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動作は目の動きから

 

ワンポイントリハビリ その4

高齢者の日常生活で、認知機能の衰えを予見する印象的な様子があります。それは周囲に関心が向かなくなることです。では、関心が向くとはいったいなんなのでしょうか。辞書には「物事に心を引かれ、注意を向けること」とありますが、体の動きとしてまず表れるのは目の動きです。

 

“もの音がする、何だろうと目を向けると、窓の外に人がいる、誰だろうと立ち上がって見ると、どうやら近所の人が訪ねてきたようだ”見る、つまり目の動きによって周囲とつながり、それは体の動きにまで広がります。

子どもが良い例ですが、元気な人ほど周囲の状況に興味があり、キョロキョロとした目の動きも活発です。そういう人は自然と体の動きも多くなるのです。私たちは、ものごとに関心を示し、見て、動くことによって、様々な刺激を体に取り入れ、その結果、認知機能は適度に維持されているのでしょう。

 

認知機能を維持するためには、音楽をかけるとか、買い物に誘い出すとか、誰かが外から刺激をするよりも、自ら刺激を取りに行くという状況を大切すると良いと思います。

まずは目をよく動かすことです。目の動き無しに、周囲を知るには限界がありますから関心が向く可能性も減ってしまいます。そして、何より目が動かなければ、どんな動作も非常に困難になります。やってみるとわかるのですが、一切目を動かさずに首を動かそうとするだけでもかなり難しいです。

逆に首を無理に動かそうとしなくても、目を動かせば首も自然と動きますから、これもぜひ試してみて下さい。首には大事な神経や血管がありますので、安易なマッサージやストレッチを素人が行うのは大変危険です。

 

さて、眼球は6つの筋肉で様々な方向に動かせるのですが、普段、目の体操として行うにはゆっくりと左右、上下、可能であれば“ぐるっと回ってにゃんこの目”で良いと思います。そして、目を動かしてから首の体操に移れば、首の動きや、さらに肩の動きがやりやすくなります。目の体操、首の体操、肩の体操と順番にしていくと良いでしょう。

 

目の筋肉を動かすための神経は脳から出ています、目を動かすのは単純で簡単なことですが、体の動きに広がるだけではなく、脳を刺激して覚醒しますし、覚醒するからさらに周囲に関心を向けやすくなるという好循環が期待できるでしょう。

体操を嫌がる高齢者も、目の体操だけでもどうですか?とお誘いしてみると意外にやってくれますよ。

 

筆者
大堀 具視(おおほり ともみ)
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