ワンポイントリハビリ その12
高齢者の運転による自動車事故が、連日、テレビや新聞を賑わせています。交通事故率そのものは10代、20代の方が多いという統計はあるものの、高齢者の事故が増えているような印象を持たれることもあり、肩身の狭い思いをしている高齢ドライバーも多いのではないでしょうか。
しかし、移動すること、また移動による行動範囲の広さは生活の維持や健康と密接に関係しますから、是非とも体調を整え、安全に運転を続けられてほしいものです。
高齢者の自動車事故に関連する要因として視野の狭さが指摘されています。視野が狭くなると危険の認知が遅れるばかりではなく、慌ててしまうことでハンドル操作やブレーキ操作を誤ってしまうなどの二次的なミスにも繋がります。視野を補うには少し首を動かす必要がありますが、これには目の動きが伴わなければスムーズに行きません。
言い換えると目をしっかりと動かしておくと、首の柔軟性はある程度確保され視野も補うことができるのです。首の動きが硬い高齢者は多く、発声や嚥下に影響が出ている方もいますが、目の動きが少なくなっていることが原因の一つとなっている場合もあります。
手足の動きばかりではなく、目の運動も意識して行なってみると首の動きが広がります。目の運動を上下左右行ってから運転すると、左右が見えやすく運転しやすかったとの感想をいただくことも多いです。
視野の狭さは、自分では意識しにくいものです、意識しにくいからこそ危険認知が遅れるわけです。逆に若い人が視野の広さを意識しているものでもありませんから、普段から目をしっかりと動かして首の柔軟性を確保しておくことが、視野の狭さからくる事故を未然に防ぐことに役立つのだと思います。
高齢者に限らず、運転前に目の準備運動、と言ってもなかなか習慣にはなりにくいでしょう。体操などする機会があれば、その時に少しでも目の運動も取り入れておくことでも良いと思います。以前にもこのコラムで紹介しましたが、目の動きから首、体全体に動きが波及しますので、何よりの介護予防にもなるはずです。