少子高齢化社会において認知症の方が年々増加していることをご存知ですか?
認知症を完全に治す方法が存在しないため、徹底した予防をすることが重要と言われています。
そうした背景がある中で多くの認知症予防策(脳トレや運動)が登場し、多くの人々が行っております。
また、その中でもペットの世話が認知症予防に繋がることをご存知でしょうか?
今回は認知症予防として有効なペットの世話を中心に解説していきたいと思います。
以下が今回の記事内容になります。
- 認知症予防としてのペットの世話
- 認知症改善の手段
- ペットの世話をすることのリスク
認知症予防とペットの世話の関係についての情報を幅広く紹介していますので、是非最後までお読みください。
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認知症とは?
認知症とは様々な要因によって脳がダメージを受け、日常生活に何らかの支障をきたすようになってしまった状態を指します。
認知症には様々な種類が存在し、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症、血管性認知症といった種類が代表的です。
また、認知症には大きく分けて中核症状と周辺症状という2つの症状があります。
中核症状
認知症における中核症状とは記憶障害、見当識障害、理解判断力の低下、実行機能障害、言語障害(失語)、失行・失認などの認知機能障害を指します。
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周辺症状
周辺症状とは、中核症状が元になりその人の性格、環境や人間関係なども関係する症状であり、不安や鬱、徘徊や暴力暴言などといった症状を指します。
認知症では、「中核症状」と中核症状によって引き起こされる「周辺症状」があります。周辺症状と呼ばれる症状がどのようなものか知っていますか?今回は、中核症状と周辺症状の違いをご紹介した上で、周辺症状の治療方法や治療薬についてご紹介し[…]
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認知症予防としてのペットの世話の有効性
認知症予防において、動物と触れ合うことやペットの世話をすることは非常に有効であると考えられています。
一般的に、認知症予防において重要な点は適度な運動や人との積極的な交流、趣味を持つこと、バランスの取れた食事などがあげられます。
その点ペットの世話には、散歩や散歩中の地域の人々との交流など、認知症予防で重要な要素が含まれています。
そのため、ペットの世話は認知症予防において重要な点を多く包括し、認知機能に対する刺激と認知機能の低下防止に良い効果をもたらすと言われるようになりました。
改めて効果について整理しますと、以下のようになります。
- 日々の散歩等によって運動をする機会が得られる
- ペットの食事管理によって考える機会が得られる
- ペットの世話に伴う行動の中で、他者との社会的交流が増える
- ペットの世話をしているという自己認識が自尊心の向上に繋がる
- ペットの世話が、うつ症状の改善や暴力行為の削減に繋がる
認知症の治療という観点では大きな効果はありません。
しかし、ペットの世話を通じて、認知症予防において大切な運動や社会的交流を行えるため、予防や進行抑制の観点から非常に注目されています。
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認知症改善の手段としてのアニマルセラピーと非薬物療法
アニマルセラピーとは、動物と触れ合う事で精神的な癒しを得ることができ、落ち着いた気分や活動力の増加を促すことを目的とした療法です。
ペットと触れ合うだけでもオキシトシンという愛情ホルモン(幸せホルモンとも言われます)が分泌され、心や体の癒しに効果があると言われています。
アニマルセラピーのように薬を使用せず認知症の進行の抑制を期待する療法の事を非薬物療法といいます。
アニマルセラピー以外の非薬物療法については以下の療法があります。
回想療法
アルツハイマー型認知症の方は最近の出来事は忘れても、昔の事はよく覚えています。
昔を思い出すきっかけを作り、たくさん思い出すことによって脳が活性化されます。
またグループで行う場合においては、受け手が共感してくれることにより、豊かで幸せな気持ちになることが狙いです。
音楽療法
懐かしい音楽を聴いたり、演奏したりすることで、幸福感が高まる事を狙った療法です。
懐かしい音楽によって昔の記憶を呼び起こし、脳に刺激を与えるといった効果も得られます。
芸術・絵画療法
絵をかいたり作品を作ったりして、脳の活性化をはかり心の安定を得る方法です。
運動療法
筋トレ、簡単な有酸素運動などを組み合わせて行います。
身体機能の向上と脳の活性化をはかります。
音楽療法やその他レクリエーションと組み合わせて行われることもあります。
作業療法
制作活動で機能の回復を目指します。手芸、園芸、料理などの作業をしながら脳の活性化を目指します。
以上の事からもわかるように非薬物療法に関しては薬を使わずに、幸福感を感じさせたり昔の記憶を喚起したりすることで、脳に刺激を与える事が目的です。
