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トップページ>認知症を学ぶ>認知症の非薬物療法はどんな治療法?種類や効果を解説します!

認知症の非薬物療法はどんな治療法?種類や効果を解説します!

認知症の治療方法は、薬物療法と非薬物療法に分けられます。
非薬物療法では、認知症の方の能力を引き出すことができます。

非薬物療法という言葉に聞き馴染みがないという人も多いのではないでしょうか?

本記事では、非薬物療法について以下の点を中心にご紹介します。

  • 非薬物療法の種類と効果
  • 非薬物療法の目的
  • バリデーション療法について

認知症の治療方法を正しく理解するためにも、参考にしていただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

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認知症に効果的な非薬物療法

認知症の非薬物療法

非薬物療法には、どのような種類と効果があるのでしょうか。
ここでは、多く用いられる7種類の非薬物療法を紹介します。

認知リハビリテーション

認知リハビリテーションとは、記憶力、注意力、集中力、情報処理能力を高めるトレーニングです。

トレーニングの内容は施設によって異なりますが、ビデオ鑑賞やゲームが一般的です。
脳を鍛えることで、認知症の要因である脳機能低下を防止します。

脳本来の機能を取り戻すのではなく、あくまで脳機能の低下を防止することが目的です。
ただし、認知リハビリテーションにはそれ以上の効果が期待されています。

「自信を取り戻し以前より活発になった」「自発性が引き出された」といった効果が見込めます。
脳機能の低下を防ぐ以上の効果が期待できるとして注目されています。

理学療法・作業療法

理学療法・作業療法とは、ごくわずかな運動を取り入れた治療方法です。
脳への刺激を目的としています。

激しい運動、大きな動きは一切行いません。
運動量はごくわずかですが、人によっては十分な効果が期待できます。

理学療法・作業療法は、作業療法士・理学療法士といったリハビリテーションのプロが提案するトレーニングです。
指や手の動きを使い、脳への刺激をうながします。

大きく身体を動かさないため、運動が苦手な方でも無理なく行えます。
もちろん転倒するリスクも少ないので、安心して取り組むことができます。

回想法

回想法とは、認知症の症状を改善するためのコミュニケーション方法です。
昔の記憶を呼び起こし、積極的にコミュニケーションを図ることを目的としています。

認知症を改善するには、コミュニケーションが欠かせません。
「楽しかった頃の思い出話」や「同じ世代だからこそ共感できる話」をすることで、コミュニケーションの楽しさを再認識できます。

ただし、認知症の方のプライバシーを侵害したり、気分を害したりするような回想法を行わないことが大切です。

リアリティーオリエンテーション

リアリティーオリエンテーションとは、見当識障害の治療法の一つです。
見当識障害では、時間や場所を認識できなくなります。

リアリティーオリエンテーションは、複数の方が合同で行います。

「自分がどういう人物なのか」「ここで何をしているのか」といったことを話し合い、見当識障害の改善を目指します。

見当識障害の改善だけでなく、認知症治療に欠かせないコミュニケーションを図ることにも効果的です。

音楽療法

音楽療法とは、音楽を聴く・演奏することで健康の維持、心身の回復を目指すリハビリテーションです。
音楽を聴くだけでなく、音楽活動に参加することもポイントです。

例えば、作曲に参加して新鮮な気分を味わうことができます。
また、音楽に合わせて身体を動かせば、運動不足も解消されます。

ほどよく脳が刺激され、認知症の改善により役立ちます。

園芸療法

園芸療法とは、自然に触れることで認知症の改善を目指す療法です。

自然と触れ合うと脳がリラックスします。
健全な社会生活を送ることも目的としています。

農業、園芸、福祉を通じてコミュニケーションを積極的に行い、脳機能低下の軽減を目指します。

レクリエーション療法

レクリエーション療法とは、4つのポイントを押さえて認知症の方のプラスの感情を引き出すことです。
4つのポイントを以下にまとめます。

  • 生活に楽しみをもたらすことで、気分の向上を図る
  • 心身の機能訓練を取り入れ、心身の回復を図る
  • コミュニケーションの場に積極的に参加する
  • はりあいや自信を与える

レクリエーション療法は、ここまでにご紹介した非薬物療法の一部ともいえます。
認知症の方が心地よくかつ継続的に行えればどのような内容でも構いません

人によって内容や効果はさまざまです。
「簡単な運動が好き」「絵を描くことが好き」など、ご本人に合った方法を見つけましょう。

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認知症に効果的な非薬物療法の目的

認知症の非薬物療法の目的

ここまで、非薬物療法の具体的な方法をお伝えしました。
非薬物療法には、薬物療法にはないメリットや目的があります。

大きく分けて、4つの目的を以下でご紹介します。

プラスの感情を引き出す

認知症を発症すると、感情が安定していない方が多いです。

気分は落ち込み気味のことが多く、プラスの感情を表に出すことがほとんどありません。
「自分は周囲の人々に迷惑をかけている」といったマイナスの感情を抱いてしまうからです。

