認知症は、種類ごとに発症数の割合が異なります。
年々増加傾向にありますが、どのような種類や傾向があるのでしょうか?
今回、認知症に関する割合についてご紹介し、特徴や問題についてもご紹介します。
- 認知症の種類ごとの特徴や割合
- 高齢者人口に占める認知症の方の割合予測
- 認知症の方の男女比や年代比
是非最後までご覧ください。
認知症に関連した割合を理解することで、予防・対策を行う際の参考にしてください。
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認知症発症者の割合の現状
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現在、日本にはどれだけの認知症の方がいるのでしょうか?
高齢者の割合
高齢とは、 65歳以上を指します。
2021年8月の総務省統計局の発表によると、総人口は前年より51万人減少しました。
一方、高齢者人口は25万人以上増加し、約3,627万人に達したようです。
認知症の方の割合
認知症は、超高齢社会の問題の一つです。
2012年の認知症の方は高齢者人口の約15%で、 約460万人といわれていました。
2025年には、高齢者の約20%を占める約700万人になることが指摘されています。
高齢者のうち5人に1人が認知症を発症しているという計算になります。
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認知症の種類別割合
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認知症には様々な種類があります。
多くは、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症が占めているとされ、三大認知症と呼ばれます。
以下、認知症の種類別割合や症状、原因について説明します。
アルツハイマー型認知症
厚生労働省の「認知症施策の総合的な推進について」によると、アルツハイマー型認知症は、認知症の約68%と最も多くを占めています。
アルツハイマー型認知症は、特殊なたんぱく質が脳内に蓄積し、脳機能が障害を受けることが原因で発症します。
特殊なたんぱく質とは、アミロイドβ(ベータ)、タウです。
本来、アミロイドβやタウは分解され排泄されます。
しかし、加齢によって、蓄積してしまうことがあります。
脳内に蓄積することで、脳の萎縮、脳の神経細胞に影響を与えるようになります。
記憶障害や見当識障害の症状があらわれることがあります。
記憶障害は、症状初期では直近の記憶である短期記憶が低下し、症状が進行するにつれて昔の思い出などの長期記憶も低下していきます。
見当識障害では、時間、場所、人の認識などができなくなってしまいます。
場所が認識できないことで徘徊などにつながることもあります。
血管性認知症
血管性認知症は認知症の約20%を占めています。
血管性認知症は、脳梗塞や脳卒中などの脳血管障害が原因で発症します。
脳血管障害により障害を受けた範囲や部位によって、現れる症状やその度合いに違いがみられます。
判断力や理解力の低下や、計画を実行できない実行機能障害、言語や視覚情報に障害を受ける失認・失語がみられることがあります。
脳血管障害に伴い、段階的に認知機能が低下していくと言われています。
高血圧症や糖尿病などの生活習慣病に罹患している場合には、注意が必要な認知症です。
レビー小体型認知症
レビー小体型認知症は、発症年齢が高い認知症の一つといわれています。
レビー小体というたんぱく質が大脳皮質や脳幹に蓄積することが原因です。
パーキンソン症状、幻視、自律神経症状、レム睡眠障害などがあらわれると言われています。
パーキンソン症状は、レビー小体型認知症特有の症状です。
小刻み歩行、手足の震え、前傾姿勢などがみられるようになります。
パーキンソン症状は転倒リスクが高くなるため、常時見守りや介護が必要になる場合もあります。
幻視も代表的とされる症状の一つです。
実際にはいないはずの人や動物が、本人には見えているといった状態が起こります。
前頭側頭型認知症
前頭側頭型認知症は、前頭葉と側頭葉が障害を受けることが原因で発症すると言われています。
その割合は全体の約1.0%ですが、平均発症年齢が比較的若い認知症です。
前頭葉が障害を受けると、理性、意欲、計画性に影響をきたし、人格変化や行動、言語に変化がみられるようになります。
人格変化は、初期から現れることがあります。
身だしなみを気にしなくなったり、万引きなどの反社会的行動にいたったりするケースも少なくないようです。
言語障害は、発症中期以降にみられることが多いです。
発する言葉の内容が乏しくなったり、同じ言葉を何度も繰り返すようになります。
末期になると、認知機能のみならず身体機能も低下するようになり、最終的には衰弱死にいたる可能性があると言われています。
アルコールによる認知症
アルコール性認知症は、過度のアルコール摂取が原因となり発症する認知症です。
近年では、アルコールの摂取量と脳が萎縮する程度には関連性があることがわかっています。
その割合は認知症全体の約4%と言われています。
記憶障害、注意力障害、感情のコントロール不良、手の震え、辻褄を合わせるための作話などの症状がみられます。
若い方にも、発症する可能性が比較的高い認知症です。
頭部外傷による認知症
頭部外傷による認知症は、認知症の約4%を占めています。
頭部外傷による認知症にあたる疾患として、慢性硬膜下血腫があげられます。
頭部打撲などを原因に3週間から3カ月ほど経ってから、脳内に血液が溜まることで障害を起こす疾患です。
交通事故による軽度の打撲でも発症につながるなど、頭をぶつけていなくても発症する場合もあるようです。
手術による治療が可能な場合もあり、数少ない治る可能性のある認知症の一つでもあります。
認知症の男女別の割合
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認知症有病率は、男性よりも女性の方が高いです。
85~89歳では、女性48.5%、男性35.6%となります。
90歳以上になると、女性71.8%、男性は42.4%となっています。
高齢になるにつれ有病率に差が広がっています。
認知症の年代別の割合
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認知症は年齢を重ねるごとにその割合を増していきます。
認知症の年代別割合は、
- 75歳までは10%未満
- 75~79歳時点で10.4%
- 80~84歳時点で22.4%
- 85~89歳時点で44.3%
- 90歳以上では64.2%
年齢が上がるほど、認知症を発症することがわかります。
認知症の方を支える介護職員の割合
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日本では、 認知症の方が増え続けています。
認知症の方を支える介護職員の不足は、深刻な問題の一つです。
以下、介護職員数の割合について説明します。
要介護者数と介護職員数
厚生労働省より、 要介護・要支援認定者数は 2019年3月末時点で約658万人と公表されました。
介護職員は、2017年時点で約195万人でした。
介護職員の年齢別割合
介護職員は 介護職員(施設等)と訪問介護員 に分けられます。
平成29年度介護労働実態調査によると、介護職員(施設等)と訪問介護員の年齢別割合は以下の通りです。
介護職員(施設等)の年齢別割合は、
- 20歳~29歳が15%
- 30~39歳が22.9%
- 40~49歳が24.1%
- 50~59歳が19.9%
- 60歳以上が16%
訪問介護職員の割合は、
- 20~29歳が4%
- 30~39歳が10.1%
- 40~49歳が19.6%
- 50~59歳が25.3%
- 60歳以上が38.4%
介護職員(施設等)の方が比較的年齢層が低いことが分かります。
介護サービス事業所における従業員不足問題
現在、多くの介護サービス事業所では人手不足を感じているようです。
「令和元年度介護労働実態調査結果について」によると、介護サービスに従事する従業員の約65%が不足感を感じていると回答しています。
訪問介護員に限ると、80%以上の方が不足感を感じているようです。
認知症の割合のまとめ
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ここまで認知症に関連する割合の傾向や、その特徴・問題などを中心にお伝えしてきました。
- アルツハイマー型、血管性、レビー小体型の割合はそれぞれ、約68%、約20%、約5%
- 2025年の高齢者人口に占める認知症の推定割合は20%
- 認知症の方の割合は女性の方が高い
- 認知症の方の割合は年齢群が上がるほど高くなる
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。