超高齢社会の日本において、年々増加している認知症。
認知症の治療薬によって、進行の抑制を目指す方が多いです。
中には認知症を治療するために漢方を使用している方もいます。
では、漢方にはどのような効果があるのでしょうか?
本記事では、認知症と漢方について以下の点を中心に解説します。
- 認知症に対する漢方の効果
- 認知症に効果的な漢方薬
- 漢方の副作用
認知症治療の効果を高めるためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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認知症に対する漢方の効果
認知症の症状は中核症状と周辺症状に分けられます。
中核症状とは、認知症の方に必ず現れる症状のことをいいます。
一方で、周辺症状とは、中核症状に本人の性格や環境が合わさって現れます。
睡眠障害や妄想などが代表的な症状です。
漢方薬は、認知症の中でも周辺症状に効果的です。
神経の興奮状態を鎮めて、リラックス効果をもたらします。
また、薬の多剤服用は副作用のリスクを高めてしまいます。
高齢の方は、認知症以外にも複数の薬を服用している場合が多いです。
多剤服用のリスクを緩和するためにも、認知症治療薬の代わりに漢方薬を使用するという方もいます。
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認知症に効果的な漢方薬
ここからは認知症に効果的な漢方薬をご紹介します。
それぞれの漢方薬がどんな効果をもたらすのか参考にしてみてください。
抑肝散
「釣藤鈎(チョウトウコウ)」と「柴胡(サイコ)」という生薬の組み合わせで、鎮静の効果が強い漢方薬です。
これまでは、小児の夜泣きを落ち着かせるために使用されてきました。
レビー小体型認知症の周辺症状でもある、徘徊や不眠といった症状に対しても効果があります。
レビー小体型認知症の方に処方されるケースが多いです。
釣藤鈎
釣藤鈎は、アルツハイマー病の周辺症状を改善させることがわかっています。
釣藤鈎は前述した抑肝散に含まれている成分のひとつです。
アルツハイマー病の原因物質である、アミロイドβという特殊なタンパク質の蓄積を減少させる効果があることがわかっています。
中年以降の比較的元気な人に慢性的な頭痛がある場合も処方されます。
人参養栄湯
病後や術後、慢性疾患といった理由で疲労がたまり衰弱している場合に処方される漢方です。
「人参」を含む、12種類の生薬で構成されています。
人参には、抗疲労作用や記憶障害の改善作用があります。
「陳皮」や「遠志」といった成分にも、認知機能の改善効果が見込めます。
抑肝散加陳皮半夏
認知症の周辺症状である、精神症状に効果があります。
抑肝散加陳皮半夏は副作用が少なく、症状をピンポイントで緩和させていくことが期待されています。
また、消化器のはたらきを助ける作用もあるので、高齢者にも使うことも多いです。
黄連解毒湯
高血圧に伴う不眠症や神経症に用いられていた漢方です。
主にイライラなどの精神症状を抑えるために処方されます。
認知症のなかでも、血管性認知症に効果的です。
主に怒りや不機嫌といった周辺症状を鎮静させることができます。
当帰芍薬散
元々は産婦人科で「三大漢方薬」のひとつに数えられる漢方でした。
月経不順、更年期障害などといった産婦人科系の症状に効果があります。
構成成分の中に含まれる、当帰(トウキ)や芍薬(シャクヤク)の成分が認知症に効果的です。
当帰は血の流れをよくし、認知症の中核症状を抑制する作用があります。
芍薬は記憶障害を改善する作用が見込まれています。
漢方薬以外の認知症の治療薬
ここからは、漢方薬以外の治療薬について解説します。
色々な治療方法を把握し、本人に合った方法を選ぶことが大切です。
アリセプト
アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症の方に処方される治療薬です。
脳内伝達物質のアセチルコリンを分解する、アセチルコリンエステラーゼのはたらきを阻害する役割をもっています。
また、脳内でアセチルコリンの濃度を高め、神経伝達を助けます。
レミニール
コリンエステラーゼ阻害薬に分類される治療薬になります。
前述したアセチルコリンエステラーゼのはたらきを阻害することで認知症の進行を遅らせるために服用します。
日本では軽度から中度のアルツハイマー型認知症の方に対して処方される治療薬です。
イクセロンパッチ・リバスタッチパッチ
貼付薬としてつかわれる治療薬です。
軽度から中度の認知症の方に用いられる治療薬で、食欲不振の改善が見込めます。
貼付薬は抗認知症薬のなかでも珍しく、飲み込む力が低下している方におすすめです。
副作用として、皮膚がかゆくなる可能性もあります。
メマリー
中等度から高度のアルツハイマー型認知症の方に対して処方される治療薬です。
OD錠もあり、嚥下がうまくできない方であっても処方できるというメリットがあります。
イライラや焦燥感といった感情が不安定な方に対して処方されることが多いです。
認知症対策でも注意|漢方の副作用
漢方薬は一般的に西洋の治療薬よりも副作用が少ないです。
しかし副作用がまったくないというわけではありません。
漢方薬を服用した人のなかには、副作用が現れる人がいます。
胃もたれなど消化器関係の副作用が代表的です。
このほかにもかゆみ、湿疹といった皮膚系の症状が現れるケースもあります。
認知症と漢方のまとめ
ここまで認知症に対する漢方の効果についてお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- 漢方は認知症の周辺症状を緩和する効果がある
- 認知症に効果のある漢方は、抑肝散や釣藤鈎など複数の種類がある
- 漢方には消化器や皮膚に副作用が現れる場合がある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。