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健達ねっと>認知症を学ぶ>認知症の症状>認知症の症状である幻覚とは?幻覚の起こる原因や対処法を解説!

認知症の症状である幻覚とは?幻覚の起こる原因や対処法を解説!

皆さま認知症という病気があることはご存知ですよね。

ですが、認知症の定義を正確に言える方は少ないと思います。
そこで、まずは認知症の定義をご紹介します。

認知症とは、脳が原因の病気や障害などさまざまな原因により、認知機能が低下してしまい、日常生活に支障が生じる状態のことをいいます。

今回の記事では、認知症について詳しく解説し、合わせて代表的な症状である幻覚もご紹介します。

  • 認知症の代表的な症状
  • 代表的な症状の幻覚について
  • 幻覚症状が出た際の対処法
  • 幻覚症状が起きやすい認知症の種類
  • 認知症はどこの科に受診すれば良いか

認知症について深く知り、対処法の参考にするために、ぜひ最後までお読みください。

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認知症の代表的な症状

認知症の症状

認知症の症状は「中核症状」と「周辺症状(BPSD)」という2つの症状に大きく分けられています。
この2種類の症状と引き起こす障害についてご紹介します。

中核症状

中核症状とは、何かしらの理由により脳がダメージを受けて、神経細胞が壊れてしまうことが原因となって起こる症状のことです。

また中核症状によって引き起こす障害とその障害の内容はこちらになります。

  • 見当識障害…周囲の状況を把握し理解する能力が低下する症状
  • 実行機能障害…計画性を持って行動する能力が低下する症状
  • 記憶障害…日々の情報を記憶する能力が低下する症状
  • 計算能力障害…買い物の際の会計などの簡単な計算能力が低下する症状
  • 理解・判断能力障害…状況に応じた臨機応変な対応能力が低下する症状
  • 失語・失行・失認…言葉が理解できない、何かをやろうとしてもできない、見るもの聞くものを理解できない症状

以上の障害が、中核症状では出ることがあります。

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周辺症状(BPSD)

周辺症状(BPSD)とは、いままでの本人のライフスタイルや人間関係などの環境要因や薬の使用、ストレスなどの身体・心理要因に加えて、中核症状が原因となって起こる症状のことです。

また周辺症状(BPSD)によって引き起こされる障害とその障害の内容はこちらになります。

  • 幻視…実際には存在しないものが見える症状
  • 幻聴…実際には聞こえない声が聞こえる症状
  • 抑うつ…悲観的になり引きこもりがちなどになる症状
  • 睡眠障害…眠れなくなったり、眠りがとても浅くなってしまう症状
  • 興奮・暴言・暴力…不安などからストレスが溜まることで興奮しやすくなり、暴言や暴力を振るう症状
  • 徘徊…時間に関係なく急に家を出て外を歩き回る症状
  • 不潔行為…トイレの場所が分からなくなり、失禁や排便をしてしまう症状

以上の障害が、周辺症状(BPSD)では出ることがあります。

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代表的な症状:幻覚

認知症による幻覚症状

認知症の代表的な症状として挙げられるのが、幻覚になります。
今回は幻覚とは何か、また幻覚の症状についてご紹介します。

幻覚の原因とは?

まず幻覚についてご説明します。
幻覚とは、実在しないものが見えてしまい、そこに何かがあるという認識をしてしまうことです。

また幻覚と似た意味の言葉で「錯覚」という言葉がありますが、「幻覚」と「錯覚」の違いも合わせてご紹介します。

錯覚とは、実在するものを実際とは異なるものとして認識してしまうことです。
つまり、「幻覚」と「錯覚」の大きな違いは、見えているのものが実際にあるのかということになります。

そしてこの記事の主旨である幻覚の原因は、大きく3つの種類に分けられます。

「認知症の症状が原因」である場合、「認知症以外の病気による症状が原因」である場合、「高齢による機能低下が原因」である場合です。

認知症の症状が原因の場合は、レビー小体型認知症であることが多いです。
認知機能の低下により、空間認識や視覚といった機能が低下していることが理由になります。
認知症初期から中期にかけて特に幻覚が現れやすいと言われています。