非薬物療法を取り入れると、プラスの感情を引き出すことができます。
自分に合ったリハビリテーションによって、感情の安定をもたらします。

非薬物療法では、薬物に頼らず生き生きとした生活を送ることができます。

日中の活動を増やす

日中の活動を増やすことも、非薬物療法の目的の一つです。

認知症治療に使用される薬物は、日中に倦怠感が現れることが多くあります。
倦怠感以外にも、薬物によってその他の副作用が現れることもあります。

薬物の副作用により、日中の活動を大きく制限されてしまうのです。

非薬物療法では、あらゆる副作用から解放された生活を実感できます

脳の活性化

日中の活動を増やすと、脳の活性化を図れます
ここでは、脳が活性化する例を以下で紹介します。

  • 日中にほどよく運動することで、心身ともに健康になる
  • 趣味を存分に楽しむことで、脳に刺激を与える
  • 家事を行うことで、ほどよく身体・脳を刺激する
  • 規則正しい生活を送ることで、夜に熟睡できるようになる

これらの例は、認知症を改善するにあたって十分な効果を発揮します。

コミュニケーション

認知症の改善にはコミュニケーションも欠かせません。

認知症の方の多くは、「自分の話は理解してもらえない」「自分は周囲の人々に迷惑な存在だ」といったことを感じています。

コミュニケーションを絶やさないことは、非薬物療法の大きな目的の一つです。
コミュニケーションによる喜びや緊張感が脳を刺激します。

結果、認知症の改善に大いに役立ちます。

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世界で注目される認知症のバリデーション療法ってなに?

認知症のバリデーション療法

1963年にアメリカで考案されたバリデーション療法についてご説明します。

バリデーション療法とは、認知症の方の感情をあえて表に出してもらい、共感するという療法です。

認知症の方は自己肯定感がない方や心を閉ざしてしまう方が多いです。

自己肯定感を高めることでプラスの感情を引き出します。
一見シンプルな方法ですが、効果的な療法として現在でも広く利用されています。

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認知症の予防

認知症の予防
認知症は予防の観点から関わることも重要です。
ここでは、認知症にならないための予防法について

  • 運動
  • 食事

の2点からご紹介します。

認知症予防には適度な運動を!

認知症予防のためには、適度な運動が必要です。
国立長寿医療研究センターが開発した、コグニサイズというプログラムをご紹介します。

運動と認知機能課題(しりとり・計算など)を同時に行うことで、脳の活動を促進する効果があります。

  • 全身運動を軽く息がはずみ、脈拍数が上昇するくらいの負荷で行う
  • 認知機能課題を運動と同時に行うことで、認知課題と運動に軽微なエラーが起こる

といった少し高めの難易度で行うことで、脳血流を増やすことに意義があります。

また、東京都健康長寿医療センター研究所の報告では、歩行が認知症予防に効果があるということがわかりました。
血圧があまり上がらない程度に軽く歩くと、海馬(脳の記憶に関わる部分)の血流がよくなるということです。

コグニサイズが難しい方でも、軽い歩行で認知症予防が可能です。
まずは近所の散歩から始めてみるのはいかがでしょうか。

食事改善も認知症予防に重要!

食事の改善も認知症予防に重要です。
認知症の予防に効果がある食材は以下の通りです。

  • 魚類:記憶力・判断力の向上に役立つDHAが豊富に含まれる
  • 緑黄色野菜、豆類、果実類:アルツハイマー型認知症に関連するホモシステインを減らす葉酸が含まれる
  • カレー:アルツハイマー型認知症の原因となる、アミロイドβというタンパク質が脳に溜まるスピードをおさえる
  • コーヒー:ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸が抗酸化作用を与える
  • 緑茶:テアニンというアミノ酸が血圧上昇をおさえ、脳の神経細胞を保護する
  • 赤ワイン:強力な抗酸化作用をもつポリフェノールにより、動脈硬化や認知症予防の効果がある

料理では、地中海食を食べることで効率よく上記食材を摂取できます。

地中海食の特徴には

  • 果物や野菜を豊富に摂取する
  • タンパク質を魚から摂取する
  • オリーブオイル、豆類、全粒粉を摂取する
  • 赤ワインを食事と一緒に適量飲む

などがあります。

適度な運動と食事改善により、認知症を予防していきましょう。

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認知症の非薬物療法のまとめ

認知症の非薬物療法のまとめ

ここまで認知症の非薬物療法についてお伝えしました。
要点を以下にまとめます。

  • 非薬物療法には、「理学療法・作業療法」「音楽療法」などがある
  • 非薬物療法によって、薬物による副作用から解放され生き生きと生活できる
  • バリデーション療法は、認知症の方の自己肯定感を高めることができる

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

薬の使い方

監修者 メディカル・ケア・サービス

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  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
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