,600 | 5,460 |
要支援2 | 9万3,300 | 9,330 |
要介護1 | 16万1,400 | 1万6,140 |
要介護2 | 18万1,200 | 1万8,120 |
要介護3 | 20万2,200 | 2万220 |
要介護4 | 22万1,400 | 2万2,140 |
要介護5 | 24万2,100 | 2万4,210 |
有料老人ホームの利用料金の支払い方法
利用料金の支払い方法は大きく分けて3種類あります。
それぞれご紹介します。
一時金方式
総額を入居時にすべて前払いする方式です。
一般的に、毎月の支払額を抑えられます。
しかし早期退去した場合には、支払った初期費用が全て戻ってくる訳ではないので注意が必要です。
一部前払い・一部月払い方式
支払うべき総額の一部を一時金で前払いし、残りを月払いで支払いしていく方式です。
月払い方式よりも、月額利用料を低額に抑えることができます。
月払い方式
入居一時金が発生せず、月々の必要な費用のみを支払う方式です。
短期間の利用向きで、入居一時金が発生しないので、月額費用は高くなる傾向があります。
有料老人ホームの支払い方式はどれがおすすめ?
有料老人ホームのそれぞれの支払い方式のメリット・デメリットを以下の表にまとめました。
短期入居の方と長期入居の方におすすめした支払い方法にstいてご説明いたします。
支払い方式 | 概要 | メリット | デメリット |
一時金方式 (全額前払い) | 入居一時金を一括して全額前払い。 | 一括で支払うため、経済的に目処が立ちやすい。 | 一括で支払うため、以降に利用料が下がっても差額の返還は無い。 |
一部前払い方式 (入居金前払い) | 入居金を一部のみ前払い。 それ以降は差額を月払い。 | 償却期間終了前に退去の場合、入居一時金の未償却分が「返還金制度」によって返金される。 | 全額前払い方式より、毎月の支払い金額が高く設定される場合がある。 |
月払い方式 (入居金0円) | 入居一時金を前払いせず、月払い料金に上乗せして支払う。 | 利用料が下がった場合、全額前払い方式より利用料を安くできる。 | 利用料が高くなった場合、経済的な目処が立ちにくい。 |
短期間の入居の場合
短期間の入居の場合は、月払い方式がおすすめ。
特養入居の待機期間のみ利用する場合などは前払い方式より、月払い方式利用が便利です。
長期間の入居の場合
長期間の入居の場合は、一時金方式(全額前払い)がおすすめ。
一括で支払うため、月々の支払いの負担が少なくなるため、長期間の場合は経済的な目処が立ちやすいです。
有料老人ホームの費用の自己負担額を減らすには?
民間が運営する有料老人ホームは、公的な介護施設より利用料が高いことが多いです。
少しでも利用料を安くできるよう、以下で2つの制度をご説明します。
高額介護サービス費制度
高額介護サービス費制度とは、介護保険サービスの月額の自己負担金額が上限を超過した分、介護保険により支払いされる制度です。
上限額は所得によって決められています。
介護保険サービス費が高額の場合は、一度利用を考えてみてもいいでしょう。
出典:厚生労働省「高額介護サービス費の見直し」
高額介護合算療養費制度
高額介護合算療養費制度とは、医療保険と介護保険の合計が1年間に著しく重くなった場合、負担を軽減できる制度です。
自己負担額の上限は、所得や条件によって変わってきます。
出典:厚生労働省保検局「高額療養費制度の見直しについて(概要)」
有料老人ホームの費用は医療費控除の対象?
有料老人ホームの費用は医療費控除の適用対象となるのでしょうか?
医療費控除制度から詳しくご説明いたします。
医療費控除制度とは
自分自身や同居家族の怪我や病気で支払った医療費が、年間10万円(所得が200万円以下の場合は所得の5%)を超えた時、税金の一部が返還される制度です。
どの費用が医療費控除の対象となる?
