症状が多岐に渡る認知症。
記憶障害や被害妄想を思い浮かべる方が多いと思います。
その中でも症状の一つである常同行動をご存知でしょうか?
本記事では、認知症による常同行動について以下の点を中心にご紹介します。
- 認知症の常同行動の症状
- 認知症の常同行動の対処法
- 認知症の方に常同行動が起こる原因
- 認知症の常同行動の治療法
認知症症状の理解を深めるためにもご参考いただけますと幸いです。
是非最後までお読みください。
スポンサーリンク
常同行動とは
ここでは、常同行動がどのような症状なのか解説していきます。
常同行動とは、同じ行動を繰り返すことをいいます。
認知症の中でも、前頭側頭型認知症の方に多く見られる症状です。
認知症と聞くと、「物忘れ」のイメージを抱く方が多いでしょう。しかし、認知症の症状は物忘れ以外にもたくさんあります。また、認知症の種類によって症状の現れ方もさまざまです。「認知症の症状が現れているけど気付いていない」という[…]
スポンサーリンク
認知症による常同行動の症状
認知症による常同行動について詳しくご紹介します。
常同行動とは、まるで行動の時刻表があるかのように決まった時刻に同じようなことをすることです。
例えば、毎日同じ服を着る・同じルートを散歩するなどです。
一日の生活がほとんど同じことの繰り返しになってしまい、こだわりが強くなっていきます。
買い物の場合大きな問題はありませんが、散歩のルートについては問題が生じます。
天候や季節に関係なく同じルートを散歩すると危険な場合もあるからです。
認知症の方の日常生活を観察しておきましょう。
何度も同じことを言うのは認知症の一症状?
認知症の人が何度も同じことを繰り返すのは、主に記憶障害、保続(思考の切り替えができない状態)、見当識障害(現在の状況を理解できない状態)、そして精神的な要因によるものです。
直前に言ったことでもすぐに忘れてしまう記憶障害、同じ言葉や行動を繰り返してしまう保続、そして何度も同じ質問を繰り返す見当識障害。
これらは認知症の人が日常生活で直面する困難な状況の一部です。
さらに、認知症の人は情報を適切に処理することが難しくなるため、常に不安を感じています。
その結果、安心するために何度も同じことを聞いてしまうのです。
認知症による常同行動の対処法
認知症の方の常同行動の対処法には、家族ができるものがあります。
以下でそれぞれの対処法を紹介します。
他にすることを与える
常同行動が起きている時は、何をして良いのか自分でわかっていないことが考えられます。
そのため、家族や周囲の人が他に注意を向けることで、常同行動を抑えることができます。
例えば、何かを叩くような常同行動が出ている場合には、打楽器をプレゼントすることも効果的です。
無理に止めない
認知症の方に常同行動が出ている場合、記憶障害があまり強くないケースが多いです。
そのため、無理に止めるとマイナスなイメージがついてしまいます。
本人と家族の関係性が悪化し、常同行動がひどくなってしまう場合があるため注意が必要です。
本人の意思を尊重してください。
認知症が常同行動を引き起こす原因
認知症が常同行動を引き起こす原因について詳しくご紹介します。
要求がある
何かしらの要求があって、認知症の方が常同行動を起こす場合もあります。
一般的な例は以下の通りです。
- 部屋が寒くて暖房をつけて欲しい
- 空腹でご飯を用意して欲しい
- 気分転換に外に出かけたい
以上の要求を示すために常同行動を起こしている方も多いです。
日頃からどのような常同行動をしているのか把握しておくと良いでしょう。
精神的安定が欲しい
認知症の方の中には、精神的に不安定な状態の方も多いです。
そのため、精神的安定が欲しいために常同行動をしているおそれがあります。
家族が気にならない程度の音だとしても、本人が気にしてしまうとストレスに発展します。
その結果、精神的に不安定になり常同行動をしてしまう方がいます。
刺激が欲しい
認知症の方は、ほとんどの時間を自宅で過ごしている方が多いです。
刺激が欲しく常同行動を起こしている場合があります。
自宅にずっといるといつも同じようなことしか起きません。
一緒に散歩に行くなど、刺激になることも重要です。
認知症による常同行動の治療法
では、常同行動が起きたらどのように治療していけば良いのでしょうか?
ここでは認知症の常同行動の治療についてご紹介します。
行動療法
行動療法は、常同行動の根本的な治療が目的です。
行動療法は、数多くある心理療法のなかの一つでもあります。
学習理論に基づくさまざまな方法を用いて、常同行動を抑えていきます。
薬物療法
薬を服用し、一時的に常同行動を抑える方法です。
あくまでも一時的なものなので、常同行動の根本的な治療法でありません。
しかし常同行動の症状が多い場合は、一旦薬物療法で症状を抑えてから行動療法を行います。
以上の流れに沿って、効果的に治療を進めることができます。
子供にも常同行動って起こるの?
子供でも常同行動を起こすことがあります。
主な原因は、知的障害、発達障害です。
一般的な例は以下の通りです。
- 意味もなく手を繰り返し叩く
- ものを口に入れたり出したりする
- 同じ場所を行き来する
基本的には、幼い時期に常同行動の症状が起こり始めます。
年を重ねるごとに症状が少なくなっていく方が多いです。
スポンサーリンク
認知症による常同行動のまとめ
ここまで認知症による常同行動についてお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- 認知症による常同行動は、「毎日同じ時間に同じことをする」症状
- 認知症による常同行動の対処法は、「他にすることを与える」「無理に止めない」
- 認知症が常同行動を引き起こす原因は、「要求がある」「刺激が欲しい」など
- 認知症による常同行動の治療法は、「行動療法」「薬物療法」
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。