病院に入院している患者さんに対して、何となく受け身な印象を持ってしまうことはありませんか。病気による体調面の影響を差し引いても、人間関係も行動範囲もある程度限られてしまいますし、医師から安静度(病状に応じて医師から指示される運動や動作に関する制限)、が指示されている場合もありますから仕方ないことです。
しかし、大きな手術を必要とする病気やケガ、あるいは脳卒中のように一定期間入院してリハビリが必要な病気では、入院期間が長くなる場合もあります。入院期間が長くなれば、患者さんに対する受け身な印象を固定化してしまう恐れがあるように思います。
話を元に戻しますが、病院という環境で患者さんが受け身の生活になってしまうのは、ある意味仕方ないことです。だとすれば、患者さんを受け身の生活にさせているのは他でもない、その患者さんに関わる様々な病院職員(私自身の反省を込めて)ということになるでしょう。
例えば、患者さん自身ができることにも手を貸してしまうなんてことは日常茶飯事ですし、問題なく歩行できるような患者さんに対しても、ほとんど無意識に身体のどこかに触れているような場面にも遭遇します。
そこには、手を貸す職員と、それを受け入れる患者さん、身体の一部に触れて安全を確保する職員と、信用されていないと感じる患者さんが同時に存在します。そのような関係性の一つひとつが、患者さんの生活能力を過小に見積もってしまうことにつながりかねません。つまり、リハビリを含めた治療以外の時間の過ごし方が大切です。
退院して自宅で生活するとは、お客様であった状態からご主人様に戻ることです。その意味は、自分の生活に対する判断や責任という面で、活動のスイッチが切り替わります、他者との関係性は、される側から、もてなす側へと逆転します。
それこそが、小さい活動性を生み出す原動力になるのです。患者さんに関わる病院職員はもとより、家族、職場の方などは、病院での印象を、そのまま自宅での印象に置き換えてしまわないよう注意が必要です。
日常生活能力を測る指標はいくつもあります、しかし、それはあくまで病院という環境で測られたものでもあります。責任ある場所では、責任ある顔と行動が引き出されることをイメージしておくと良いのではないかと思います。