こうした非薬物療法は各種の高齢者施設でも取り入れられています。
高齢者施設でのアニマルセラピーは、専門のボランティア(アニマルセラピスト)が犬を連れて施設に訪れる、施設に専門の犬を派遣する、といった団体もありますので多くの高齢者が施設内で動物と触れ合えます。
動物を愛でることで精神が安定し、室内の散歩やブラッシングなどの体験をするだけでもお世話をしてあげたという感覚があり、自尊心の向上などの効果があると言われています。
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高齢者が認知症予防でペットの世話をするリスク
認知症の予防や進行抑制に有効なペットの世話ですが、一方では高齢者が飼うことによるリスクもあります。
様々あるリスクや負担の中で代表的なものは、糞尿の始末・食事管理や度重なる医療費やエサ代といったリスクが存在します。
次に具体的にどういったリスク・負担なのかについて解説していきます。
糞尿や食事の管理
ペットの世話において糞尿の始末や食事の管理は、ペットがより良い環境で過ごしてもらうために大切なことです。
しかし、加齢に伴う認知機能の低下や認知症の発症などによって、糞尿の始末や食事の管理が困難になる場合があります。
糞尿の始末を忘れてしまったり、ペットに食事を与えることを忘れてしまうと最悪の場合、ペットが死んでしまう可能性もあります。
故意に忘れたわけではないといっても、ペットを飼っている以上責任を持って飼育する必要があります。
そのため、少しでもペットの世話に難しさや負担を感じたら、外部サービスの利用や家族にペットの世話について相談するようにしましょう。
ペットの長寿化に伴う金銭管理
人間の寿命も時代と共に伸びていますが、伸びているのは人間だけではありません。
近年、住環境やエサの充実、ペット医療の発達といった理由からペットが長寿化し、長く家族と過ごせるようになりました。
しかし、長寿化による高額な医療費や積み重なるエサ代など、金銭的な負担が増えることも理解しておく必要があります。
ペットを飼っている方もこれから飼う方も、高齢者になった際に抱えるリスクや負担を考慮し、ペットの気持ちも理解しつつ行動・選択するようにしましょう。
認知症でペットの世話ができない時は?
認知症予防に有効なペットの世話ですが、必ずしも認知症を完全に予防できるわけではありません。
次に、認知症によってペットの世話が出来なくなった場合の対処法について解説していきたいと思います。
保険外サービスの利用
厚生労働省によると、訪問介護やデイサービスの前後や合間に、ペットの世話をしてもらえるサービスを利用できるようです。
自治体によってばらつきがあることに加え、このサービスは介護保険外になり、利用するときは全額自己負担になります。
ペット信託
飼い主に何かあった場合に備えて、財産の一部を新しい飼い主や一時預かりをしてくれるボランティアなどに託し、必要になる飼育費をそこから払えるようにした仕組みです。
有償ボランティアの利用
ペットの散歩や食事準備、トイレの清掃などの世話を頼める有償のボランティアがあります。
ボランティアスタッフは動物飼育に関する資格を持つ有資格者や動物保護や譲渡の経験を持つ人々が担当しています。
そのため、安心して動物の世話を頼むことができるでしょう。
入院でしばらく面倒を見ることができない時や、介護者が介護で忙しい際に利用することが出来ます。
ペットの代わりのアニマルロボットで認知症予防
ここまで、認知症の予防や進行防止には、ペットの世話が良いということを述べてきました。
一方で、考慮すべきリスクや負担も存在するため、実際にペットを飼うことのハードルは年々高くなっています。
そうしたリスクや負担を配慮しつつ、ペットの世話が体験できるものとして「アニマルロボット」というものがあります。
犬型、猫型、アザラシ型などたくさんの種類があり、実際のペットの世話体験に近い体験が得られます。
アニマルロボットのメリットとしては、食事や糞尿の始末といった手間や費用がかからないことがあげられます。
AIも搭載されており、本物の動物同様に鳴いたり、可愛らしい表情で見つめてきたりと感情の交流を体感できるため、本物のペットの世話をしているかのような体験が得られます。
実際アニマルロボットでアニマルセラピーをしている施設も存在すると言われています。
認知症とペットの世話まとめ
ここまでペットの世話の効果や世話における負担とリスクを中心にお伝えしてきました。
以下が今回の記事のまとめになります。
- ペットの世話をすることは認知症の予防や進行抑制に効果がある
- アニマルセラピーは薬を使用しない非薬物療法の一つである
- 高齢者のペットの世話には飼育者の体調の変化、金銭的な問題などのリスクもある
- 認知症でペットの世話ができない時に使えるサービスとして、ペット信託や保険外サービスがある
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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