認知症の中核症状の一つでもある実行機能障害。
計画立てた行動ができなくなり、日常生活に支障をきたす恐れがあります。
実行機能障害には、どのような原因やリハビリ方法があるのでしょうか?
本記事では、認知症による実行機能障害について以下の点を中心にご紹介します。
- 実行機能障害の症状
- 実行機能障害の原因
- 実行機能障害のリハビリ方法
実行機能障害が起きたときのためにも、参考にしていただけると幸いです。
ぜひ最後までご覧ください。
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認知症による実行機能障害とは
実行機能障害は、計画立った行動をすることが困難になる認知症の中核症状です。
人間は行動の中で無意識に①目標の設定、②計画の立案、③計画の実行、④効果的な行為の模索を繰り返しています。
これらのプロセスができなくなるのが実行機能障害です。
実行機能障害は、主にアルツハイマー型認知症に多いです。
ただ、血管性認知症や前頭側頭型認知症でみられることもあります。
実行機能障害がみられる場合、介護者による手順や方法についての声かけが必要です。
危険行動にもつながりかねないため、見守りなどが必要になることもあります。
その他、中核症状はどれか一つだけ発症するものではありません。
実行機能障害に加えて、記憶障害や見当識障害も同時に症状がみられる場合もあります。
一つの症状だけにとらわれず、広い視野でのケアが重要になります。
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認知症の実行機能障害の症状
実行機能障害にみられる症状の例を以下にまとめます。
- 電話番号を調べて番号を入力することができない
- 予算内に収まるように複数の商品を選ぶことができない
- 食材を用意して調理から盛り付けるまでの一連の行動がわからない
- 洗濯の際、色物や小物などを分けることができない
- 薬の管理ができず、用法や用量を間違えてしまう
血管性認知症による実行機能障害では、脳卒中の影響度合いによって症状の出現が軽度の場合もあります。
「多少間違ってしまっただけ」と、認知症の発見が遅れてしまうことも考えられます。
実行機能障害自体は非進行性ですが、放置すると他の症状がどんどん重症化してしまうため注意が必要です。
認知症の実行機能障害の原因
実行機能障害の原因は、脳の大脳皮質にある前頭連合野という部位が障害を受けることにあります。
前頭連合野は物事の計画、推理、判断、意思決定をつかさどる部分です。
アルツハイマー型認知症の場合、初期には側頭葉から頭頂葉へと萎縮が進み、最終的に前頭連合野へと萎縮が進んでいきます。
また、前頭葉と側頭葉の変性によって起こる前頭側頭型認知症でも、大きく障害を受ける部位になります。
血管性認知症の場合は、脳出血や脳卒中の影響が前頭連合野に広がれば、実行機能障害がみられるようになります。
認知症の実行機能障害は改善できるのか
現在、認知症そのものを完治させる方法はありません。
しかし、実行機能障害の場合は根気よくリハビリを継続することで、症状改善を期待できます。
また、実行機能障害では思い通りに行動できないために、本人がストレスを抱えてしまう場合もあります。
そういった精神的ストレスは、周辺症状を引き起こすきっかけになりかねません。
本人のできることとできないことを把握しながら介護者がフォローしていくことも重要です。
認知症の実行機能障害のリハビリ方法
リハビリ方法としては、一連の作業を段階に分けてルーティン化し、繰り返し行っていく方法があります。
実行機能障害では、リハビリを継続することでその症状が改善に向かう場合もあります。
実行機能障害のリハビリは短期間で成果を見出すものではなく、長い目でリハビリを継続していくことが必要です。
日々の継続から適した行動パターンや手法を学習し、行動の修正や変容をうながします。
失敗した都度介護者が修正を行い、本人はその繰り返しの中で行動を学習していきます。
大きな枠組みでスケジュールを立てて物事を遂行したり、計画の立て方を訓練したりもします。
認知症による実行機能障害のまとめ
ここまで、認知症による実行機能障害についてお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- 実行機能障害は、計画立てた行動ができなくなること
- 実行機能をつかさどる脳の部位は、大脳皮質内の前頭連合野
- 実行機能障害は、作業のルーティン化によって改善が見込める
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。