認知症は高齢者の方のみならず40代で発症する場合もあります。
認知症の早期発見は症状が軽いときに当事者と相談できたり、症状の進行を遅らせたりすることができます。
そこで今回の記事では以下のことを中心に解説していきます。
- 認知症とは
- 認知症の前兆はどういうものが挙げられるのか
- 認知症かもしれないと感じたときの対応
認知症の前兆は知っておいて損することはないので、ぜひ最後までお読みください。
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認知症とは?
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まずは、認知症とは何かについて簡単にご説明します。
認知症は、脳細胞が壊れたり減少したりすることで様々な障害が起こり、日常生活に支障が出てしまう状態のことをいいます。
高齢になればなるほど発症するリスクが高まります。
年を重ねれば誰でも認知症になる可能性があり、高齢者の4人に1人が認知症または認知症予備軍と言われています。
認知症の代表的なものは以下の4つになります。
症状の説明はあくまでも一例です。
アルツハイマー型認知症
脳の全体が少しずつ萎縮していきます。
記憶障害や見当識障害、実行機能障害が見られます。
アルツハイマー病によって、日常生活を送るのも困難な高齢者の方がいます。もし、周りにアルツハイマー病で苦しんでいる方がいたら、どのように対処すべきなのでしょうか?今回はアルツハイマー病について、以下の項目を中心に解説します。アルツ[…]
レビー小体型認知症
レビー小体と呼ばれるたんぱく質の塊が、脳の神経細胞にできることで発症します。
幻想やパーキンソン症状が見られます。
三大認知症の一つとされているレビー小体型認知症。発症すれば幻視や妄想をともなう可能性のあるレビー小体型認知症ですが、どのような対策や予防があるのでしょうか?今回は、レビー小体型認知症について以下の点を中心にご紹介します。[…]
血管性認知症
血管障害が起きるたびに進行します。
ここでいう血管障害はくも膜下出血や心筋梗塞などです。
認知症の方の調子の差は激しく、感情が不安定という症状が見られます。
脳梗塞や脳出血など、脳の血管に障害が起こることで発症する脳血管性認知症。脳血管性認知症はどのような症状があるのかを知っていますか?今回は脳血管性認知症の原因や症状についてご紹介した上で、診断方法や治療法をご紹介します。[…]
前頭側頭型認知症
タウたんぱくとTDP-43というたんぱく質が起因するのではないかと考えられています。
社会性の欠如、感情が鈍くなるといった症状が見られます。
急速に加速する超高齢社会の中、前頭側頭型認知症の発症者数は1万2000人を超えています。 そうした前頭側頭型認知症は、指定難病の一つでありまだ解明されていない点が多数存在しています。そこで、今回の記事では、[…]
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認知症の前兆とは?
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ここでは、認知症の前兆について詳しく解説していきます。
前兆の代表的なものは次の通りです。
物忘れが激しい
物忘れは認知症の症状としてよく見られるでしょう。
認知症の初めの段階では、加齢による物忘れと認知症による物忘れとの区別がつきにくいです。
区別をつけるのは難しいのですが、目安になるものはあります。
いくつか解説していきます。
加齢による物忘れ:「夕食に何を食べたか思い出せない」「買い物に行って何を買いに来たのか忘れる」「約束をうっかり忘れてしまう」「しまい忘れや置き忘れが頻発するが、忘れ物をしたことを思い出せる」
認知症による物忘れ:「食事をしたという事実を思い出せない」「買い物に出かけたが、出かけた理由を忘れる」「約束したこと自体を忘れる」「しまったことや置いたこと自体を忘れ、誰かに盗まれたと思う」
あくまでこれは例なので、自分が当てはまるからといって必ずしも認知症であるということはありません。
判断・理解能力が低下した
認知症の前兆では、判断・理解能力の低下も見られます。
家事や仕事などで頻繁に失敗したり、新しいことを覚えられなくなったりします。
テレビ番組の内容を理解できなくなったり、会話の際に話のつじつまが合わなくなったりもします。
時間・場所がわからない
約束した日時や場所などを、たびたび間違えるようになります。
またいつも行き来している馴染みの場所で道に迷うこともあります。
人格が変化する
ちょっとしたことでも怒りっぽくなり、家族や飼っているペットに暴力を振るうことがあります。
周囲に対しての気遣いがなく頑固になり、自分自身がした失敗を他の人のせいにしたりします。
不安感を感じる
不安感が強くなるので、一人になることを怖がったり寂しがったりするようになります。
外出するときに、何度も持ち物を確認することもあります。
また、頭が変になってしまったと当事者本人が訴えることもあります。
無気力になる
身だしなみに気を使わなくなり、下着を替えずに、お風呂も拒絶したりします。
何をするにも億劫で、大好きだった趣味にも興味がなくなります。
寝ぼけ
寝ぼけの症状は、前述でも少し触れたレビー小体型認知症の前兆で見受けられることが多いです。
寝ぼけとは、夢で見た通りに身体が動いたり、声を発したりするようなことです。
睡眠中に突然奇声を上げたり、手足を激しく動かしてベッドから落ちたり、隣で寝ている配偶者を殴ったりすることもあります。
また、起きた直後に寝ぼけたまま夢の続きを語ることもあります。
嗅覚障害
認知症の前兆として、嗅覚障害が見受けられることがあります。
前述で触れたアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症で嗅覚が低下することがわかっています。
なんと認知症が始まる10年以上も前から嗅覚が低下し始めることもあります。
認知症かもと前兆を感じたら|セルフチェック
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物忘れやうっかりミスなどは認知症の前兆で見られるサインでもあります。
少しでも気になれば、下記リストでチェックしてみましょう。
- 自分で置いたの物の場所が分からなくなる
- 5~10分前に聞いた話を思い出せない
- 伝えたい言葉がすぐに出てこない
- 銀行の利用や、公共料金の支払いは一人で出来ていますか?
