超高齢社会の日本において、年々増加している認知症。
認知症の中核症状の一つに失行が挙げられます。
失行の症状に対して戸惑っている家族も多いのではないでしょうか?
症状や原因を把握し、本人の気持ちを読み取ることが大切です。
本記事では、認知症による失行について以下の点を中心にご紹介します。
- 認知症による失行
- 認知症によって失行が起きる理由
- 認知症による失行のリハビリ方法
介護の不安を解消するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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失行とは
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失行は、認知症における中核症状の一つです。
運動機能に何の問題もないにも関わらず、日常生活の基本的な動作や物の操作が行えなくなります。
失行が現れると、身の回りの環境を整え安全に配慮する必要があります。
家族だけでなく本人も戸惑いが大きいため、事前に把握しておくことが大切です。
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認知症によって失行が起こる理由
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では、一体なぜ失行が起こるのでしょうか?
その理由には脳が大きく関係しています。
失行の原因は、頭頂葉または頭頂葉と脳の他の部位を繋ぐ神経通路などの損傷です。
これらの部位の中には、一連の動作に関する記憶が保有されています。
また、比較的稀ではありますが、運動前野などその他の脳の部位の損傷などが原因となり失行が生じる場合もあります。
損傷が起こる原因疾患は認知症以外にも、脳卒中や脳梗塞、脳腫瘍などが挙げられます。
失行の診断方法
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失行が疑われる場合は、まず病院を受診し医師の診断を受ける必要があります。
医師の診察では、歯ブラシやハサミなど実際の道具を使用し、真似するように指示を受けます。
また、家族は「歯を磨く」「文字を書く」「ご飯を食べる」などの日常動作をどれだけ行えるかについて質問されます。
そして、失行が起きている原因を特定するためにMRIやCT検査などが行われます。
失行のリハビリ方法
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失行に対するリハビリにはいくつかの方法があります。
代表的なリハビリは以下の通りです。
直接的方法
直接的方法とは、低下した機能の反復練習を行うものです。
たとえば、着衣失行がみられる場合は、衣服の着脱を繰り返し行い練習をします。
その他にも箸や茶碗、歯ブラシなど日常生活に必要な道具を使用しながら練習を行います。
その際は本人だけに行わせるのではなく、介護者が手を添えて一緒に繰り返し行うのが基本です。
代償的方法
代償的方法では、視覚や聴覚などを利用して動作や行為をスムーズに行えるよう関係づけることです。
「歯を磨く」「衣服を着用する」などの特定の課題に対する順番や動作を図で示します。
色などを利用して関係性を分かりやすくすることも大切です。
服の袖やズボンの裾に印をつけ、衣服を着用する順番や動作を図で示すことで分かりやすくなります。
環境調整
環境調整は、必要なものだけを居住スペースに配置し、なるべく使用するものを減らす方法です。
そうすることで日常生活の中で起きる混乱を防ぐことができます。
ただ使用するものを減らすだけではなく、使用後は毎回同じ場所に戻すことが重要です。
場所を固定することで環境調節に繋がります。
たとえば、歯ブラシの場所が分からない場合は、洗面台の不要なものを片付けましょう。
家族への援助
失行がある方を介護していく上で、家族へのサポートも非常に重要です。
家族が障害に対して正しい知識がなく、困惑するケースは珍しくありません。
家族に対して的確な情報を伝え、失行に関する理解を深めてもらう必要があります。
また、環境調節の効果を高めるためにも家族との連携が欠かせません。
失行の種類
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失行と一括りにされていますが失行の中にも種類があるので、以下でご紹介します。
観念性運動失行
本来であれば何の問題もなく行える動作ができなくなります。
真似するよう指示をされても上手くできません。
観念性運動失行の例は以下の通りです。
- 箸は使えても、箸の使い方を問われた途端に分からなくなる
- 「バイバイ」と手を振られても一定の速度で動かせない
- ジャンケンができても、「グー・チョキ・パーと手を動かして」と指示されるとできない
観念性失行
使い慣れているはずの道具の使用方法や行為の順番などが分からなくなります。
部分的な動作はできても、複合的な動作はできなくなります。
観念性失行の例は以下の通りです。
- 書類や手紙を折り畳んで封筒に入れられない
- ズボンを履こうとしても着替えることができない
- お風呂に入ろうと服を脱いでも、入浴方法が分からない
肢節(しせつ)運動失行
手や足など身体に麻痺がないのにも関わらず、柔軟な動きができなくなります。
肢節運動失行の例は以下の通りです。
- 机の上にあるものを上手く掴めない
- ポケットに手を入れようとしても指が引っ掛かり、なかなか入らない
着衣失行
服やズボンなどの衣服を正しく着用できなくなります。
着衣失行の例は以下の通りです。
- 衣服を裏表逆に着てしまう
- ズボンを頭に被ってしまう
- ボタンの留め方が分からない
口腔顔面失行
観念性運動失行が口や顔などに起こります。
口腔顔面失行の例は以下の通りです。
- 舌を出す動きができない
- 口笛を吹けない
本来ならばできることが、段々とできなくなります。
本人はもちろんのこと周囲の方も戸惑う場面が多いです。
失行は治るの?
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失行を根本的に治療できる、特別な内科的治療法はありません。
先ほどご紹介したリハビリなどで改善が見込めます。
失行により低下した機能を改善させるためには、安全な環境下での家族のサポートが重要です。
まずは、本人だけでなく家族も失行について理解を深めましょう。
認知症による失行のまとめ
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今回は、認知症による失行についてご紹介しました。
要点を以下にまとめます。
- 失行とは、日常生活での基本的動作や物の操作が行えなくなる症状
- 失行は、神経通路に損傷が起こることで発症する
- 失行のリハビリは、直接的方法や代償的方法など様々な方法がある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。