ホーム

認知症を学ぶ

down compression

介護を学ぶ

down compression

専門家から学ぶ

down compression

書籍から学ぶ

down compression

健康を学ぶ

down compression
健達ねっと>マガジン>じーちゃんにはなにが見えてるの?>

病気はゆっくりと進行しているので、回復して介護がいらなくなる、ということは今後ないでしょう。ただ徐々に病気を理解できるようになり、家族間での役割分担をしたりデイサービスを利用したり精神的な負担が減ったことで、在宅介護のネガティブな感情は減りました。

在宅介護を経験して、大事なことは3つあると感じました。

①介護者も被介護者も家族以外のコミュニティをもつことが必要
②介護する側の心の余裕がないとうまくいかないことが多い
③もし複数人で介護する場合、役割分担したほうがいい

①介護者も被介護者も家族以外のコミュニティをもつことが必要

じーちゃんはデイサービスや親戚の家、床屋へ、母やわたしはときどき友人との時間を確保するなどしていました。家にいるときは常にじーちゃんのことを気にかけている状態なので必然的に介護のことを考えています。できれば、たまに息抜きができる環境を作ってお互いが程よい距離感で接するのがいいと感じました。

②介護する側の心の余裕がないとうまくいかないことが多い

デイサービスに行き始めてから、こちらの時間に余裕が出てきました。(のちにショートステイも利用し始めました。)家での入浴介助や日中の見守りなどの負担が減り、結果として気持ちにも余裕ができたので、イライラすることも減ったのかなと思います。

③もし複数人で介護する場合、役割分担したほうがいい

家族それぞれの思いが違うし介助する人によってやり方が違ったため、じーちゃんも混乱してしまっていました。
そこで、手の空いた人が介助するのではなく内容別に担当を決めて行うことにしました。やり方を統一することで、意見の食い違いを回避できたし、毎日のルーティンとしてじーちゃんも混乱せずに済みました。

わたしが介護にかかわる時間は少なかったかもしれませんが、休日はたまにふたりで出かけたり夜寝る前に雑談したり、じーちゃんの話の聞き役として気持ちに寄り添うことができたと思っています。家族の中では、緩衝材の役割となれたのかな、と思います。

家族の中でもひとりひとり役割があって、お互いがお互いの穴を埋め合いながら協力することが大事だと感じました。

ある晩のこと。

この日もいつものように夕飯後に寝る準備をして、母とふたりで協力してじーちゃんをベッドに寝かせました。電気を暗くしたら日課のおしゃべりタイムです。

パーキンソン病は原因不明の難病。実際、薬や運動で進行を遅らせることしかできません。手術の選択肢もあるみたいですが、年齢や体力的に厳しいので現実的ではありません。

治る病気ではないと分かっていながらも、じーちゃんの気持ちを思うと否定する気にはなれませんでした。

2020年3月。1か月後にわたしは結婚を機に地元を離れることになりました。同時期に妹が卒業を機に実家に帰ってきました。

在宅介護は介護する側の人数が少ないと身体的にも精神的にも大変です。
少人数よりたくさんの人の手を借りた方が心の余裕も生まれると感じたので、妹が帰ってきてくれたことでわたしの不安は少し軽くなりました。

家族全員で過ごす1ヶ月間。家族で生活するのは今後ないかもしれないし大切に過ごそう、と思いました。以前のようなトゲトゲしい雰囲気ではなくとても和やかで、じーちゃんにたくさん笑わせてもらったなぁと思い出します。いろいろありましたが、家族の時間っていいなぁと心から思いました。

実家を離れてから直接じーちゃんに関わることは少なくなりましたが、家族が写真を送ってくれたりテレビ電話をしたりしてじーちゃんとの接点を作ってくれました。いつもわたしがエネルギーを貰いました。

在宅介護を経験して。
たくさんの壁にぶつかりましたが、支え合って生活していく大切さを学びました。そして今振り返って考えてみると、家族だけでなくいろんな人の協力や手助けがあったおかげでやってこれたんだなと思います。

同時に、このエッセイをはじめから読んでくださったすべての方にも感謝します。
ありがとうございました!

kei


健達ねっと事務局よりお知らせ

「じーちゃんには何が見えてるの?」をご愛読頂き、ありがとうございました。
この最終回より少し前に、keiさんのお祖父様が永眠されましたことをご報告申し上げます。
心からご冥福をお祈り申し上げます。

お葬式を終えられ、keiさんより読者の皆さまへコメントを頂きましたので、掲載させて頂きます。

|以下、keiさんコメント文|

2023年3月23日、祖父が死去しました。

パーキンソン病の影響なのか、日によって意識があったりなかったりを繰り返していました。年が明けてからその頻度が増し寝たきりの状態になっていました。意識がないことが多いのでご飯が食べられず、点滴でしか栄養を補給できなくなっていたと母から聞いていました。

たまたま亡くなる4日前に実家に帰り祖父と顔を合わせました。会話はできない状態でしたがこちらの言っていることに目を開けたり強く手を握ってくれたりして一生懸命に応えてくれました。

お葬式もたくさんの方が来てくださり、思い出話を聞かせてくれました。わたしの中では家の中での「じーちゃん」しか知らなかったのですが、親戚の方や古くからの知り合いの方から初めて聞く側面を教えてもらい、たくさんの方から慕われてたんだなぁと思いました。思い返せば祖父は常に「感謝」していました。祖父から教えてもらった感謝の心を忘れないように日々過ごしたいと思います。

じーちゃん、たくさんのことを教えてくれてありがとう!

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
  • 小規模多機能型居宅介護
  • その他介護事業所運営
  • 食事管理
  • 栄養提供
  • 福祉用具販売
  • 障がい者雇用