- 「いつも同じ事を聞く」など周りから注意を受ける
- 日付、曜日が分からなくなる
- 物や人の名前がすぐに出てこない
- 口数が減ったり、ぼそぼそ喋るようになった
- 体の動きが良い時と悪い時がある
- ルールや常識を守れず、自分勝手な行動をとってしまう
- 対話していても内容を理解できない
- 買い物にひとりで行けない
- 電話番号を調べて電話をかけるのが難しい
- 家や部屋に閉じこもることが増えた
- 新聞やテレビを見なくなった
認知症の前兆?軽度認知障害(MCI)とは
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軽度認知症障害(MCI)とは、認知症一歩手前の状態のことを指します。
早期発見し適切な対策をすれば、MCIを改善したり、認知症を予防することも可能です。
ここでは、MCIについて原因や症状について解説していきます。
原因・日常のサイン・症状
原因は加齢やストレスなど、人によって様々です。
症状も注意力や集中力の低下や、無気力・うつ病のような症状と様々です。
また、いずれの症状も認知症そのものと比べてしまうと軽度なので、本人も周りも何が起こっているのか判別がつきづらく、戸惑ってしまうことが多いようです。
そのため日常生活に支障をきたすことがあまりないので、MCIは早期発見が難しいですが、特徴として複雑な作業が苦手になり「2つのことを同時に行えなくなる」「仕事や家事などで失敗が増える」、といったサインがありますので気を付けましょう。
治療・認知症との違い
MCIの治療では現在、保険が利用出来る薬(薬物療法)はありません。そのため体を動かす運動療法や、ゲームやパズルなどで脳を活性化させる非薬物療法が用いられます。
認知症との違いについてですが、主に2つあります。
1つ目は、一人で自立した生活が可能ということです。
認知症の場合は日常生活に支障をきたす症状が出ますので、一人での生活は困難になります。
2つ目は、経過の仕方です。
認知症の場合、基本的に改善することはなく進行スピードを遅らせる治療を行うことになります。
しかしMCIの場合は、治療によっては改善することが可能です。MCIのうち4割程度は元の状態に戻るとされています。
認知症の前兆かも?と感じたら
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ここでは、自分自身や家族に見られる状況が認知症の前兆かもしれないと気づいた際の対処方法についてご説明します。
認知症は完治することはありません。
ただし、早期に発見して適切な治療を受けることで進行を大きく遅らせる可能性があります。
いつの間にか症状が進んでしまって後悔しないために、まずは病院で検査を受けて医師の診断を受けましょう。
診察は物忘れ外来や神経内科、精神科などで受けることができます。
また、家族に認知症の疑いがある場合に、病院に行くことを勧めても拒絶されることもあります。
その場合は、自分一人で悩まずに地域包括支援センターに相談してみましょう。
地域包括支援センターとは、地域に住む高齢者やその支援・介護に携わっている方を支える役割を果たしている施設です。
全ての市区町村に設置されていて、令和2年4月末現在で全国に5,221か所あります。
別の手段として、当事者のかかりつけ医に相談して、専門の医療機関を紹介してもらうのも良いでしょう。
認知症の前兆があってからの進行について
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早期発見が大事な認知症ですが、軽度な場合は中々発見が難しいです。
認知症がどのように進行していくか、周りの人の注意点などを以下で解説していきます。
前兆(軽度認知障害)
記憶障害はあるものの、日常生活に支障は出ません。
少し前に聞いたことを忘れて何度も聞き返したり、世間で話題になったニュースの内容が思い出せなくなったりします。
この段階では、認知症の前兆とは思われず、加齢による物忘れとして軽く考えてしまう方がほとんど。
症状に少しでも当てはまれば医師による診察を受けてみましょう。
初期(軽度)
初期症状でよくみられるのが記憶障害です。
しかも単なるもの忘れのレベルではなく、直前の出来事を忘れたり、同じことを何度も聞き返すようになります。
前兆段階に比べ日常生活に影響が出始めます。
仕事や家事などをこなすのが難しくなることもありますが、長年続けてきた作業はいつも通りできるため、周囲が気づかないこともあります。
中期(中度)
記憶障害が加速します。新しい出来事が覚えられなくなり、初期には役立ったメモ書きもその存在自体を忘れてしまいます。
また、記憶が保てないため日常生活に支障をきたし、自立した生活は難しくなり、多くの場面でサポートが必要になります。
