超高齢化社会の日本において、年々増加している認知症。
認知症には根本的な治療法がないため、認知症予防が非常に大切です。
日々の口腔ケアが認知症予防につながることをご存知ですか?
そこで、今回は口腔ケアと認知症について以下の項目を中心に解説していきます。
- 認知症の発症と歯周病の関係
- 口腔ケアの方法や効果
- 口腔ケアを行う際のポイント
認知症を予防するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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認知症予防と口腔ケア
認知症予防に口腔ケアが効果的な理由は、噛む行為によって三叉神経から大脳皮質が刺激され、脳が活性化するためです。
咀嚼によって脳の記憶を司る海馬の神経細胞が増えることも研究から分かっています。
口腔ケアを怠り歯が失われていくと、咀嚼機能が低下します。
必要な栄養を摂取できなくなり、認知機能や運動機能が低下します。
また、歯周病は歯槽骨が壊されることで進行する感染症です。
口腔内細菌の影響は全身に及ぶため、多くの病気につながる可能性があります。
認知症だけでなく全身の病気を防ぐためにも、口腔ケアを実践しましょう。
病院で歯科医師や歯科衛生士の方に診てもらうことが大切です。
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口腔ケアが認知症に与える影響
口腔ケアは、認知症の進行を遅らせるための重要な要素であると言われています。
口腔内の衛生状態が悪化すると、虫歯や歯周病のリスクが高まるだけでなく、全身の健康にも影響を及ぼす可能性があります。
特に、口腔内の細菌が血流に乗って全身に広がり、炎症反応を引き起こすことがあります。
この炎症反応が、認知症の進行を促進すると考えられています。
また、口腔ケアが不十分な状態では、食事をしっかりと噛むことが難しくなり、栄養不足につながる可能性があります。
栄養不足は、認知機能の低下を引き起こす一因となります。
さらに、口腔ケアが不十分な状態は、誤嚥性肺炎のリスクを高めます。
誤嚥性肺炎は、飲み込む力が低下した高齢者がかかりやすい病気で、口の中の細菌が気道に入り込み、肺に炎症を起こすものです。
誤嚥性肺炎は、命に関わることもあるため、口腔ケアの重要性は高まります。
認知症の方が口腔ケアを嫌がる理由は多岐にわたります。
理解力の低下、意欲の喪失、集中力の低下などの症状が起きるため、口腔ケアの目的がわからなくなったり、不安を抱いたりして、口腔ケアを嫌がることがあります。
口腔ケアの重要性を理解し、適切なケアを行うことで、認知症の進行を遅らせ、生活の質を向上させることが可能です。
口腔ケアは、認知症の方にとって元気に過ごし、生活の質を維持するために重要な意味を持っています。
認知症と歯周病
アルツハイマー型認知症と歯周病は深く関わっています。
アルツハイマー型認知症は、脳内にアミロイドβなどが蓄積することで発症します。
研究によって、アルツハイマー型認知症の方の脳内から歯周病原因菌が検出されました。
歯周病原因菌は、ミクログリアを活性化させる菌です。
活性されたミクログリアは、アミロイドβを生産・蓄積する役割を担っています。
本来は脳に不要な物質が入らないため、アミロイドβがつくられても脳にはいかないと考えられていました。
しかし、歯周病菌が体内でアミロイドβをつくりだし、血液によって脳内に取り込まれることがマウスでの実験で確認されたのです。
人の細胞でも同じことが起きていると考えられています。
認知症の方への口腔ケアの具体的な手順
認知症の方への口腔ケアは、その人の健康状態や生活習慣を考慮に入れた上で、適切なケアを提供することが重要です。
口腔ケアは、歯や歯周組織、舌などのケアを含み、むし歯や歯周病の予防だけでなく、噛む行為が脳の活性化につながるため、認知症予防にも重要とされています。
認知症の方への口腔ケアの基本
認知症の方への口腔ケアの基本は、口腔内の清潔さを保つことです。
これには、食事後のうがいや歯磨きが含まれます。
特に高齢者の場合、義歯や口内、舌の清掃も重要となります。
口内で雑菌が繁殖し、その雑菌が食べ物や唾液と一緒に気道に侵入すると、誤嚥性肺炎を引き起こす恐れがあります。