医療費控除の対象は、治療費だけではなく通院時の交通費や入院中の食事代も含まれます。
しかし、支払った全てが医療費控除の対象では無いので詳しく説明していきます。
医療費控除対象の費用
医療費控除の対象となる費用は以下の通りです。
- 急患や怪我などで病院や診療所等に運ばれる時の人的労務の提供費用
- あんまマッサージ指圧、はり師、きゅう師、柔道整復師等の治療のための施術費
- 入院中の部屋代や食事代
- 通院費
- 医療用器具の購入代や賃借料
- 医師等の送迎費用
- 補聴器、義手、義足、松葉杖、義歯などの購入費
- 風邪の治療のため購入した一般的な医療品
- 保険適用内外の治療費、薬代
- 在宅療養の為の費用
医療費控除対象外の費用
医療費控除の適用対象外となる費用は以下の通りです。
- 健康診断の費用(人間ドックなど)
- 美容整形の治療費用
- 漢方薬、ビタミン剤、サプリメントの購入費
- 自家用車での通院費(ガソリン代や駐車料金)
- 予防接種でかかった費用
- 里帰り出産時の交通費
- 自己都合で利用した差額ベッド費
- タクシー代(公共交通機関を使用できない場合は除く除く)
医療費控除と介護保険サービスの関係
医療費控除の対象となるのは、施設サービスと医療系居宅サービスに分かれます。
それぞれ対象をみていきましょう。
医療費控除の対象となるサービス
医療費控除の対象となる介護保険サービスは以下の通りです。
【医療費控除の対象となる施設サービス】
- 介護老人保健施設
- 介護療養型医療施設、介護医療院
【医療費控除の対象となる医療系居宅サービス】
- 訪問看護、介護予防訪問看護
- 訪問リハビリ、介護予防訪問リハビリ
- 居宅療養管理指導、介護予防居宅療養管理指導
- 通所リハビリ、介護予防通所リハビリ
- ショートステイ、介護予防短期入所療養介護
- 定期巡回、随時対応型訪問介護看護
- 複合型サービス
【上記サービスと併用した場合のみ対象のサービス】
- 訪問介護(生活援助中心型を除く)
- 夜間対応型訪問介護
- 訪問入浴介護、介護予防訪問入浴介護
- デイサービス
- 地域密着型通所介護
- 認知症対応型通所介護
- 小規模多機能型居宅介護
- 介護予防認知症対応型通所介護
- 介護予防型小規模多機能型居宅介護
- ショートステイ
- 介護予防短期入所生活介護
- 定期巡回、随時対応型訪問看護複合型サービス
- 地域支援事業の訪問、通所型サービス(生活援助中心型サービスを除く)
医療費控除対象外のサービス
医療費控除対象外の介護保険サービスは以下の通りです。
- 特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム等)
- 訪問介護(生活援助中心型)
- 認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)
- 介護予防認知症対応型共同生活介護
- 介護予防地域密着型特定施設入居者生活介護
- 地域密着型特定施設入居者生活介護
- 福祉用具貸与
- 介護予防福祉用具貸与
- 複合型サービス(生活援助中心型の訪問介護の部分)
- 地域支援事業の訪問型サービス(生活援助中心のサービスに限る)
- 地域支援事業の通所型サービス(生活援助中心のサービスに限る)
出典:国税庁医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等の対価
上記より、有料老人ホームは医療費控除対象外ということになります。
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初期費用の償却制度とは
有料老人ホームの費用の特徴として「入居一時金」と「償却制度」があります。
入居一時金とは、施設の設備やサービスを利用するための費用です。
償却制度とは、償却期間の前に退去した場合、未償却となる初期費用が返還される制度です。
償却期間とは、想定される入居期間のことをいいます。
住んでいる期間が長ければ長いほど償却されるので、返還金額は少なくなります。
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有料老人ホームの費用が払えなくなったら?
老人ホームの費用が払えなくなった場合はどうすればいいのでしょうか?
いくつかの解決方法についてご紹介します。
ケアマネージャーなど施設職員に相談
ケアマネージャーは、介護を必要とする方と福祉・医療・保険のサービスをつなぐ役割をしています。
さまざまな角度からアドバイスがもらえるので、支払期日の延期や分割支払いなどをケアマネージャーに相談しましょう。
また、より低額な施設の紹介や、施設の仲介業者を紹介してくれることもあります。
今より料金の低い施設へ転居する
今後、費用が払えない状況が続く可能性がある場合、費用の支払いが可能な施設に転居しましょう。
ケアマネージャーや市区町村の窓口に相談して、施設探しをするといいでしょう。
生活保護の受給
年金を払えない、家族からの支援も見込めない場合、生活保護の受給も考えましょう。
希望する場合は、市区町村の窓口などで施設を紹介してもらえます。
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まとめ:有料老人ホームの費用
今回は、有料老人ホームの費用について紹介しました。
要点を以下にまとめます。
- 有料老人ホームの費用の内訳は初期費用、食費、居住費、日常生活費、管理費など
- 利用料金の支払い方法は、一時金方式、一部前払い・一部月払い方式、月払い方式の3種類
- 途中で退去した場合でも償却制度によって初期費用の一部が返還される。
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。