認知症以外の病気による症状が原因である場合は、統合失調症やうつ病などの精神疾患であることが多いです。
その他にもアルコールの大量摂取や薬の副作用でも幻覚を起こす場合があります。

高齢による機能低下が原因の場合は、認知機能や身体機能の低下によりストレスを感じやすくなると同時に、目や耳が悪くなるため幻覚が起こります。

幻覚の具体例

幻覚にはいくつか種類が存在します。
代表的な4種類について具体例を交えてご紹介します。

幻視は「実在しないものが、あるように見えてしまう」症状のことです。
具体例を挙げると、亡くなった家族が見える、家にいるはずのない動物が見えるなどです。
最も多いのは「知らない人が家のなかにいる」という幻視と言われています。

幻聴は「聞こえるはずのない声が聞こえる」症状のことです。
具体例を挙げると、誰も言っていないのに「悪口を言われた」、いるはずが無いのに「娘の声が聞こえる」などがあります。

幻味・幻臭は「なにもないのに味や匂いを感じる」症状のことです。
具体例として、食べていないのに「なにか苦い味がする」、周囲の人は感じていないのに「なにか焦げ臭い」などが挙げられます。

体感幻覚は、「なにも異常はないのに痛みを感じたり、触れられている感じがする」症状のことです。
具体例を挙げると、なにもいないのに「動物がずっと背中にいる」、怪我や異常はないのに「ずっと足が痛い」などです。

幻覚症状が出た際の対処法は?

認知症による幻覚症状への対処法

幻覚症状は本人はもちろんのこと、周りの家族にとっても辛いことです。
対処法を知ることで、幻覚症状の悪化を防ぎ改善する可能性があります。

また高頻度で症状が現れる場合や幻覚の症状がひどい場合には病院に行くことも大切です。

否定をしない

対処法として、否定しないということはとても重要です。

否定することは認知症の症状を悪化させるだけではなく、家族や介護してくれる人に不信感を抱き人間関係を悪くしてしまうことに繋がります。

また否定をしてはいけないからと、幻覚症状が出ている患者の言っていることに対して賛同したり従ってしまうのも良くない対処法です。

一番良い対処法は、本人が見えている幻覚について話を聞いてあげるということになります。

当然ではありますが、幻覚を見ている本人は恐怖感や不安を感じています。
そのため話を聞いてリラックスさせてあげることが大切です。

安心感を与える

幻覚は、話を聞いてあげたり声をかけるだけでは改善しない場合もあります。
そのような場合には、本人に安心感を与えましょう。

例えば、「部屋の隅に人がいてこっちを見ている」と怖がっていると仮定しましょう。
本人に付き添い具体的にどこにいるかその場所の近くまで行き、追い払うような仕草をしてあげます。
そして「追い出したからもう大丈夫だよ」などと優しく説明することで、本人に安心感を持ってもらうことが可能です。

また幻視に触れたり近づくことで、症状が改善し見えなくなることもあると言われています。

環境や生活リズムの改善

幻覚は環境によって症状が出やすくなることがあります。

例えば、部屋の照明の加減により影が多くできる環境では、その影が原因で幻覚を見る可能性が高くなってしまいます。
この場合には、可能な限り部屋を明るくして影ができないように対処します。

他にもカーテンの揺れる動きや、壁の傷、シミ汚れなどさまざまなことが原因になる場合があります。

このように幻覚症状が出ている患者が住む環境は大きく影響するため、目立つ汚れは掃除をして、出来る限りものは置かないように整理整頓を心がけましょう。

また、深夜は静まり返るため色々な雑音が聞こえてきます。
その雑音が幻覚を引き起こす原因になる可能性もあります。
さらに深夜は家族が睡眠中であるため、幻覚への対処も遅れてしまうものです。

