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トップページ>認知症を学ぶ>認知症の症状>認知症末期には食欲が低下?末期に見られる症状から対応まで解説!

認知症末期には食欲が低下?末期に見られる症状から対応まで解説!

中でも食欲の低下は、介護者が不安になる症状の一つです。
今回は認知症の末期症状をご紹介した上で、三大認知症の食欲低下と改善方法をご紹介します。

  • 認知症末期にみられる症状
  • 三大認知症の食欲低下
  • 食欲低下の改善方法

この記事をご覧いただき、認知症末期についての理解を深めるための参考にしてください。
ぜひ最後までお読みください。

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認知症末期に食欲低下が起きる原因

認知症末期になると、寝たきりになる方が多くなります。

寝たきりになると筋力が低下するため、介護なしで座ることや同じ姿勢を保つことが難しくなります。
1人で食事を取れなくなり、次第に胃や小腸、大腸などの消化器官が衰えていきます。
その結果、食欲低下が起きるのです。

また、認知症の初期や中期に比べ、意欲や関心の低下、気分の落ち込みも食欲低下の原因の一つです。

そのほかにも、認知症末期になると嚥下(えんげ)障害が現れることもあります。
嚥下障害とは、食べ物が飲み込みづらくなる状態のことです。

食べ物や飲み物が上手く飲み込めずにむせたり、咳き込んだりするといった症状が現れます。
また、食べたものが食道ではなく気管に入り、肺炎を引き起こすケースも少なくありません。

嚥下障害が起こると満足に食べられなくなるため、食欲低下に繋がるのだと考えられます。

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認知症の種類によって食欲状況が変わる?

認知症には代表的な、アルツハイマー型、レビー小体型、血管性の3つがあり、種類によって食欲低下の状況が変わります。
これを三大認知症といいます。

ここからは、三大認知症の食欲低下についてご紹介します。

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症は、アミロイドβやタウという異常なたんぱく質が脳に蓄積されることが原因で発症します。

アルツハイマー型認知症では食べ物を認識できなかったり、箸や茶碗を上手く使えなかったりすることが原因で食欲低下を引き起こします。

そのため、身体機能が低下することで食欲が低下し、体重が減少するという悪循環に陥ってしまうのです。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は、レビー小体という細胞が大脳皮質や脳幹に蓄積され、脳神経細胞が破壊されることが原因で発症します。
筋肉のこわばりや手足の震えなどを生じるパーキンソン症状と、実際にはないものが見える幻視が現れることが特徴です。

筋肉のこわばりや手足の震えが起こることで上手く食事を取ることが困難になります。
また、幻視の影響で食べ物の中に虫が入っているように見え、食事が苦手になるケースも多くあります。

血管性認知症

血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害が原因で発症する認知症です。
障害を受けていない部分は正常に保たれるため、できることとできないことに差があるのが特徴です。

血管性認知症では、初期から嚥下障害が見られることも少なくありません。
嚥下障害が起こると食事の際に咳き込んだりむせたりするため、食事を取ることが苦手になり、次第に食欲が低下します。

また、体に麻痺が生じることもあり、上手く箸を使って食べることが難しくなります。

初めは食欲があっても満足に食事を取れなくなり、食欲低下へと繋がる場合もあります。

認知症末期に出来る食欲改善

認知症末期に食欲低下が現われると、家族の不安や焦りは募っていくでしょう。
食欲低下により食べる量が減ると栄養不足や体重減少に繋がり、健康状態が悪化する可能性があります。

では、認知症末期の食欲低下をどのように改善すれば良いのでしょうか。

ここからは、認知症末期にできる食欲改善方法をご紹介します。

経口摂取

経口摂取とは、口から食べ物を取るという一般的な食事方法です。

噛む・飲み込むなどの機能や食事の際に使う動作の維持や、唾液の分泌により口腔内の細菌を消化するなどのメリットがあります。
また、自分の口で食べることに楽しみや生きがいを感じるという心理的効果が期待できます。

しかし、嚥下機能が低下している場合は、食道ではなく気管に食べ物が入る誤嚥(ごえん)を引き起こすリスクがあります。
そのため、経口摂取する際は誤嚥を予防することが大切です。

誤嚥を予防するためには、正しい姿勢でゆっくりと噛む習慣をつけることが不可欠です。
また、家族が食事の様子を観察しながら声をかけたり、むせや咳に注意してあげたりすることも欠かせません。

経管摂取

経管摂取とは、嚥下障害などで経口摂取が困難になった場合に使用する栄養摂取方法です。

手術して胃や腸などの消化器官に穴を開け、チューブやカテーテルを使用して直接栄養を送ります。
胃や腸に穴を開けることを胃ろう・腸ろうといい、手術せずに鼻から胃や食道にチューブを通す経鼻経管栄養という方法もあります。

経鼻経管栄養は胃ろう・腸ろうと比べ手術が必要ないことがメリットです。
しかし、何度も入れ替える必要があるうえ、入れる際に痛みを伴うことがデメリットです。

対して胃ろう・腸ろうは消化器官の機能を維持できますが、手術に加え交換時に手間や費用がかかります。
また、腸ろうは直接腸に栄養を入れるため、下痢を引き起こしやすくなることが難点です。
経管摂取は体に栄養を送れても、本人にとっては辛さを伴うこともあります。

