認知症の患者には、日中は眠って、夜中に行動を起こす「昼夜逆転」が見られる場合があります。
家族や身近な人に認知症による昼夜逆転が見られる場合、患者本人だけではなく周囲の人々にも悪影響を及ぼしてしまいます。
そこで今回は認知症患者の昼夜逆転について、以下の項目を中心に解説します。
- 認知症による昼夜逆転の症状は?
- 認知症による昼夜逆転の原因とは?
- 認知症による昼夜逆転の対処法・予防法は?
家族や身近な人の認知症による昼夜逆転に対処するために、正しい知識を身に着けるようにしましょう。
ぜひ、最後までご覧ください。
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認知症による昼夜逆転の症状
認知症患者の症状を理解することで、昼夜逆転してしまっている認知症患者に対してどのように対応するべきか理解することができます。
ここでは認知症患者における昼夜逆転の症状について、詳しく解説します。
夜中に行動する
認知症によって昼夜逆転が見られる患者には、夜中に不可思議な行動をすることがあります。
例えば、アルツハイマー型認知症の症状が進行している患者が、夜中に起きて掃除や料理などを始めたり、外出しようとすることがあります。
また、患者本人が認知症病棟に入院している場合でも、夜になると病棟内を歩き回る、他の人を起こすといった行動が見られる場合があります。
騒ぐ・大声をだす
認知症によって昼夜逆転が見られる患者には、騒ぐ・大声を出す症状が見られることがあります。
騒ぐ・大声を出すといった症状は、患者本人が夜に興奮することで起こる症状です。
夜中に騒いだり、大声を出されたりしてしまうと、一緒に住んでいる家族や、同じ病室・病棟に入院している他の患者、医療従事者に迷惑をかけてしまいます。
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せん妄の症状になる
認知症によって昼夜逆転が見られる患者には、せん妄の症状が見られることがあります。
せん妄とは、意識障害が起こり意識がもうろうとしてしまう状態のことです。
せん妄が見られる患者には、幻覚や幻聴、記憶があいまいになる、会話のつじつまが合わなくなるといった症状が見られます。
そのため、せん妄が見られる患者は混乱した状態に陥り、不安感から興奮したり、攻撃的になり暴言・暴力をふるうこともあります。
夜中にせん妄による症状が現れてしまうと、興奮状態に陥った患者が周囲の人たちに被害を与えてしまう可能性があります。
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認知症による昼夜逆転の原因
ここからは、認知症による昼夜逆転の原因について、詳しく解説します。
認知症患者の昼夜逆転症状を少しでも改善する手助けにしましょう。
体内時計の機能が失われている
認知症の症状によって、体内時計の機能が失われ、昼夜逆転を引き起こす可能性があります。
体内時計は、覚醒と睡眠のリズムを作る能力です。
体内時計は、脳の視床下部やメラトニンといったホルモン、自律神経が複雑に影響しあうことで成り立つ能力です。
認知症は脳の機能低下が原因で起こる病気です。
そのため、脳の様々な機能が影響しあって成り立つ体内時計も機能しにくくなる可能性があります。
不安感
認知症の症状によって、患者の不安感が溜まり、昼夜逆転を引き起こす可能性があります。
認識力や記憶力が低下している認知症の患者には、夢か現実の世界か判断する判断力が低下しています。
夢の中や過去に起こった悪い出来事を、現実と感じ不安、恐怖、怒りを感じてしまう可能性があります。
不安、恐怖、怒りの感情を入眠直前に感じてしまうことで、興奮や睡眠障害を引き起こし昼夜逆転につながります。
また、認知症の症状である見当識障害やせん妄によって、患者本人の不安感が蓄積されてしまい昼夜逆転につながるケースもあります。
薬の副作用
認知症の患者が服用している薬の副作用によって、昼夜逆転を引き起こす可能性があります。
認知症治療のために使用される薬には、副作用として眠気を誘うものもあります。
眠気を誘う薬を飲む時間帯によっては、日中の睡眠を促し、夜に眠気が感じずに昼夜逆転に陥ってしまう可能性があります。
日中の活動時間が少ない
認知症の症状によって、日中の活動時間が少なくなり、昼夜逆転を引き起こす可能性があります。
認知症の患者が昼間にだらだら過ごしたり、居眠りしすぎたりすると、日中の活動量が低下してしまいます。
日中の活動量が低下すると、夜になっても体が疲れず寝付くことができません。
また、日中の活動は体温上昇や体内時計の調整にも関わってきます。
そのため、日中の活動量の低下は体内時計を狂わせる原因になるため、昼夜逆転につながります。
認知症による昼夜逆転の対処法・予防法
ここからは、認知症による昼夜逆転の対処法・予防法について、詳しく解説します。
午前中に日光を浴びる
午前中に日光を浴びることで、昼夜逆転の対処、予防につながります。
生活リズムを整えるために人間に備わっている体内時計は、午前中に日光を浴びることで調整されます。
そのため、午前中に日光を浴びることは体内時計の不調を治すことにおいて重要です。
日中の活動量を増やす
日中の活動量を増やすことで、昼夜逆転の対処、予防につながります。
日中の活動量を増やし、体を疲れさせることで、夜の寝付きを良くすることができます。
また、日中の活動量を増やすだけでなく、昼寝をしすぎないことも重要です。
日中の活動量を増やしても、昼寝をしすぎてしまうと、結局夜眠ることができなくなる可能性があります。
規則正しい生活リズムにする
規則正しい生活リズムにすることで、昼夜逆転の対処、予防につながります。
規則正しい生活リズムを目指す手段の一つとして、睡眠日記をつけることが挙げられます。
睡眠日記で睡眠時間や睡眠時の状況、日中の様子などを記録することで、規則正しい生活リズムを手に入れるヒントが得られる可能性があります。
寝室の環境を整える
寝室の環境を整えることで、昼夜逆転の対処、予防につながります。
寝室の明るさが適切でない、外や時計の音が気になる、室温が適温ではない場合、認知症患者を安眠に導くことができません。
そのため、睡眠環境をいまいちど確認し、患者本人が安心できるように整えましょう。
香りがするもの枕元に置くことや、入眠前にマッサージしてあげることも、快適な入眠へと導く手段としておすすめします。
入浴のサポート
入浴のサポートを行うことで、昼夜逆転の対処、予防につながります。
入浴することで体が温まると、深部体温が下がり、心地よい疲労感も得られるため寝付きやすくなります。
完全な入浴が難しい場合には、足湯だけでも効果的であるため、積極的に入浴のサポートを行う事をおすすめします。
認知症の昼夜逆転に睡眠薬は効果あるの?
認知症患者の昼夜逆転の対処法として、睡眠薬の服用が挙げられます。
実際に認知症患者に睡眠薬を処方される場合もあります。
しかし、睡眠薬を服用することの副作用により患者をより苦しませてしまう可能性もあります。
また、昼夜逆転の根本的な原因を見つけないと、昼夜逆転の治療にはつながらないため、夜に眠れないからすぐに睡眠薬を使用することは危険です。
睡眠薬の服用は、医師とよく相談した上で、実際に服用するかどうかを決めましょう。
認知症による昼夜逆転のまとめ
ここまで認知症による昼夜逆転の症状、原因、対処法・予防法を中心にお伝えしてきました。
ここまで解説してきた内容をまとめると以下のようになります。
- 認知症によって夜中に大きな声を出すなどの昼夜逆転の症状がでることがある
- 認知症による昼夜逆転の原因は、体内時計の不調、不安感によるものが多い
- 認知症による昼夜逆転は、日中の活動量を見直し、睡眠環境を整えることで、対処・予防することができる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。