超高齢社会の日本で、ますます増える認知症。
認知症になると記憶障害以外にどのような障害が起こるか知っていますか?
そこで今回の記事では認知症と便秘の関係について以下の項目を中心に解説していきます。
- 認知症と便秘は関係あるのか
- 認知症の人が便秘になる原因
- 便秘の種類
安心して認知症治療に臨むためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ本記事を最後までお読みください。
スポンサーリンク
認知症と便秘の関係
認知症になると日々の食事量が減少してしまうことがあります。
認知症による認知機能の衰えで食事を正しく認識できなかったり、栄養バランスを崩してしまうことがあるのです。
そうなると腸から排泄するだけの、十分な便が溜まらなくなってしまいます。
こうして便のかたまりが徐々に腸内に蓄積されることで便秘が悪化していきます。
また認知症の方は自身の便意をうまく伝えることができずに、便秘が悪化していくというケースもあります。
このように認知症の方と便秘には一定の関係性があることがわかっています。
スポンサーリンク
認知症になると便秘になる原因
認知症になると便秘になる可能性があることは前述しました。
認知症にかかる方の多くは高齢者です。
そのため認知機能のみならず、さまざまな身体機能が衰えています。
こうしたさまざまな要因が絡まっているので、便秘の原因が認知症である場合とそうでない場合があるといえます。
以下では、便秘になってしまった場合に下剤に頼らずにケアを行うにはどのような方法があるかを解説していきます。
下剤に頼らない便秘ケア
生活習慣を改善することが便秘に対する大まかなケア方法になります。
しかし、これは認知症の進行を遅らせたり、予防することにも役立つ場合があるのでぜひ覚えてください。
ここからは、生活習慣を改善するための具体的な方法について紹介します。
規則的な生活
決まった時間に食事や睡眠をとることは身体機能の維持のために重要です。
たとえば食事や睡眠の時間にタイマーが鳴るようにセッティングしておけば、本人も決まった時刻に気づきやすくなります。
また、認知症になると不眠や深夜の徘徊といった規則的な生活が乱れる原因になってしまう症状があらわれるので、注意が必要です。
規則的な食事
栄養バランスのとれた食事をとることで腸内の活動も活発になり、便秘が改善されることが期待されます。
また食事の際には栄養バランスだけでなく量も注意する必要があります。
少なすぎても多すぎても体調が崩れる原因になりますので注意が必要です。
食物繊維摂取
食物繊維を多く含む食品は便量を増大させることに加えて、排便リズムも改善してくれる可能性があります。
食事の際は食物繊維を意識したメニューづくりをしてみるとよいでしょう。
食物繊維を多く含む主な食べ物はごぼう・大豆・さつまいも・切り干し大根・緑黄色野菜があげられます。
水分摂取
水分不足も便秘の原因となることがあります。
高齢者の方が認知症にかかってしまうと、のどの渇きを感じる機能が低下してしまうことがあります。
また飲み物を飲み物と認識できない認知症の方もいます。
そのため水分摂取を促すために、その人が好む飲み物を用意するなどの対策をとることがおすすめです。
好きな飲み物をきっかけに水分摂取量を増加させることができれば、自然と水分摂取量が増え、便秘が改善する可能性が上がります。
身体活動
身体活動は軽いウォーキングなどのレベルでも効果が出やすいです。
高齢かつ認知症の方の場合、歩行がそもそも困難なこともあるため、できる範囲で行うようにしましょう。
少しでも身体活動を習慣的に行うことで身体機能が維持・増進され、腸の活動も活発化することで便秘が改善される可能性が上がります。
便秘の種類
ここからは便秘の種類について解説していきます。
便秘と言ってもさまざまな原因があり、その原因によって便秘は分類されています。
ここではその便秘について6種類解説していきます。
機能性便秘
自律神経の乱れなどが原因で腸管の緊張がゆるんでしまったり、大腸が機能不全を起こすことによって便秘となってしまうものです。
一般的な便秘は機能性便秘であることが多く、生活習慣を改善することによって自然と治っていくものになります。
器質性便秘