様々なケアやサポートも次の日にはほとんど忘れてしまうので、家族を含め、周囲の人たちはその反応にガッカリさせられることも多くなるかもしれません。しかし、記憶に残らなくても「楽しかった」等の印象は残るとされています。そのため、あまり覚えてもらおうと考えず、その瞬間を一緒に楽しむように心がけると介護する側も気持ちが楽になるはずです。
末期(重度)
初期や中期と比べて記憶障害が目立たなくなります。なぜなら、自発性や意欲の低下によって物事への関心が薄くなり、忘れること、何度も話を聞き返すこと自体がなくなるからです。その代わり、家族が家族であることがわからなかったり、コミュニケーションをとること自体が難しくなったりします。
末期になると、生活のすべてにおいて介助が必要になります。
失禁や筋固縮(筋肉がこわばる)などの症状が出たり、嚥下障害(食事を飲み込めない)になったりします。
最悪の事態を招かないためにも、できるだけ初期の段階で気づき、治療をしましょう。
認知症予防のために
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認知症予防のために今からできることがいくつかあります。
まずは、生活習慣病の予防や治療です。
アルツハイマー型認知症や血管性認知症は、糖尿病などの生活習慣病との関連があると言われています。
したがって生活習慣病を予防・治療することは、認知症を予防することにつながります。
生活習慣病予防のために、食生活を意識しましょう。
また、適度な運動も生活習慣病を予防し、認知症も予防することにつながります。
運動することで血行が良くなり、脳を活性化する効果が期待できます。
運動だけでなく、楽器や手芸、料理などの手作業も脳を活性化する効果があります。
以上のような認知症予防を上手に生活に取り入れることでリスク回避につながるでしょう。
万が一認知症になったとしても症状の進行がゆるやかになるかもしれません。
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認知症は脳梗塞の前兆?
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認知症と脳梗塞の関連性について見ていきましょう。
まだら認知症とは
「まだら認知症」という、ちょっと変わった名前の認知症をご存知でしょうか。一般的には、「記憶力の低下が目立つのに、理解力や判断力はしっかりしている状態」とされています。まだら認知症とされる症状は、じつは小さな脳梗塞が原因で起こることが多いのです。さらにその背景には、高血圧による動脈硬化があることもわかってきました。
まだら認知症は、早く気がつけば改善や予防が可能です。症状や予防策について、きちんと知っておきましょう。
まだら認知症とラクナ梗塞
ラクナ梗塞とは脳梗塞の病型の一つで、脳血栓の中でも脳の深い部分を流れている細い血管が詰まってしまうことで起きる脳梗塞を「ラクナ梗塞」といいます。
ラクナ梗塞が増えると、梗塞ができた場所の血流が悪化し、脳の活動(記憶、運動、感情など)がダメージを受けることがあります。それが、まだら認知症の症状となって現れます。
ラクナ梗塞の症状・予防
症状は、先ほど解説したまだら認知症としての症状の他、半身の脱力(運動麻痺)、半身のしびれ(感覚障害)、しゃべりにくさ(構音障害)が主になります。
予防策はいくつかあり以下なります。
- 血圧をきちんと管理する
- 食生活を見直す
- 水分をしっかりとる
- 禁煙する
- 適度の運動をする
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認知症の兆候は10年前から始まっているかも
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認知症の兆候は、10年~15年前から始まっていると言われています。
この事実を頭の片隅に入れておきましょう。
この認知症の兆候に最初に気づくのは家族や周囲の人ではなくその当事者です。
物忘れの頻度が多くなったとしても認知症とは思わないかもしれません。
そのうちに家族から指摘されるようになり、その頃にはすでに症状が進行している可能性があります。
変だなと思うことがあれば、迷わず病院や地域包括支援センター等に相談しましょう。
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認知症と前兆のまとめ
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ここまで認知症と前兆に関して詳しく書きました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 認知症とは脳の機能障害が原因で日常生活に支障をきたす症状
- 認知症の前兆は物忘れ・理解力と判断力の低下・時間場所が分からなくなる
- 認知症かなと感じたら、病院に行く・地域包括支援センターに相談・かかりつけ医に相談
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。