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健達ねっと>マガジン>やさしい在宅介護>ワンポイントリハビリ>目の体操から起き上がる動作へ

目の体操から起き上がる動作へ

ワンポイントリハビリ その13

 

歩けるのだけれど、ベッドから起き上がることができない。パーキンソン病やパーキンソン症候群と言われる状態の方に特徴的な症状です。パーキンソン病では体をひねる動きが硬くなりやすいために、立つ、歩くなどの直線的な動きは比較的上手に行える一方で、ベッドから起き上がる、歩行時に方向転換するなど体の回旋(ひねる動き)を伴う動作が難しくなります。

歩けるのにもかかわらず、ベッドから一人で起き上がれない、あるいは起き上がるのに大変苦労してしまうことでその先の生活動作につながらず、結果として活動量が減ってしまい、筋力低下などによる二次的な生活障害を引き起こしかねません。また、介助する家族なども、ひねりの少ない体を引き起こすには大変な力が必要で、介助負担を強く感じてしまいやすいようです。

パーキンソン病は症状が進行しても、介助があれば歩ける方も多いのですが、それは立つ、歩くだけの筋力は十分にあることの証ですから、今ある力を活かして動くことが大切です。

 

体をひねるには、顔がそちらに向いていなければなりません。そして顔を向けるには先に目が動いている必要があります。ベッドからうまく起き上がれない人は、座るという結果を求めるあまり、その結果に向かって一生懸命上体を持ち上げようと頑張ります。

そもそも体が硬くなりやすく、体がひねりにくいのがパーキンソン病の特徴です。だからこそ、「見る」、「顔を向ける」をしっかり行うことが大切です。なぜなら筋力はあるのですから、目や顔が動かせれば、あとは、少し体をひねる動きによって起き上がる可能性が広がるからです。

介助する人も、無理やり体を引っ張り上げるのではなく、まずは「しっかりと私の方を見てください」と声をかけてから介助してみるだけでも、普段より介助の負担が軽く感じられるでしょう。つまり、起き上がって座るという目的の前に、目が動く、顔が動く、そして体がひねるの過程を少しだけ意識してみると良いのです。

パーキンソン病以外でも、体が硬く起き上がれない方のリハビリは目の体操、特に左右の動きから始めることをお勧めします。数ヶ月、数年かけて徐々に硬くなった体なのですから、いつでも続けられる簡単なリハビリを地道に行うのが肝要です。

 

 

筆者
大堀 具視(おおほり ともみ)
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