イレウス(腸の閉塞)、大腸がんや腸管の癒着といった器質的なものが原因の便秘です。
胃や小腸といった消化管の何らかの疾患が原因で起こる便秘になります。
このタイプの便秘は生活習慣の改善などでは治らないため、医療機関での受診が必要になります。
弛緩性便秘(しかんせいべんぴ)
食物繊維や運動不足のほかに腹筋の力が低下することによって発生する便秘です。
大腸の機能低下によって便が長い間とどまり続けてしまいます。
高齢者のほかにも痩せ型の女性に多くみられ、デスクワークの方がなりやすいという特徴もあります。
直腸性便秘
便が直腸まで届いているにもかかわらず、便意が起きない便秘になります。
浣腸の乱用などの要因によって排便のリズムが乱れることによって発症します。
高齢者や寝たきりの方が発症するケースの多い便秘ですが、ほかにも痔や便秘を我慢してしまう方も直腸性便秘になってしまうことがあります。
痙攣性便秘
大腸が過剰に緊張し、便を運びにくくなることで起こる便秘です。
職場や家庭でのストレスやリラックスタイムを確保できないことで緊張状態が続くと発症してしまいます。
ほかの便秘と比較して、若い方でもかかりやすい便秘です。
薬剤性便秘
麻薬、抗うつ薬、鉄剤などの薬剤には副作用として便秘があらわれる場合があります。
認知症の方の場合、周辺症状としてうつ病を併発してしまい、その治療として抗うつ薬を服用した副作用として便秘になる場合があるのです。
もし副作用として便秘の症状があらわれた場合、自己判断で服用をやめるようなことはせず、医師に判断をあおぐようにしましょう。
高齢者の便秘は危険?
便秘になると便が長い間腸のなかにとどまった状態になります。
このような状態になると腸のさまざまな機能が低下してしまうのです。
具体的な症状として
- お腹の張りを感じる
- 食欲の減退や食欲減退による栄養不足
- 炎症や感染症になる可能性
とくに高齢者の場合、免疫機能も弱まってきていますので炎症や感染症になると重症化のリスクがあります。
日常生活を円滑に過ごせなくなる原因にもなりえますので高齢者の便秘には危険があるといえるでしょう。
高齢者の方やその家族は注意が必要です。
高齢者の便トラブルは他にも?
高齢者の便トラブルは、便秘だけではありません。
代表的な便トラブルである「便失禁」について解説します。
便失禁とは?
便失禁とは、意思に関係なく排便してしまう状態です。
自分では我慢しようと思っても、便が肛門から漏れ出る状態を指します。
症状の程度は様々です。
下着が汚れる程度の場合もあれば、専用パッドが手放せない方もおられます。
便失禁の原因とは?
主な原因は以下の通りです。
- 加齢・疾患・ケガなどによって肛門周辺の筋肉が衰えること
- 直腸・肛門の疾患
- 極度の便秘・下痢
最も多いのは、加齢によって括約筋という筋肉がゆるむことです。
括約筋は肛門の弁のようなもので、便を肛門内に押しとどめる役割をしています。
年を重ねると自然と筋力が衰えるため、括約筋の機能も低下しやすくなります。
括約筋の低下は、痔の手術・出産時の切開などによっても起こりえます。
あるいは、便秘で便が腸内にたまりすぎたり、下痢で便が緩くなったりすると、自然と括約筋を押し開いて便が漏れることがあります。
また、直腸がんや直腸脱も便失禁を引き起こす要因です。
便失禁を改善するには?
便失禁の治療は保存的治療と外科的治療の2種類があります。
保存的治療は、投薬・リハビリなどによる治療です。
整腸剤や下剤で腸内環境を整えたり、肛門の筋肉をコントロールするための訓練を行ったりします。
外科的治療は外科手術です。
括約筋を縫って強化するなどの方法が選択されます。
https://www.coloproctology.gr.jp/modules/citizen/index.php?content_id=18
認知症と便秘のまとめ
ここまで認知症と便秘の関係性や便秘の症状、種類といったことを中心にお伝えしてきました。
以下まとめです。
- 認知症が原因で便秘になってしまうケースがある
- 認知症の方が便秘になるのは認知機能の低下の影響などが考えられる
- 便秘には薬剤性便秘や痙攣性便秘など、6種類ある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。