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伺うことの意味2(本人が主役)

ワンポイントコミュニケーション その12

 

「利用者主体」とは福祉の現場ではよく耳にする言葉ですし、そんなの当たり前と思われる方も多いことでしょう。介護を受ける本人が主役であり、料金が発生するサービスを受けるという意味では、お客様という捉え方もできます。

しかし、そのお客様に対して赤ちゃん言葉や、いわゆるためぐち、上から目線で指示するような言葉づかいがまかり通ってしまっている現実も存在します。相手に対する言葉づかいはそのまま態度となって現れますし、相手に対して関係性を表明しているようなものではないかと思います。

本人が主役という意味を改めて考えてみると、本人の意思や選択が尊重されるという、結局は福祉の理念に還元されます。この福祉の理念でもある本人が主役、それが当たり前のように実現されている世界があります。

 

例えば洋服を買いにお店にいくと、「何かお探しですか?」と店員さんが声をかけてくれます。美容室に髪をカットしに行くと、「今日はどのようなスタイルにされますか?」と美容師さんが声をかけてくれます、レストランに行くと、「お決まりですか?」とウエイトレスさんが声をかけてくれます。

それぞれ決してあーしなさい、こうしなさい、とは言いません。本人の意思と選択が当たり前に尊重される世界です。サービス業では“伺う”というコミュニケーションは当たり前になっています。当たり前ですから、それが丁寧だとか、親切という意識さえもないかもしれません。

 

一方、福祉の現場はどうでしょうか。おそらく福祉はサービス業の一つとして理解している専門職の方も多いと思います。その福祉というサービス業では“伺う”は当たり前になっているでしょうか?まず、言葉づかいを“伺う”に変えてみて下さい。相手に対する態度、引いては行う介護そのものが丁寧なものになるでしょう。

そして、介護を利用される本人、ご家族は、その施設で職員がどのような言葉を使っているか、本人に対して“伺う”がなされているかを気にしてみて下さい。それが介護の質をも表しているものと思います。

 

福祉の現場では、利用者との関係性を築くということを大切にします、それはフレンドリーにためぐちを使う関係のことではありません。子どもからためぐちを聞かれて困惑する自分自身を想像すると分かると思います。

 

 

筆者
大堀 具視(おおほり ともみ)
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