また、高齢者は加齢により抵抗力が落ち、歯周病や粘膜疾患にかかりやすいため、日ごろから口腔ケアをしっかりと行う必要があります。
また、口周りの筋肉や舌を動かすことによって口腔機能の維持・向上を目指す機能的口腔ケアも重要です。
口腔機能が問題なく働くには、口周りの筋肉の動きがスムーズである必要があります。
機能的な口腔ケアの方法は、口腔内や口周辺のマッサージや、飲み込む力を鍛える嚥下体操などです。
自宅でできる口腔ケアの方法
自宅で行える口腔ケアの方法としては、まず歯磨きがあります。
歯の磨き方を考えていくうえでは、まず「歯ブラシの選び方」が大事です。
口の隅々までブラシが届くように毛先が小さめのもので、さらに歯肉を傷つけないように毛先が丸いものを選びましょう。
また、歯磨き粉はフッ素入りのものを選ぶと、むし歯予防に効果的です。
歯磨きの方法としては、歯と歯肉の境目を中心に、歯ブラシを斜め45度にしてゆっくりと磨くことが推奨されています。
また、歯磨きの際には、全ての歯を磨くことが大切です。
特に、奥歯は食べ物が詰まりやすいため、しっかりと磨くことが必要です。
次に、口腔内の清掃です。
舌は口臭の原因となるため、舌ブラシや舌クリーナーを使用して清掃します。
また、口腔内乾燥を防ぐために、定期的に水分を摂ることも大切です。
最後に、口周りの筋肉を鍛えるための口腔体操があります。
口を大きく開け閉めする、舌を左右に動かす、口角を上げるなどの動作を行うことで、口周りの筋肉を鍛えることができます。
これらの口腔体操は、飲み込む力を強化し、誤嚥を防ぐ効果もあります。
門家による口腔ケア
専門家による口腔ケアも非常に重要です。
歯科医師や歯科衛生士による定期的な口腔ケアは、自宅でのケアだけでは難しい部分をカバーします。
特に、歯石の除去や歯周病の早期発見、治療は専門家にしかできないため、定期的な受診が必要です。
また、口腔ケアの専門家は、個々の口腔状態に合わせたケア方法を提案してくれます。
例えば、義歯を使用している場合、義歯の清掃方法や義歯のフィット感を調整することなど、専門的な知識と技術が必要です。
認知症の方の口腔ケアを行うときのポイント
認知症の原因疾患や口腔ケアの状況はそれぞれ異なるため、個々の状態に合わせたケアが大切です。
特に口腔ケアは異物が入る感覚があるため、ストレスを感じることもあります。
次のポイントを使い分けてしっかり口腔ケアをしましょう。
タイミングを見て声をかける
口腔ケアは毎日同じ時間に行って生活のリズムを取るのがベストです。
思うようにいかないときはタイミングを見て声をかけます。
相手のペースになるべく合わせることが重要で、こちらからは一つずつ丁寧に伝えましょう。
相手の機嫌が良いときに声をかけ、動作の流れを理解してもらうことが大切です。
集中力が低下している場合は、短時間で行うのも一つのポイントです。
安心感を与える
口腔内といったデリケート部分に対する拒否は比較的軽度の段階からあります。
口腔ケアの拒否に対しては相手に安心感を与えることが大切です。
優しい言葉の声かけやアイコンタクト、ゆっくりとした動作を心掛けましょう。
認知症の方は何をするのか分からず不安を抱えているため、その不安の原因を見極めることも大切です。
自立を妨げない
口腔ケアを自身で行える場合、自立を妨げないように配慮しなければなりません。
例えば、洗面所に行くよう促したときも、決して急がせず本人の意思決定を待つことが大切です。
口腔セルフケアの質が低下した場合は適宜フォローしましょう。
日頃からできる範囲を確認し、最小限の支援にとどめる対応が求められます。
口腔ケアのその他の効果
適切な口腔ケアは、認知症予防以外に以下の効果があります。
- 誤嚥性肺炎や、感染症や発熱などの予防
- 唾液分泌の促進による味覚改善
- 食欲増進に繋がり低栄養や脱水を防ぐことが可能
- 表情が豊かになりコミュニケーションが改善する
認知症と口腔ケアのまとめ
ここまで、認知症と口腔ケアについてお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- 歯周病を防ぐことが認知症予防に効果的
- 口腔ケアは認知機能や身体、口腔内の状態に合わせて行う
- 口腔ケアは安心感・信頼関係・自立促進・適度なサポートが大切
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。