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髪の毛を整える

ワンポイントケア その10

 人の印象を決めるのは、最初のほんの数秒(約3秒)と言われますが、中でも見た目(視覚からの情報)が大半を占めるそうです。例えば病院や施設などで、ボサボサの髪の毛のままで生活されている人に対して、実際以上に体調の悪さや、実年齢より老けた印象をもってしまっているなんてこともあるかも知れません。その人に対する印象によって、関わり方も無意識に影響を受けます。

つまり、髪の毛がボサボサのままというだけで、その人への関わりが必要以上に愛護的になったり、年寄り扱いのような態度をとってしまう危うさがあるということです。

 食事やトイレとは異なり、極端な言い方をすればやらなくても生活は成り立ってしまうのが整髪です。したがって、特に病者にとっては無頓着になりやすい動作の一つです。しかし、見た目によってその人への関わり方まで変わってしまうとしたら、毎日の整髪に気を配るのは、本人だけではなく、介護者、家族にとっても重要なことと言えます。

 先日、ある施設でのこと、お昼近くの時間でした。女性の入居者が介助でベッドから車椅子へ移行する様子を見させていただきました。息苦しさやリウマチの痛みもあるとのことで、本人も辛さそうでしたし、職員も慎重過ぎるくらいの介助をしているのが分かりました。その時にある別の職員が、介助行っている職員に発した言葉にハッとさせられました。「なんでまだ髪の毛がボサボサのままなの?」

介助がどうのこうのという以前に、まず身だしなみに目が向く、大人同士お付き合いさせていただく基本を教えられた気がします。そして何より、息苦しさやリウマチの痛みが見た目で助長され、慎重過ぎる介助に疑問を感じなかったのだとしたら。色々と反省させられる場面でした。

 1ヶ月後、その方の介助の様子にお邪魔させていただくと、綺麗に整髪され、どことなく動きも軽快で、職員も本人の動きを信頼して介助しているように見えました。たまたま体調が良かっただけなのかも知れませんし、本当のことは誰にも分からないと思います。しかし、人は見た目で無意識に相手を印象づけ、それは関わり方、つまり態度やコミュニケーションにも影響するのは確かなことです。

 介護を必要とする人が、印象によって弱者と見誤れるとこのないように、髪の毛にも常に気を配るのを忘れないようにしましょう。

筆者
大堀 具視(おおほり ともみ)
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