世の中には地域で生活している高齢者をヒマにさせないための、多くの通いの場が作られています。社会とのつながり、人との交流が、健康維持や認知症予防、介護予防に有効であることが多くの研究などで示されているからなのだと思います。
例えば、介護予防を目的とした通いの場にも、運営主体(行政だけではなく、医療機関や介護事業所、民間企業、住民団体など)、実施場所(公民館や事業所ばかりではなく、公園や空き店舗、個人宅など)、行っている活動(体操がイメージされやすいですが、農作業や多世代交流、生涯学習など)は様々ですし、自治体によってもその数や種類は当然異なっています。
自分が住む地域のどこに、どのような通いの場が存在するのか、意外に知らない、知られていないのではないでしょうか。長く住んでいる街でも、どこにどんな会社や商店があるか、細かくは知らないのが普通でしょうから、当たり前と言えば当たり前です。
しかし、自分の生活や趣味、仕事に関連するものであれば、あっちの店にしようか、こっちの店も覗いてみようかと、あれこれ考えを巡らし、実際に行ってみてどうだったかということを通じて、良く見知った馴染みの店となった所がいくつもあるはずです。
趣味や外食のお店であれば、「次の休みの日に・・・」と考えるだけでワクワクしますし、行動も軽やかなものとなるでしょう。そういったいくつかの習慣的な行動が、実は私達の心身の健康を下支えしているのではないかと思います。
“通いの場”にしても、どんなところがあるのかな、何をしているところかな、行ってみようかしらとなっている方は何も心配いりません。しかし、なかなかそうもいかない方もたくさんいらっしゃいます。
そこで、地域包括支援センターやケアマネージャーさんなどが地域の実情と、その人に合った通いの場を提案してくれます。
「人は変化を嫌う動物」などと言われたりしますが、変化はストレスであることも理解しておかなければなりません。一方で、変化という落差があるからこそ、楽しさも味わえるものです。
出不精で人付き合いが苦手な私でも、行ってしまえば意外にも楽しめた、居場所があったという経験をします。だから、行くまでが勝負です。習慣になるかどうかは、その後のことです。
お住まいの地域にどのような“通いの場”があるのか、ちょっとだけ気にしてみると良いのではないでしょうか。