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認知症末期に現れる食欲低下以外の症状

認知症末期になると、日常生活に大幅な介護を必要とする状態になります。
では、具体的にどのような症状が現れるのでしょうか。
ここからは、認知症末期に見られる症状をご紹介します。

意思疎通の困難

認知症の初期や中期にも言葉を理解したり、上手く伝えられなかったりなどの言語障害が現われます。
しかし、認知症末期になるとさらにコミュニケーション能力が低下し、意思疎通が困難になります。

また、認知症では記憶障害により何度も同じことを聞いたり、話したりすることがありますが、末期になると目立たなくなります。
なぜなら、自発性が失われ意欲も低下し、物事に対する関心がなくなるからです。

そのため、自分から言葉を発すること自体が減り、会話することがほとんどなくなってしまいます。

身体機能の著しい低下

身体機能が低下すると骨折しやすくなったり、暑さや寒さを感じにくくなったりなど身体に様々な支障をきたします。
日常動作も困難になるため、着替えや入浴、食事などのほとんどの場面で介護を必要とします。

また、歩行が小刻みになったり、バランスが取れなくなったりなどの運動障害が見られるため歩くことも困難になります。

このように、認知症末期では身体機能が著しく低下するため、自立した生活を送ることは非常に困難です。

排泄の失敗の多発

認知症が進行すると、排泄の失敗が現われる方が多くなります。

排泄の失敗はトイレの場所が分からなくなったり、排泄という行為自体を理解できなかったりなど様々な理由が原因で起こります。

歩行が困難になることでトイレに間に合わない、衣服を脱ぐのに時間がかかり排泄に失敗するなどのケースも少なくありません。

寝たきり状態

認知症末期になると歩行障害や運動障害が現れ、寝たきり状態になることがあります。
寝たきり状態に陥ると歩行はもちろん、介護なしに座位を保つことも難しくなります。

また、ますます食事を取らなくなり、急激な体重減少が起こる場合があります。
認知症末期の状態では免疫力の低下も生じるため、感染症にかかって亡くなるケースもあります。

寝たきりの状態になると、食事や入浴など日常生活全般に介護が必要になります。

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認知症末期にできることは

認知症末期になると、最期をどこでどのように過ごすかを考え、話し合う必要があります。
本人を含め、家族にとっても最善の選択が重要です。

ここからは、認知症末期にできることをご紹介します。

在宅介護

認知症の方の中には、自宅で最期を迎えたいという方も少なくありません。
認知症の方が住み慣れた場所で過ごせるというのは、在宅介護の良い点です。

しかし、認知症末期になると日常生活全般に介護が必要なため、家族に大きな負担がかかります。

在宅介護する際は、家族が中心となったうえで、訪問介護などのサービスを利用するという選択肢もあります。

介護施設

在宅介護以外にも、老人ホームなどの施設で過ごしてもらうという選択肢があります。
認知症末期に施設へ入所している方は多く、看取り支援をしている施設も多くあります。

在宅介護と介護施設という選択肢があることをふまえ、本人と家族にとっての最善の選択をしましょう。

薬の使い方

認知症末期に考えるべきこと

家族が認知症を発症し、症状が進行する過程でどんなことを考えるでしょうか。
認知症になる前の元気な姿と比べ、胸が痛くなったり涙を流すほど悲しみを感じたりする方も多いでしょう。

認知症初期には体を自由に動かせていても、認知症末期に近づくにつれて日常生活の基本的なことまで困難になります。

食欲低下が見られるようになると、本人のことを考えて経口摂取と経管摂取で迷う場合があります。
なるべく自分の口で食事を取ってほしいという家族の願いがあっても、嚥下障害などの理由で経管摂取という選択をしなければいけない可能性もあります。

どのような最期を迎えるかに正解はないため、本人や家族にとって最善の最期を作ることが重要です。

しかし、認知症の方が自分の最期について考えることは非常に難しいことです。
認知症初期であれば遠いことのように思えて現実味が湧かず、反対に症状が進行すると考えること自体が難しくなります。

そのため、最期の迎え方について事前に本人に聞いておき、その意思を家族が知っておくことが大切です。
認知症末期になると、最期の迎え方について医師と家族が話し合う必要が出てきます。
その場合は本人と家族の意見をすり合わせ、何度も話し合っていくことが最善の選択に繋がるでしょう。

認知症末期と食欲のまとめ

今回は、認知症末期と食欲についてご紹介しました。
要点を以下にまとめます。

  • 認知症末期になると自立した生活を送ることが困難になり、日常生活全般に介護が必要になる
  • 麻痺や手の震え、幻視など様々な原因により食欲が低下する
  • 認知症の方の状態に合わせ、経口摂取と経管摂取を選ぶことが必要
  • 認知症末期には在宅介護や施設などの選択肢があるが、認知症の方とその家族にとっての最善策を選ぶことが重要

これらの情報が皆さまのお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
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  • 栄養提供
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