認知症の一つに、脳血管性認知症があります。
残念ながら、根本的な治療方法はまだ見つかっていません。
一方で、薬やリハビリによって症状緩和が見込めることをご存知ですか?
本記事では、脳血管性認知症の薬について以下の点を中心にご紹介します。
- 脳血管性認知症の治療薬
- 脳血管性認知症の治療薬の副作用
- 脳血管性認知症の薬以外の治療法
薬の不安を解消するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までご覧ください。
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脳血管性認知症とは
脳血管性認知症とは、主に脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの脳血管障害によって発症する認知症です。
主な症状は以下の通りです。
- 感情がコントロールしづらい
- 症状の変化が大きい
運動麻痺や知覚麻痺、言語障害などの症状も伴います。
症状は他の認知症と大差ありません。
特徴は、脳血管障害の再発などが起きるたびに症状が悪化・進行していくことです。
進行を抑えることが脳血管性認知症の予防にもなります。
脳梗塞や脳出血など、脳の血管に障害が起こることで発症する脳血管性認知症。脳血管性認知症はどのような症状があるのかを知っていますか?今回は脳血管性認知症の原因や症状についてご紹介した上で、診断方法や治療法をご紹介します。[…]
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脳血管性認知症で使用する薬
認知症の治療法として薬を使う薬物療法があります。
認知症を完治させる薬は開発されていませんが、症状を軽くする、進行を抑えることができます。
脳血管性認知症については、脳血管障害を再発させないようにするための薬を使用します。
例えば、高血圧薬や脳血流改善薬などです。
ただし、アルツハイマー型認知症を対象にした薬で進行を遅らせることができる可能性もあります。
以下で認知症の治療薬を紹介します。
アリセプト
軽度~重度のアルツハイマー型認知症の方に処方されています。
アセチルコリン(重要な神経伝達物質)を分解する酵素の働きを抑えて、脳内のアセチルコリンの濃度を高める作用を持つ薬です。
中核症状を一時的に改善し、認知症の進行を遅らせる効果があります。
レミニール
神経の伝達を改善する作用が見込める薬です。
軽度~中度のアルツハイマー型認知症の方に処方されています。
認知症の進行を遅らせるのに有効であり、軽度の段階で症状を抑えておくことが大切です。
イクセロンパッチ・リバスタッチパッチ
皮膚に貼るパッチ型の薬です。
レミニール・アリセプト同様にアルツハイマー型認知症に効果があるといわれています。
主に軽度~中度のアルツハイマー型認知症の方に処方されています。
メマリー
脳内のグルタミン酸の過剰分泌による脳神経細胞の死滅を防ぎます。
効果としては、記憶形成に近い働きを促す治療薬です。
物盗られ妄想や興奮など、介護者の負担が大きい方に処方されます。
主に中程度~重度のアルツハイマー型認知症の方に処方されています。
脳梗塞や脳出血など、脳の血管に障害が起こることで発症する脳血管性認知症。脳血管性認知症はどのような症状があるのかを知っていますか?今回は脳血管性認知症の原因や症状についてご紹介した上で、診断方法や治療法をご紹介します。[…]
脳血管性認知症の治療薬で注意するべき副作用
脳血管性認知症で使用する薬には副作用もあることを忘れないでください。
副作用の度合いは個人差があります。
症状の変化があった場合はすぐに医師・薬剤師に相談しましょう。
基礎疾患がある人は使用できないこともあります。
副作用に気をつけながら薬を使用してください。
アリセプト
主な副作用は、吐き気・嘔吐・食欲不振・下痢・興奮などです。
突然暴れだしたり、妄想や幻覚をもたらす「せん妄」を引き起こす可能性もあります。
認知症の症状との違いが分からない場合もあるので、服用後は症状のチェックをしてください。
レビー小体型認知症などの場合には、薬物に対する過敏症状がみられることもあります。
そのため、服用は少量から開始することが必要です。
不整脈・心臓疾患などの持病がある人は注意が必要です。
レミニール
吐き気や嘔吐などの副作用があります。
服用方法や量については医師や薬剤師などに相談するようにしましょう。
副作用があまりにもひどい場合は中止を検討することも必要です。
イクセロンパッチ・リバスタッチパッチ
こちらの薬は貼り薬となっているので、これまで挙げたような副作用は見られません。
ただ、湿布薬などでかゆみや発疹が出る方は注意しましょう。
同じ場所に貼らないなどの工夫でかゆみや発疹などが改善することもあります。
メマリー
飲み始めによく見られる副作用がめまいです。
めまいによるふらつきや転倒には、十分注意が必要です。
他にも頭痛や便秘なども起きやすく、服用周期や量に気をつける必要があります。
脳血管性認知症の非薬物療法
脳血管性認知症には、薬物を用いない治療法もあります。
絶対的な治療薬や治療法がないので、可能なものは積極的に取り入れてみることも大切です。
では、薬物を使用しない治療にはどのような種類があるのでしょうか?
その種類と効果についてご紹介します。
運動療法
ストレッチや有酸素運動などを行います。
機能回復のためにも、運動を習慣づけることは効果的です。
理学療法士などと共に行うことが一般的なので、効果も信頼できます。
作業療法
作業療法士などと協力しながら進めていくのが一般的です。
家事や買い物、手芸、園芸などを含んだ作業を通して、心と身体のリハビリテーションを実施します。
進行を遅らせるための予防措置が主な目的です。
回想法
回想法とは、自分の思い出を人に話すことで脳に刺激を与える治療方法です。
認知症の進行を遅らせる効果が見込めます。
精神的な安定を保つ効果もあります。
脳血管性認知症は感情のコントロールが難しくなるので、精神的な安定を図り周囲と関わりを持つことが大切です。
若い頃の私物や写真を用意し、その思い出話に耳を傾けるだけでも十分脳に刺激を与えることが可能です。
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音楽療法
認知症が進行すると、言葉をうまく話せなくなる場合があります。
自分のよく知っている歌を口ずさむことで、言語能力の改善が見込めます。
歌が歌えたことで、自信を取り戻すことができたというケースもあるようです。
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脳血管性認知症の治療で血流をよくする方法
脳血管性認知症は、脳の血管障害が引き起こす認知症です。
血液の流れを良くすることにより、再発リスクを減らすことが可能です。
血液の流れを良くする食べ物は以下の通りです。
- クエン酸:酢や梅干し
- EPA:イワシ、サバなどの青魚
- ポリフェノール類:赤ワイン、緑茶など
- アルギン酸:昆布、わかめなど
- ビタミンE:かぼちゃ、アスパラガスなど
- ビタミンC:フルーツ、ピーマンなど
上記の食材を積極的に摂取すると良いでしょう。
脳血管性認知症の薬のまとめ
ここまで脳血管性認知症の治療薬についてお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- 基本的に脳血管障害の再発を抑えるための薬が使用される
- 脳血管性認知症の治療薬の副作用は、吐き気やめまいなど
- 治療薬とは別に、運動療法や音楽療法も取り入れる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。