このように深夜には多くの危険が潜んでいるため、幻覚症状が出ている患者の生活リズムを整えることも大切になります。

興奮を鎮めること

幻覚の内容次第では、本人がとても興奮状態になってしまうことがあります。
興奮により暴れるなどしてしまうと、本人や周囲にいる人達に怪我などをさせる場合も少なくありません。

本人が興奮状態にある時は、落ち着かせるために優しく声をかけましょう。

相手の話をよく聞くこと

話のつじつまが合っていなくても、決して話を遮らずに最後まで聞くようにしましょう。

話を聞いてあげることで安心させることが可能です。
また、幻覚症状がある患者全員が話をしたいとは限りません。

そのため本人の言ったことを繰り返したり、うなずいたりすることで話を引き出します。

幻覚症状が起きやすい認知症の種類

認知症の種類

幻覚症状が起きやすい認知症には主に4つの種類があります。
この4種類の原因と特徴の違いについてご紹介します。

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症は、徐々に脳が萎縮してしまうことにより、認知機能が落ちていく認知症です。
認知症の中で最も多い種類がこのアルツハイマー型認知症になります。

徘徊や見当識障害といった症状が多く見られるのが特徴です。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は、特殊なタンパク質のかたまりが脳の神経細胞にできることが原因です。
そのタンパク質により神経細胞を破壊されることで起こる認知症です。

女性に比べて男性の方が2倍ほど発症率が高いと言われています。
筋肉がこわばったり、手足が震えるパーキンソン症状や、妄想、幻視といった症状が多く見られるのが特徴です。

脳血管性認知症

脳血管性認知症は、脳出血や脳梗塞などが原因で発症する認知症です。

主に糖尿病や高血圧などの生活習慣病が、脳出血などを引き起こす原因となります。
手足のしびれや感情のコントロールが難しくなるといった症状が多く見られるのが特徴です。

前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症は、なにかしらの原因により脳の神経細胞が減少し、「前頭葉」や「側頭用前方」が萎縮することが原因で起こる認知症です。

数ある認知症の中でも、唯一「難病指定」されている認知症になります。

なにもしなくなり引きこもりがちになってしまう自発性の低下や、発症前と人が変わったように人格が変化するといった症状が多く見られるのが特徴です。

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認知症はどこの科に受診すれば良い?

認知症の受診科

認知症は何科を受診すれば良いのか、またどのタイミングで病院に行き受診すべきなのかをご紹介します。

認知症ではないかと思った時に受診する診療科としてまず思い浮かぶのは、精神科だと思います。
間違いではありませんが、少し抵抗がある方もいるのではないでしょうか。

そこで最近では「物忘れ外来」というものがあります。

「物忘れ外来」とは、疾患が原因となる「認知症」と、老化が原因となる「物忘れ」を見分けてくれる外来です。
また認知症だった場合には、迅速に治療を開始することができ、早期発見にもつながります。
他にも「認知症外来」「メモリークリニック」と呼ばれる場合もあります。

認知症は、早期発見と早期治療がとても重要です。
そのため、「普段とは様子が違うかもしれない」と少しでも思った段階で受診するようにしましょう。

薬の使い方

認知症の幻覚に関するまとめ

認知症の幻覚のまとめ

最後に認知症の主な症状である幻覚についての情報をまとめましたので、おさらいとしてお読みください。

  • 幻覚とは、実在しないものが見えてしまい、そこに何かがあるという認識をしてしまうこと
  • 幻覚の原因は、認知機能の低下により、空間認識や視覚といった機能が低下していること
  • 幻覚の種類は、主に「幻視・幻聴・幻味・体感幻覚」など
  • 幻覚症状が出た際の対処法は「否定しない」「安心感を与える」「環境や生活リズムの改善」「興奮を鎮めること」「相手の話をよく聞くこと」

ここまで認知症の幻覚症状の詳しい情報や、幻覚症状への対処法などを中心にお伝えしてきました。
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
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